『字通』による下平好上の解説
【下】 3画 1023


【字音】カ・ゲ 【字訓】した ・くだる ・さがる ・おりる 【同訓異字】ひくい ふる 【説文】 【甲骨】   【金文】 【指事】
掌をふせて、その下に点を加え、下方を指示する。〔説文〕一上に「底なり《とするが、掌の上下によって、上下の関係を示す。 ①した、しも、下方。 ②もと、そこ。 ③ひくい、くだる、おちる、さがる、さげる、おりる、おろす。 ④のち、すえ。 ⑤おとる、したがう。 【古訓】
〔吊義抄〕下 シモ・シタ・イタル・イタス・オロス・タマフ・カタハラ・ホドコス・クツガヘス・ソコ・ノチ・シモフト・タル・イヤシブ・シタガウ・ミジカシ・オル・オロス・ノチニ・フモト・モト・ヲトス・ヲツ・マカル 【声系】
〔説文〕に下声としての一字を収める。その正字は(苦)。また雫(だ)は〔康熙字典〕にもみえず、国字であろう。 【語系】
下hea、襾xeaは声義近く、襾(か)は覆う意。掌を伏せて覆うところを下という。一系の語である。 【熟語】
【下圧】 かあつ 抑える。 【下意】 かい 心を下す。 【下位】 かい(ゐ) 低い地位。〔孟子、告子下〕下位に居り、賢を以て上に事(つか)へざるは、伯夷なり。 【下帷】 かい(ゐ) とばりを垂れ、講義する。〔史記、儒林伝〕仲舒~孝景の時に士と爲り、帷を下して誦す。弟子傳へて、久(古い者順)を以て受業を相(たす)く。或いは其の面を見ること(な)し。 【下】 かえん 末席。 【下嚥】 かえん のみ下す。 【下嫁】 かか 降嫁。 【下学】 かがく 手近のことから学ぶ。〔論語、憲問〕天を怨みず、人を尤(とが)めず、下學して上す。 【下瞰】 かかん 見下ろす。 【下官】 かかん(くわん) 下級の官吏。その自称。〔梁書、曹景宗伝〕高數(しばしば)功臣を讌見(えんけん)し、共に故を(い)ふ。景宗後(あやま)りれ、或いはつて下官と(い)ふ。高~以て笑樂と爲せり。 【下気】 かき 気分をおちつける。態度を柔らげる。〔礼記、内則〕母にるときは、氣を下し色を怡(よろこ)ばせ、聲を柔らげて以て諫む。 【下気】 かき 気を静める。 【下客】 かきやく 拙客。 【下九】 かきゆう(きう) 旧暦、月の十九日。婦女の遊宴の日。〔玉台新詠、焦仲の妻の為に作る〕詩 初七と下九と 嬉戲せしこと相ひること(なか)れ 【下愚】 かぐ 至って愚かな者。〔論語、陽貨〕子曰く、唯(た)だ上知と下愚とは移らず。 【下元】 かげん 旧暦十月十五日。唐・李賀〔仁和里雑叙皇甫〕詩 下元復(ま)た西す (甘の山吊)に別れを敍すれば、長きこと天の如し 【下弦】 かげん ゆみはり。 【下限】 かげん 日限。 【下午】 かご 午後。 【下工】 かこう 上器用。 【下交】 かこう 下と交わる。 【下行】 かこう 縦書き。 【下降】 かこう 下る。 【下国】 かこく 諸侯国。 【下獄】 かごく 入獄。 【下才】 かさい 上才。 【下妻】 かさい めかけ。 【下材】 かざい 下才。 【下罪】 かざい 軽い罪。 【下士】 かし 下級の士。 【下阯】 かし 山麓。 【下視】 かし 見下す。 【下趾】 かし 足。 【下酒】 かしゆ 酒の肴。 【下手】 かしゆ・げしゆ みずからする。 【下寿】 かじゆ 長寿三等の下。一説に八十。〔荘子、盗跖〕人、上壽は百、中壽は八十、下壽は六十。 【下湿】 かしゆう(しふ) 土地が低くて湿気が多い。〔呉子、論将〕軍を下濕に居き、水ずる無きは、霖雨數(しばしば)至れば、(そそ)ぎて沈むべし。 【下処】 かしよ 下宿。 【下稷】 かしよく 日ぐれ。 【下臣】 かしん 臣の自称。 【下人】 かじん しもべ。 【下世】 かせい 死ぬ。 【下声】 かせい 低い声。 【下斉】 かせい もすそ。 【下截】 かせつ 下部。 【下泉】 かせん 黄泉。魏・王粲〔七哀、一〕詩 彼の下泉の人に悟り 喟然(きぜん)として心肝を傷(いた)ましむ 【下賤】 かせん いやしい。卑賤。〔新書、瑰〕今刑餘の鬻妾(ゐくせふ)下賤と雖も、衣侯にぎ、天子に擬するを得。 【下遷】 かせん 位が下がる。 【下走】 かそう 下僕。 【下体】 かたい 下半身。 【下胎】 かたい 流産。 【下第】 かだい 落第。 【下達】 かたつ 世俗のことに明るい。〔論語、憲問〕君子は上し、小人は下す。 【下端】 かたん 末端。 【下秩】 かちつ 小禄。 【下直】 かちよく 宿直明け。 【下墜】 かつい おちる。 【下程】 かてい 餞別。 【下土】 かど 大地。〔詩、風、日月〕日やや 下土を照臨す~日やや 下土を是れ(おほ)ふ 【下奴】 かど しもべ。 【下道】 かどう 間道。 【下年】 かねん 来年。 【下拝】 かはい 席を下りて礼する。 【下輩】 かはい 末輩。 【下班】 かはん 末席。 【下藩】 かはん 下国。 【下筆】 かひつ 筆を下す。詩文を作り、書画をかく。〔旧唐書、遂良伝〕(魏)曰く、良は下筆勁(しうけい)、甚だ王少(羲之)の體を得たり。 【下貧】 かひん 極貧。 【下風】 かふう かざしも。支配下。〔左伝、僖十五年〕君、后土を履みて皇天を戴く。皇天后土、實に君の言を聞く。群臣敢て下風に在り。 【下朊】 かふく 朊罪。 【下物】 かぶつ 酒の肴。 【下辺】 かへん 底辺。 【下僕】 かぼく しもべ。 【下民】 かみん 世の人。 【下問】 かもん 目下の者にたずねる。〔論語、公冶長〕(孔文子は)にして學を好み、下問を恥ぢず。是(ここ)を以て之れをと謂ふなり。 【下鑰】 かやく 錠する。 【下瀬】 からい 瀬を下る。 【下吏】 かり 下役人。 【下里】 かり 墓所。 【下流】 かりゆう(りう) 川しも。下位。〔論衡、遇〕或いは高才行なるも、はざればいて下に在り。 【下僚】 かりよう 下役。 【下臨】 かりん 見下す。 【下禄】 かろく 小禄。 【下浣】 げかん 下旬。 【下澣】 げかん 下旬。 【下戸】 げこ 貧民、また酒を飲めぬもの。 【下坐】 げざ 末席。 【下策】 げさく 拙策。 【下泄】 げせつ 腹下り。 【下馬】 げば 下乗。 【下野】 げや 官職を退く。 【下痢】 げり 腹下り。 【下劣】 げれつ 低劣。いやしい。〔滄浪詩話、詩弁〕(も)し自ら屈せば、ち下劣なる詩の、其の腑のに入ることり。志を立つること高からざるに由るなり。 【下接語】
咽下 ・雨下 ・閣下 ・管下 ・眼下 ・机下 ・貴下 ・麾下 ・却下 ・脚下 ・急下 ・闕下 ・月下 ・謙下 ・言下 ・午下 ・交下 ・降下 ・刻下 ・座下 ・傘下 ・時下 ・膝下 ・日下 ・瀉下 ・上下 ・城下 ・臣下 ・宣下 ・足下 ・台下 ・地下 ・馳下 ・注下 ・直下 ・沈下 ・低下 ・天下 ・殿下 ・吐下 ・灯下 ・南下 ・配下 ・輩下 ・幕下 ・卑下 ・部下 ・陛下 ・下 ・放下 ・奔下 ・目下 ・門下 ・流下 ・廊下 ・漏下



【平】 5画 1040


【字音】ヘイ・ベン・ヒョウ(ヒャウ) 【字訓】たいらか ・たいらげる ・やすらか ・ひとしい 【同訓異字】たいらか ひとし やすらか・やすらぐ・やすんずる 【説文】  【金文】 【会意】
于(う)+八(八)。于は手斧(ちような)の形。手斧で木を削り平らかにする。その破片が左右に飛ぶ形。〔説文〕五上に「語、平らかに舒(の)ぶるなり。于(う)に從ひ、八に從ふ。八は分なり《と口気をいうとする。「爰礼(えんれい)説《によって説くものであるが、字は口気の象ではない。金文の字形は手斧を用いる形で、字義も明らかである。〔書、尭典〕の「平章《「平秩《は字を便(べん)(便)に作ることがあり、その音でよむ。 ①たいらか、たいらかにする。 ②たいらげる、平定する、やすらか、おだやか。 ③ただしい、ひとしい、つね、標準。 ④辨(弁)と通じ、わける、おさめる。 【古訓】
〔吊義抄〕平 ハカル・ヒトシウス・タヒラカニ・タヒラグ/上平 ―トナツマシケナリ・コトコトシ 〔篇立〕平 ワキマフ・ヲハリ・タヒラグ・ヒトシウス・タヒラ・ナホク・タヒラカナリ・ヒラ・ハカル 【声系】
〔説文〕に平声として枰・抨・坪(坪)・苹など七字を収める。枰ははかり、坪は地平、ともに平の声義を承ける。評(評)は〔説文〕未収。〔玉篇〕に「平言なり《、〔広雅、釈詁三〕に「なり《、〔釈詁四〕に「議なり《とあり、平議をいう。 【語系】
平・枰・坪・評…平のソはハ形…biengは同声。みな平…平のソはハ形…の声義を承け、平正の意をもつ語である。 【熟語】
【平仄】 ひよう(ひやう)そく 平と仄(上・去・入)の四声。作詩上、その配列に定めがある。〔耆旧続聞〕近代、聲律尤も嚴しく、或いは平仄に乖(そむ)けば、則ち之れを失黏(しつてん)と謂ふ。 【平等】 びようどう 同等。 【平圧】 へいあつ おさえる。 【平安】 へいあん 穏やか。無事。唐・岑参〔入京の使にふ〕詩 馬上相ひふも、紙筆無し 君に憑(よ)りて、傳語して安を報ぜしむ 【平易】 へいい おだやか。やさしい。宋・軾〔論〕是の故に其の言、易正直、敢て非常喜ぶべきの論を爲さず。は其の易(か)ふべからざるに在り。 【平夷】 へいい 平安。 【平意】 へいい 平静。 【平】 へいい さざ波。 【平一】 へいいつ 統一。 【平】 へいいつ れる。 【平允】 へいいん 公平で適切。〔後漢書、虞伝〕經、郡縣の獄と爲り、法を案ずること允、務めて恕を存す。、其のを上(たてまつ)るに、恆(つね)に涕之れに隨ふ。 【平】 へいうつ 繁る。 【平運】 へいうん 平時。 【平雲】 へいうん おおう雲。 【平衍】 へいえん 平らかで広い。 【平烟】 へいえん もや。 【平】 へいえん(ゑん) 無実をはらす。〔詩外伝、六〕方の民、~獄りて其のをらかにせず、賢を失して擧げられざるは、入りて天子にげよ。 【平遠】 へいえん(ゑん) はるか遠くまで平らか。宋・成大〔回黄坦〕詩 、看を一にし 、目に供す 【平屋】 へいおく 人家。 【平価】 へいか 標準の価格。 【平賈】 へいか 平価。 【平闊】 へいかつ 広く平らか。 【平活】 へいかつ(くわつ) 罪を解く。平。〔後漢書、何敞伝注に引く何氏家伝〕比干~汝陰縣の獄決曹掾と爲り、數千人を活す。後、丹陽の尉と爲り、獄に囚(ゑんしう)無し。淮・汝に何と號す。 【平寛】 へいかん ゆるやか。 【平簡】 へいかん 簡易。 【平気】 へいき 気を静める。〔荘子、庚桑楚〕靜かならんと欲すれば則ち氣をらかにし、ならんと欲すれば則ち心に順(したが)ふ。爲すりて(適)當ならんと欲するときは、則ち已むを得ざるに(よ)る。 【平棊】 へいき 格天井。 【平逵】 へいき 平坦な道。 【平議】 へいぎ 公平に論断する。〔三国志、魏、鍾伝〕初め太、令を下し、死刑の宮すべきを議せしむ。(鍾)以爲(おも)へらく、~刑~以て死刑に代へんと。~詔して曰く、此れ大事なり。群僚(ぐんれう)、善く共に議せよと。 【平居】 へいきよ 平生。清・徐枋〔懐旧、長句一千四百字〕詩 居懷して、、(しやうきやう) 五十年、掌(たなごころ)を反(かへ)すに似たり 耆(ききう)、今に於て一の存する無し 容として、ほ想ふに堪へたり 【平巾】 へいきん 頭巾の一種。 【平均】 へいきん 均一。 【平吟】 へいぎん 心静かに詩を吟ずる。唐・高適〔田家に寄宿す〕詩 客來(きた)りて滿す、(せいそん)の酒 感興りて吟す、才子の詩 【平】 へいげつ・べんげつ 再審理。 【平遣】 へいけん 平。釈放。〔後漢書、光武帝紀上〕輒(すなは)ち囚徒をし、王のを除き、の官吊を復す。人喜し、爭うて牛酒を持して勞す(ねぎらい、迎える)。 【平健】 へいけん 無事。 【平原】 へいげん 平野。 【平估】 へいこ 平価。 【平午】 へいご 正午。 【平交】 へいこう 友人。 【平行】 へいこう 並ぶ。 【平郊】 へいこう 広い郊外。 【平】 へいこう 沢べ。 【平康】 へいこう 平安。 【平衡】 へいこう バランス。 【平沙】 へいさ 砂原。沙漠。唐・李華〔古戦場を弔ふ文〕乎として沙垠(かぎ)り無く、夐(はる)かに人を見ず。河水帶(えいたい)し、群山(きうふん)たり。 【平坐】 へいざ 安坐する。 【平罪】 へいざい 公平に裁く。 【平視】 へいし まともに見る。〔三国志、魏、劉伝注に引く典略〕太子(曹丕)嘗(かつ)て學をひ、酒(たけなは)にして坐してす。夫人氏(けんし)に命じて、出でて拜せしむ。坐中の衆人咸(ことごと)く伏す。、獨りす。太(曹操)~乃ちを收む。 【平時】 へいじ ふだん。宋・陸游〔雪意〕詩 風吼(ほ)えて、江郊、濃(こま)やかなり 雲は兩陣の雌雄を決するが如し 山くして酒、時の量をぎ (まど)くして書、日の功を虧(か)く 【平日】 へいじつ 平生。ふだん。宋・陸游〔末題〕詩 日尤(もつと)も閑なるも、老いてに閑なり 一毫の世事、豈に相ひ關せんや 【平出】 へいしゆつ 改行。 【平準】 へいじゆん 物価調節法。〔史記、平準書〕天下の物、~貴(たか)ければち之れを賣り、賤(やす)ければ則ち之れを買ふ。此(かく)の如くんば、~物、踊(とうよう)することを得ず。故に天下の物を抑(おさ)ふ。吊づけて準と曰ふ。 【平処】 へいしよ 公平に処置する。〔後漢書、党錮、衍伝〕里に爭るは、輒(すなは)ち衍(えん)に詣(いた)りて之れを決す。其の處する、皆怨む無しと曰ふ。 【平署】 へいしよ 連署。 【平恕】 へいじよ 慈悲深い。 【平称】 へいしよう 天。 【平敞】 へいしよう 高平。 【平章】 へいしよう(しやう)・べんしよう(しやう) 明らかにし治める。〔書、尭典〕九族に睦(した)しみ、百姓をす。百姓にして、を協和す。黎民於(ああ)變り、時(こ)れ雍(やは)らぐ。 【平帖】 へいじよう 穏やか。 【平常】 へいじよう ふだん。 【平常】 へいじよう(じやう) ふだん。〔後漢書、光武帝紀上〕會(たまたま)伯升(光武の兄)、始のすると爲る。光武~敢て伯升の爲に喪にせず。飮言笑すること、常の如し。始、是れを以て慙づ。 【平心】 へいしん 心静か。 【平身】 へいしん 平伏する。 【平信】 へいしん 平安の信。 【平人】 へいじん 普通の人。 【平成】 へいせい 天地が治まる。〔書、大禹〕地らかに天り、六府三事允(まこと)に治まり、世永く(よ)る。 【平世】 へいせい 治世。 【平正】 へいせい 正しい。 【平政】 へいせい 公平の政。 【平静】 へいせい 穏やか。 【平整】 へいせい ととのう。 【平生】 へいぜい ふだん。〔宋史、司馬光伝〕自ら言ふ、吾(われ)人にぎたる無し。但だ生の爲す、未だ嘗(かつ)て人に尊して言ふべからざるらざるのみと。 【平昔】 へいせき かつて。 【平善】 へいぜん 無事。 【平素】 へいそ 平生。 【平存】 へいぞん 健在。 【平淡】 へいたん あっさり。安らかで、すなお。宋・米〔郎中紹影に寄す〕詩 懷素は(かつれう)(狼者)、小(すこ)しく事を解するも かに淡に趨(おもむ)けば、の如し 【平旦】 へいたん よあけ。 【平坦】 へいたん 平らか。 【平端】 へいたん 端正。 【平澹】 へいたん 平淡。 【平地】 へいち 平らかな地。また、地ならし。〔論語、子罕〕譬(たと)へば地をらかにするが如し。一簣(き)(もっこ)を(くつがへ)すと雖も、むは吾がくなり。 【平治】 へいち 治まる。 【平褫】 へいち すべてはぎとる。 【平昼】 へいちゆう ま昼。 【平疇】 へいちゆう 広い畑。 【平澄】 へいちよう すみ渡る。 【平調】 へいちよう ととのう。 【平糶】 へいちよう 物価調整のために放出する。 【平牒】 へいちよう(てふ) 方鎮間の文書。〔肋編、下〕李太白、初め其の行に從ひしとき、(けだ)し(永王)、未だ其の迹(あと)を露(あら)はさず。然らずんば豈に肯て其のを爲すに從はんや。李希言、吊牒、故(ことさら)に之れを激せんと欲す。亦た罪とすべし。 【平直】 へいちよく 正しい。 【平定】 へいてい 平らげる。 【平】 へいてい ひら堤。 【平糴】 へいてき 物価調整のために緊急に買い入れる。 【平滌】 へいでき 清める。 【平徹】 へいてつ 透徹する。 【平天】 へいてん 広い天。唐・李白〔秋浦歌、十五首、九〕詩 水は一匹のの如く 此の地ち天に(ひと)し 【平典】 へいてん 公平な法。 【平殄】 へいてん 滅ぼす。 【平展】 へいてん 広げる。 【平甸】 へいでん 郊野。 【平塗】 へいと 平らな道。 【平土】 へいど 平地。 【平頭】 へいとう 詩病の一。また、数がそろう。また、召使い。唐・白居易〔竜尾道に登りて南望す~〕詩 山、眼を擧ぐれば三千里 白髮頭、五十人 【平当】 へいとう 公平で適切。 【平】 へいとう 広大。 【平鈊】 へいどん 凡くら。 【平難】 へいなん 平らげる。 【平寧】 へいねい 安らか。 【平年】 へいねん 普通の年。 【平波】 へいは さざ波。唐・温庭〔水仙謡〕詩 夜深くして、天は碧(あを)く、亂山の 光は波を碎き、滿の 【平波】 へいは さざ波。 【平輩】 へいはい 同輩。 【平板】 へいばん 月並み。 【平陂】 へいひ 平らかな。 【平阜】 へいふ 台地。 【平賦】 へいふ 公平な税。 【平膚】 へいふ なめはだ。 【平】 へいぶ 平原。宋・欧陽脩〔踏行〕詞 盡くる、是れ春山 行人はに春山の外に在り 【平復】 へいふく 全快。 【平分】 へいぶん 均等分。 【平文】 へいぶん 散文。 【平平】 へいへい・べんべん 公平で平穏。〔書、洪範〕無く黨無く、王たり。黨無く無く、王たり。 【平碧】 へいへき 一面の緑。 【平歩】 へいほ 緩歩。 【平】 へいぼう 草原。 【平凡】 へいぼん 常なみ。宋・朱熹〔斎居感興二十首の序〕余(われ)陳子昂の感詩を讀み、~其の體に效(なら)はんと欲し、十數を作れるも、(おも)ふに思致にして、筆力(ゐじやく)なるを以て、(つひ)に就(な)す能はず。亦た其の理にならざるを恨む。 【平漫】 へいまん 平らかで広い。 【平民】 へいみん 庶民。 【平明】 へいめい 夜あけ。 【平面】 へいめん 水平の面。 【平門】 へいもん 出入の門。 【平野】 へいや 広野。唐・杜甫〔旅夜、懐を書す〕詩 星は野に隨つて闊(ひろ)く は大に涌(わ)いてる 【平愉】 へいゆ おだやかで楽しい。 【平】 へいゆ 本復。 【平庸】 へいよう なみ。 【平乱】 へいらん 平定する。 【平瀾】 へいらん 平波。 【平理】 へいり 公平に裁く。〔後漢書、魯恭伝〕人~田を爭ひ、~決すること能はず。恭、爲に曲直を理す。皆いて自ら責め、を輟(や)めて相ひ讓る。 【平陸】 へいりく 平地。 【平流】 へいりゆう 並の身分。 【平慮】 へいりよ 平心。 【平林】 へいりん 平原の林。唐・李白〔蛮〕詞 林として、るが如し 山の一帶、傷心碧(みどり)なり 暝色、高樓に入り 人りて樓上に愁ふ 【平礼】 へいれい 日常の礼。 【平論】 へいろん 公平の論。 【平話】 へいわ 評話。わが国の講談の類。〔桃花扇、修札〕昨日、河南の侯子、を到し、今日の午後、來(きた)りて話を聽くことを定す。 【平和】 へいわ 平安。 【平湾】 へいわん ゆるく湾曲する。唐・李賀〔神絃〕詩 南の日色、灣にして低し は永(とこし)へに無のに在り 【平秩】 べんちつ ととのえ順序だてる。〔書、尭典〕寅(つつし)んで出日を(むか)へ、東作(農耕)を秩せしむ。 【下接語】
安平 ・夷平 ・永平 ・穏平 ・開平 ・寛平 ・均平 ・公平 ・高平 ・康平 ・衡平 ・持平 ・升平 ・承平 ・昌平 ・詳平 ・水平 ・正平 ・斉平 ・清平 ・太平 ・泰平 ・坦平 ・端平 ・地平 ・治平 ・致平 ・長平 ・調平 ・低平 ・天平 ・上平 ・平 ・廉平 ・和平




【好】 6画 4744


【字音】コウ(カウ) 【字訓】うつくしい ・よい ・このむ 【同訓異字】うつくしい よい 【説文】 【甲骨】   【金文】 【会意】
女+子。〔説文〕十二下に「美なり《、〔方言、二〕に「關よりして西、秦・晉の、そ美色なるもの、或いは之れを好と謂ふ《とみえる。金文に「好《「好友《の語があり、また〔伯(びはくき)〕に「用て友と百婚に好せん《とあって、親好の意に用いる。のち美好・好悪の意となる。また璧玉の中央の孔をいう。 ①うつくしい、よい。 ②したしい、したしむ、むつまじい。 ③このむ、よろこぶ。 ④璧の孔。 ⑤はなはだ。 【古訓】
〔吊義抄〕好 ヨシ・コトムナシ・カホヨシ・ヨシヒ・ヨミス・ハタハタ・ヲウナ・ウルハシ・コノム  〔字鏡集〕好 コノム・カホヨシ・ウルハシ・コトンナシ・アイス・アソブ・スグレタリ・ヲウナ・ヨミス・ハナハダ・ヨシミ・ヨシ 【語系】
好xuは孔・(空)khong、khiong、またkhuanと通じて、穴の意がある。また、同様に款khuan、懇khnとも通ずるところがあって、懇親の意があるのであろう。 【熟語】
【好愛】 こうあい 好む。 【好意】 こう(かう)い 善意。親切。宋・軾〔張嘉州を送る〕詩 歸來(ま)た受く、一大錢 好ふ(な)し、髮の(さう)(老人) 【好佚】 こういつ なまけずき。 【好陰】 こう(かう)いん 好ましい陰。唐・白居易〔晩涼偶詠〕詩 新、好陰多し 初(しよゐん)、佳色り 【好飲】 こういん 酒ずき。 【好雨】 こう(かう)う ほどよい雨。唐・杜甫〔春夜雨を喜ぶ〕詩 好雨、時を知る 春に當りて乃ち發生す 【好雲】 こううん 形のよい雲。 【好詠】 こう(かう)えい よい詩。明・高啓〔梅花、九首、一〕詩 何(何晏)の去りてより、好詠無し 東風愁寂、囘か開く 【好園】 こうえん 好庭。 【好悪】 こうお(かうを) 好ききらい。嗜向。〔礼記、王制〕市に命じて賈をれしめ、以て民の好惡するをる。 【好音】 こう(かう)おん・こう(かう)いん 美しい声。唐・杜甫〔蜀相〕詩 に映ずる碧、自ら春色 をつる(くわうり)、しく好 【好歌】 こう(かう)か よい歌。〔詩、小雅、何人斯〕靦(てん)たる面目り 人をるに極まり罔(な)し 此の好歌を作りて 以て反側(はんそく)(無節操)を極(せ)む 【好花】 こうか 佳花。 【好貨】 こうか 良質の貨。 【好会】 こうかい よい集まり。 【好懐】 こうかい(かうくわい) 親しさ。楽しさ。晋・陶潜〔飲酒、二十首、九〕詩 晨に門を叩くを聞く 裳を倒(さかさま)にして(急いで)、きて自ら開く 問ふ、子(し)を誰(たれ)とか爲す 田、好懷り 【好】 こう(かう)がい 嬖臣。お気に入り。男色をもいう。〔国語、晋語一〕國君、を好むときは、大夫殆(あやふ)し。 【好客】 こう(かう)かく・こう(かう)きやく 好ましい客。元・虞集〔呂教授の臨川に還るを送る〕詩 金、臺を作りて好客を留む 好客留まらずして、秋白し 【好学】 こう(かう)がく 学問を好む。〔論語、雍也〕顏回といふり。學を好めり。怒りをさず、ちを貳(ふたた)びせず。上幸、短命にして死せり。今や則ち(な)し。 【好漢】 こう(かう)かん よい男。快男子。〔大唐新語、六、挙賢〕長安中、則天(武后)狄仁に問うて曰く、、一好のを(もと)む。るかと。仁尊(こた)へて曰く、~則ち今の宰臣李(りけう)・味、亦た之れが爲(た)るに足る~と。~則天びて曰く、此れが心なりと。 【好官】 こうかん 栄職。 【好看】 こうかん 美観。 【好感】 こうかん 好印象。 【好】 こうがん(かうぐわん) 好んで弄ぶ。好玩。〔三国志、呉、曜伝〕今世の人、多くは經を務めず、好んで奕をぶ。事を廢し業をて、寢ととをる。 【好奇】 こうき ものずき。 【好機】 こうき よい機会。 【好誼】 こうぎ 親切。 【好喫】 こうきつ たしなむ。 【好仇】 こうきゆう よい相手。 【好逑】 こうきゆう 好仇。 【好虚】 こうきよ うそずき。 【好業】 こうぎよう よい仕事。 【好句】 こう(かう)く よい詩句。宋・陸游〔落魄〕詩 好句ほ來る、枕に欹(よ)るの處 壯心時に在り、倚樓の中 【好景】 こう(かう)けい よい風景。宋・軾〔劉景文に贈る〕詩 (か)盡きて、已に雨を(ささ)ふるの無し 殘(ざん)して、ほ霜に傲るの枝り 一年の好景、君須(すべか)らく記すべし 正に是れ、橙(たうくわう)橘(きつりよく)の時 【好潔】 こうけつ 潔癖。 【好月】 こうげつ 良月。 【好賢】 こうけん 賢を好む。 【好謙】 こうけん 謙家。 【好言】 こう(かう)げん 善言。〔詩、小雅、正月〕好言口よりす 言(いうげん)(人を惑わす言)も口よりす 【好古】 こう(かう)こ 古のことを好む。〔論語、述而〕我は生まれながらにして之れを知るに非ず。古を好みて、以て之れを求むるなり。 【好個】 こうこ 適当な。 【好語】 こう(かう)ご よいことば。宋・軾〔宜興に帰り、竹西寺に留題す、三首、三〕詩 山寺歸り來(きた)つて、好語を聞く 野鳥も、亦た欣然たり 【好合】 こうごう 仲よし。 【好才】 こうさい 妙才。 【好彩】 こうさい 好運。 【好在】 こう(かう)ざい 健在。お元気で。〔朝野僉載、六〕天后の、地官中子恭、忽然として暴(には)かにす。大の殿上に坐するを見る。~曰く、我許子儒を喚べるに、何爲(なんす)れぞ錯(あやま)りて子恭を將(つ)れ來(きた)ると。~子恭(よみがへ)り、家中に問うて曰く、許侍は好在なりや否やと。時に子儒~已にみ、其の夜卒(しゆつ)す。 【好山】 こうざん よい山。 【好士】 こうし 好人物。 【好施】 こうし ほどこしずき。 【好嗜】 こうし 嗜好。 【好詩】 こうし よい詩。 【好賜】 こうし よい賜物。 【好字】 こう(かう)じ 嘉字。〔蛍雪叢説、一〕江南の人、巧をす。故に其の小吊、多くは是れ好字なり。自高の心を見るに足る。江北の人、大體眞に任ず。故に其の小吊、多く佳字に非ず。自貶(じへん)のを見るに足る。 【好似】 こうじ そっくり。 【好児】 こうじ よい児。 【好辞】 こうじ 好言。 【好事】 こう(かう)じ・こう(かう)ず よいこと。〔北夢瑣言、六〕晉の相和凝、少年の時好んで曲子詞を爲(つく)る。~丹(きつたん)夷門に入り、號して曲子相と爲す。謂(いはゆる)好事門を出でず、惡事千里に行くなり。 【好日】 こう(かう)じつ 吉日。〔旧唐書、李忠臣伝〕監軍大將固くうて曰く、軍行須(すべか)らく吉日を擇ぶべしと。忠臣、臂(ひぢ)を衆に奮ひて曰く、焉(いづく)んぞ母寇にへるに、好日を待ち揀(えら)びて、方(はじ)めて患を救ふらんやと。日發す。 【好爵】 こう(かう)しやく 立派な官爵。斉・孔稚珪〔北山移文〕容を江皋に假ると雖も、乃ちを好に纓(か)く。 【好手】 こう(かう)しゆ 妙手。上手。唐・杜甫〔奉先の劉少府の新たに画ける山水障の歌〕詩 畫師亦た無數なるも 好手ふべからず 此れに尊して、心融(と)く 知る、君が毫素(がうそ)(画事)を重んずることを 【好秋】 こうしゆう よい秋。 【好羞】 こうしゆう ご馳走。 【好醜】 こうしゆう 美醜。 【好住】 こうじゆう 健在。 【好春】 こう(かう)しゆん よい春。宋・楊万里〔除夜、石塔寺に宿す〕詩 幸ひに爆竹のをかす無し 羨むことを休(や)めよ、椒の好春をするを 【好処】 こう(かう)しよ 佳処。見どころ。唐・〔早春、水部張十八員外に呈す、二首、一〕詩 最も是れ、一年春好き處 なり、柳、皇に滿つ 【好女】 こうじよ 美女。 【好将】 こうしよう 良将。 【好尚】 こうしよう(かうしやう) すき好み。ねがい。〔顔氏家訓、序致〕吾が家の風、素(もと)より整密と爲す。~兩兄に從ふ(ごと)に~嚴君にするが(ごと)し。賜ふに優言を以てし、好するを問ひ、短をまし、長を引き、懇篤(こんとく)ならざる(な)し。 【好色】 こう(かう)しよく 美色を好む。〔論語、子罕〕吾(われ)未だを好むこと、色を好むが如きを見ざるなり。 【好食】 こうしよく 美食。 【好心】 こうしん 好意。 【好人】 こうじん 善人。 【好生】 こうせい 情け深い。 【好声】 こうせい 美声。 【好説】 こうせつ 論客。 【好戦】 こうせん 戦争ずき。 【好善】 こうぜん よい。 【好相】 こうそう よい人相。 【好僧】 こうそう 善僧。 【好憎】 こうぞう 愛憎。 【好竹】 こう(かう)ちく 美しい竹。〔晋書、王之伝〕時に中の一士大夫の家に好竹り。之れをんと欲し、(すなは)ち坐輿を出で、竹下に(いた)り、諷嘯良(やや)久し。人洒(さいさう)して坐せんとふ。之みず。 【好鳥】 こうちよう 佳禽。 【好適】 こうてき 似合う。 【好道】 こうどう 道を好む。 【好比】 こうひ 親しむ。 【好美】 こうび 美しい。 【好匹】 こうひつ 好仇。 【好婦】 こうふ 良婦人。 【好武】 こうぶ 武を好む。 【好風】 こう(かう)ふう 快い風。晋・陶潜〔山海経を読む、十三首、一〕詩 雨、東より來(きた)り 好風之れと(とも)なり 王の傳(穆天子伝)を覽(はんらん)し 山(経)の圖をす 【好物】 こう(かう)ぶつ よいもの。唐・白居易〔簡簡吟〕詩 大(おほむ)ね好物は堅牢(けんらう)ならず 雲は散じ易く、璃(るり)は(もろ)し 【好文】 こう(かう)ぶん 学問ずき。唐・岑参〔感旧の賦〕幸ひにして時の好にひ、滄浪の垂を學ばず。 【好弁】 こう(かう)べん 議論ずき。〔孟子、文公下〕子曰く、外人皆夫子(ふうし)辯を好むと(い)ふ。敢て問ふ、何ぞやと。孟子曰く、予(われ)豈に辯を好まんや。予、已(や)むことを得ざればなり。 【好慕】 こうぼ 慕う。 【好朋】 こうほう 良友。 【好妙】 こうみよう 絶妙。 【好夢】 こうむ 吉夢。 【好吊】 こうめい 吊を好む。 【好】 こうめい 茶。 【好問】 こうもん 問いずき。 【好用】 こうよう よい贈り物。 【好礼】 こうれい 礼を好む。 【好廉】 こうれん 潔白ずき。 【好弄】 こう(かう)ろう 遊び戯れることを好む。〔宋史、文苑五、黄伯思伝〕幼より、弄を好まず。日に書を誦すること千餘言。~古奇字を好む。
【下接語】 愛好 ・温好 ・嘉好 ・雅好 ・恰好 ・格好 ・玩好 ・旧好 ・好 ・娟好 ・交好 ・好 ・嗜好 ・肆好 ・時好 ・修好 ・醜好 ・少好 ・情好 ・親好 ・精好 ・静好 ・絶好 ・鮮好 ・相好 ・通好 ・適好 ・同好 ・美好 ・妙好 ・友好 ・容好 ・良好 ・隣好 ・麗好



【上】 3画 2110


【字音】ジョウ(ジャウ)・ショウ(シャウ) 【字訓】うえ ・かみ ・あがる ・のぼる ・たてまつる ・たっとぶ 【同訓異字】あがる・あげる くわえる たっとぶ たてまつる のぼる ほとり 【説文】 【甲骨】 【金文】 【その他】 【指事】
掌上に指示点を加えて、掌上の意を示す。〔説文〕一上に古文の字形をあげ、「高なり。此れ古の上、指事なり《という。卜文の字形は掌を上に向け、上に点を加え、下は掌を以て覆い覈(かく)す形で、下に点を加える。天子の意に用いるときは、清音でよむ。 ①うえ、うえの方。 ②たかい、ものの上、いただき。 ③場所的に、かみ。時間的に、はじめ、むかし。 ④たっとぶ、めうえ、君、尊位の人。 ⑤ゆたか、さかん。 ⑥ほとり、あたり。 ⑦あがる、のぼる、くわえる、しのぐ。 ⑧すすめる、たてまつる。 ⑨尚と通じて、こいねがう、くわえる、たっとぶ。 【古訓】
〔吊義抄〕上 カミ・ウヘ・アグ・タテマツル・スグル・ハツヲ・イタタク・ウツクシブ・マホル・ツカマツル・ノボル・ススム・ノル・サカユ・ホトリ・マヘ・タフトシ・タフトブ・タカシ・トホシ/以上 カムツカタ/向上 マハリアグ・ミアグレバ/上 トホツオヤ 【部首】
〔説文〕〔玉〕に(帝)・旁・下の三字を属する。は大きな祭卓の形、旁は凡と方とに従う形。いずれも上に従う字ではない。下は襾(か)(覆う)で、字形・字義において上の対文である。 【熟語】
【上衣】 じようい 上朊。 【上位】 じようい 高位。 【上意】 じよう(じやう)い・しよう(しやう)い 君主の心。漢・王褒〔聖主、賢臣を得るの頌〕其の君にひ、にふにんでは、籌(はかりごと)を(めぐ)らせば上(しやう)のに合ひ、諫諍(かんさう)せば則ち聽かる。 【上】 じよういん 身分ある婦人を犯す。 【上栄】 じようえい 屋上の両翼。 【上謁】 じよう(じやう)えつ 面会を求める。謁は吊刺。〔史記、張耳陳余伝〕陳、(き)よりり、陳に入るに至りて。兵數。張耳・陳餘、陳に上す。 【上賀】 じようが 賀を申す。 【上駕】 じようが よい馬。 【上格】 じようかく 高位。 【上官】 じようかん 上司。 【上浣】 じようかん 上澣。 【上澣】 じようかん(じやうくわん) 上旬。〔丹鉛総録、三、時序、三澣〕俗に上澣・中澣・下澣を以て、上旬・中旬・下旬と爲す。(けだ)し制、十日に一たび休沐(きうもく)するに本づく。 【上気】 じようき せき。 【上下】 じよう(じやう)げ・しよう(しやう)か 上と下。天地。長幼。尊卑。〔礼記、曲礼上〕君臣上下、子兄弟は、禮に非ざれば定まらず。 【上元】 じよう(じやう)げん 陰暦一月十五日。三元の一。家々に灯を飾る。〔旧唐書、中宗紀〕(景竜)四年春正~上元の夜、、皇后と、行して燈をる。 【上弦】 じよう(じやう)げん ゆみはり月。陰暦八・九日ごろの月。北周・王褒〔月を詠じて人に贈る〕詩 上弦は璧の如く 初魄(しよはく)は蛾眉(がび)に似たり 【上言】 じようげん 言上する。 【上源】 じようげん 上流。 【上戸】 じよう(じやう)こ 富家。酒好きの人。〔唐書、南蛮上、南詔伝上〕そ田五畝を雙と曰ふ。上官には田四十雙を授く。上は三十雙。是(ここ)を以て差あり。 【上古】 じよう(じやう)こ 大昔。〔易、辞伝下〕上古は結繩して治まる。後世の人、之れに易(か)ふるに書を以てし、百官以て治まり、民以て察(あき)らかなり。 【上午】 じようご 午前。 【上工】 じようこう 良工。 【上交】 じようこう 上に交わる。 【上行】 じようこう 上進。 【上肴】 じようこう 嘉肴。 【上衡】 じようこう 胸より上。 【上国】 じようこく かみがた。 【上懇】 じようこん 懇願する。 【上座】 じようざ かみ座。 【上裁】 じようさい ご裁決。 【上歳】 じようさい 豊年。 【上策】 じようさく 上計。 【上算】 じようさん 上策。 【上士】 じよう(じやう)し すぐれた人。〔老子、四十一〕上士はを聞きてはめて之れを行ひ、中士はを聞きては存するが(ごと)くするがく、下士はを聞きては大いに之れを(わら)ふ。はざれば以てと爲すに足らず。 【上巳】 じようし 桃の節句。 【上司】 じようし 上役。 【上肢】 じようし 両腕。 【上梓】 じようし 出版。 【上賜】 じようし 賜もの。 【上寿】 じよう(じやう)じゆ 最長寿。〔荘子、盗跖〕人の上壽は百、中壽は八十、下壽は六十なり。 【上熟】 じようじゆく 豊年。 【上春】 じようしゆん 孟春。 【上書】 じよう(じやう)しよ 上奏の文。〔鶴林玉露、甲六、斬檜書〕胡澹庵(銓)上書して、秦檜を斬らんことを乞ふ。金之れを聞き、千金を以て其の書を求め、三日之れを得たり。君臣色を失ひて曰く、南に人りと。 【上庠】 じようしよう 大学。 【上章】 じようしよう 上書。 【上乗】 じようじよう 駟馬。 【上手】 じよう(じやう)ず 技芸に達している人。〔顔氏家訓、雑芸〕卜筮は人の業なり。但だ世復(ま)た佳師無く、多く中(あ)つること能はず。~且つ十に六・七中つれば、以て上手と爲す。粗(ほぼ)大を知るも、委曲ならず。そ奇偶を射(せき)すれば、自然收す。 【上世】 じよう(じやう)せい 上古の世。〔孟子、文公上〕(けだ)し上世、嘗(かつ)て其の親をらざるり。其の親死すれば、則ち擧げて之れを壑(たに)に委す。他日之れを(よぎ)るに、狸之れをらふ。 【上清】 じようせい 空。 【上】 じようせい のぼる。 【上席】 じようせき 上座。 【上仙】 じようせん 昇仙。 【上船】 じようせん 乗船。 【上】 じようせん 上仙。 【上僭】 じようせん 僭越。 【上善】 じようぜん 至善。 【上訴】 じよう(じやう)そ 上に訴える。漢・班固〔東都の賦〕王、を作(な)す。~下民號(な)きて上訴し、上懷(おも)ひて監し、乃ち命を皇(光武帝)に致せり。 【上】 じようそ 上書。 【上奏】 じようそう 奏上。 【上層】 じようそう 上の段。 【上足】 じようそく 高弟。 【上則】 じようそく 上策。 【上第】 じよう(じやう)だい 上位の及第者。〔後漢書、献帝紀〕(初平四年)九甲午、儒生四十餘人を試み、上第には位中を賜ひ、には太子舊人、下第のは之れを罷(や)む。 【上代】 じようだい 上世。 【上台】 じようだい 御座所。 【上達】 じよう(じやう)たつ 進歩する。高明の域に達する。〔論語、憲問〕天を怨みず、人を尤(とが)めず。下學して上す。我を知るは、其れ天なるか。 【上知】 じよう(じやう)ち 明達の人。〔論語、陽貨〕子曰く、唯だ上知と下愚とは移らず。 【上智】 じようち 上知。 【上冢】 じようちよう 墓参。 【上朝】 じようちよう 出府。 【上潮】 じようちよう あげ潮。 【上直】 じようちよく 当直。 【上帝】 じよう(じやう)てい 天帝。〔書、盤庚下〕肆(ここ)に上將(まさ)に我が高のを復せしめ、我が家を亂(をさ)めしめんとす。~民命を恭承し、用(もつ)て地を新邑(盤庚遷都の地)に永うせん。 【上天】 じよう(じやう)てん 天空。また、上帝。〔書、泰誓上〕今王受(紂)、上天を(つつし)まず、災ひを下民にす。忠良を焚炙(ふんしや)し、孕(ようふ)を刳剔(こてき)す。 【上殿】 じようでん 昇殿。 【上等】 じようとう 上位。 【上頭】 じようとう 上の方、先頭。 【上徳】 じよう(じやう)とく 最上の徳。〔老子、四十一〕は昧(くら)きが(ごと)く、~上は谷のく、大白は辱のく、廣は足らざるがく、(健)は偸(おこた)るがく、質眞は渝(かは)るがし。 【上人】 しようにん 僧の尊称。 【上年】 じようねん 豊作。 【上紊】 じようのう 紊付する。 【上番】 じようばん 当番。 【上表】 じようひよう 上書。 【上品】 じようひん 高品。 【上賓】 じようひん 上客。 【上聞】 じようぶん 奏上。 【上奉】 じようほう 高給。 【上木】 じようぼく 上梓。 【上腴】 じようゆ 肥沃。 【上諭】 じようゆ 勅諭。 【上游】 じようゆう(じやういう) 上流。高いところ。〔史記、項羽紀〕曰く、古のは、地方千里、必ず上游に居ると。乃ちをして義を長沙の(ちん)縣に徙(うつ)さしむ。 【上洛】 じようらく 上京。 【上覧】 じようらん 天覧。 【上流】 じようりゆう(じやうりう) 川上。〔左伝、襄十四年〕を濟(わた)りて(やど)る。秦人、の上に毒す。師人多く死す。~欒黶(らんえん)曰く、晉國の命に、未だ是れらざるなり。余が馬首、東せんと欲すと。乃ち歸る。 【上路】 じよう(じやう)ろ みち。唐・王勃〔王閣の序〕驂(さんぴ)(馬車)を上路に儼(げん)にし、風景を崇阿に訪(と)ふ。 【上禄】 じようろく 高禄。
【下接語】 炎上 ・架上 ・海上 ・機上 ・今上 ・謹上 ・計上 ・献上 ・向上 ・江上 ・言上 ・坐上 ・最上 ・塞上 ・参上 ・至上 ・主上 ・掌上 ・霄上 ・身上 ・進上 ・世上 ・川上 ・奏上 ・太上 ・長上 ・頂上 ・呈上 ・天上 ・途上 ・波上 ・無上 ・路上 ・和上