01 24(土) 学力テスト―理数教育の底上げを |
01 26(月) 学力テスト―理数教育の底上げを(続) |
高校生は学科や進学、就職など進路に応じて教育内容も決まってくる。もともと成績のばらつきは大きい。しかし、だからといって、このまま放置しておくわけにはいかない。 理数系は途中でつまずいたままにしておくとますます分からなくなる。小、中学校で基礎ができていなければ、なおさらだ。つまずいた生徒が入ってきても、そうしたことにはかかわりなく、学習指導要領に沿って教科書を漫然と教えているのが多くの高校の現実だろう。 高校でも小、中学校の内容にさかのぼって教える工夫があっていい。場合によっては、小学校の教員が中学校へ、中学校の教員が高校へ出向いて教えるなどの交流をすべきではないか。そうすることによって、どこでつまずいたか、なぜついていけなくなったのかを探ることもできる。 東京都の高校改革では、勉強についていけなくなった生徒がやり直せるよう「エンカレッジスクール」という試みが始まった。ここでは小学校で学ぶような基礎的な内容も改めて教える。こうした生徒に合わせた取り組みを広げていきたい。 学力テストと同時に実施したアンケートでは、授業がある程度分かる生徒が約4割しかいなかった。授業についていけないと、ますますやる気がうせるだろう。学校以外では勉強しない生徒も半分近くいた。 一方で、勉強が進学や受験、社会生活に役立つと考えている生徒ほど成績はいい。何らかの動機があれば、勉強する意欲も出てくるわけだ。 問題は、勉強する動機を見いだせない生徒をどう指導するかである。簡単ではないが、学校や大人たちが動機づけの場を幅広くつくっていくほかあるまい。生徒自身が気づかなかった将来の目的や職業意識、適性が引き出されることもある。 兵庫県では、すべての中学2年生を対象に、5日間職場体験やボランティア、福祉活動をさせる「トライやる・ウィーク」という活動がある。自分の進路を考えるうえで役に立ったという生徒が少なくない。 いまやほとんどの子供が高校に進む。それぞれの能力や個性を考えながら、数学や理科をはじめとする基礎学力や意欲をどう高めていくか。きちんと点検する時だ。 |