折々の記へ

折々の記 2005 A

【心に浮かぶよしなしごと】

【 01 】04/27〜        【 02 】05/01〜
【 03 】05/08〜        【 04 】05/22〜
【 05 】05/28〜        【 06 】06/20〜
【 07 】06/29〜        【 08 】07/15〜
【 09 】08/03〜        【 10 】08/10〜


【 7 】06/29〜

  06 29 原野宝健さんの死
  07 07 暗雲たれこめる憲法改正案
  07 08 ロンドンで同時爆破テロ
  07 12 王滝村訪問:坪庭のムラサキシキブ・ギボシ
  07 13 (1)川崎病…こんな病気があったのか
  07 13 (2)朝日の社説「談合と天下り」「衆院の愚を繰り返すな」
  07 14 無知からの被害「アスベスト」

06 29(月) 原野宝健さんの死

人は養生次第で120歳までは生きることができる、とよく話を聞いてきたのだが、数え81歳で死んでしまった。考えてみれば、人の一生とは「石火光中にこの身を寄す」の一句で事足りる。

若いときに学んだものは、その人生に於ける哲学の一つの中核となるものがある。そんな思いが脳裏に浮かぶ歳になっている。

●対酒

 これは白居易の七言絶句「対酒」で、昔の漢文の本に
 のっていたものである。彼は晩年仏教に帰依し、香山
 寺の僧如満らと交わったが、846年75才で没した。

 白居易は、詩を作るたびに文盲の老婆にその詩を聞
 かせ、それが理解できるまで作り直したというエピソー
 ドがあるほどで、その詩は平易通俗、温厚和平と称さ
 れた。そのため、多くの人に愛誦された。

 中唐の詩人。又「白楽天」の名でもよく知られいる。

 白居易58才ころの作。『人間の一生は短いのだから、
 金持ちも貧乏人も愉快に過ごそうよ。なんでそんな小っ
 さな事で、こんな狭い所で角を出して争うのか。』

白居易は儒教的文学観に立って、政治の参考にするような諷論詩を重んじたが、世人は「長恨歌、琵琶行」など感傷的な詩をもてはやした。

白居易の詩文はわが国にも伝わり、平安以後の日本文学に最も大きな影響を与えた。「白氏文集」は平安貴族の教養でありベストセラーだったようだ。しかし、白居易の詩は「唐詩選」には一句も載っていない。

●五味子

 ことしはアミスターという薬剤で2回消毒した。
 今のところ去年までのようなおかしくなった実
 にはなっていない。

 この薬品はパソコンで調べて農協から手に入
 れたもので、人畜には無害だという。

 「折々の記」の 2005/5/12の葡萄の消毒には
 病気と薬品について載せてある。


それにしても私も長く生きてきたものである。

書斎の裏手のサッシを開けると、画像の五味子が見える。おりおりに、一粒の種……、一粒の種……、という言葉が頭を過ぎるのである。「一粒の麦」はキリスト教徒専属の言葉でもあるまい。キリスト教徒にとっては殉教精神のスタートとしての心得の意味で大事な言葉なのであろう。

だが「五味子の一粒の種」は、それが一本の木に成長し年毎に何万倍の実をその木につけ続ける、ものすごい能力を、ものすごいエネルギーを秘めていることに驚くのである。だがやがてそれが枯れるときが必ずくる。

仏教でいう輪廻であり無常相である。それが真相である。

闇夜に点滅する蛍の一瞬の光と同じように感ずる。

私が死んでも、同じように他人は感ずるだろう。

人の生涯とはそんな結末で終わっていく。

07 07(木) 暗雲たれこめる憲法改正案

しばらく振りにニュースを開いてみると“自民起草委きょう要綱案 新憲法に「自衛軍」元首明記は見送り”というタイトルで産経新聞( 7月7日3時9分更新 )が報じている。

驚いたのは次の記事である。


全面的に書き換える前文では「われわれは、国民統合の象徴たる天皇とともに歴史を刻んできた」との表現で天皇の存在を明記する。前文への天皇の記述には慎重論もあったが、歴史・伝統・文化を重視する前文小委員長の中曽根康弘元首相の強い意向で盛り込むことになった。


赤字にした部分「われわれは、国民統合の象徴たる天皇とともに歴史を刻んできた」とある。この表現は戦時中の一番の過ちであった天皇機関説を認めた考えに基づいているとしか言いようがない。皇室を隠れ蓑にした軍閥の姿をすぐに連想した。

天皇がどう考えているのか何も聞かずに、勝手に規定しようというのである。まさに天皇を戦前の日本の傀儡に仕立ててしまうやり方であり、中曽根の意見に何もでできずにいた国会議員の人々の不甲斐なさには腹が立つ。

自分の考えと人の意見が食い違っても、信ずる方向を誤ってはならない。地球上から戦争の惨禍を払いのけようとしている人々の意向を無視している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050707-00000003-san-pol
自民起草委きょう要綱案 新憲法に「自衛軍」元首明記は見送り(産経新聞) - 7月7日3時9分更新


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050707-00000401-yom-pol
「愛国心」は両論併記…教育基本法改正案の要綱案骨子(読売新聞) - 7月7日3時9分更新


政治の動きはただ事ではない。国益という言葉に惑わされてはならない。国益を論ずる人がどういうときにその言葉を使っているか、たしかに国の益になりそうだとと聞き取れるかもしれないが、地球上の人々はみんなお隣同士の人たちなんだという立場から見ると、とんでもない得手勝手が多いことに気がつくだろう。さらにキナクサイ戦争のにおいがしてくる。

産経新聞は「十一月に公表する「新憲法」草案」と報じているから、11月に全容がわかる。そのときには盲点をはっきりさせなければならない。キャンペーンの草稿も準備しておかなくてはならない。

07 08(金) ロンドンで同時爆破テロ

昨夜悲しいニュースを見ることになった。朝になってやフーニュースの海外をチェックすると次のような記事がのっていた。


   海外ニュース - 7月8日(金)6時14分

 イラク撤退を否定 デンマーク(共同通信) - 6時14分
 テロがG8の連帯強める 仏大統領(共同通信) - 6時13分
 中東諸国、テロを一斉非難 イラク、サウジアラビアなど(共同通信) - 5時42分
 「アルカイダ系が関与」 英外相が言明、死者37人を確認(共同通信) - 5時39分
 ロンドンで同時爆破テロ、37人死亡・負傷数百人(読売新聞) - 3時32分
 <イラク>「エジプト大使殺害」とアルカイダが声明(毎日新聞) - 3時8分
 テロ実行犯を裁きに=英首相、ビデオで声明(時事通信) - 3時1分
 テロ嫌気して急落=一時4%の下げ−ロンドン株式(時事通信) - 3時1分
 ビクトリア駅で不審な包み=一時退去勧告(時事通信) - 3時1分
 温暖化防止で新興国と協調=英首相離脱後も討議継続−サミット(時事通信) - 3時0分
 自爆テロか否かに関心=英警察当局(時事通信) - 3時0分
 ロンドン連続テロ、非難決議を採択=国連安保理(時事通信) - 3時0分
 臨時理事会を開催へ=ロンドン連続テロ受けNATO(時事通信) - 3時0分
 ロンドン同時爆破テロ 33人死亡 360人負傷(産経新聞) - 2時49分
 サミット 温暖化防止へ協調(産経新聞) - 2時49分
 日本人学校の教材没収 大連税関 罰金処分を撤回 中央政府の指示か(産経新聞) - 2時49分
 G4 安保理拡大決議案を提出 改革機運維持へ“見切り発車”(産経新聞) - 2時49分
 盧溝橋事件記念日 中国で抗日行事本格化(産経新聞) - 2時49分
 エジプト大使「殺害」と声明 ザルカウィ派(産経新聞) - 2時49分
 ASEAN議長国 ミャンマー就任阻止? 米国務長官、訪タイし圧力(産経新聞) - 2時49分
 <ロンドン同時テロ>ロンドン警視庁 33人の死亡を確認(毎日新聞) - 2時43分
 ロンドン同時テロで安保理が緊急会合、非難決議採択へ(読売新聞) - 2時27分
 金融街の朝騒然、地下鉄から血まみれの乗客次々(読売新聞) - 2時27分
 証言拒否の記者収監 ワシントン連邦地裁(西日本新聞) - 2時15分
 自衛軍保持を明記 自民新憲法要綱を提案 「責務」は検討事項に(西日本新聞) - 2時15分


新聞社のニュースとして新しい記事を次に挙げておく。


ロンドンで同時爆破テロ、37人死亡・負傷数百人

 【ロンドン=千葉直樹】英ロンドン中心部の地下鉄構内3か所とバス1台の計4か所で7日朝(日本時間夕)、1時間以内に連続して爆発が起き、少なくとも37人が死亡、数百人が負傷した。死者数はさらに増える見通しだ。

 トニー・ブレア英首相は主要国首脳会議(サミット)開催中の英北部グレンイーグルズで緊急記者会見し、サミット開幕にタイミングを合わせた同時爆破テロと断定した。

 2001年9月の米同時テロ事件以来、ブッシュ米政権と歩調を合わせテロとの戦いに取り組む英国は、以前から国際テロ組織アル・カーイダなどのテロの標的になっていた。

 ロンドン警視庁幹部は7日午後の記者会見で、欧州最大の金融街「シティー」にある地下鉄リバプールストリート駅付近の地下構内で7日午前8時51分(日本時間同日午後4時51分)、最初の爆発が起き7人が死亡したのをはじめ、構内や地下鉄車両内で計3回の爆発があり、33人が死亡したと発表した。午後には、死者は37人に上ると発表した。

 大英博物館に近いラッセル広場周辺では午前9時47分、2階建てバスの車内で爆発があり、2階部分が吹き飛んだ。ロンドン警視庁は自爆テロの可能性があると見て捜査しているが、バス爆破での死者数はまだ把握できていないという。

 現場は、日系金融機関が集中したり、セントポール大聖堂やバッキンガム宮殿などの観光名所に近接しているところもある市の中枢部。在ロンドン日本大使館では7日午後5時20分(8日午前1時20分)現在、日本人の被害者は確認されていないとしている。

 ロンドン警視庁幹部は、「欧州の聖戦アル・カーイダ組織」を名乗る集団が犯行声明を流したことについて、「事実関係を調査中」として確認をしていないが、イスラム過激派の関与を含むあらゆる可能性を視野に捜査を行っていることを強調した。

 テロ発生で、ブレア首相は急きょ、サミットを中座してロンドンに戻り、状況報告を受けた。サミット出席中のブッシュ米大統領は記者会見で、「テロリストには屈しない。我々は必ず犯人を追い詰める」と述べ、対テロ戦争継続への強い姿勢を示した。
(読売新聞) - 7月8日3時32分更新


07 12(火) 王滝村訪問:坪庭のムラサキシキブ・ギボシ

07月09日、王滝村訪問。去年に続いて王滝村を訪問した。今回は御嶽山の駐車場まで直行し、そのあと森本美世さんにお会いし、御嶽里宮を参拝、滝越地区と白巣峠をまわってきた。王滝村災害に関しては次のサイト

  http://www.kajima.co.jp/news/digest/sep_2004/kajimakiko/kiko.htm
 <第9回 王滝村災害復旧>


  http://www3.shizushin.com/jisin/hisaiti0423.html
 <地震・被災地から>


を見ていたので、森本さんにお会いしたことを家内はとても喜んだ。そのときの写真とプリントを今日お送りした。

滝越地区については三浦一族の驚くような話に出会い今回の旅の大きな収穫となった。王滝村をいつかまた訪問したい。訪問記は「旅の記録」へ載せる予定。

●坪庭の花

     ムラサキシキブ          ギボシ

 青垣を取り払ったので庭の手入れを
 手抜きできず枝を整えたり肥料をや
 ったりしていたのでムラサキシキブが
 目につくようになった。

 それと、ギボシの花が目立つように
 なり雨間を見てカメラに収めた。
 青垣がなければ雑草もおりおりに除
 くことにもなり、関心を寄せることに
 なった。


07 13(水) (1)川崎病…こんな病気があったのか

初めて聞いた病名だった。こんな名前の病気、大変なことだと不安の念にかられた。さっそく調べてみた。「川崎病」で検索してみるとあるある。開いてみて参考になったサイトは次の二つであった。

  http://www.rheuma-net.or.jp/reheuma/rm120/kouza/kd.html <川崎病>

  http://www.kawasaki-disease.gr.jp/ <川崎病の子供をもつ親の会>

最初のサイトの冒頭に「1.川崎病とは?(定義)」という解説が載っていた。


   1. 川崎病とは?(定義)

この病気は英語でもKawasaki Disease(KD)と呼ばれ、昭和42年に、当時、日本赤十字病院小児科に勤務し、現在は日本川崎病研究センター所長である川崎富作先生が『急性熱性皮膚粘膜淋巴腺症候群』として報告したのが初めてでした。川崎先生は、この病名のとおりの、急に高熱が出て、発疹がみられ、目が充血し、唇が真っ赤になり、舌がいちごの表面のように赤いぼつぼつが目立ち、頚のリンパ腺が腫れ、手足が腫れ、後で指先から皮膚が剥ける、今までにみられなかった病気として記載しました。その後、多くの小児料医が、確かに同じような病気があること、発病から数週間で突然、心臓の発作で亡くなってしまうことがあることなどに気付きました。

今まで特に異常がなかった小児に、しかも1−2歳で、大人の心筋梗塞のような亡くなりかたをする例があるため、厚生省の研究班がつくられ、診断基準ができたり、アメリカを初め多くの国でも研究が行われるようになり、WH0やCDC(米国国立防疫センター)でもこの病気を正式に川崎病Kawasaki Diseaseと呼ぶようになりました。

川崎病は主に4歳以下の乳幼児に起る全身の中小動脈の炎症です。

これは、心臓自身を栄養する冠動脈を中心に炎症がみられ、その結果、その部分の血管が細くなりますが、その手前の中心側は、かえって拡大して動脈瘤ができます。そのため血栓性閉塞、心筋障害による虚血性心疾患により突然死を来たすことがあるのです。心臓後遺症がなければ1か月程で炎症は完全に治まり、他のリウマチ性疾患のように慢性化することはありません。

致死率は0.3%程度で、同胞発症(1〜2%)があり、数か月、数年後に再発例もあります(2〜3%)。しかし、最近は治療法が進歩し、特にガンマグロブリン大量療法により冠動脈病変の発症を減少することができるようになっています。


青字の部分「心臓後遺症がなければ1か月程で炎症は完全に治まり、他のリウマチ性疾患のように慢性化することはありません。」とあり、

さらに「 8. この病気はどのような経過をたどるのですか?(予後) 」では


《川崎病の約80%は、冠動脈に変化がみられず、約1か月間で炎症が治まり、あとは全く心配がありません。しかし、このような子供たちが中年以後になり、冠動脈硬化などがどのように進行するか、つまり冠動脈硬化が起り易いのか否かについては、まだわかっていません。念のため、動脈硬化の危険因子の一つと考え、1年に1度程度の検査は必要と思われます。》


とあった。

幸運を祈るばかりである。

●<川崎病の子供をもつ親の会>では、不幸にして「冠動脈瘤など」の後遺症が残った場合があるので、そうした人たちの連携を深めていくための活動をしています。この活動の詳細がサイトに照会してありました。

幸運を祈る。代わってあげたいけれど、こればかりはどうしようもない。

07 13(水) (2)朝日の社説「談合と天下り」「衆院の愚を繰り返すな」

有識者のはずの官僚が、自己本位の利益確保のために、国政担当者としてあるまじき悪弊の中にいることが、「談合と天下り」ではっきりした。能力のある人が保持すべき品性も資質も微塵も見ることができない。内部告発をするものとて一人もいない。

さらにまた、政治家の動きが「広く会議を興し万機公論に決すべし」のベストの手法が、派閥勢力に左右される勢力争いの具になりさがっているようにみえる。政界官界の紊乱ぶりは聞く耳ももてないありさまである。

こんなときがあったという記憶のために、朝日新聞の社説をホームページへ載せることにした。


   談合と天下り 癒着の根を断つには

 公共工事の入札談合は、民間業者だけの罪なのか。日本道路公団の元理事らが逮捕された橋梁(きょうりょう)工事の談合事件が問うているのはこの点だ。東京高検が強制捜査に乗り出したことで、官が積極的に手を貸す「官製談合」の解明が進むことを期待したい。

 これまでの捜査や朝日新聞社の調査によると、この元理事は、橋梁メーカーに天下りした公団OBの親睦(しんぼく)団体で工事の割り振りを決める仕切り役だった。

 OBらは年度末になると、各地の公団支社を訪ねては工事発注計画の情報を集める。これをもとに、元理事が工事配分表をつくっていた。

 先輩が来れば、現役も知らん顔はできない。それとなく情報を漏らすような協力もしよう。メーカーは工事配分を公団の「天の声」と受け取る。そんな巧妙な仕組みの中で官と業のもたれ合いが続いたようだ。公団の無駄遣いは私たちに高い通行料金を強いることにもなった。

 独占禁止法は、業者間で競争せずに利益を分け合う談合行為を禁じる。そこでは発注側は被害者扱いで、摘発対象になりにくかった。

 3年前に官製談合防止法も生まれた。北海道庁発注の農業土木の談合事件を機に定められたものだが、刑事罰が科されないなど実効性には疑問があった。

 「官製談合」は93年のゼネコン汚職をきっかけに中央省庁では目立たなくなった。だが、今でも公団のような特殊法人や地方自治体に根を張っていることが、あらためて確認された。

 この癒着構造で官と業をつなぐのが天下りだ。発注者として公共事業に精通した人物が、一人二役よろしく受注する側に回る。業者は高値発注の分け前にありつき、官は再就職先を確保する。

 持ちつ持たれつの根を断つには、いまの法律だけでは限界がある。

 公団の理事を顧問に迎えた橋梁メーカーの思惑が何だったかは、いうまでもないだろう。中央の省庁にしろ特殊法人にしろ、退職者が利害関係のある企業に移ることを許すべきではない。

 キャリア官僚が定年を待たずに退職する人事慣行を改め、専門職として勤め上げられる制度づくりも考える時だ。公務員制度改革は遅々として進まないが、再就職を通じた民間との癒着を断ち切るうえでも、検討を急いでもらいたい。

 企業側も、被害者面をして切り抜けようと考えていたら大間違いだ。

 日本経団連は、制裁金の強化などで談合を抑えようとする独禁法改正に大反対した。「発注者側にもメスを入れないと談合はなくならない」というのが理由の一つだった。天下りの幹部に差配させていたなら、この主張は崩れる。

 奥田碩会長は、天下りの受け入れ制限を「時間をかけて検討する」というが、腰が引けている。ここは自ら襟を正し政府に抜本策を迫る好機だ。競争こそが民間を強くすることは、トヨタの経営を通じて誰よりも知っているはずだ。

   郵政、参院へ 衆院の愚を繰り返すな

 「5票差の衝撃」から1週間。郵政民営化法案の参院での審議がきょうから始まる。

 衆院より与野党の議席の差が小さい参院では、法案をめぐる攻防、とくに与党内の反対派と小泉首相側とのつばぜり合いはさらに緊迫したものになるだろう。否決された時の衆院解散は是か非か、自民党内ではすでにそんな議論さえ交わされている。

 首相が参院審議を「ゼロからのスタート」と位置づけ、「分かりやすい答弁をしたい」と謙虚に臨む姿勢を強調しているのは当然のことだ。もういちど民営化の理念を語り、道筋を丁寧に説明して理解を広げる努力をすべきだ。

 肥大化した官製金融を縮小し、同時に郵便サービスを効率化していく。そのための民営化であり、この流れを後戻りさせてはならない。

 反対派や慎重派の懸念に応えた結果、この法案はすでに当初の理念からすれば、かなり後退した内容になっている。これ以上、骨抜きにすることなく成立させるべきだ。それは、この問題を提起した首相の責務である。

 首相と反対派の対立が抜き差しならなくなった理由は、法案の中身もさることながら、首相の強引な姿勢にあった。

 「否決なら衆院解散」と反対派をあおり立てるような手法は、「抵抗勢力」との摩擦熱で世論を引きつけ、反対を押し切っていくいつものやり方だ。だが今回、追い風といえるような世論の盛り上がりはなかった。

 衆院の審議で素っ気ない首相の答弁が続く一方で、解散、処分といった威勢のいい脅し文句が飛び交う。これが世論との溝をさらに広げたに違いない。

 このような愚かな事態を、参院審議では繰り返してはならない。

 ここは参院の独自性の生かしどころではないか。解散がなく、任期は保障されている。衆院ほどには政局や派閥の思惑に影響されにくい。郵政民営化の是非に立ちかえって冷静に議論できる素地があるはずだ。

 参院の特別委員会には反対派の議員も名を連ねた。首相の手法への反発や党内手続きなどへの行きがかりは捨て、改めて堂々と立場を主張し、聞くべき議論には耳を傾けるべきだ。

 首相ら党執行部に望みたいことが二つある。衆院解散に言及するのは落ち着いた論議の妨げになるだけだ。脅しのたぐいは控えるべきだ。

 また、自民党の全参院議員が参加できる意見集約の場を改めて設けたらどうか。委員会の議論に参加できる人数は限られている。これだけ反対論がある以上、党議拘束を掲げて抑えつけるだけでは言論の府にふさわしくない。

 それにしても、郵政一辺倒の国会運営は改める必要がある。テロへの備えやイラクに派遣した自衛隊の安全、アジア外交、年金の将来……。こうした重要課題があるのに、首相や国会はなぜ正面から向き合おうとしないのか。


07 14(木) 無知からの被害「アスベスト」

『世界各国で、危険がはっきりしていることから、すでに禁止されたり使われなくなっているアスベストが、この狭い国土で高い人口密度のわが国で、毎年、※数万トンにも及ぶほど大量に使われ続けているということは、とても考えられないような事態なのです。
私たちは、それを選択したのでしょうか。それでもいいと判断したのでしょうか。
私たちはただ知らないために、それを黙って受け入れているように見えるだけなのではないでしょうか。』
………アスベストについて考えるから引用………


アスベスト(asbestos)の語源を調べてみると、ギリシャ語の “asbestos(unquenchable=消すことのできない)<a(not,without)+quenchable(quench+able)<quench=消す,消滅する” という意味である。燃やしてもなくならない;焼いても残る…という意味の言葉である。

アスベストはもとが岩石なのだから当然のことである。アスベストの粉塵は呼吸することによって肺の奥深くまで達し、髪の毛の 1/5000 の太さの繊維が肺組織に突き刺さるというのである。これではたまったものではない。

アスベスト公害が新聞にのるようになってから始めてアスベストという言葉を知った。いったいアスベストとはなんだろう。蛇紋岩から精製する岩石繊維だそうである。辞書でアスベストを調べると石綿と出てくる。石綿といえば…煙突の継ぎ手に使ったことがあるし、冬のタドン炬燵のタドン容器も石綿が使われている。化学実験のときにアルコールランプで加熱する五徳の上にあったのも石綿だった。屋根にも使われ、天井や壁の断熱材にも使われている。

<アスベストについて考える>を開いてみると驚くばかりの内容が出ている。それから <アスベスト根絶ネットワーク>を開いてみると、準備中が多いけれども、根絶の理解を深める資料が整備されることと思われる。

アスベスト公害は無知(知らなかったこと)からの恐ろしい被害であった。

平和や幸せのためには、ユネスコの中核思想 “「無知と偏見」を払いのける努力” が私たちの課題にちがいない。

【折々の記 2005 Aへ】