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折々の記 2003 B

【心に浮かぶよしなしごと】

【 01 】06/15〜        【 02 】06/20〜
【 03 】06/26〜        【 04 】08/13〜
【 05 】09/02〜        【 06 】09/24〜
【 07 】10/17〜        【 08 】10/31〜
【 09 】11/26〜        【 10 】12/03〜


【 01 】06/15〜

  06 15 父の日 ●月見草
  06 16 三つの恩 ●名不知草
  06 18 無知と偏見 ●睡蓮 ●喬木中学校での話(あらすじと参考データ)
  06 18 無知と偏見 《続き…ユネスコ憲章

 06 15(日)父の日

● 月見草……子供の頃から天竜川の土手によく咲いている。

※ 写真を誤って消去してしまいました。
  いずれ、復帰させる予定です。

六月中旬となると月見草が咲き始める。これは小川川が天竜川と合流した少し下方の伊久間堤防の土手で撮ったものである。月見草は天竜川の河原によく似合う。子供の頃からのイメージとして脳裏から離れることはないのである。楚々とした自己主張なのか、淡い黄色が心を和ませてくれるからなのか、その両方の理由からなのかもしれない。

●今日は父の日だという。五月の母の日とあわせて、息子夫妻から日本旅行のクーポン券がおくられてきた。

こんなことを記録するのもおかしな話だが、親というものはいつまで経っても子どもの身を案じておって、困ったことがあればどんなことでも助けたいと思うし、嬉しいことがあればどんなことでも親ばかになってしまうものなのだ。

齢をかさねてきてみると、こんなことにも「なるほど、なるほど」と思うようになる。

「孝行をしたいじぶんに 親はなし」  ……江戸川柳は言い得て妙、次の句も同じ
「さればとて、石にフトンをきせられず」……微笑ましく、軽く聞きながせれる一句
                     ではないか。
「たはむれに 母を背負いて そのあまり 軽きに泣きて 三歩あゆまず」
                   ……啄木の一句でした。
「うたたねも しかり手のなき 寒さかな」  ……一茶。

そうかと思うと、

「おや思う心にまさる親心 きょうのおとずれ(音信)なんと聞くらん」
                   ……処刑を前にした吉田松陰の歌。

そのものずばりではないか。

………………………………………………………………………………

いま手元に原名が Love You Forever で「ラヴ・ユー・フォーエバー」という童話の本があります。アメリカで1200万部を突破した超ベストセラー絵本とうたっています。

 おかあさんは うまれたばかりの あかちゃんを
 だっこしながら うたいます。

  アイ・ラヴ・ユー いつまでも
  アイ・ラヴ・ユー どんなときも
  わたしが いきているかぎり
  あなたは ずっと わたしのあかちゃん


 あかちゃんは どんどん 大きくなって
 2さいになり、9さいになり
 ティーンエイジャーに なりました。

 でも、よるになり しょうねんが
 ぐっすり ねむっているのを たしかめると
 おかあさんは こどもを だっこしながら
 うたうのでした・・・・・・・・・・。

これは要約したものなんですが、すばらしい童話です。しんみりとくる童話です。
次のような感想も載せられていました。

 「何度読んでも、涙が出てきてしまいます」―――21歳・女性
 「これは、童話をこえた名作童話です」―――34歳・男性
 「子育ての悩みが、とけていくようです」―――27歳・女性
 「母性の原点を見るような作品」―――32歳・女性

岩崎書店出版です。
  作者 ロバート・マンチ
  訳者 乃木りか
  挿絵 梅田俊作

私の親は四人ともすでになくなりました。それぞれから体の部分、大脳の部分、すべてにいろいろ沁みこんでいます。そんなふうに思っております。

私自身の親孝行を……子孝行・孫孝行にかえてその責を果たしていきたいと願っています。

 06 16(月) 三つの恩

●名不知草……近頃になってこの花が驚くほど多くなった。

※ 写真を誤って消去してしまいました。
  いずれ、復帰させる予定です。

気がつかなしにいたのだが、阿島橋下方の土手や河原にこの花がきれいに咲いている。写真は月見草を撮ったとき同じ伊久間堤防の河原で撮ったものである。子供の頃にはこんな花はなかったし、最近まで気がつかなかった。群生しているので若やいだ初夏を演出しているように見える。

名前がわからないので、わかった時点で修正するつもりでいる。

●父の日にちなんで大事な【三つの恩】について記録しておきたい。

第一の恩は、自分をこの世に産み育ててくれた【親の恩】です。一人で今日まで大きくなったわけではない。言われてみればその通りなのである。産んでくれと頼んでうまれたわけでもない。言われてみればその通りなのである。

産み育ててくれた恩の中身はなにか。 第一には、たえず命の安全を願っての心配りである…慈愛といってもいいのかも知れない。熱があれば心配し、にっこりすれば喜んでくれ、下痢をすればどうしてかなと考えてくれ、怪我をすれば医者に連れて行ってくれた。

このことは、動物世界でも全く同じであり、動物だからといって馬鹿にしてはいけない。親が動物を馬鹿にしない限り、子どもは決して動物を馬鹿になどしないものである。
ことばをかえて言えば、「ま〜ずこの子はヤンカでしょうがない」と言う親があったら、親がヤンカだったからそうなった、ということなのである。行住坐臥、生活態度については一挙手一投足、しぐさから顔の表情まで、すべては子どもの大脳にプリントされていくからである。

大脳へのインプットといえば驚くべき TV 映像があった。京都大学の類人猿の研究所だったのだろうか。ともかく NHK で放映しました。
それは親が産み育てた猿が母親になって出産すると、親がしたとおりの慈しみ方をするのである。そんなことは当たり前じゃないか、その通り当たり前なことなのである。なんの不思議もない。
ところが、親が産み育てなかった猿、即ち、出産直後親からはなれて人間による人工飼育で育てられた猿が、母親になって出産すると、とんでもないことが起こったのである。母親猿はびっくり驚嘆、オドロキ跳ね上がって、囲い網にしがみついてギャァギャァ叫んだのである。愛しそうな眼差しでだいじに抱っこするどころではなかったのである。

あの、いたいけな出産直後の赤ちゃんは、われれが想像する以上に、もの凄いそして確実な大脳インプットが行なわれるのである……それが、この映像の結論なのである。テレビではこの言い方はしなかったが、ピアスの理論をみていると、こういう言い方は間違いない。
  ビアス著 「マジカル・チャイルド」 日本教文社発行

ちょっと横道へそれたが、命への心配り…慈愛が第一である。
中身の第二は「這えば立て、立てば歩めの親心」であろう。生きる意欲を一所懸命に育ててくれた恩でしょう。そんなことは当たり前と言われればその通りなのである。だが、励まされて「よし、やろう」という意欲が心の中に育てられなかったら、どうなんでしょうか。これは動物がもっている本能的に備えられている能力だといえばそのとおりなのである。この「はげまし」は誰にとっても生まれたときから棺おけに入るまで、ずっと必要なことなんです。人間はことに、そんなようにできてきています。

中身の第三は、第一の中にいれてもいいんですが、別にしたほうが判りやすいので取り出したもので、「衣食住の保障」でしょう。どんなに貧しくても、自分の食べるものもけずって子どもにたべさせ、自分の着るものも作らず子どもに着せ、生活をよじめても子どものものを手に入れてくれた……こんなことは親でなければ、とてもできることではないんです。無償の愛はすてきだという観念をしばしば他人から聞くわけだが、キリスト教であろうが、仏教であろうが、イスラムであろうが、親のことを見てみればそこに「無償の愛」があるではないか。無償の愛には応えなければならない。親孝行はしなければならない。親の恩に報いなければならないのです。

三つの恩の第二番目は【人様の恩】です。自分がこんにちここにあるのは、人様の恩がないかぎりありえないのです。現に目の前にあるパソコンは人様が作ったものです。当たり前のことじゃないかといえば当たり前のことです。じぁあ、自分で作ったのかと言われればそうじゃないと応えます。当たり前と言えば当たり前のことです。パソコンは自分のお金を作った人に渡して受け取ったものであり、自分のものである。当たり前といえば当たり前なんです。じゃあ、お金はどうしたのといえば働いたからだと言います。

堆厩肥を田畑へまいて食べ物を作ったり、汗にまみれてガラスを作ったり、ベルトコンベアの前で同じ仕事をずっと続けたり、危険があろうとも遠くの海へ漁に出かけたり、それぞれ一所懸命に汗を流し身を粉にして働いているのです。そして汗の代償としてお金を手に入れるのです。

《物には命がある》と昔の人は言いました。
家族のために汗を流してお父さんが作った、歩道の一尺四方のコンクリート板を、何枚もはがしてそれを投げている闘争の姿を見たことがあった。汗の結晶の作品が踏みにじられていたのである。戦争はその最たるものでした。

自分が買ったものだからといって、無駄にすることが多い。
食べ物に好き嫌いを言う人、人の目もはばからず着るものを無駄にする人など、作った人の心を踏みにじることになるのではないか。

仏像が沢山あるところへ旅行に行った折など、最初は合掌して拝んでいるけれど、そのうち合掌も省いてしまうことが多い。いくつもの仏像を一まとめにして拝むわけでもない。どうして仏像に合掌するのだろうかといえば、仏像だからさ、と返事が来るかもしれない。有名な仏像だから合掌する、みんなが合掌しているから合掌する、というのは、もともと可笑しいのである。
作者がどんな気持ちで仏像を作ったのか、その心と向かい合って合掌するのが心がけでしょう。

家屋自体も家の中にあるすべてのものも、身につけているものすべて、その一つ一つは人様が作ったものであります。作った人の気持ちになって身を処していかなければならないのです。自分も人様の使うものをまたは要るものを作っていきたいものです。報恩の第二です。

“ものには命がある”このことを大事な言葉として大脳の中核に納めこんでおきたいものです。

三番目は【自然への恩】です。
わが子ですら実は自分たちの子とはいえません。私たちは髪の毛一本たりとも作ることはできないのです。天地自然の不思議な力によるものです。

籾を播き、ねぎの種を播き、手入れをしていると米が取れるし葱も収穫できる。自然の恩恵である。自然の力である。大自然の力によって食べものがとれるし、着物の材料も手にはいるし、家を建てる木材も与えられる。
自分が生かされているのは、大自然の恩恵があればこそであり、古来人々は自然の力に謙虚な気持ちで感謝し、朝夕太陽に向かってさえ合掌して感謝してきました。

誰でも好きな花があります。花は人の心を癒してくれます。鳥の鳴き声もいいものです。犬や猫も山羊や牛も飼っていますとなついてくれます。ともに生かされている共生の恵みだと言えるでしょう。自然の恵みを受けている中でともに生を謳歌できるのです。

自分を支えてくれる衣食住も、家畜や鳥や花ですら自分を支えてくれているのです。お世話になっているのです。私たちはそのことをよく理解して、衣食住や、家畜や鳥や花ですら感謝するとともに大切にしてあげなければならないのです。

親には頭を下げなければなりません。
人様にも頭を下げなければなりません。
ものを大切にし家畜や鳥や花にも頭を下げなければなりません。

頭を下げるというのは、第一の心がまえのことであり、心構えができたならば、三つの恩に報いていくために具体的な行動を始めなければなりません。

具体的なことは、それぞれ一人一人に応じて、最善のことをプログラムしなければならない。

  指ふるることのみばかり思えただ かえらぬ昔しらぬゆくすえ

「三つの恩」に報いるというのは、以上のことです。

 06 18(水) 無知と偏見

●睡蓮……今年も睡蓮の時期になった。

※ 写真を誤って消去してしまいました。
  いずれ、復帰させる予定です。

家の近くに珍しい五叉路があるが、その角まに三角の形をした池がある。この池に数年前から地主の方が睡蓮を浮かべたものである。いまは白と赤と淡黄色の三種類の花が咲く。

喬木中学校での話(あらすじと参考データ)

折々に学校へ行くのだが、校舎から体育館へ入ったのは始めてであった。

今年は喬木中学校が人権作文の指定校になっていて、人権擁護委員は生徒たちに意識を高めてもらうためにお話をすることになっていたのである。話し方は前々から上手くないので生徒たちに失礼だったが仕方のないことであった。

話のあらすじ参考データのプリントを載せておく。

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【 無知と偏見について 】6月18日

  ※題名の「無知と偏見」の意味
   ユネスコ(国際連合教育科学文化機構)憲章の前文は名文と言われています。
   その前文にでてくる言葉です。
    ignorance=@無知、無学 A〔…を〕知らないこと、不案内(of)
    prejudice=@偏見、ひがみ、先入観〈ラテン語「前もっての判断」の意から〉

1 みんなの約束ごと
   国際連盟 → 国際連合 → 世界人権宣言やユネスコ憲章
   ・世界の現状

2 どのようにして「平和のとりで」を心のなかに、築いたらいいのだろうか。
      …… 〈しらないこと〉や〈先入観〉をよくしていくために ……
          ― すべては自分でやっていける ―
  @ 自分は何者?
    ・「北キツネ物語」・「Love You Forever」・「The Giving Tree」・「松陰の辞世」
    ・親子の絆は、自分の意志ではなく、生体本然のしくみであり、
     人は強いられずとも、常にじぶんを築くようにインプットされている。(ピアス)
  A 知ることは、大事なこと
    ・「学問ノススメ」 ・「鈴木鎮一」 ・「自由と規律」  ・「松下村塾」
    ・「進徳館  ・「めくらとぞう」
    ・先人の教えを大事にすること。
  B すべては真似からはじまる……大脳へのインプット法
    ・親の癖も子どもに伝わる  ・0歳児からのスタート
    ・孟母三遷のおしえ  ・絶対音感の習得
    ・くりかえしがインプットの基本原則  ・青雲の志  ・玉木文之進

3 困ったことにどう立ち向かう?
      …… 自分はどうしたらいいの ……
  @ 単数思考を大事にすること
    ・「赤信号みんなで渡ればこわくない」おちいりやすい体質
    ・単数思考の中心は、《本当のこと》を求めることを基にする。
  A 困っている人(身障者 仲間はずれ 貧乏 ぼけ老人 口の悪い人 かげぐち
     いじめ)に出会ったらどうする?     
    ・自分がまちがっていたら「ごめんなさい」。
    ・自分が相手だったらと立場を変える。 …… どんな子にも親がある ……
    ・《本当のこと》に照らしてみて、最もいい方法はないか。
    ・適切な人から助言をいただく。
    ・自分を高めるしかない場合もある。

4 自分の心をどのようにして高めていったらいい?
      …… 今すぐでなくていい、生涯の自分の課題です ……
  @ 三つの恩(親の恩、人様の恩、自然の力への恩)
  A すてきな人(故人、目の前の人)や物から学ぶ方法
  B 本やPCその他からの情報収集による方法
    ・金子みすヾ  
    ・与謝野晶子の詩  
    ・良寛様  
    ・広島の原爆の碑
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【参考データ】… 法令関係や社会事象のデータ

@ 日本国憲法  http://www.houko.com/00/FS_ON.HTM
  前文には・国民主権・平和主義・基本的人権が基本になることが表記されている。

A 人権擁護局  http://www.moj.go.jp/JINKEN/
  全国中学生人権作文コンテスト
   人権擁護に関する世論調査
   2. 主な人権課題に関する意識について

B 世界人権宣言  http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/udhr/

宣言案は、1948年12月10日に第3回国連総会において「世界人権宣言」(Universal Declaration of Human Rights)として賛成48、反対0、棄権8(ソ連、ウクライナ白ロシア、ポーランド、チェコスロバキア、ユーゴスラビア、サウジアラビア、南アフリカ)、欠席2(ホンジュラス、イエメン)で採択されました。同宣言は、人権及び自由を尊重し確保するために、すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準を定めたものです。なお、1950年の第5回国連総会において、毎年12月10日を「人権デー」(Human Rights Day)として、世界中で記念行事を行うことが決議されました。

☆ 世界人権宣言とは
第二次世界大戦は5,600万人を越える犠牲者を出した悲惨な戦争でした。
この厳粛な経験から、二度と戦争を起こさないためには、全世界で基本的人権が確立されなければならない、ということが理解されました。
そこで、世界各国の人々及び国が、達成すべき基本的人権の基準を宣言したのが、「世界人権宣言」です。
世界人権宣言の基本にあるのは、すべての人間は生まれながらにして自由であり平等である、という理念です。そして、基本的人権は、いかなる差別を受けることなく享有できなければならないと宣言しています。

C 児童の権利に関する条約  http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/

D 日本ユネスコ国内委員会  http://www.mext.go.jp/unesco/
  ユネスコ関係の法令
   ユネスコ憲章  http://www.mext.go.jp/unesco/horei/kensyo.htm#top

   戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に
   平和のとりでを築かなければならない。

   相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世
   界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり、
   この疑惑と不信のために、諸人民の不一致があまりにもしば
   しば戦争となった。

   ここに終りを告げた恐るべき大戦争は、人間の尊厳・平等・
   相互の尊重という民主主義の原理を否認し、これらの原理の
   代りに、無知と偏見を通じて人間と人種の不平等という教義
   をひろめることによって可能にされた戦争であった。

E 英文 ユネスコ憲章前文
   http://www.ai.wakwak.com/~yoshi-shimo/moto.136.html
  〔ヘルマータ(~)は【shift】+【へ・キー】で印字される〕

F 国際連合憲章
   http://133.95.147.169/webtreaty/human%20rights/unchart.htm

G 「爆弾はいらない 子どもたちに明日を」
   http://homepage2.nifty.com/mekkie/peace/iraq/
  イラクへの侵略および占領に反対するサイトです。

H アサヒコム「北朝鮮拉致事件」のサイト
   http://www.asahi.com/special/abductees/
  全体の経過を知っておく必要がある。

I 北朝鮮による日本人拉致問題総合情報サイト
   http://dprk.yellowbirds.org/

J 朝鮮日報 政治サイト
   http://japanese.chosun.com/politic/

●心の内部へ向かうもの

K The Blind Men and the Elephant

「めくらとぞう」子供の頃学校で聞いた話である。
それが、ジャパンノレッジ内をジャンプしていて出会ったのである。

情報はすべて正しければ世話はないが、あらゆる分野から、あらゆる角度付けで、何らかの価値基準の判断によって編集され、情報として一人一人の(大脳という)データーバンクに取り込まれる。そしてそのデータの中から己自身の思考がすすめられ、外部へ言葉として或は文字として伝えられる。

事実は事実なんだろうけれど、それぞれの情報表現は異なる価値基準によって報道されているのである。正しいとか正しくないとかを問題にすることはもともと正しいかどうかは判らないからナンセンスというもので、どういう価値基準によって事象をとらえ伝達しているかこそ問題なのである。

そんな意味では、誰もが消化不良に陥る。

参考までにジャパンノレッジのデータをあげておく。
 http://www.japanknowledge.com/cgi-bin/auth/common.cgi
    ………………………………………………………………………………

 《6人の盲人と象…The Blind Men and the Elephant》

南インドの海遊漁民タミール族の「6人の盲人が象を触って、それぞれ触ったところによって異なった全体像を想像した」ということわざで、米国の詩人John Godfrey Saxe(1816-1887)が現代英語に翻訳して、実際に触っても、全体を見ることができなければ、それぞれが触った部分から勝手に全体を想像することになり、理解は10人10色であるという「ことわざ」として世界中に知られるようになった。

It was six men of Indostan to learning much inclined Who went to see the elephant though all of them were blind, That each by observation might satisfy his mind.

The First approached the elephant, and happening to fall Against his broad and sturdy side, at once began to bawl: 'God bless me! But the elephant is very like a wall!'

The Second, feeling of the tusk, cried, 'Ho! What have we here So very round and smooth and sharp? To me 'tis mighty clear This wonder of an elephant is very like a spear!'

The Third approached the animal, and happening to take The squirming trunk within his hands, thus blodly up and spake: 'I see,' quoth he, 'the Elephant is very like a snake!'

The Fourth reached out an eager hand, and felt about the knee, 'What most this wondrous beast is like is mighty plain,' quoth he; ' 'Tis clear enough the Elephant is very like a tree!'

The Fifth, who chanced to touch the ear, Said: 'E'en the blindest man can tell what this resembles most; deny the fact who can This marvel of an elephant is very like a fan!'

The Sixth no sooner had begun about the beast to grope, than, seizing on the swinging tail that fell within his scope, 'I see,' quoth he, 'the Elephant is very like a rope!'

And so these men of Indostan disputed loud and long, each in his own opinion exceeding stiff and strong, though each was partly in the right, and all were in the wrong!

Moral:

So oft in theologic wars, the disputants, I ween, rail on in utter ignorance of what each other mean, and prate about an elephant; not one of them has seen!

この話は各自が実際に観察して納得しようとして、盲人だったけれども像を見に行った学問好きな六人のインド人のお話です。

一番目の人は、象に近づくなりその幅広いどっしりした脇腹にもたれかかり、すぐ大声で言いました。
「何ということだ、象は壁のようなものだ」

二番目の人は、牙に触ってから大声で言いました。
「ホォー! 丸くて滑らかで先が尖っている、これは一体なんだろう? わかったぞ、象は槍のようなものなんだ!」と。

三番目の人は、象に近づいていって両手でブラブラしている鼻を手にして言いました。
「わかったぞ。象というのはまるで蛇に似ているよ。」と。

四番目の人は、静かに手を伸ばして象の膝を探しあて、
「この不思議な動物が似ているものと言えば、えらい判りやすいもので、象はまさに木のような動物だよ。」と言いました。

五番目の人は、偶然、耳に触って言いました。
「一番目の悪い人でさえ、象が何に似ているか言い当てれるともさ。象が団扇うちわのようなものだという驚くべき事実誰が否定できようか。」と。

最期の六番目の人は、象を手探しし始めると程なく手に触れたブラブラしている尻尾をつかんで、
「判ったぞ、象というのはちょうどロープのようなものさ」と言いました。

こんなふうにして六人の盲人は、それぞれ部分的には正しく相対的には正しくなかったけれども、自分の意見を理不尽にも限度を超えてまで主張し、大声で長い時間議論をしたのです。

教訓:

よく神学上の論争の中で、当の討論者は相手が何を言っているのかお構いなしにののしりあう様は、盲人と象についての話と同じだと思います。誰一人として象の全体を理解していないのにですよ!〔日本語はてまえ訳〕
    ………………………………………………………………………………

L 学問のすすめ……福沢諭吉

天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと云へり。
されば天より人を生ずるには、万人は万人皆同じ位にして、生れながら貴賎上下の差別なく、万物の霊たる身と心との働を以て天地の間にあるよろづの物を資り、以て衣食住の用を達し、自由自在、互に人の妨をなさずして各安楽にこの世を渡らしめ給ふの趣意なり。
されども今広く此人間世界を見渡すに、かしこき人あり、おろかなる人あり、貧しきもあり、富めるもあり、貴人もあり、下人もありて、其有様雲と泥との相違あるに似たるは何ぞや。其次第甚だ明なり。実語教に、人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なりとあり。されば賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとに由て出来るものなり。又世の中にむづかしき仕事もあり、やすき仕事もあり。其むづかしき仕事をする者を身分重き人と名づけ、やすき仕事をする者を身分軽き人と云ふ。都て心を用ひ心配する仕事はむづかしくして、手足を用る力役はやすし。

M 「君死にたまふことなかれ」……与謝野晶子
  http://www.biwa.ne.jp/~kamiya/study/log/5.html

   あゝをとうとよ、君を泣く、
   君死にたまふことなかれ、
   末に生れし君なれば
   親のなさけはまさりしも、
   親は刃をにぎらせて
   人を殺せとをしへしや、
   人を殺して死ねよとて
   二十四までをそだてしや。〔七五調新体詩〕

N 五箇条の御誓文……明治政府の基本方針

一 広ク会議ヲ興シ万機公論ニ決スベシ
一 上下心ヲ一ニシテ盛ニ経綸ヲ行フベシ
一 官武一途庶民ニ至ル迄各其志ヲ遂ゲ人心ヲシテ倦マザラシメン事ヲ要ス
一 旧来ノ陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ基クベシ
一 智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スベシ
我国未曾有ノ変革ヲ為ントシ、朕躬ヲ以テ衆ニ先ンジ、天地神明ニ誓ヒ、大ニ斯国是ヲ定メ、万民保全ノ道ヲ立ントス。衆亦此旨趣ニ基キ協心努力セヨ。

O 金子みすヾWorldの紹介

薄命の詩人、金子みすヾ、研ぎ澄まされたその感性は、情緒のもやを通りぬけほんとうのことそのものに到達している。
http://home.owari.ne.jp/~fukuzawa/misuzu0%2C.htm
    ………………………………………………………………………………
第5章 さびしいとき
小学校時代の恩師の大島ヒデ先生はみすヾを回想して、「友達とけんかをしたということを聞いたことも見たこともありませんでした。みんな金子さんを、何かしら心の中で尊敬していたように見えました。本当に金子さんは、優しくて、ていねいで、色白でふっくらとしたきれいな少女でした」と述べている。

    私と小鳥と鈴と

   私が両手をひろげても、
   お空はちっとも飛べないが、
   飛べる小鳥は私のやうに、
   地面(じべた)を速くは走れない。

   私がからだをゆすっても、
   きれいな音は出ないけど、
   あの鳴る鈴は私のやうに、
   たくさんな唄は知らないよ。

   鈴と、小鳥と、それから私、   みんなちがって、みんないい。

小学校で一年後輩だった中村ツルエさんは、「学校や道で顔を合わせたりすると、ほっと笑うんです。その笑顔を見ると、こちらまで嬉しくなるようでした。みんな金子さんのことを憧れていました」と回想している。

たしかに、みすヾは小学校や女学校で先生や級友たちの信頼が厚く、成績も優秀だった。ずっと級長も務めている。しかしそんな優等生の彼女にも心底からさびしいときがあったのだろう。

   さびしいとき

   わたしがさびしいときに、
   よその人は知らないの。

    わたしがさびしいときに、
   お友だちはわらうの。

    わたしがさびしいときに、
   お母さんはやさしいの。

    わたしがさびしいときに、
   ほとけさまはさびしいの。

みすヾは幼い頃から、周囲にやさしく、礼儀正しくて、いつも笑顔を絶やさなかった。しかし、決して人と争わない優しい人だっただけに、いろいろとものに感じて深く考えることもあったのだろう。そしていつか彼女の心の奥深くで、生きることの根源的なさびしさのようなものが、ひそかに深められていたのかも知れない。
………………………………………………………………………………

 06 18(水) 無知と偏見《続き…ユネスコ憲章》

次に載せるユネスコ憲章は http://www.unesco.or.jp/meguro/unesco/charter-j.html に出ているものですから、わざわざ載せなくてもいいと思ったのだが、やっぱり大事なデータだし載せたかった。

国際連合教育科学文化機関憲章 (ユネスコ憲章)

前文
 この憲章の当事国政府は、その国民に代って次のとおり宣言する。
 戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなけれ
 ばならない。
 相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不
 信をおこした共通の原因であり、この疑惑と不信のために、諸人民の不一致があまりに
 もしばしば戦争となった。
 ここに終りを告げた恐るべき大戦争は、人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義
 の原理を否認し、これらの原理の代わりに、無知と偏見を通じて人間と人種の不平等と
 いう教義をひろめることによって可能にされた戦争であった。
 文化の広い普及と正義・自由・平和のための人類の教育とは、人間の尊厳に欠くことの
 できないものであり、且つすべての国民が相互の援助及び相互の関心の精神をもって果
 さなければならない神聖な義務である。
 政府の政治的及び経済的取極のみに基く平和は、世界の諸人民の、一致した、しかも永
 続する誠実な支持を確保できる平和ではない。よって平和は、失われないためには、人
 類の知的及び精神的連帯の上に築かなければならない。
 これらの理由によって、この憲章の当事国は、すべての人に教育の充分で平等な機会が
 与えられ、客観的真理が拘束を受けずに探究され、且つ、思想と知識が自由に交換され
 るべきことを信じて、その国民の間における伝達の方法を発展させ及び増加させること
 並びに相互に理解し及び相互の生活を一層真実に一層完全に知るためにこの伝達の方法
 を用いることに一致し及び決意している。
 その結果、当事国は、世界の諸人民の教育、科学及び文化上の関係を通じて、国際連合
 の設立の目的であり、且つその憲章が宣言している国際平和と人類の共通の福祉という
 目的を促進するために、ここに国際連合教育科学文化機関を創設する。


第1条 目的及び任務

1  この機関の目的は、国際連合憲章が世界の諸人民に対して人種、性、言語又は宗教の
 差別なく確認している正義、法の支配、人権及び基本的自由に対する普遍的な尊重を助
 長するために教育、科学及び文化を通じて諸国民の間の協力を促進することによって、
 平和及び安全に貢献することである。
2  この目的を実現するために、この機関は、次のことを行う。
(a)大衆通報(マス・コミュニケーション)のあらゆる方法を通じて諸人民に相互に知り
  且つ理解することを促進する仕事に協力すること並びにこの目的で言語及び表象によ
  る思想の自由な交流を促進するために必要な国際協定を勧告すること。
(b)次のようにして一般の教育と文化の普及とに新しい刺激を与えること。
  加盟国の要請によって教育事業の発展のためにその国と協力すること。
  人種、性又は経済的若しくは社会的な差別にかかわらない教育の機会均等の理想を進
  めるために、諸国民の間における協力の関係をつくること。
  自由の責任に対して世界の児童を準備させるのに最も適した教育方法を示唆すること。
(c)次のようにして知識を維持し、増進し、且つ、普及すること。
  世界の遺産である図書、芸術作品並びに歴史及び科学の記念物の保存及び保護を確保
  し、且つ、関係諸国民に対して必要な国際条約を勧告すること。
  教育、科学及び文化の分野で活動している人々との国際的交換並びに出版物、芸術的
  及び科学的に意義のある物その他の参考資料の交換を含む知的活動のすべての部門に
  おける諸国民の間の協力を奨励すること。
  いずれの国で作成された印刷物及び刊行物でもすべての国の人民が利用できるように
  する国際協力の方法を発案すること。
3  この機関の加盟国の文化及び教育制度の独立、統一性及び実りの多い多様性を維持す
  るために、この機関は、加盟国の国内管轄権に本質的に属する事項に干渉することを
  禁止される。


第2条 加盟国の地位

1  国際連合の加盟国の地位は、国際連合教育科学文化機関の加盟国となる権利を伴う。
2  この憲章の第10条によって承認されるべきこの機関と国際連合との間の協定の条件
  に従うことを条件として、国際連合の加盟国でない国は、執行委員会の勧告に基き、
  総会の三分の二の多数の投票でこの機関の加盟国となることを認められることができ
  る。
3  国際関係の処理について責任を負わない地域又は地域群は、その国際関係について責
  任を負う加盟国その他の当局が当該地域又は地域群に代って行った申請に基き、総会
  が、出席し且つ投票する加盟国の三分の二の多数によって準加盟国として認めること
  ができる。準加盟国の権利及び義務の性質及び範囲は、総会が決定する。
4  この機関の加盟国で国際連合の加盟国の権利及び特権の行使を停止されたものは、国
  際連合の要請に基き、この機関の加盟国の権利及び特権を停止される。
5  この機関の加盟国で国際連合から除名されたものは、自動的にこの機関の加盟国では
  なくなる。
6  機関の加盟国又は準加盟国は、事務局長にあてた通告により機関から脱退することが
  できる。この通告は、それが行われた年の翌年の12月31日に効力を生ずる。このよう
  な脱退は、それが効力を生じた日に機関に対して負っている財政上の義務に影響を及
  ぼすものではない。準加盟国の脱退の勧告は、その準加盟国の国際関係について責任
  を負う加盟国その他の当局がその準加盟国に代って行う。


第3条 諸機関

この機関は、総会、執行委員会及び事務局をもつ。


第4条 総会

A  構成
 1  総会は、この機関の加盟国の代表者で構成する。各加盟国の政府は、国内委員会が
   設立されているときはこれと、国内委員会が設立されていないときは教育、科学及
   び文化に関する諸団体と、それぞれ協議して選定する5人以内の代表を任命しなけ
   ればならない。
B  任務
 2  総会は、この機関の政策と事業の主要な方針を決定する。総会は、執行委員会が提
   出した計画についての決定をする。
 3  総会は、望ましいと認めるときは、総会が定める規則に従い、教育、科学、人文学
   又は知識の普及に関する国家間の国際会議を召集する。同様の議題に関する非政府
   機関間の会議は、総会又は執行委員会が前記の規則に従い召集することができる。
 4  総会は、加盟国に提出する提案の採択に当り、勧告と加盟国との承認を得るために
   提出される国際条約とを区別しなければならない。前者の場合には、過半数の投票
   で足りるが、後者の場合には、三分の二の多数を必要とする。各加盟国は、勧告又
   は条約が採択された総会の閉会後1年の期間内に、その勧告又は条約を自国の権限
   のある当局に提出しなければならない。
 5  総会は、第5条5(c)の規定に従うことを条件として国際連合が関心を有する事
   項の教育、科学及び文化に関する面について、この機関と国際連合との適当な当局
   の間で合意した条件及び手続に従い、国際連合に助言する。
 6  総会は、加盟国が4に規定する勧告及び条約に基いてとった措置に関しこの機関に
   送付する報告書又は総会が決定するときはその報告書の分析的概要を受領し及び検
   討する。
 7  総会は、執行委員会の委員を選挙し、且つ、執行委員会の勧告に基いて、事務局長
   を任命する。
C  表決
 8  (a)各加盟国は、総会において一の投票権を有する。決定は、この憲章の、又は
      総会の手続規則の規定によって三分の二の多数を必要とする場合を除き、単
      純過半数によって行う。過半数とは、出席し且つ投票する加盟国の過半数と
      する。
   (b)加盟国は、その国の未払分担金の総額が、当該年度及びその直前の暦年度に
      ついてその国が支払うべき分担金の総額をこえるときは、総会で投票権を有
      しない。
   (c)もっとも、総会は、支払の不履行が加盟国にとってやむを得ない事情による
      ものであると認めたときは、当該加盟国に投票することを許すことができる。
D  手続
 9  (a)総会は、通常会期として2年ごとに会合する。総会は、自ら決定したとき、
      執行委員会が召集したとき、又は少なくとも加盟国の三分の一の要求があっ
      たときは、臨時会期として会合することができる。
   (b)各会期において、次回の通常会期の開催地は、総会が指定する。臨時会期の
      開催地は、総会がその会期を召集する場合には総会が決定し、その他の場合
      には執行委員会が決定する。
 10 総会は、その手続規則を採択する。総会は、各会期において議長及び他の役員を選
   挙する。
 11 総会は、特別委員会及び技術委員会その他の総会の目的のために必要な補助機関を
   設ける。
 12 総会は、その定める規則に従うことを条件として、会合が公開されるように措置し
   なければならない。
E  オブザーヴァー
 13 総会は、執行委員会の勧告に基づき、且つ、三分の二の多数によって、その手続規
   則に従うことを条件として、総会又はその委員会の特定の会期に第11条第4項に規
   定されているような国際機関の代表者をオブザーヴァーとして招請することができ
   る。
 14 執行委員会が民間の又は準政府的の国際諸機関のために協議に関する取極を第11条
   第4項に規定されている方法で承認したときは、これらの諸機関は、総会及びその
   委員会の会期にオブザーヴァーを送ることを勧誘される。


第5条 執行委員会

A  構成
 1  執行委員会は、加盟国が任命した代表の中から総会が選挙した40人の委員で構成し
   各委員は、自己が国籍を有する国の政府を代表する。総会議長は、職権により助言
   的資格で列席する。
 2  執行委員会の委員を選挙するに当り、総会は、芸術、人文学、科学及び教育につい
   て並びに思想の普及について有力であり、且つ、経験的及び能力によって委員会の
   行政上及び執行上の任務を果す資格を有する者を含めるように努力しなければなら
   ない。総会は、また、文化の多様性及び均衡のとれた地理的分布にも考慮を払わな
   ければならない。加盟国の国民は、総会議長を除き、一人をこえて同時に委員会の
   委員となることができない。
 3  執行委員会の委員は、自己が選挙された総会の会期の閉会の時からその選挙が行わ
   れた総会の会期の後第2回目の通常会期の閉会の時まで在任する。それらの者は、
   引き続いて再選されることはできない。総会は、各通常会期において、当該通常会
   期の終了の時に生ずる欠員を補充するために必要な数の委員を選挙する。
 4  執行委員会の委員のうち死亡し、又は辞任した者がある場合には、執行委員会は、
   その者が代表していた政府の指名により、その者の任期の残りの期間在任する後継
   者を任命する。指名を行う政府及び執行委員会は本条2に掲げる条件に考慮を払わ
   なければならない。
B  任務
 5  (a)執行委員会は、総会の議事日程を準備する。執行委員会は、第6条3に従い事
      務局長が提出したこの機関の事業計画及びそれに対応する予算見積書を検討
      し、且つ、それらを望ましいと認める勧告を附して総会に提出する。
   (b)総会の権威の下に行動する執行委員会は、総会が採択した計画の実施につき
      責任を負う。執行委員会は、総会の決定に従い、且つ、通常会期との間に生
      じた事情を考慮して、事務局長がその計画を有効且つ合理的に実施すること
      ができるようにするために必要なすべての措置を執る。
   (c)執行委員会は、総会の通常会期と通常会期との間において、助言を求められ
      た問題が総会により既に原則的に処理されているとき、又はその解決が総会
      の決定の中に含まれていると認められるときは、第4条第5項に掲げる国際連
      合の助言者としての任務を遂行することができる。
 6  執行委員会は、新加盟国がこの機関に加入することの承認を総会に勧告する。
 7  総会の決定に従うことを条件として、執行委員会はその手続規則を採択する。執行
   委員会は、その委員の中からその役員を選挙する。
 8  執行委員会は、定期会期として毎年少くとも2回会合するものとし、議長がその発
   意によって又は執行委員会の6人の委員の要請に基いて招集したときは、特別会期
   として会合することができる。
 9  執行委員会議長は、執行委員会を代表して、事務局長が第6条3(b)の規定に従って
   準備しなければならない機関の活動に関する報告を、見解を付けて、又はこれを付
   けないで、総会の各通常会期に提出する。
 10 執行委員会は、国際機関の代表者又は委員会の権限内の問題にたずさわっている専
   門家と協議するためのすべての必要な措置を執る。
 11 執行委員会は、総会の会期と会期との間においては、この機関の活動の分野におい
   て生ずる法律的問題に関して国際司法裁判所の勧告的意見を要請することができる。
 12 執行委員会の委員は、各自の政府の代表ではあるが、総会から委任された権限を総
   会全体に代って行使しなければならない。
C  経過規定
 13 3の規定にかかわらず
   (a) 総会の第17回会期前に選挙された委員は、その任期の終了の時まで在任する。
   (b) 総会の第17回会期前に4の規定に従い執行委員会が4年の任期を有する委員の
     後継者として任命した委員は、4年の任期で再選されることができる。


第6条 事務局

1  事務局は、事務局長及び必要な職員で構成する。
2  事務局長は、総会が承認する条件で、執行委員会が指名し、6年の任期で総会が任命
  するものとし、再任されることができる。事務局長は、この機関の首席の行政上の役
  員とする。
3   (a) 事務局長又はその指定する代理者は、総会、執行委員会及びこの機関の諸委
      員会のすべての会合に投票権なしで参加する。事務局長は、総会及び執行委
      員会が適当な措置を執るための提案を作成し、並びにこの機関の事業計画案
      及びこれに対
      応する予算見積書を執行委員会に提出するため準備するものとする。
  (b) 事務局長は、機関の活動に関する定期報告を準備し、且つ、加盟国及び執行
      委員会に送達する。総会は、これらの報告の対象となる期間を決定する。
4  事務局長は、総会が承認する職員規則に従い、事務局職員を任命する。職員の任命は、
  誠実、能率及び技術的能力の最高水準を確保することに最大の考慮を払うことを条件
  として、できる限り広い地理的基礎に基いて行わなければならない。 5  事務局長及び職員の責任は、性質上もっぱら国際的なものである。事務局長及び職員
  は、その任務の遂行に当って、いかなる政府からも、又はこの機関外のいかなる権力
  からも訓令を求め、又は受けてはならない。事務局長及び職員は、国際的役員として
  の地位を損ずる虞のあるいかなる行動をも慎まなければならない。この機関の各加盟
  国は、事務局長及び職員の責任の国際的な性質を尊重すること並びにこれらの者の任
  務の遂行に当ってこれらの者を左右しようとしないことを約束する。
6  この条のいかなる規定も、国際連合内で、この機関が共通の業務及び兼任の職員並び
  に職員の交流のための特別の取極を締結することを妨げるものではない。


第7条  国内協力団体

1  各加盟国は、教育、科学及び文化の事項にたずさわっている自国の主要な団体をこの
  機関の事業に参加させるために、その特殊事情に即する措置を執らなければならない。
  その措置としては、広く政府及びこれらの団体を代表する国内委員会の設立によるこ
  とが望ましい。
2  国内委員会又は国内協力団体があるところでは、これらは、この機関に関係がある事
  項について総会における各自国の代表団及び自国の政府に対して助言的資格で行動し、
  且つ、この機関に関係があるすべての事項について連絡機関として任務を行う。
3  この機関は、加盟国の要請に基いて、その国の国内委員会に対しその事業の発展を援
  助するために臨時的に又は恒久的に事務局員一人を派遣することができる。


第8条  加盟国による報告

 各加盟国は、総会が決定する時期に及び様式で、自国の教育、科学及び文化の機関及び
 活動に関する法令、規則及び統計についての報告書並びに第4条4に規定する勧告及び
 条約に基いてとった措置についての報告書をこの機関に提出しなければならない。


第9条  予算

1  予算は、この機関の所管とする。
2  総会は、第10条に従って締結される協定で規定されることのある国際連合との取極
  に従うことを条件として、予算及びこの機関の加盟国に対する財政的負担の割当を承
  認し、且つ、これに最終的効力を与える。
3  事務局長は、執行委員会の承認を得て、政府、公私の機関、協会及び個人から直接に
  贈与、遺贈及び補助金を受けることができる。


第10条  国際連合との関係

 この機関は、国際連合憲章第57条に掲げた専門機関の一として、なるべくすみやかに
 国際連合と関係をもたされる。この関係は、国際連合憲章第63条に基く国際連合との
 協定によって設定し、この協定は、この機関の総会の承認を受けなければならない。こ
 の協定は、共通の目的を達成するための両機関の間における有効な協力を規定し、同時
 に、この憲章に定めた権限の範囲内におけるこの機関の自治を承認しなければならない。
 この協定は、特に国際連合総会によるこの機関の予算の承認及びその財源の提供につい
 て規定することができる。


第11条  他の国際専門諸機関との関係

1  この機関は、他の政府間専門諸機関でその関心及び活動がこの機関の目的と関係があ
  るものと協力することができる。このために、執行委員会の全般的権威の下に行動す
  る事務局長は、これらの諸機関と実効的な関係を設定することができ、且つ、有効な
  協力を確保するために必要な共同委員会を設けることができる。これらの諸機関と締
  結する正式の取極は、執行委員会の承認を受けなければならない。
2  この機関の総会並びに目的及び任務がこの機関の権限内にある他の政府間専門諸機関
  の権限のある当局がその資産及び活動をこの機関に移譲することを望ましいと認める
  ときはいつでも、事務局長は、総会の承認を条件として、この目的のための相互に受
  諾しうる取極を締結することができる。
3  この機関は、会合に相互に代表を出席させるために他の政府間諸機関と適当な取極を
  することができる。
4  国際連合教育科学文化機関は、その権限内の事項にたずさわっている民間の国際諸機
  関と協議及び協力のための適当な取り極めをすることができ、並びにこれらの諸機関
  に特定の任務を引き受けるように勧誘することができる。また、このような協力は、
  総会が設立した助言委員会にこれらの機関の代表者が適当に参加することを含むこと
  ができる。


第12条  この機関の法的地位

 国際連合の法的地位並びに特権及び免除に関する国際連合憲章第104条及び第105
 条の規定は、この機関にも同様に適用される。


第13条 改正

1  この憲章の改正提案は、総会の三分の二の多数によって承認を受けるときに効力を生
  ずる。但し、この機関の目的の根本的変更又は加盟国に対する新たな義務を伴う改正
  が効力を生ずるためには、その承認の後に加盟国の三分の二が受諾することを必要と
  する。改正の提案の案文は、総会による審議の少くとも6月前に、事務局長が加盟国
  に通報しなければならない。
2  総会は、この条の規定を実施するための手続規則を三分の二の多数によって採択する
  権限を有する。


第14条  解釈

1 この憲章のイギリス語及びフランス語の本文は、ひとしく正文とみなす。
2 この憲章の解釈に関する疑義又は紛争は、総会がその手続規則に基いて決定するとこ
  ろにより、国際司法裁判所又は仲裁裁判に決定のために付託する。


第15条  効力の発生

1 この憲章は、受諾を受けなければならない。受諾書は、連合王国政府に寄託しなけれ
  ばならない。
2 この憲章は連合王国政府の記録に署名のために開放しておく。署名は、受諾書の寄託
  の前でも後でも行うことができる。受諾は、署名が前に行われているか又は後に行わ
  れなければ効力を生じない。
3 この憲章は、署名国のうちの20が受諾したときに効力を生ずる。その後の受諾は、
  直ちに効力を生ずる。
4 連合王国政府は、すべての受諾書の受領及びこの憲章が前項に従って効力を生ずる日
  を、国際連合のすべての加盟国に通知する。
以上の証拠として、下名は、このために正当に委任を受け、イギリス語及びフランス語の
この憲章に署名した。両本文は、ひとしく正文とする。
1945年11月16日にロンドンにおいてイギリス語およびフランス語で本書1通を作
成した。その認証謄本は、連合王国政府が国際連合のすべての加盟国に送付する。

(署名省略)

(C) Copyright 1999 Meguro UNESCO Association


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