06 23(土) 沖縄「慰霊の日」・集団自決問題 |
社説 2007年06月23日(土曜日)付 沖縄慰霊の日―集団自決に見る軍の非情 沖縄は23日、「慰霊の日」を迎えた。太平洋戦争末期の沖縄戦で、日本軍の組織的な抵抗が終わった日である。 今年の慰霊の日は、昨年までとは趣が異なる。沖縄戦で犠牲になった人たちを悼むことにとどまらない。沖縄戦とは何だったのかを改めて考えようという動きが広がっているのだ。 きっかけは、「集団自決」についての教科書検定である。文部科学省が「日本軍に強いられた」という趣旨の記述を削らせた。軍の強制を否定する資料が出てきたというのだ。 沖縄では一斉に反発が起きた。各地の市町村議会に続き、県議会でも検定の撤回を求める意見書が全会一致で可決された。意見書は「日本軍による関与なしに起こり得なかった」と主張する。 保守、革新を問わず、憤ったのはなぜか。集団自決が日本軍に強いられたものであることは、沖縄では疑いようのない事実とされてきたからだろう。 集団自決が主に起きたのは、米軍が最初に上陸した慶良間(けらま)諸島だ。慶良間諸島だけで犠牲者は700人にのぼる。 多くの悲惨な証言がある。例えば、元沖縄キリスト教短大学長の金城重明さん(78)は集団自決の現場で、手投げ弾が配られるのを見た。手投げ弾は自分にまで回ってこず、母と弟妹を自ら手にかけて殺した。「手投げ弾は自決命令を現実化したものだ」と語る。 集団自決に直接かかわった人たちだけではない。沖縄の人たちが「集団自決は日本軍に強いられたものだ」と口をそろえるには理由がある。 沖縄の日本軍は1944年11月、「軍官民共生共死の一体化」の方針を出した。足腰さえ立てば住民を一人残らず動員し、生死を共にさせようというのだ。 子どもから老人まで駆り出された住民は、食糧や弾薬の運搬などだけでなく、戦闘員として敵に突入を命じられた。 陣地の構築にも動員されたため、住民は軍事機密である日本軍の配置まで知ることになった。そこで日本軍は住民が捕虜になることを許さず、「敵に投降するものはスパイとみなして射殺する」と警告し、実行していった。 一方で、「鬼畜米英」軍に捕らえられたら、女性は辱めを受け、男性は残忍な方法で殺される。日本軍はそう住民に信じ込ませた。 迫りくる「鬼畜」の敵軍。背後には投降を許さない日本軍。そうした異常な状態が集団自決をもたらしたのだ。 沖縄戦の3カ月の犠牲者は20万人を超える。本土から来た兵士より住民の犠牲の方が多かった。日本軍の任務は本土決戦の時間をかせぐため、米軍をできるだけ長く沖縄に足止めすることだった。 沖縄の人たちは「捨て石」にされ、根こそぎ動員されて日本軍と一緒に戦い、そこで集団自決が起きた。いまさら「日本軍は無関係」と言うのなら、それは沖縄をもう一度裏切ることになる。 |
06 24(日) 先祖累代の墓・仕事始め |
06 25(月) 天下りの弊害はそのまま |
独立行政法人の発注、天下り先への随意契約が7割 2007年6月24日(日)12:13 政府にかわって行政サービスを行う独立行政法人95法人が、OBの再就職先の企業や公益法人に05年度に発注した計約3330億円分のうち、約7割にあたる約2330億円分が競争入札によらずに任意で結ぶ随意契約だったことがわかった。 一方でOBのいない企業に対する発注では、随意契約は2割以下だった。天下りを規制する国家公務員法改正案では大半の独法は対象外。「緑資源機構」の官製談合事件でも問題になった、独法による天下り先の「優遇ぶり」が浮き彫りになった。 民主党の請求で衆院調査局がまとめた各独法の05年度支出をもとに朝日新聞社が集計した。 250万円未満の工事など少額契約や、データの不完全な法人、借入金返済が支出の大部分を占める法人は除いた。 >> 続きは asahi.comへ |
独立行政法人の発注、天下り先への随意契約が7割 2007年06月24日12時13分 政府にかわって行政サービスを行う独立行政法人95法人が、OBの再就職先の企業や公益法人に05年度に発注した計約3330億円分のうち、約7割にあたる約2330億円分が競争入札によらずに任意で結ぶ随意契約だったことがわかった。一方でOBのいない企業に対する発注では、随意契約は2割以下だった。天下りを規制する国家公務員法改正案では大半の独法は対象外。「緑資源機構」の官製談合事件でも問題になった、独法による天下り先の「優遇ぶり」が浮き彫りになった。 民主党の請求で衆院調査局がまとめた各独法の05年度支出をもとに朝日新聞社が集計した。250万円未満の工事など少額契約や、データの不完全な法人、借入金返済が支出の大部分を占める法人は除いた。 その結果、95法人の05年度支出は約268万件で、約4兆7788億円分にのぼった。うちOBの再就職先への発注は6068件あった。 天下り先への随意契約の総額が最も多かったのは「都市再生機構」で、21法人に約598億円分を発注。再就職者は財団法人「住宅管理協会」など主な5法人だけでも3月末現在、230人にのぼる。次に多かった「雇用・能力開発機構」は、99%に上る約336億円分が財団法人「雇用振興協会」への発注だった。 また、関連ビルの管理を社団法人に2700万円で発注した「科学技術振興機構」など、一般的な業務を天下り法人と随意契約しているケースも少なくなかった。 第三者性が求められる業務を身内に委託していた事例もある。ダムなどを建設・管理する「水資源機構」は、ダム施設の希少動物への影響調査を、役職員29人のうち11人がOBという財団法人「水資源協会」に随意契約で発注していた。 一方、「科学技術振興機構」は、日本科学未来館(東京)の管理運営業務の今年度契約で複数業者による総合評価方式を採用。前回の随意契約での発注額より約1億円低くなったという。 95法人には運営費交付金や補助金など、国庫から計約2兆6400億円が05年度に投じられている。総務省によると、府省の支出は会計法で原則的に競争入札によるよう定められているが、各独法は同様の規定を内規で定めているだけだ。 各独法は、朝日新聞社の取材に対し、随意契約とした理由について「専門的な知識や経験が必要」などと説明した。 ◇ 〈独立行政法人〉 行政の効率化を目指し01年度以降、各府省の政策実施部門や特殊法人が移行して設立。05年度には109法人の運営に国庫から約3兆円が投じられた。緑資源機構を巡っては、天下り先に公共事業を優先して割り振っていた官製談合が発覚、元理事らが逮捕・起訴された。 |
「生涯設計考え無理やり維持」 新藤宗幸・千葉大教授(行政学)の話 自分達の生活設計のため、無理やり理由をつけて、天下り先の企業や公益法人を維持しているとしか言いようがない。 国会で審議中の国家公務員法の改正の政府案は、ごく一部を除いて独立行政法人や特殊法人からの天下りが規制対象外だが、この調査結果は、それでは意味がないことを示している。 天下りを生む人事制度を根本から改め、各省庁ごとに裾野のように広がる組織維持の構造を断ち切る改革こそが必要だ。 |
07 01(日) 精霊 |
読み・漢字 | 意味 |
しょう‐りょう【精霊/▽聖霊】 | 1 死者の霊魂。みたま。 |
せい‐れい【精霊】 | 1 万物の根源をなすとされる不思議な気。精気。 |
- | 2 あらゆる生物・無生物に宿り、また、その宿り場所を変え、 種々の働きをするとされる超自然的存在。 |
- | 3 死者のたましい。霊魂。 |
07 04(水) 久間防衛大臣辞任 |
防衛相辞任―原爆投下から目をそらすな 朝日新聞社説 7月4日(水曜日) 米国による広島、長崎への原爆投下について、「しょうがない」と講演で述べた久間章生防衛相が辞任を表明した。 原爆投下を容認するかのような発言は、被爆者の痛みを踏みにじり、日本の「核廃絶」の姿勢を揺るがすものだった。辞任は当然である。 当初、久間氏は発言を訂正しないと言い、安倍首相も問題視しない姿勢をとった。ところが、被爆地の怒りがやまず、世論調査でも内閣支持率の低下が止まらない。参院選が戦えないという与党内の批判で追い込まれたのが実情だろう。 悲惨な被爆体験は戦後日本の原点にかかわるものだ。それなのに、政治の感度は鈍かったとしかいいようがない。 久間氏は辞任するが、これで一件落着したわけではない。久間発言は無思慮ではあるが、そういう物言いを生み出す土壌があると思わざるをえないからだ。 それは、米国の原爆投下に対し、日本の政府が厳しく批判せず、国民の動きも十分でなかったことだ。 広島と長崎に原爆が投下された直後の45年8月10日、政府は国際法違反として米国に抗議した。終戦後の同年9月には、のちに首相になる鳩山一郎が戦争犯罪と批判した。この発言を掲載した朝日新聞は占領軍により発行停止になった。戦犯を裁いた東京裁判でも、日本側は原爆投下を違法と主張した。 原爆投下を糾弾する動きはここで止まる。政府が黙ってしまったのは、平和条約で、米国などの連合国への請求権を放棄したことが大きいだろう。法的にものを言うすべを失ったということだ。 だが、それだけではあるまい。日本は米国に無謀な戦争を仕掛けて、敗れた。しかも、敗色が濃厚になっても、戦争をやめなかった。そんな負い目が戦後の日本にあったからではないか。 久間氏の発言は、こうした心理がうっかり漏れたということだろう。 しかし、戦争ならばどんな手段でも許されるということではないはずだ。原爆は破壊力がけた外れに大きいだけでなく、生き延びても後遺症を残す兵器である。その非人道的な性格については、いくら批判してもしきれないほどだ。 原爆投下が間違っていたと米国を説得するのは並大抵ではない。米国人の多くは原爆投下によって戦争終結が早まったと信じている。米政府は謝罪したことはないし、現職の大統領が広島や長崎を訪れたこともない。 だが、戦後50年に米国で開かれた原爆をめぐる展示では大論争があった。米国にも原爆投下に批判的な声がある。 マクナマラ元米国防長官は、自らが携わった原爆を含む日本への無差別爆撃について「勝ったから許されるのか。私も戦争犯罪を行ったんだ」と語った。 原爆投下が誤りであり、原爆の被害が悲惨なことを、日本から粘り強く発信し、米国に伝えていく。そのことの大切さを久間発言で改めて痛感する。 |
原爆容認は無知の露呈 防衛相発言 東京新聞社説 2007年7月2日 どのような意図であれ核兵器使用は許されない、というのが被爆国日本の立場のはずだ。「国際法違反」との司法判断もある。原爆投下を「しょうがない」という政治家に自衛隊はゆだねられない。 広島、長崎に平和の祈りが満ちる盛夏を前にして、原爆の犠牲者を追悼し、核兵器廃絶を願う人々の心を踏みにじる発言が飛び出した。 久間章生防衛相が講演で、先の大戦における米国の原爆投下を「しょうがない」と語ったのである。 防衛相は、勝利が確定的なのに米国があえて原爆を使ったことへの疑念や、被爆者への同情を示しながらも、当時の国際情勢からみて「しょうがないなと思っている」「選択肢としてはあり得るのかな、ということも頭に入れながら考えなければいけない」と話した。 投下した米側の論理そのものであり、被爆者や広島、長崎の市民などから悲しみ、憤る声が上がったのは当然である。二つの原爆では二十数万人の命が奪われ、いまなお二十万人以上が苦しんでいる。久間氏はそれらの人の墓前、面前でも「しょうがない」と言えるのだろうか。 核兵器の残虐さを身をもって知る日本人には、核廃絶を求める国際世論の先頭に立つ責務がある。幅広い市民が被爆者とともに「どんな理由があっても核兵器は許されない」との思いで努力してきた。 被爆国閣僚の今度のような発言はこうした核廃絶運動の足を引っ張りかねない。ただでさえ米国追随が指摘される中での原爆投下容認は、国際社会で「なにもそこまで」と冷笑されるのではないか。 そもそも「しょうがない」「選択肢としてはあり得る」という認識自体が無知をさらけ出している。国際司法裁判所は一九九六年、「核兵器による威嚇とその使用は一般的に国際法に違反する」という勧告的意見をまとめている。 その際、日本政府は「核兵器使用は人道主義に反する」とはっきり述べた。こんな基本的事実も久間氏は知らないようだ。 事実上の国会閉幕で気が緩んだためという見方もできるが、軍事を司(つかさど)る人物だけに見過ごせない。防衛相が原爆を受け入れる考えでは、日本の国是である非核三原則も国際的に信用されまい。 久間氏をかばって、問題を直視しない安倍晋三首相の政治感覚は国民のそれから遊離している。内閣としてけじめをつけるべきであり、最低限、本人のきちんとした陳謝、大臣辞任が求められる。一日に行われた記者会見は単なる言い逃れだ。 |