日興コーディアル・グループの現経営陣は、2月27日付けで旧経営陣に対して不正会計に関して、賠償提訴
する方針を決めた。
昨年末に発覚した不正会計問題に対して、当初、日興CGはマスコミ報道に対して「粉飾の事実はなく、当該
報道機関に厳重な抗議を行う」と息巻いていた。 また、旧経営陣は、その後、粉飾事実が明らかになると、「一
社員の仕業だから経営陣には責任はない」と責任回避をする始末。 高額な報酬を貰っていながら、最低限のコン
プライアンスである善管注意義務すらも守れない経営者。
米国での2001年のエンロン事件、2002年のワールドコム事件と立て続けに起きた不正会計による大型粉飾
決算事件は、どちらも内部告発により発覚した。 これを受け、市場の信頼を取り戻すための企業の内部統制が
厳しく求められ、企業改革法(サーベンス=オクスリー法)が制定された。 今回の事件は、日本でも同様の対応
を求められている最中の出来事でもある。 また、資本市場そのものを扱う証券会社が市場を悪用し不正行為を
働いたこと自体、極めて深刻な事件でもある。
爽やかなイメージで日米共に人気がある野球スターをCMに起用し、コーディアル(cordial=誠心誠意の)を社名
の一部にしているものの、実態は全く逆であり、信用そのものが社業の全てであると言っても過言ではない日興
CGの犯した罪は、他業種より遥かに重い。
今回の事件が内部告発により発覚したかどうかは定かではないが、可能性を示唆する報道はされている。
今後も自浄作用としての内部告発は、公益通報者保護法が制定されたこともあり、多くはなることはあっても
減ることはないだろう。 経営者は肝に銘じなければならない。
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