0歳教育関係へ
私製本「0歳教育」
【私製本「0歳教育」の概要】
【躾・その考え方と親の責務 】
【胎児教育・その1 】
【幼児の能力を育てる・その1】
【胎児教育・その2 】
【幼児の能力を育てる・その2】
【誕生と乳児・その1 】
【幼児の能力を育てる・その3】
【誕生と乳児・その2 】
【幼児の能力を育てる・その4】
【0歳児の年間計画 】
【幼児の能力を育てる・その5】
0歳教育の概要
幼児の能力を育てる・その5
「親の愛情とは、わが子のしあわせを願って、何かを、してやること」
幼児の能力を育てる・その5(昭和63年11月2日)
今回は「幼児の能力を育てる・その5」として、総合的な立場から話をすすめたいと思います。
結婚・妊娠・出産・育児・教育、という一連のながれの中で、やはり一番大事なのは人の生涯をどう考えるか、という命題であります。
それは自分の生涯という意味もありますし、わが子の生涯という意味もあります。いわゆる、ハウ・ツー・リプ、如何に生きるべきか、という命題は、絶えず求めていい課題であり、わが子が自立するまでは、子どもになり代わって、子どもが自分で自分の世界を築きあげていくお手伝いをしなくてはなりません。
その願い・目標は高く大きくなくてはなりません。
赤ちゃんの時には五体満足ならいいなどと言いながら、小学校や中学校の頃になると、もっと勉強が出来てほしいとか、もっと素直になってほしいなどと、後になって、願い・目標を加えていっても「あとのまつり」になってしまうのがオチであります。こうしたズレを幾つもみてまいりました。
子どもは、胎内にいる時から六歳くらいの間、今までにも話しました通り、ものすごいエネルギーを持っておって、あらゆる能力・性格を身につけてしまいます。ですから、子どもになり代わって、より高い、より大きい願い・目標を、親は持たなくてはならないと思います。
親次第で、子どもはどの様にでもなるのであります。親に似るのでございます。親の感情が不安定ならば、子どもの感情も不安定になります。親がより大きい願いをもっておれば、より大きい願いをもった子供が育つのであります。
0歳教育にはそれなりの方策がありますが、その根幹になっているものは親の願い・目標のとらえ方にあるといってもいいと思います。
子どもは、6歳頃までに自分というものを殆ど築いてしまいます。自分のまわりの環境にはすべて対応し、自らの能力を養い自らの世界を築いていきます。自分の生き方や価値観を築いていきます。そしてそれが、生命体の本来の姿でございます。幼児の能力・性格の在り方は、幼児自身が築きあげていくものであります。そういう意味では、幼児時代ほど適応能力の優れている時代はほかにはありません。
日本教文社から出ている「マジカル・チャイルド」という本は、誰も知らなかった脳発達のプログラムを展開し、親子の係わりから生ずる様々な様相について述べ、これからの育児の方向をあきらかにしています。
将来の教育を考える場合、親も教師も一度は読んでおきたいものであります。赤ちゃんがいるいないは別にして、是非一読したい本でございます。
以上幼児教育の中で、親の願い・目標がとても大事であるということと、その裏付けとして、そうした親の願い・目標の通りに、子どもは伸びる力を備えているということについてお話申しあげました。
ところが、言われた通りやったんだけれど、ちっとも思うようにいかないとか、書いてあった通りやったんだけれども、ちっともうまくいかなかった、といった、思うようにいかない、という言葉を耳にします。
それで2番目に、言われた通りやり、書いてある通りやる方法はないのか、ということで話したいと思います。
いわれた通りにやったとか、書いてある通りやったとか、そうはいってもそれは、一人よがりの、自分勝手の、頭の中の考えの場合が殆どであることが多いのであります。
それは当たり前なんです。私もそうでした。それだけに、いわれた通りやるとか、書いてあった通りやるとかいうことは、そう簡単なわけにはまいりません。ちょっと聞いて、その通りにやって、うまくいくなんていうのは、話がうま過ぎるんです。
いわれた通りとか、書いてあった通りとかいう、その中身というものは、いろいろの考え方やいろいろの接し方など、中身は沢山ある筈であります。
ですから、ある一つの考え方とか、ある一つの子供への係わり方とかいうものは、話は簡単にしても、自分でどれだけその意味がわかり、自分がどれだけいろいろの考えや子供への対応の仕方を考えていたのか、そんなことを考えてみますと簡単には、いわれた通りやったとか、書いてある通りやったとか言えないようになります。
では、どうしたらいいのでしょうか。
やっばりそれは、ようく聞き、ようく読むことから出発します。言外の言を聞き、紙背の文字を読む、と言われますように、話そのものの奥にあるものまで聞き取っていくとか、活字にしてある表現以外の考えまで読み取るとか、そういう聞き方・読み方をしたいわけであります。
私たちは、なかなかそれができないので、私はこんなようにすればいいと思います。
それは、人が1回で出来ることを3回聞いたり読んだりを繰り返すのです。ほんとに聞きたいことは録音します。そして2度3度聞きながら、その要点や疑問になること、自分としてのアイデア・考えなど、出来るだけ書き出していくのです。
本を読む場合も、書いた人は相当の時間をかけて文章表現をしている筈ですから、立ちどまり、立ちどまりして読んでいきます。大事だと思うところは傍線をひいたり、書き出したり、要点を自分なりにまとめて整理したり、自分の意見を書き加えたり、自分のアイデアを書き込んだりしてノートを作ります。
このように聞いたり読んだりした内容について、人の3倍の時間をかけて、頭を使うようにします。
そうしているうちに知らず知らず、その人の考えの世界に仲間入りして、自分の考えのようになってくれば、もう占めたものだと思います。
それに従って計画をたて、人の考えではなく自分の考えとして、わが子に接していけばいいわけでございます。そうすれば、聞いた通りやってみたとか、読んだ通りやってみたとか、いえるようになるわけでございます。
さて、幼児教育の中で親の願い・目標がしっかりでき、聞いたこと読んだことなどから、子供の環境をどのようにしていったらいいのか、自分の考えが熟してきましたら、次に大事なのは、計画と実践でございます。
この計画と実践では四つの分野に分けて考えていくのがいいと思います。
それは、知的能力の分野としての、<言葉>と<数>と<外国語>であり、
身体的能力の分野としての<健康>であります。
言葉と数と外国語の3分野については、有線でお話いたしました。
もう一つの健康の分野でございますが、高橋悦二郎さんの一連の育児書や、七田さんの考え方や、森下敬一さんの指導とか、蓬田さんの科学的考え方など、参考にされるとよいと思います。
ともかく、計画と実践では、この4つの分野に一応分け、いろいろと資料を整えなくてはなりません。私が紹介した本だけでも10数冊になると思いますが、金と時間はかかります。金と時間は充分かけてください。
金も時間もかけずに、よい結果だけ期待しようとするのは、とても無理でございます。
私は、この計画と実践のところが一番弱くなりやすいと思います。あらすじの計画と共に、子供の変化や発達に応じた毎日の計画を、みんなで相談して立ててほしいと思います。
そして、前にいいましたように、毎朝神柵とかご先祖様に向かって手をあわせ「今日はかようしかじかの計画でやります」と約束してください。
或いはまた、子供にそれを誓ってください。それはほんとに、いい方法だと思います。
さあ、資料を整えてあらすじの計画ができ、時間をかけて具体的プログラムができましたら、今度は実践であります。
実践に移ったら「あせらず・くらべず・くりかえす」この三つの心構えを忘れないようにすることであります。「あせらず・くらべず・くりかえす」この心構えは、紙に書いて壁に貼っておいて、折りにふれ自分を見つめることがいいと思います。この三つの心構えは、大事な意味を含んでおるからであります。
以上で、能力を育てるという場合の、基本的チェック・ポイントについてお話申しあげました。
これで0歳教育シリーズの話を終わりたいと思います。
どうか皆さん、子どもさんのために、できるだけのことはしてあげてください。
親の愛情とは、子どもさんのために「何か」をしてあげることでございます。
「何か」とはなんでしょうか。さあ今度は、聞いている皆さんが、答えを整える番でございます。
さて話はかわりますが、私が「0歳教育シリーズ」の放送をお引きうけしてから、もう1年たちました。0歳教育が何故必要なのかという概要を1回、胎児教育を2回、誕生と乳児を2回、幼児期の指導プログラムで1回、躾・その考え方と親の責務で1回、それから、能力を育てるということで、能力を育てる基本的考え方、言葉の能力、数能力、英語の能力、などの内容に分けて5回、あわせて12回、お話してまいりました。0歳教育のおよその骨組みを一通りまとめたわけでございます。
話の中味として何を取り上げていったらいいのかとか、どのくらいまで話したらいいのかとか、どういう言い方をしていったらいいのかとか、それはいろいろと考えました。責任もありますので、なかなか難しいことでございました。でも途中で、励ましのことばをかけて下さる方もいて、とても励みになりました。有難うございました。
それから、いつも明るい声で励まし、連絡をくださいました有線の池田さん、ここでお礼を申しあげます、有難うございました。
有線をお聞きになられた皆さんには、私の勝手なことばをお耳にいれ、恐縮しております。長い間ありがとうございました。
以上で「0歳教育シリーズ」の話を終わります。
戻る