折々の記へ

折々の記 2004 C

【心に浮かぶよしなしごと】

【 01 】11/24〜        【 02 】12/06〜
【 03 】12/10〜        【 04 】12/16〜
【 05 】12/21〜        【 06 】12/24〜
【 07 】12/29〜        【 08 】00/00〜
【 09 】00/00〜        【 10 】00/00〜


【 1 】11/24〜

  11 24 靖国問題(朝日社説)
  11 26 糖尿検査
  11 27 戦争犯罪
  11 28 続戦争犯罪●歴史の大きな流れ「東アジア共同体構想」
  11 29 続々戦争犯罪
  11 30 「東アジア共同体構想」

 11 24(水) 靖国問題(朝日社説)

靖国神社参拝の問題は何回か扱ったように思っていたが、今年のところは次の五回だけのようだ。

01 16 警鐘・アジアから見捨てられる日本…これでもいいのか…

01 19 警鐘・アジアから見捨てられる日本…これでもいいのか…(続)


10 29(金) 王毅駐日大使、中日関係について語る

11 12 北京週報…中国の基本的スタンス…

11 23 小泉首相の靖国問題

11 24 靖国問題(朝日社説…小泉・胡会談―靖国問題を動かそう)

きのうの「折々の記」を書いたのは早朝だったから、まだ新聞は読んでなかった。インタネットの朝日の社説には靖国問題は載っていないのである。切替は何時なのかわからない。

それはそれとして、大きい問題として「折々の記」へ載せたら、朝日の社説でもやっぱり取り上げていた。

その内容は次の通りである。


11月23日付
小泉・胡会談――靖国問題を動かそう

 小泉首相と中国の胡錦涛国家主席の会談が、APECの首脳会合が開かれたチリで、ほぼ1年ぶりに実現した。

 両首脳の出会いを妨げてきたのは、靖国神社への首相の参拝問題である。会談でも、この問題が正面から取り上げられた。

 胡主席は「歴史を避けては通れない」「困難は日本の指導者が靖国神社に参拝することだ」と、参拝の中止を求めた。

 これに対して首相は「心ならずも戦場に赴き、亡くなられた方への哀悼の誠をささげる、不戦の誓いをするということで参拝している」と強調した。胡主席の言葉を誠意を持って受け止めると述べたが、参拝をやめるとは言わなかった。

 すれ違いだったと言えば、その通りである。しかし、両首脳が靖国問題で直接意見を交わしたことは、日中関係にとって決して無駄なことではあるまい。

 実は、靖国を含む歴史問題を除けば、会談のやりとりの多くは双方が両国関係の重要さを述べあうことに割かれた。

 首相は中国経済の発展をたたえ、日中の経済関係の発展が「共通利益」の拡大につながると指摘した。胡主席は「中日関係を最重要視し、平和共存関係を発展させていく」と、強い調子で語った。

 中国原潜による領海侵犯や東シナ海での資源開発をめぐる摩擦も、深刻な対立とはしないことで一致した。北朝鮮をめぐる6者協議の重要さも再確認した。

 言い換えれば、靖国問題を打開できれば、少なくとも当面の日中関係にそう心配はないという現実が見えたと言っていいだろう。ならば日中両国は、靖国問題をどうしたらいいかを、いよいよ本気になって考えるべき時ではなかろうか。

 むろん簡単ではない。胡主席は来年が戦後60周年の「敏感な年だ」と述べて、中国国内の反日的な空気を軽んじないよう、くぎを刺した。一方、日本では、首相の参拝を支持する世論が支持しない世論と並ぶ。「中国からとやかく言われたくはない」という反発もある。

 私たちは、首相の参拝に反対だ。戦没者への思いは思いとして、靖国は戦前の軍国主義の精神的な支柱だった。東京裁判でA級戦犯とされた人々を合祀(ごうし)してもいる。中国側の参拝批判もこの点に絞られている。つらい歴史にもけじめをつけてこそ、尊敬される国になれる。

 だが、中国にも考えてもらいたい。98年に当時の江沢民主席が来日した時、歴史問題での謝罪を繰り返し求め、日本側の不快感を買った。靖国に限らず、中国は「歴史カード」を使って日本を責め続けるのではないか。そんな思いを日本国民に持たせることは好ましくない。

 それにしても、小泉首相は考え時だろう。日米同盟を基本としつつも、対中関係の安定は欠かせない。国連安保理の常任理事国入りとて、中国の支持なしに進まない。逆に、軍備増強への懸念など、中国に言うべきことも増えている。強固な対米関係を誇る首相だ。中国との間でも劇的な展開を見せてもらいたい。

参拝賛成の人の‘戦没者への思い’とは何かといえば、‘今日の繁栄をもたらした日本の犠牲になった人’への思いの意味だという。

‘おくにのため’として戦争に参加し、その結果、相互に人を殺傷したのである。人が作り上げた物を破壊し破滅させたのである。

‘おくにのため’というのは安易に人が陥りやすいマヤカシの言葉にしか過ぎない。

誰のために、何のために、相互殺戮をしたのであろうか。

わが子を亡くした親の悲しみははかり知れない。

人を殺してはいけない。殺されてもいけない。
人の道ではない。

戦争論理を肯定してはならないのである。いっさいの戦争を否定しななくてはならない。

ユネスコ憲章の全文の重さは、はかり知れない尊いものなのである。

 11 26(金) 糖尿検査

きょうは糖尿検査の日である。

ヘルニア手術のときからだから、もう数年になる。糖尿といわれたのは40歳頃須坂の職員病院で人間ドックを受けたときである。かれこれ半生に及ぶ。

この数年間の医者からの注意は、食べる量を減らして運動をせよということであった。診断の指標になるものは A1C なるものの数値で、6.0 以下ならいいというものだが、そんな結果にはならないから生涯仲良く付き合うことになるようである。

今までのデータを参考のため挙げておく。


 年 月 日  ヘモグロビンA1c
 10 02/02   7.3  △
   04/10   6.7  ○
   06/01   7.3  △
   08/12   7.0  ○
   10/07   6.4  ○
   12/25   6.3  ○
 11 03/19   8.0  △
   04/23   7.6  △
   06/11   6.6  ○
   08/06   6.4  ○
   12/01   6.6  ○
 12 02/23   7.2  △
   05/17   7.5  △
   07/12   7.6  △
   09/20   7.4  △
   10/06   7.2  △
   12/28  7.4  △
 13 02/08   6.9  ○
   04/04   6.2  ○
   05/25   6.2  ○
   07/17   6.4  ○
   10/05   6.3  ○
   12/21   7.7  △
 14 02/15   8.3  ×
   04/05   8.1  ×
   06/14   7.9  △
   08/09   7.4  △
   10/04   7.9  △
   11/29   7.9  △
 15 01/24   8.2  ×
   04/18   7.4  △
   06/22   8.0  △
   08/29   7.3  △
   10/24   7.6  △
   12/26   7.3  △
 16 03/05   8.5  ×
   05/07   8.2  ×
   07/09   7.5  △
   09/17   7.0  ○
   11/26   7.3  △
 17 01/28


 11 27(土) 戦争犯罪

第二次大戦の日本の戦争犯罪は、国際的には極東軍事裁判で責任を明確にされている。

日本では国家として戦争責任を追及しなかった。それが昨夜のNHKの国会ニュースをみていて、つくづく感じられた。

一般将兵の犠牲戦争に巻き込んできた人たちの責任との区別が、全くされていないのである。

小泉総理の発言にはその気振りすらないのである。

アナウンサーもこのことには一切触れていない。マスコミとしての重大な問題である。

中国がしばしば指摘しているこの問題の焦点に、全く応えていないのである。

西ドイツがナチスの責任を明確にしたように、戦争犯罪の責任を追及しなかったのである。裁判は戦勝国が自分勝手にしたもので、俺たちには関係ないという受け止め方としか目に映らない。

そもそものウヤムヤの根源はここにある。

反論したい人は反論してほしい。

『広く会議を興し万機公論に決すべし』

この戦争責任という問題は、理性的な論議がぽっくり欠落した部分である。いまこそ皆であれこれと戦争責任を突っついて、今までの考え方の根底を洗い流し、人のあるべき姿を求め続けなければならない。

 11 28(日) 続戦争犯罪

きのう書いた中の
一般将兵の犠牲戦争に巻き込んできた人たちの責任との区別が、全くされていないのである。』
について、今朝のヤフーニュース記事は次のようになっている。

<日中首脳会談>靖国参拝明言せず 外相会談で事前に確約

 チリで18日に行われた日中外相会談で、町村信孝外相が李肇星外相に対し、「小泉純一郎首相は記者団に対する発言などで(今後の)靖国神社参拝を明言しない」と確約していたことが27日、分かった。これを受け、首相は21日の日中首脳会談で「中国の心配も承知している。今後、慎重に対処していきたい」と胡錦涛国家主席に伝えていたことも同時に判明した。
 首相は会談後、来年以降参拝するかどうかの明言を避けているが、外交上の調整を経た言動であることが裏付けられた。このため、参拝形式や時期などで何らかの配慮を検討する可能性が出てきた。
 町村外相は会談で、靖国問題について「今回、首相は今後の参拝について『行く』とも『行かない』とも言わない。靖国問題ばかり取り上げていては話が進まない」と伝えた。
 小泉首相は昨年10月、インドネシアで温家宝首相と会談した翌日、記者団に参拝継続を明言し、中国側が反発した経緯がある。町村外相の発言には、小泉首相が中国側に配慮し、今回はこうした事態を避ける意向であることを、事前に伝える狙いがあった。
 首脳会談では、胡主席が「私は中日関係が損なわれるのを見たくない」などと参拝中止を強く要請した。小泉首相は「今日の平和と繁栄も心ならずも命を亡くした人たちの犠牲の上に成り立っており、こうした人たちへの敬意と感謝の念を持って靖国を参拝してきた」との持論を説明。参拝中止には言及しなかったが、同時に慎重に対処する意向も付け加えていた。会談翌日には記者団に「靖国の問題が出ても何も申し上げないことにした。対立することだけを取り上げてもしようがない」と述べ、参拝継続を明言しなかった。【高塚保、高山祐】
(毎日新聞) - 11月28日3時7分更新

読んでみたとおり、小泉首相の頭の中には、『一般将兵の犠牲戦争に巻き込んできた人たちの責任との区別』が全くない。

こんなことで、戦争に対する反省ができているというのだろうか。

国際的にいえば、日本の判断力は自分中心の幼児時代の子供、と言われてもどうすることもできない。

●歴史の大きな流れ「東アジア共同体構想」

  @ <愛知万博>中国首相を招待へ 政府
  A あすからASEANプラス3首脳会議 日本、主導権どこまで

今朝のニュースでは、上の二つの記事も報じられている。

記事の中身はこれから読めばいい。

それにしてもこれらのことは、折々の記 2004B(http://park19.wakwak.com/~yoshimo/moto.255.html)のなかの‘10 29 王毅駐日大使、中日関係について語る’の項目を読むことにより中国の一連の動きが理解できるように思う。

ことに、 アーノルド・トンインビ−の見解には驚きである。彼の見解はそうそう間違いはないだろう。

@ <愛知万博>中国首相を招待へ 政府

 政府は来年3月下旬に開幕する「愛・地球博」(愛知万博)に、中国の温家宝首相を招待する方針を固めた。複数の政府筋が27日明らかにしたもので、近く中国側に打診する。小泉純一郎首相の靖国神社参拝をめぐり日中両国首脳の相互訪問が凍結される中、万博への出席であれば中国側も受け入れやすいとみて、調整に乗り出す。
 日中首脳の相互訪問は中国の反発により、01年10月に小泉首相が訪中して以来途絶え、中国首脳の来日も00年10月の朱鎔基首相(当時)以来、実現していない。
 愛知万博の次の万博は10年に中国・上海で開かれる。政府は「次回開催国の首脳を招待するのは自然なこと」(外務省幹部)としているが、21日の日露首脳会談でプーチン大統領の来日も愛知万博と絡めた形で提案しており、万博を外交に積極活用する狙いもあるようだ。
 政府は温首相の来日を実現させたうえで小泉首相が訪中する日程を描いている。来年は第二次世界大戦終結60周年にあたり、日中関係が冷却化する中で反日感情が激化することを警戒、相互訪問の再開を急ぎたい考えでいる。
 ただ、チリで21日に行われた小泉首相と胡錦涛国家主席の会談では、靖国問題の存在が改めて浮き彫りになった。小泉首相の今後の靖国問題への対応次第で中国側が態度を硬化させ招待に応じない可能性もあるため、30日に行う日中首相会談で小泉首相から提起するかは流動的だ。【高塚保】
(毎日新聞) - 11月28日3時7分更新


A あすからASEANプラス3首脳会議 日本、主導権どこまで

30日に日中首相会談
 小泉純一郎首相はラオスで二十九、三十の両日開かれる東南アジア諸国連合と日中韓(ASEANプラス3)首脳会議に出席するため二十八日、政府専用機で出発する。「日中両国が覇権を争っている」(外務省筋)とされるASEANを舞台に日本がどれだけ主導権を握ることができるか注目される。小泉首相と中国の温家宝首相との会談も決まり、日中関係をめぐる動向が焦点となる。
 会議にはラオスを含む十六カ国の首脳が参加。小泉首相は二十九日午前の温首相、韓国の盧武鉉大統領との三カ国首脳会議を皮切りに、ASEANプラス3首脳会議、オーストラリア、フィリピン、ミャンマー首脳らとの会談に臨む。
 注目されるテーマは「東アジア共同体構想」と「経済連携協定(EPA)」。東アジアの地域統合を進めようという「東アジア共同体構想」に弾みをつけるための「東アジアサミット」の開催地をどこにするかで駆け引きが続いており、来年にマレーシアで一回目のサミットを開催することが決まるかどうかが焦点。EPAで日本はフィリピンとの間で自由貿易協定(FTA)の大枠合意を目指し、マレーシア、タイとのFTA協議にも弾みをつけたい考えだ。
 小泉、温両首相の個別会談は三十日に行われることが決まった。先のチリでの小泉首相と胡錦濤国家主席との会談では、小泉首相の靖国神社参拝、中国原潜による領海侵犯事件、東シナ海のガス田開発問題をめぐる両国間の対立点が改めて鮮明になった。このため今回小泉−温会談を行ったとしても成果は期待できないとして、一度は会談が見送られる方向になった。しかし、中国側から改めて開催の打診があり、二十七日になって会談が決まった。
(産経新聞) - 11月28日2時44分更新


●道伝愛子キャスター扱い「日中関係」

夜のニュースを見ていたら、中国支局長と中国の中日問題研究所長の意見を聞きながら、日中関係についての情報を伝えていた。

A級戦犯を合祀している靖国神社だから問題になるのだが、A級戦犯が合祀されていなければ問題はない、と思われる。

すでに戦争犯罪者を靖国神社に合祀したこと自体おかしな話なのだが、このことは戻って議論しようとしてもどうしようもないことなのである(大きな問題であったのに、マスコミも大きく取り上げなかった)。

胡錦涛国家主席が問題としているのはA級戦犯を合祀している靖国神社の参拝は中止してほしいと言っておるのに、小泉総理は単に靖国神社として応えているのみで、ギクシャクは当然に起こる。

自民党幹事長は中国の内政干渉だという。

中国は歴史認識がギクシャクの原因になるといっている、と主張しているようだ。

将来もっと大事な「東アジア共同体構想」の大筋を協力して築き上げることを念頭にして、日本は考えていってほしい。アメリカへの盲従姿勢はやめてほしい。

 11 29(月) 続々戦争犯罪

A級戦犯を合祀している靖国神社:時事問題

この経緯のおよその資料は、次ぎページで見ることができる。

@  鐵扇會「靖国参拝問題」特別企画

膨大なデータがある。プリントアウトして取扱うこと。

  (1)政府自民党側資料   (2)靖国神社側資料   (3)千鳥ヶ淵戦没者墓苑側資料   (4)メディア側資料   (5)その他   (6)ネット内既存外部資料

A  靖国参拝問題への見解

茨城県議会議員 井手よしひろ (e-mail:master@y-ide.com)の主張

B  阿修羅/政治・選挙

  自民・安倍氏、同友会代表の靖国発言批判 [日本経済新聞]
    【戦前戦中に跋扈した「英霊論」に近い危うさ】
     - あっしら 2004/11/29 03:22:40 (2)
  自民・平沼氏「総理として堂々と靖国参拝を」 [日本経済新聞]
    【中国首脳に今後は自民党総裁として参拝すると説明した?】
     - あっしら 2004/11/29 03:24:49 (1)
  靖国問題で首相の姿勢を批判…民主・小沢氏 [読売新聞]
    【堂々と信念を説明すればいいと】
     - あっしら 2004/11/29 03:26:14 (0)
  「最後のチャンス」逃した小泉首相〜日中首脳会談 
    【PUBLICITY】 - レイ 2004/11/26 23:54:02 (3)
  靖国参拝、日中首脳会談で首相が慎重対処の意向 [読売新聞]
    【本当なら意味不明で言葉だけの対応に相手は憮然だろう】
      - あっしら 2004/11/27 02:06:40 (2)
  日中首脳会談開催で再調整、中国側が打診 (読売新聞)
    【きちんと決着を付けたいから?】 - あっしら 2004/11/27 02:39:52 (1)
  日中首脳30日に会談へ  ラオスで小泉・温首相
    【東京新聞】 - バルタン星人 2004/11/27 21:40:32 (0)
  創価学会青年部代表団、南京大虐殺記念館を訪問 (人民網日本語版)
     - 月読 2004/11/26 18:22:29 (1)
  Re: 『南京大虐殺を世界遺産に』中国で申請構想
    【東京新聞】 - バルタン星人 2004/11/27 21:43:24 (0)
  <日中首相会談>靖国問題の進展望めず見送られる方向に(Yahoo毎日)
      - いやはや 2004/11/26 01:35:19 (1)
  Re: <日中首相会談>小泉は恥さらしをするだけのマイナスの広告塔
     - 紫式部 2004/11/26 11:15:17 (0)

阿修羅には物凄い広範囲のニュースが乗せられている。上記のものは阿修羅の‘政治・選挙’の項に載っているもののうち、主として靖国に関するニュースである。

人にはいろいろの考え方があるが、自分の良心を基本に於いて多くの情報の裏づけを求め、他人の意見ではなく自分の考えを持つことが大事である。

戦死した人たちは、再び戦火がおこることを望んではいない。

 11 30(火) 「東アジア共同体構想」

「東アジア共同体構想」の歴史は大きく流れ始めている。

今朝の朝日新聞社説を載せる。


日中韓協力――3国の投資協定を急げ

 東アジアの経済統合へ向けた動きに、またひとつ弾みがついた。

 ラオスで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス日中韓の首脳会議を機に、小泉首相と温家宝首相、盧武鉉大統領が会談し、貿易と投資のルールづくりや知的財産権の保護などを盛り込んだ行動戦略を採択した。協定の締結に向けた政府間の話し合いが始まる。

 昨年10月にも、3首脳は同じ会議の場を借り、経済や政治、安全保障面で幅広く協力していくことをうたった初の共同宣言を採択している。それから1年。巨大な潜在力を持つ中国を巻き込んで、貿易や投資に共通の行動基準をめざすことになった意味は大きい。

 中国は米国、日本、欧州から大規模な投資を呼び込む一方で、ASEAN諸国との自由貿易協定交渉を着々と進めるなど、国内経済の成長をてこにしつつ、東アジアの経済的統合の牽引(けんいん)役として重みを増している。

 だが、その中国自身が外国資本の参入に今なお多くの規制を温存し、政府の許認可についても、海外から「不透明で恣意(しい)的」との批判を浴びている。

 投資をめぐるトラブルが絶えず、労使紛争の処理も難しい。いきおい、投資する側が抱えるリスクは大きくなる。

 対中投資が急増している日韓は、こうした問題について「明確なルールを作らなければ、経済協力を進めるうえで重大な障害になりかねない」と、改善を求めてきた。中国がこれに応じたのは、自らにとっても将来的な利益につながると考えてのことに違いない。

 改革開放に踏み出してからまだ四半世紀にしかならない中国は、市場経済の土台となる法制度などの整備が遅れている。米欧型の制度に合わせていくことは容易ではなかろう。国内にあつれきさえ生みかねない。

 とはいえ、3年前に世界貿易機関への加盟を果たした中国が次の段階へ進もうとするなら、避けては通れぬ課題だ。

 採択された日中韓の行動戦略には、3国がASEANとともにつくろうとしている「東アジア共同体」の構想や実現への道筋について、様々なレベルで議論を深めていくことも盛り込まれた。

 経済的な統合に比べ、政治的な統合を深めることはもっと難題だ。どのような道をたどって統合をめざしていくのか。一つひとつ、合意点を探っていく厳しい作業が始まる。

 一方でASEANも今回「ASEAN共同体」に向けた行動計画を採択した。こちらの統合の目標は2020年だ。豊かなシンガポールと貧しいミャンマーの1人当たりのGDPには100倍以上の格差がある。それを思えばはるかな道だが、ともかく動き始めた。

 日中韓とASEANがそれぞれに経済統合の動きを強め、さらにそれらが共振しあうなら、東アジア共同体に至る道も、おのずから見えてくるだろう。


【折々の記 2004 Cへ】