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<年金未加入>小沢氏、首相との刺し違え狙い 国民年金をめぐる「未納政局」は17日夜、小沢一郎・民主党代表代行の代表選出馬辞退という事態まで至った。菅直人代表の未納問題を払拭(ふっしょく)し、反転攻勢に転じようとしていた矢先の小沢氏の未加入の発覚で、党内に激震が走った。しかし、小沢氏は同じ未加入問題を抱える小泉純一郎首相との刺し違えを狙っているとの見方も広がり、政府・与党からは「小沢さんは辞めるべきではない」の声が一斉に上がった。未加入の公表をめぐり、水面下で首相と小沢氏の激しい駆け引きがあったとの指摘も出ている。 ◇民主議員ため息 「年金不信はもはや頂点に達している。『政治責任は全くない』というわけにはいかない。次の政権を担う民主党の代表に私がなることはふさわしくない」 17日午後7時半。党本部で緊急に開かれた小沢氏の記者会見は、未加入の事実と代表選不出馬を簡単に告げただけで、わずか8分で終了した。 「小沢氏不出馬」の情報は、東京都内でパーティーを開いていた羽田孜元首相の元にもすぐに入った。羽田氏は「(国民年金が)任意加入の時代は、議員年金と国民年金に両方入ることは失敬な話という雰囲気だった。強制加入後も、チェックするような時間はなかった」と小沢氏を擁護。代表選について「この時点で小沢氏のような人材を失うのは残念だ」と肩を落とした。 小沢氏は菅氏の未加入問題について、発覚から辞任までに時間がかかったため「反転攻勢の機会を逸した」と考えていた。特に福田康夫官房長官(当時)が今月7日、菅氏に先行して辞任したことについて「菅氏が先に辞めれば、福田氏を辞任に追い込めた」とも語っていた。 それだけに自らについては「未加入の発覚―即代表選不出馬」という形でけじめをつけることで、首相と「刺し違え」る戦略を描いた――との見方が自民、民主両党内に広がっている。 小沢氏は17日夕、党幹部に電話で「小泉首相は私の未加入を知っていたから、あえて自分の未加入を14日に公表した」という見方を示し、そのために自ら身を切って首相に対抗する道を選んだことを明らかにした。 ただ、民主党は小沢氏の代表就任で、参院選での「小泉VS小沢」の対決構図を描いていた。岡田克也幹事長が17日夜、何とか代表就任を受諾したが、小沢氏に比較して迫力不足は否めない。18日夜には同党の資金集めパーティーが予定されているが、中堅議員は「参院選に向けての決起大会だったが、全く盛り上がらないものになってしまう」とため息をついた。 ◇年金法案審議、不透明に 参院厚生労働委員会は18日、年金制度改革関連法案の審議に入るが、小沢氏の未加入発覚で、審議の行方は全く読めない情勢となった。 18日の審議(6時間)のうち午後の3時間には小泉首相も出席する。民主党は当初、小沢氏を先頭に首相の予備校・留学当時の「未納」の可能性のほか、「説明責任不足」を追及する方針だった。今度は代表に就任する予定の岡田克也幹事長が先頭に立つが、小沢氏が未加入の責任をとったことで「小沢氏と同様の状況の首相も責任をとれ」と、首相に迫る構えだ。 これに対して細田博之官房長官は17日夜、小沢氏は義務化以前の未加入であり「代表を辞退する必要はない」と異例のコメントを公表した。また細田氏は同夜、NHKの報道番組で「(任意加入の期間に)払っていないからといって、国会議員として恥ずかしいということはない。歴史的認識としても間違っている。こんな重要なポストにつかないというのは理解できない」と述べ、小沢氏の対応を批判した。 「びっくりするニュースが入りました。小沢一郎さんが代表選立候補を取りやめたそうであります」。安倍晋三・自民党幹事長は17日夜、千葉市で講演中、差し入れられたメモで一報を知り、さっそく聴衆に報告した。会場からは拍手がわいたが、安倍氏は「これは拍手していいのか、なかなか難しい。我々は民主党の動向がどうあれ、党の政策をしっかりと説明していくことに集中したい」と付け加えた。 また公明党の冬柴鉄三幹事長も「任意加入の時期なので問題はない。それを理由に小沢氏が代表選に出ないのはさっぱり分からない」と記者団に語った。(毎日新聞)[5月18日3時16分更新] |
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