平成15年に個人情報保護法が成立し、本年4月に全面施行されてから、個人情報に係わる新法制定や
既存の法改正が次々に行われた。代表的なものを幾つか挙げてみたい。
まず、新法としては、平成16年成立、来年4月1日から施行される「公益通報者保護法」である。 この法は
近年、企業不祥事が相次いで明らかになり、法令違反行為を労働者が通報した場合、解雇等の不利益な取
扱いから保護し、事業者のコンプライアンス(法令順守)経営を強化することを目的としている。 通報者に対し
ては、その内容や、通報手続に関して幾つかの要件が求められているが、通報を受けた事業者及び行政機関
はまず第一に通報者の個人情報の保護を念頭において対応しなければならない。
次に、法改正としては、11月に「不正競争防止法」が改正された。退職者に対して事業者は在職当時の営業
秘密の管理を徹底しなければならず、退職者に対する個人情報保護も同時に図らなければならない。 さらに、
政府は現在、来年度に向け「住民基本台帳法」の改正を進めているが、現行法においては「住民基本台帳は
原則、閲覧自由」ということになっており、個人情報保護法との整合性に矛盾をきたしている。改正法は個人情
報保護の観点から「原則、非公開」となる予定だ。
個人情報保護法は行政法であり、且つ全省庁に跨る横断的な法である。それ故、高度情報化社会における
個人情報の有用性を考慮に入れた法改正や新法が成立しているのであろう。
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