12 06(月) 防衛大綱 |
■あれもこれもは通らぬ――防衛大綱 これからの10年を見通した新しい防衛計画の大綱のとりまとめが終盤にさしかかったが、あれもほしい、これもほしいの防衛法の姿勢は、どう考えてもやり過ぎではあるまいか。 確かに、防衛庁は大忙しである。 戦争が続くイラクに、陸上自衛隊と航空自衛隊が派遣された。対テロ戦争の一翼を担ってアラビア海での海上自衛隊の給油活動も続く。核とミサイル開発で日本を脅かす北朝鮮への備えも要る。中国の原潜による領海侵犯もあった。 日米の防衛協力はブッシュ大統領と小泉首相の緊密な関係に支えられ、日本防衛の枠をはるかに超えて「世界の日米同盟」へと姿を変えようとしている。 加えて、ことし日本を襲った台風と大地震の被災地でも、自衛隊の救援活動が大きな役割を果たしている。 だが一方で、日本国の財布は500兆円の借金をかかえ、いよいよ火の車だ。「防衛予算にも聖域はない」という首相の言葉はしごく当然である。 安全を守るために限られた資源をいかに効率的に使うか。そのための優先順位をどうつけるか。何年にもわたる防衛力の大枠を決めるとなれば、このことがいっそう問われるはずである。 ところが防衛庁には、そんなこだわりがあまりにうかがわれない。 一例が陸自の定数問題だ。ソ連の脅威が消えた後、削減の必要が長く指摘されてきたが、今回は当初、現大綱の16万人から逆に2千人増やしたいと要求した。その後の協議でも、14万人に減らすよう主張する財務省との溝は埋まらない。 新大綱と並行して調整が進む新中期防衛力整備計画でも、強気が際立つ。問題はミサイル防衛(MD)の扱いだ。 防衛庁は「MDを導入するのだから防衛費は増やさざるを得ない」と主張する。しかし、小泉内閣は1年前、MDのための予算は「既存の組織や装備の抜本的見直し」によって賄い、防衛費全体は抑制すると確認したはずだ。それを忘れた横紙破りと言われても仕方がない。 人やお金だけではない。次期防には射程数百キロの地対地ミサイルの研究が盛り込まれる。敵基地攻撃力を高めることにつなごうということなら、専守防衛の原則を揺るがすばかりか、日本周辺の緊張を高める恐れがある。 追い風に恵まれているからと、慎重の上にも慎重に考えるべきことを、政治の場でろくな議論もないまま、こうも簡単に通してしまっていいはずはない。 防衛庁がすべきことは、ソ連軍の上陸侵攻に備えて北海道に手厚く戦車や兵員を配置した冷戦時代以来の惰性をきっぱりと捨て去り、組織と兵器の抜本的な合理化を図ることだ。陸海空自衛隊の注文を束ねて、そのまま国の防衛計画にできればそれでいいというのでは、防衛庁の責任放棄ではないのか。 イラクにしても、日米同盟にしても、今こそ腰を落とした議論が必要だ。危うい高揚感で事を進めてはならない。 |
12 08(水) 76歳の誕生日 |
12 08(水)今朝のパソコンによると次の二つが気にかかる |
日本の15歳、学力トップ転落 OECD調査 「ゆとり教育」が裏目 数学応用力1→6位/読解力8→14位 経済協力開発機構(OECD)が四十カ国・地域の十五歳を対象に実施した「生徒の学習到達度調査」(PISA=ピザ)で、日本の高校一年生は実施四分野のうち、前回八位だった「読解力」が十四位に低下、「数学的応用力」も一位から六位に下がったことが七日、分かった。文部科学省は「日本の学力は世界の最上位とはいえない」と前例のない表現を使い、世界のトップからの陥落を認めた。 調査対象の高校一年生は、「ゆとり教育」を反映した文科省の「新学力観」の下で、義務教育を受けてきた世代。この間、学校では週休二日制導入や、年間学習量の大幅減少があった。学力低下への不安から批判があった「ゆとり教育」の弊害が改めてクローズアップされる結果となった。 「読解力」は四百九十八点で二十四点低下と、スイスに次ぐ十四位で「加盟国平均と同程度」(文科省)に落ち込んだ。「数学的応用力」も五百三十四点で二十三点低下し、六位に後退。「科学的応用力」は二位を守った。「数学」と「科学」は「統計の誤差の範囲内でトップグループ」(同)。今回から加わった「問題解決能力」も四位とトップグループだった。 三年前に発表された前回調査は日本は数学が一位、科学が二位と好成績だった。同省は「ゆとり教育」への批判をこの結果を盾にかわしてきた。 「新学力観」は暗記偏重から「生きる力」の習得への転換といった思考力や判断力を育てるもの。PISAも学んだことを実生活に生かす「生きるための知識と技能」を測るためのものだが、結果は、同省が目指した「生きる力」の習得にも“黄信号”がともる形になり、同省には、学力低下とあわせ、“ダブルパンチ”となった。 省内には「一喜一憂すべきでない」との見方もある。しかし、中山成彬文科相は七日、「学力が低下傾向にあることをはっきり認識すべきだ」と危機感を示した。 「発展的学習」の導入などで「脱ゆとり教育」が徐々に進んではいるが、今のペースでよいか。教育現場で生徒の関心を高める工夫はされているのか。教育関係者一人ひとりが、結果を真剣に受け止める必要がありそうだ。 ◇ ≪生徒の学習到達度調査(PISA2003)≫ OECD加盟国を中心に、知識や技能を活用する能力を3年ごとに調べる。2度目の今回は29の加盟国と11の非加盟国・地域の15歳が対象。日本では昨年7月、高校1年生約4700人が受験。13種類の調査問題から1種類受験し、正答した設問の難易度で他の調査問題の正答率を予測し合計点を算出する。満点はなく得点に一定の誤差が生じる。「読解力」の問題は2006年にも使用するため未公表。 (産経新聞) - 12月8日3時5分更新 |
■陸自幹部案――とんでもない勘違い 自民党の憲法改正案起草委員長で元防衛庁長官の中谷元氏が、陸上自衛隊の幹部に頼んで、防衛政策にかかわる部分の憲法改正案を提出させていた。 「憲法草案」と題された文書は8カ条から成る。とりまとめにあたった幹部名と、彼が陸自の中枢である陸幕防衛部員であることも明記されている。 内容を整理するとこうなる。 「国の防衛のために軍隊を設置する」「軍隊は集団的自衛権を行使することができる」「首相は緊急事態に日本の領域や特定の地域に緊急事態を布告する」「司法権は最高裁および下級裁判所ならびに特別裁判所に属する」「すべての国民は国防の義務を負う」 自衛隊を軍隊にし、専守防衛の枠組みを取り払い、非常事態宣言ができるようにし、軍法会議をつくり、国民の権利も必要に応じて制限することをうたう。要は、そういうことである。 憲法9条をまるごと否定するかのような同様の意見は、これまでも自民党内で声高に主張されてきた。今度の文書は、そうした主張の背後に制服自衛官の意向が働いていたことをうかがわせる。 自衛隊員が憲法について様々な意見を持つのは当然である。この「憲法草案」に共感する人もあろうし、逆に違和感を持つ幹部自衛官も少なくあるまい。 ただ、自衛官がその意見を表明するには、内容にも手続きにも、文民統制という民主主義国に共通のルールから来る一定の枠があるはずだ。 制服自衛官は職に就くとき、憲法を守ることを宣誓する。職務の重さゆえだ。ならば、個々の防衛政策について、それが憲法や法律との関係、あるいは軍事的な面から見てどうなのかを、あくまで防衛庁のなかで語ることが本務だろう。 現行憲法ではしたいことができない、だから憲法を改正すべきだという意見を、自民党の改憲の責任者に出す。まさに政治への関与である。それを正しいと考えたなら、とんでもない勘違いだ。 中谷氏も中谷氏である。防大卒で陸自に勤務した、制服自衛官出身では初めての防衛庁長官だった。今も自衛隊との間で互いに頼りにする関係だろう。気軽に改憲案づくりを依頼したのかも知れない。「私的な勉強のためだった」という弁明にもそんな気分が漂っている。 だが、それが文民統制の原則を脅かすばかりか、国民の制服自衛官に対する信頼を深く傷つけることに、長官経験者として思いが及ばなかったのか。 米欧先進国に比べて、日本の政治家は安全保障の知識が乏しい。いきおい非公式な場で聞く防衛庁、とくに制服自衛官の意見を大事にする。自衛隊側もそれを歓迎する。小泉政権の日米同盟重視で外国での活動が広がる今、それがいっそう目立つようになった。 そんな構図は決して好ましくない。国会による文民統制がこれほど必要なときはない。憲法草案まで作ってもらうようでは政治家落第である。 |
12 08(水)OECD学力調査について |
12 08(水)「学力トップ」陥落の衝撃 |
発行日 =2004年12月08日 ソース =朝刊 面 名 =PG2 ページ =*** 発行社 =** 文字数 =2220 2面記事 《時時刻刻》「学力トップ」陥落の衝撃 読解力14位 OECD調査 日本の15歳の「読解力」が落ち込んでいる。7日公表された経済協力開発機構(OECD)の国際的な学習到達度調査で、41カ国・地域中14位、「世界トップからの陥落」という現実を前に、文部科学省は即応策を探りかねている。「ゆとり教育」の影響を指摘する声が教育現場には強い。次回は約60カ国・地域になる見込みで、自国の教育の現状をみる指標として世界各国が調査を重視する様が、結果に対する一喜一憂からも浮かび上がる。 文部省、即応策急ぐ「ゆとり教育」影響指摘も 「一言でいうと勉強しなくなったということだ」。結果公表後の記者会見で、中山文部科学相は言った。「日本が停滞している間に、近隣諸国があっという間に追い上げてくる。取り残されて、日本は東洋の老いた小さな国になってしまう」 文科省は、今回の結果を事前に知ると、読解力に照準を絞り、来夏までに「読解力向上プログラム」を策定することを打ち出した。とはいうものの、中身は読書をすすめ、記述式問題への指導のあり方を専門家を交えて策定する、という常識的なものだ。 文科省幹部は「携帯電話のメールで短文のみを頻繁にやりとりするような社会的風潮の中で、どのように論述能力を高められるのか」と対策に頭を抱える。 読書量の少なさについては、前回調査ですでに「趣味としての読書をしない」と答えた生徒の割合が53%で参加国中、最高だという結果からも明らかだった。このため、文科省は2年前から「朝の読書」を推奨してきた。 だが、朝学習の時間に読書を採り入れた東京都渋谷区立中学校の国語の先生は、休み時間や放課後に続きを読む子どもを見かけないと言う。「楽しさがあふれている時代に、いかに本を読む気にさせ、読む楽しさを教えていけばいいのか。名案が浮かばない」 02年度に新指導要領が実施され、中2、3年の国語の授業は週4時間から3時間に減った。この先生は高校入試によく出る文法などに授業時間を割くあおりを受けて、小説や説明文など長い文章を読み込む時間が短くなったと感じている。登場人物や作者の気持ちを深く考えさせる質問を、あまりしなくなった。質問しても生徒に考えさせる時間を十分にとれなくなったからだ。 首都圏の中学生を対象に到達度テストを毎年、実施している大手の塾「市進学院」(本部・東京都文京区)は、異変を察知していた。 今年3〜5月、首都圏の中学生約8千人に実施したテストと98年のテストの正答率を比べた。国語、英語はむしろ上がっていたが、国語のテスト結果を詳しくみると、その中で読解力は低下傾向にあった。中でも「説明文の読解」は中学1年の正答率が10・7ポイント下がるなど、目立って低下していた。 中山文科相は「歯止めをかけるために全国学力テストをやって、競い合う教育をしないといけない」とも話した。諮問機関の中央教育審議会では、すでに全国学力テストの実施内容についての論議が始まっている。 ◆韓国「世界一」と高揚、米は危機感 「問題解決能力は世界1位」。韓国はこう見出しをつけて調査結果を発表した。大学進学熱の高まりで、塾通いする子どもが多い。鄭剛正(チョンガンジョン)・教育課程評価院長は「小学生から塾に通い、中3の時点で高校の勉強をしている」と話した。 フィンランドは前回調査で1位だった読解力に加え、数学、科学も上位の成績となった。人口約520万人の北欧の小国だが、「教育大国」となった秘密を求めて、日本や欧州の教育関係者らの視察が絶えない。 今回の調査を行った同国教育調査研究所のヨーニ・バリヤルビ教授は「教師の質の高さに加え、都市、地方を問わず無料の公立学校が配置され、教育がすべての生徒に行き渡るようになっているからだろう」と説明する。 米国は今回、各分野で順位を下げた。特に「数学」の28位に危機感が強い。7日付のニューヨーク・タイムズ(インターネット版)は「教育費1ドルあたりで世界最悪の成果」と報じた。 前回00年の調査で各分野の順位が20位以下となり、学力低下が社会問題化したドイツは、全国紙が今回の結果を「良くも悪くもなっていない」。「教育改革には時間が必要だ」(南ドイツ新聞)と、長い目で教育改革を見ようとしている。 OECDの学習到達度調査が生まれたのは、社会・経済構造のグローバリゼーションが急速に進み、こうした変化に適応できる人材育成の重要性が認識されたからだ。特に、連邦制を敷く米国やオーストラリアなど、統一的な基準がない国を中心に、自国・地域の教育の状況を知る国際的な指標への要望が高まった。 加盟国を中心に32カ国でスタートした調査は、今回41カ国・地域にふくらんだ。さらに、次回には約60カ国・地域が参加の見通しだ。 ◇ ◇ ◆03年OECD(経済協力開発機構)学習到達度調査の概要 「数学的リテラシー(応用力)」を中心分野として、「読解力」「科学的リテラシー」「問題解決能力」の4分野を調査。00年に続いて2度目の調査で、41カ国・地域の計約27万6千人の15歳が対象。英国は学校実施率が基準に満たず分析から除かれた。「数学」1位は香港で、「読解力」1位はフィンランドだった。 日本は無作為に選ばれた約4700人の高1生が参加。「数学」は6位(前回1位)、「読解力」は14位(同8位)、「科学」は前回同様2位で、今回から実施した「問題解決能力」は4位だった。 ★キーワード 経済協力開発機構(OECD)の国際学習到達度調査 アジア・欧州・北米・中南米・オセアニアにまたがる加盟国を中心に、四つの非加盟国を含む32ヶ国が参加し、00年から始めた。2回目の今回は、トルコなどが新たに加わった。各分野の得点は、OECD加盟国の生徒の平均得点が500点になるように換算してはじき出す。日本では、無作為に選ばれた約4700人が約2時間のペーパーテストを昨年7月に受けた。 |
- | <数学的リテラシー> | - | - | <読解力> | - |
01 | 香港 | 550 | 01 | フィンランド | 543 |
---|---|---|---|---|---|
02 | フィンランド | 544 | 02 | 韓国 | 534 |
03 | 韓国 | 542 | 03 | カナダ | 528 |
04 | オランダ | 538 | 04 | オーストラリア | 525 |
05 | リヒテンシュタイン | 536 | 05 | リヒテンシュタイン | 525 |
06 | 日本 | 534 | 06 | ニュージーランド | 522 |
07 | カナダ | 532 | 07 | アイルランド | 515 |
08 | ベルギー | 529 | 08 | スウェーデン | 514 |
09 | マカオ | 527 | 09 | オランダ | 513 |
10 | スイス | 527 | 10 | 香港 | 510 |
16 | フランス | 511 | 14 | 日本 | 498 |
19 | ドイツ | 503 | 17 | フランス | 496 |
28 | アメリカ | 483 | 18 | アメリカ | 495 |
31 | イタリア | 466 | 21 | ドイツ | 491 |
-- | イギリスは除外 | --- | 25 | イタリア | 476 |
社会ニュース - 12月7日(火)9時0分 (時事通信) - 12月7日9時0分更新 学力「最上位と言えず」=読解力、平均程度の14位−OECD学習到達度調査 日本の高校1年生の読解力が3年前に比べて大きく下がり、先進国の中では平均程度に落ち込んだことが7日、公表された経済協力開発機構(OECD)の2003年国際学習到達度調査(PISA)で分かった。「世界トップレベル」としてきた日本の生徒の学力について、文部科学省は「上位にあるが、最上位とは言えない」と学力に対する認識を変更。授業改善のための指導資料の作成や読解力向上プログラム策定で学力向上を図るとしている。 調査は、多くのOECD加盟国で義務教育終了年齢に当たる15歳を対象とし、それまでに学んだ知識・技能を実生活で直面する課題にどの程度活用できるかを評価する。今回は2回目で、「読解力」「数学的応用力」「科学的応用力」など4分野を調査。2000年の前回調査より9多い41カ国・地域の生徒約27万6000人が参加。日本からは国公私立143校の高1約4700人が調査を受けた。 日本は、前回8位だった読解力が14位に低下し、米国、ラトビアなど12カ国・地域とともに「OECD平均程度」になった。前回調査との得点差は24点で、参加国中最も下落が激しかった。特に文章の意味の解釈や記述式の問題の成績が悪く、文科省は今後こうした力の育成に力を入れる方針だ。 社会ニュース - 12月7日(火)10時40分 (毎日新聞) - 12月7日10時49分更新 <OECD>学習到達度 文章などの読解力で日本は14位 経済協力開発機構(OECD)は7日、各国の15歳(日本では高1)の総合的学力を測る学習到達度調査(PISA)の03年実施結果を公表した。初回の00年より9多い41カ国・地域が参加した。文章やグラフの読解力で日本は14位(498点)と、前回の8位(522点)から順位も平均点も下がり、加盟国の平均(500点)水準に落ち込んだ。科学的活用力と数学的活用力は2、6位と上位を維持し、初めて実施した問題解決能力の4位と共に「1位グループ」(文部科学省)とされた。 文科省は「(読解力をはじめ)学力は最上位(世界トップレベル)とは言えない」と前例のない表現で危機感を示し、読解力の向上プログラムを来夏までに作る方針。 調査は知識・技能を実生活で活用する能力を測る。加盟30カ国と非加盟11カ国・地域の約27万6000人が参加した。分野ごとに加盟国平均が500点となるよう統計処理して各国の平均点を算出。実施基準を満たさなかった英国を除く40カ国・地域を比較した。 4分野のうち、読解力の得点を「レベル5」(626点以上)〜「1未満」(335点未満)の6段階に分けた場合、日本は1未満の生徒が全体に占める割合が前回の2.7%から7.4%に増え、加盟国平均の6.7%を上回った。生徒を得点順に並べて、下のほうから1割以内に位置する生徒の点数も加盟国平均より低かった。分析を担当する国立教育政策研究所国際研究・協力部の渡辺良部長は「できる子とできない子の格差が広がったとまでは言えないが、下のレベルの生徒の割合が増えた」とみる。 数学的活用力は前回の557点(1位)から534点へ、前回と同じ2位の科学的活用力は550点から548点へ下がったが、文科省は「統計的には前回同様、上位の他国と共に『1位グループ』だ」とみる。問題解決能力は547点。 同時に実施した生徒へのアンケートで、学校以外での勉強時間は週平均6.5時間と加盟国平均の8.9時間より短かった。数学の学習内容に興味があったり得意と感じる割合も平均より低かった。【千代崎聖史】 【ことば】OECD学習到達度調査 知識量や計算力を測る国際教育到達度評価学会(IEA)の国際数学・理科教育調査と違い、実生活への応用力を測る。00年から2年おきに実施。重点的に調べる分野を毎回変える(前回は読解力、今回は数学的活用力)ため、分野別の問題量も毎回違う。対象は無作為抽出。今回、国内で約4700人が参加した。 社会ニュース - 12月7日(火)10時43分 (読売新聞) - 12月7日10時43分更新 日本の学力「世界トップ水準と言えず」…OECD調査 経済協力開発機構(OECD)は7日、加盟国を中心とする41か国・地域の15歳男女計約27万6000人を対象に実施した2003年国際学習到達度調査(略称PISA)の結果を世界同時発表した。 2000年に続く2度目の調査で、日本は前回8位の「読解力」が加盟国平均に相当する14位に落ち込み、1位だった「数学的応用力」も6位に順位を下げた。文部科学省は「我が国の学力は世界トップレベルとは言えない」と初の認識を示し、来夏までに読解力を向上させる緊急プログラムを策定する。 調査は、覚えた知識や技能を実生活でどれだけ活用できるか、を評価するのが目的。「読解力」「数学的応用力」「科学的応用力」に加え、今回は直面した問題に対処する力を測る「問題解決能力」を初めて調べた。日本では昨年7月、全国143校の高校1年生計約4700人を対象に行われた。 その結果、文章を読みとる力を測る読解力は、加盟国平均を500点と換算すると、日本は498点。前回の522点から24点も下がり、各国中で最大の下落幅となった。1位のフィンランドとは45点もの大差がつき、特に成績最下位層の割合の高さが顕著だった。 数学的応用力も557点から534点に下がった。これは1位の香港(550点)などと統計的には差がないとして、データを集計した国立教育政策研究所は「1位グループであることは変わりない」と説明しているが、断然トップを走っていた日本が、1位集団に吸収された格好だ。 このほか、前回2位だった科学的応用力は、フィンランドに次いで今回も2位を維持。600点を超す上位層の生徒は各国中、最も多いという結果だった。 また、初調査の問題解決能力は、1位の韓国とわずか3点差の4位だった。 調査と同時に行われた生徒へのアンケートでは、通常の授業以外に、自分の勉強や宿題をする時間が週平均6・5時間で、加盟国平均の8・9時間よりかなり短いことなども判明した。 文科省はこれまで、日本の学力を「世界トップ水準」としてきたが、今回の結果を受けて、「我が国の学力は国際的に見て上位にあるが、読解力の低下など、世界トップレベルとは言えない状況」と、初めて“陥落”を認める分析結果を公表。すでに表明している全国学力テストの実施や学習指導要領の見直しなどに加え、新たに読解力向上のためのプログラムを来夏までに策定することを明らかにした。 社会ニュース - 12月7日(火)12時7分(毎日新聞) - 12月7日12時7分更新 <OECD>「学力の低下を認識すべきだ」中山文科相 学習到達度調査の結果について、中山成彬文科相は7日、「学力が低下傾向にあるとはっきり認識すべきだ。文科省はショックかもしれないが、大臣就任前からそう考えていた。中央教育審議会で分析・検討してもらう」と話した。90年代後半に「学力低下論争」が起きて以降、旧文相・文科相が学力低下を認めるのは異例。 社会ニュース - 12月7日(火)12時16分 (共同通信) - 12月7日12時16分更新 日本の高校生、読解力低下 OECD調査 経済協力開発機構(OECD、本部パリ)が昨年、40カ国・地域の15歳を対象にした「生徒の学習到達度調査」(PISA)で、日本の高校1年生は、実施4分野のうち読解力が前回(2000年調査)の8位から14位に、数学的応用力も1位から6位に下がったことが7日、分かった。読解力の得点は参加国の中で前回からの低下幅が最も大きかった。 科学的応用力は前回と同じ2位で、今回初調査の問題解決能力は4位。 文部科学省は「日本の学力は国際的に上位だが、最上位とは言えない」と世界トップレベルからの脱落を認めた。 読解力低下の原因は「読書量やテレビ視聴時間、コンピューターの浸透など言語環境の影響も考えられる」と指摘している。 社会ニュース - 12月7日(火)12時53分 (毎日新聞) - 12月7日13時16分更新 <OECD>15歳の読解力低下が浮き彫り 処方せん見えず 15歳の読解力に黄信号がともった。7日公表された経済協力開発機構(OECD)の03年学習到達度調査(PISA)結果。数学や科学の活用力と対照的に、読解力は文部科学省が「2位グループ」と解釈した前回00年の8位から、加盟国平均水準の14位へと落ち込んだ。00年も楽観できる位置ではなかったが、数学・科学の好成績の陰で目立たなかった。文科省は「思考力、表現力を重視する新学習指導要領(02年度導入)の方向は間違っていない」と言うが、明確な処方せんはまだ見えない。【千代崎聖史】 「読解力の結果は、重みがある」。文科省の常盤豊・教育課程課長は会見でこう語った。その重みが「我が国の学力は国際的に上位にあるが、最上位とは言えない」という総括に表れた。 読解力には(1)文章などから情報を探し出す(2)解釈する(3)自分の経験・知識に結び付けて評価する――の3側面がある。正答率が前回より5ポイント以上落ちたのは主に(2)で、設問形式では選択式よりも記述式だったという。 今回の問題は次回も使うため非公開だが、例えば前回は、落書きの是非を論じた二つの対照的な手紙を読ませて「共通する目的」を選ばせたり、どちらに賛成するか記述させる問題が出た。 PISAは、「生きる力」を目指す新指導要領と同じ方向の力を測ると受けとめられてきた。しかし読解力では前回も、記述式の「無回答」が他国より多い問題点が指摘され、読書習慣がない生徒が半数に上ることも分かっていた。だが、前回結果を受けた文科省の新たな取り組みといえば、192校を推進校として読書活動などを進めるモデル事業ぐらいだった。 中央教育審議会国語専門部会の委員で「ゾウの時間ネズミの時間」の著者、本川達雄・東工大教授は「読書量が影響している。携帯電話やインターネットのチャットで日本語が論理的でなくなり、話し言葉だらけになってきた。読書量を増やし、書かせる訓練をすべきだ」と話す。 「自分で考える力を重視する新指導要領と同じ方向へ世界は向かっているのに、文科省は守っていない。国語教育は『かさじぞう』のような鑑賞文や説明文で作者の意図を正確に読み取ることに力点が置かれすぎた。この結果は当然だ」。「学力低下論」には批判的な加藤幸次・上智大文学部教授は「世界基準で順位を上げようとするなら、選択式などが幅をきかせる入試の在り方を変えるぐらいでないと難しい」とみる。 一方、苅谷剛彦・東大大学院教授は「数学でも前回より学力格差が広がっている。低下傾向は否めない。階層格差が拡大する危険な兆候だ。全国一律に導入した学校5日制は誤りで、崩れかけているところにどう手厚い下支えができるか文科省は学力保障の仕組みを考えるべきだ」と話す。 社会ニュース - 12月7日(火)15時26分 (産経新聞) - 12月7日15時26分更新 高1学力、世界トップから脱落 数学6位 読解力14位 OECD調査 経済協力開発機構(OECD)が四十カ国・地域の十五歳を対象に実施した「生徒の学習到達度調査」(PISA=ピザ)の結果が七日、公表された。日本は、四分野のうち、「総合読解力」が前回の八位から十四位に低下。「数学的応用力」や「科学的応用力」は「トップクラス」を維持したが、全体として学力低下を裏付ける結果に。文部科学省は「日本の学力は最上位とはいえない」と世界のトップからの陥落を認めた。 調査は三年ごとに行われ、今回が二度目。二十七万六千人を対象に実施され、日本では昨年七月、高校一年生約四千七百人が「総合読解力」「科学的応用力」「数学的応用力」の主要三分野と「問題解決能力」のテストを受けた。 「総合読解力」は四九八点でスイスに次ぐ十四位。「加盟国平均と同程度」(文科省)に沈んだ。「科学的応用力」は二位で変わらず。前回一位だった「数学的応用力」は六位に落ちたものの「統計上の誤差の範囲内でトップグループ」(国立教育政策研究所)。今回から調査項目に加えられた応用力を横断的に試す「問題解決能力」は四位でトップグループに入った。 ■中山成彬文部科学相の話 「要するに勉強しなくなったんじゃないか。もっと勉強しないと駄目だということを徹底しないといけない。日本が停滞している間に近隣諸国が追い上げてきて取り残されてしまう。老小国になってしまっては子や孫たちに申し訳ない」 ≪授業時間の削減響く≫ 小野博・メディア教育開発センター教授(コミュニケーション科学)の話 「今回の結果は、直接的には、新教育課程によって教科の授業時間が削減されたことにあると考えられる。『総合的な学習の時間』の設定により、中学国語は週四時間から三時間になり、授業で内容を深く追究することが困難になっている。時間不足で読解力の育成が行えない結果、理解の裏付けのない言葉が上滑りした文章を生み出すことにつながっている。教育現場で平易な文章を多く読む地道な取り組みが重要だ」 ≪「生きる力」問われる≫ 長尾彰夫・大阪教育大教授(教育課程論)の話 「読解力が下がったからといって『国語の時間を増やそう』と短絡的な反応をすべきでない。調査で問われているのは単なる国語力でなく、総合的な学力。世界学力コンテストでもないので『日本の子供は情けない』と嘆くのもやめてほしい。調査は参加国が自らの教育政策を問い直すためのものでランキングが目的ではない。ただ、今回の結果は文科省が目標としてきた『生きる力』の低下を示しており、文科省は真剣に受け止める必要があるのではないか」 社会ニュース - 12月8日(水)0時2分 (毎日新聞) - 12月8日0時2分更新 <学力低下>「悲惨な結果」と専門家 OECD調査 日本の15歳(高校1年生)の読解力低下をあらわにした経済協力開発機構(OECD)の03年学習到達度調査(PISA)。読解力だけでなく、「1位グループ」(文部科学省)とされた数学的活用力でさえ「明らかに低下している」ととらえる教育関係者も少なくない。試験と同時実施の意識調査からは、成績はよくても勉強への関心が低い生徒像や、生徒から当てにされない学校像も浮かび上がった。【永山悦子、千代崎聖史】 ◆数学的活用力は1位から6位に後退 前回00年の調査で1位だった数学的活用力は6位に後退し、得点も前回の557点から23点下がった。出題された4分野のうち、特に計算などの「量」分野が11位、確率・統計など「不確実性」分野が9位と香港など上位国に引き離された。 「他の上位国と統計的な有意差はない」と文科省は分析する。だが岡部恒治・埼玉大経済学部教授(数学)は「明らかに成績が落ちたととらえるべき結果だ。計算など量分野は本来得意分野だったので、深刻な状態。読解力の低下は(数学の)文章題が解けない子どもの増加にも影響を与えている」と分析する。 数学で初めて実施した生徒への意識調査では、勉強への否定的な反応が大半を占めた。「数学の本を読むのが好き」12.8%(参加国平均30.8%)▽「数学を勉強するのは楽しいから」26.1%(同38.0%)▽「将来の仕事の可能性を広げてくれるから学びがいがある」42.9%(同77.9%)。「学んだ数学を日常生活にどう応用できるかを考えている」にいたっては12.5%とニュージーランド60.5%の約5分の1だった。 日本学術会議数学教育小委員会が昨年、全国の大学教員を対象にした「大学生の数学学力に関する調査」では、計算力の低下や教員養成課程の学生の学力低下を感じる教員が増加。「世界トップレベル」とされてきた高校生以下の学力低下も目前に迫っている状態だった。 上野健爾・京都大大学院理学研究科教授(数学)は「悲惨な結果だ。勉強の面白さを理解できなければ、知識が頭の中を通過するだけで、分数も分からない大学生を生むことになる。学習指導要領改訂で教科書が薄くなり、子どもの関心を呼び起こす内容が削られてしまったことも一因だ」と話す。 ◆低い学校への信頼、満足度 授業で先生が支援してくれていると生徒はどれぐらいみているか。生徒への意識調査結果を13カ国(欧米など主要7カ国と今回成績のよかった香港など)で比べると、日本は「(先生は)生徒一人一人の勉強に関心がある」「意見を発表する機会を与えてくれる」など数学教師による支援度を問う5項目のいずれでも、「いつもそうだ」と全面肯定する生徒の割合が平均より低かった。5項目を平均すると13カ国で最低だった。 特に「意見発表の機会を与えてくれる」では、「いつもそうだ」「たいていそうだ」を合わせても肯定派は46%と半数に届かず、OECD加盟国平均を12ポイントも下回った。逆に「ほとんどない」は平均を7ポイント上回る20%だった。生徒と教師の関係を問う質問「多くの先生は、生徒が満足しているかに関心がある」も肯定派は45%にとどまり、平均を20ポイント下回った。 学校への信頼感も他国より希薄だ。「(学校が)仕事に役立つことを教えてくれた」に肯定的に答えた生徒は59%と加盟国平均より28ポイントも低く、13カ国中で最低。「決断する自信をつけてくれた」も52%と18ポイント下回った。 ◆教師の質や充足度も見劣り 前回に続きトップクラスの成績だったフィンランドや韓国は日本とどこが違うのか。両国はともに「教員の質」を重視している。文科省によると、フィンランドは教員資格の基準を大学院修士課程修了以上としている。今回の学校長らへの意識調査でも、教師の充足度を示す指標(加盟国の平均値は0)は韓国の0.64とフィンランドの0.56が飛び抜けて高い。日本は0.04で平均水準だった。 「生徒に対する教師の期待が高い」「生徒と教師の人間関係がよい」など教師による学級雰囲気作りを示す指標でも、総合的に見ると韓国、フィンランドが上位1、2位を占めた。日本は悪い方から3位で、前回00年調査から悪化していた。 【数学的活用力の設問例】あるTVレポーターがこのグラフ(縦軸は年間の盗難事件数)を示して、「1999年は1998年に比べて、盗難事件が激増しています」と言いました。このレポーターの発言は、このグラフの説明として適切ですか。適切である、または適切でない理由を説明してください。 <正答例>「適切ではない。グラフの全体が表示されるべきである」「激増かどうかは言い切れない。97年の盗難数が98年と同様なら、99年に大きく増加したと言えるかもしれない」など。 |
12 09(木) 雅子さま41歳の誕生日 |
<雅子さま>41歳の誕生日 「体調は少しずつ快方に」 皇太子妃雅子さまは9日、41歳の誕生日を迎えた。療養中のため会見は行わなかったが、体調は回復傾向にあり、宮内庁は新年行事の一部に雅子さまの出席を検討していることを明らかにした。 雅子さまは誕生日に合わせ同庁を通じて心境を発表した。この中で、「つらい時期もございましたが、体調は少しずつ快方に向かってきているように感じております。本格的な公務再開はまだ時間を要するかもしれませんが、早く元気な姿をお見せすることが出来るよう回復に努めたい」などと公務復帰への意欲を語った。 雅子さまは昨年12月4日、帯状疱疹(たいじょうほうしん)で入院した後、公務を休んでいる。7月には医師団が適応障害との病名を公表。9月以降は、東京都内で開かれたアニマルセラピーのフォーラムなどへの私的外出を重ね、散策や運動も以前より多く行っているという。 一方、宮内庁の林田英樹東宮大夫は8日、医師団の見解を発表した。医師団は、病状は回復傾向にあるとしながらも、睡眠のリズムが整わない睡眠障害の症状が残っていることなどから、「医学的にはご回復とはいえない状態。来年から徐々に公務に復帰していただけるのではないか」とした。【竹中拓実】 = ◇ = 誕生日を前に皇太子妃雅子さまが発表した心境の全文 この一年間皆様にはご心配をおかけいたしましたが、今年の誕生日をこうして迎えることが出来ますことを何よりもありがたいことと思っております。この間つらい時期もございましたが、皇太子様はじめ多くの方々からのお支えを頂いて、お陰様で、体調は少しずつ快方に向かってきているように感じております。本格的に公務を再開するのにはまだしばらく時間を要するかもしれませんが、早く元気な姿をお見せすることができますよう、関係者の皆様のお力添えをいただきながら引き続き回復に努めていきたいと存じます。 天皇、皇后両陛下には、これまで私の病気についてご心配をいただき、温かくお見守り下さいましたことを、深く感謝申し上げております。 また、国民の皆様より寄せられてきました温かいお気持ちは、私にとりましてどれ程大きな力になっていることか知れません。心よりお礼を申し上げます。 最後になりましたが、今年は数多くの台風や新潟県中越地震により、多くの方々が亡くなられ、また、被災されました。亡くなられました方々に心からのお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞い申し上げます。 宮内庁が発表した医師団の見解 環境調整と精神療法、少量の薬物療法による治療を続けており、現在の病状は回復傾向にある。前回(7月)の病状発表のころには、一つのことが終わると、その後にお休みになる必要があったが、現在は複数のことを続けて出来るようになった。来年からは徐々に公務に復帰していただけるのではないか。 ただ、心身の疲れやすさは依然としてあり、医学的には回復とは言えない状態。睡眠のリズムが整わない睡眠障害の症状も残り、引き続き投薬治療している。 今後は人目に気を遣わずに出られるような環境の中で、気力・体力の充実につながるような私的活動を増やしていくことが重要。 強い負担を感じても、それを周囲に気付かせないように抑え、無理をして、後で疲れが出て、心身の調子を崩すところがある。公務に復帰し、公的に外に出られる機会が増えると、その可能性は高まると考えられ、当面は控え気味に公務をして頂くことが望ましい。 (毎日新聞) - 12月9日6時15分更新 |