09 28(木) 安倍総理の不安 |
【社説】2006年09月27日(水曜日)付 【安倍内閣発足果たしてどこへ行く】……<赤字、青字、下線は下平がつけたもの>…… 初の戦後生まれ、52歳という若さの安倍晋三氏が首相に就任した。5年半ほどの小泉時代が終わり、久々の新内閣の発足である。 さて、新首相は内閣の布陣にどのようなメッセージを込めたのだろうか。若さ、清新さ、チャレンジ……。残念ながら、そのどれもピンとこない。 まず浮かぶのは「論功行賞」の4文字だ。総裁選で圧勝するまでの流れに貢献した人たちに、閣僚や党役員のポストで報いる。NHKの大河ドラマ「功名が辻」の現代版かと思わせるような分かりやすさだ。 雪崩現象のようだった党内の安倍支持をとりまとめたのは、派閥横断の合同選挙対策本部だった。その本部長の柳沢伯夫氏は厚生労働相に、事務局長の甘利明氏は経済産業相に登用された。 ●論功行賞そのもの いちはやく安倍支持の声をあげた中堅・若手の「再チャレンジ支援議員連盟」からは、会長の山本有二氏を金融担当相に、幹事長の菅義偉氏を総務相にあてた。ベテラン議員が集まった「シニアの会」からは尾身幸次氏らが入閣した。 アジア政策などの違和感に目をつむり、派閥をあげて安倍支持を打ち出して雪崩のきっかけをつくったのは丹羽・古賀派だった。その共同代表の丹羽雄哉氏は党総務会長の大役を得た。第2派閥の津島派では独自候補擁立に待ったをかけた久間章生氏が防衛庁長官に。 悲哀をかこったのは、総裁選で明確な対立軸を掲げた谷垣禎一氏の派閥だ。同じく総裁を争った麻生太郎氏が外相に留任したのは、安倍氏と似た主張で論戦を盛り上げたからだろうか。 「適材適所。老・壮・青のバランスのとれたチームにしたい」。安倍氏は人事構想をそう語っていた。首相が2番目に若いという内閣だから、バランスは老・壮に傾いたが、ベテランや中堅、政策通などが配置されたのは事実だ。でも、適材適所と言えるかとなると、今後の実績を見るしかない。 たとえば安倍氏が苦手と言われる経済政策の陣容はどうだろう。 景気は上向き、小泉政権が発足したころのような危機感は薄れている。なのに国の借金は800兆円を超えて膨らみ続け、少子高齢化が迫る。よほどの剛腕と説得力の持ち主が求められる状況なのだが、今回の内閣では司令塔がだれなのか、はっきりしない。 民間から経済財政担当相に招かれた大田弘子氏は、小泉内閣における竹中平蔵氏の役割を期待されているのかもしれない。内閣の要に座る塩崎恭久官房長官は日本銀行出身で、かつて「政策新人類」と呼ばれた政策通だ。ふたりとも安倍氏と同世代で、清新さは買いたい。だが、初入閣の2人に党内の族議員や官僚機構を抑え込むことができるか、未知数というよりない。 ここが緩めば、封印されてきたバラマキが復活しかねない。尾身財務相は商工族で、松岡利勝農林水産相は農水族の代表選手である。首相自身が乗り出さないとタガを締められないかもしれない。 ●アジア外交が心配だ アジア外交の立て直しは、小泉政権から引き継いだ最大の懸案だ。首相も中国などとの関係修復に意欲を示している。だが、この人事を見る限り、果たして本気なのかと疑いたくなる。 安倍氏は、歴史認識や靖国神社問題であいまいな発言を続けている。私たちはこの姿勢を批判してきた。国内はもとより中国、韓国などアジア諸国が納得するのは難しいと考えるからだ。最近、ワシントン・ポスト紙が社説で批判したように、欧米でも反発を呼びつつある。 この安倍氏の立場を強力に後押しするのが中川昭一政調会長である。就任後の記者会見で「ぴしっと整理されている。私も同じ考えだ」と歩調をあわせた。 中川氏は97年、「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」を旗揚げして会長になった。この時、事務局長として支えたのが安倍氏である。 この会は、植民地支配や侵略の過去を率直に認めることを「自虐史観」と批判し、「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書採択を働きかけてきた。議員の会からは高市早苗氏が沖縄・北方相に、事務局次長だった下村博文氏が官房副長官に、山谷えり子氏は教育再生担当の首相補佐官にそれぞれ起用された。 ●謙虚な政権運営を 下村氏は最近、安倍氏が官邸主導で設置を検討している教育再生会議のテーマのひとつとして「自虐史観の歴史教科書はやめさせる」と語った。 山谷氏は歴史教科書について「いまだにレーニンの言葉を守っているんでしょうか、自虐的な内容の教科書をつくっている」と述べている。 これが、安倍氏のいう教育再生の方向性なのだろうか。教育内容への過剰な政治介入は事態を混乱させるばかりだ。 安倍氏への世論の支持は確かに高い。 だが、近隣国とのまともな関係づくりや、教育をめぐる問題の解決を切望する声もそこには含まれている。そのことをかみ締め、謙虚に政権運営に当たってもらわなければ困る。 |
09 29(金) AAN(=朝日新聞アジアネットワーク) |
<AAN(=朝日新聞アジアネットワーク)> |
10 01(日) 愛はオムツ:真理とは事実のこと |
10 07(土) 国会の討論 |
【社説】2006年10月06日(金曜日) 安倍首相へ 歴史を語ることの意味 1940年6月。欧州に暗雲がたれこめていた。ナチス・ドイツが破竹の勢いで進撃し、フランスもあっけなく軍門に下った。イギリスの命運も風前のともしびかと思われた。 そのとき、首相チャーチルはこう述べた。「イギリスの戦いが今や始まろうとしている。もしイギリス帝国と連邦が千年続いたならば、人々が『これこそ彼らのもっとも輝かしい時であった』というように振る舞おう」 第2次世界大戦の最も厳しい時に、英国民を鼓舞した演説の一節である。後世の人々が私たちを見ているという言い回しには、人の心を揺さぶるものがある。 彼の覚悟の背後には、歴史を経ても通用する価値への強い信念がある。20世紀を代表する名演説のひとつだ。 ところが、そのチャーチル首相を尊敬するという安倍首相の、歴史をめぐる発言には疑問を持つことが多い。首相は保守とは何かを聞かれて、こう答えた。 「歴史を、その時代に生きた人々の視点で見つめ直そうという姿勢だ」。言いたいことは、侵略や植民地支配について、今の基準で批判するのではなく、当時の目線で見よということなのだろう。 この考えは、歴史について半分しか語っていない。過去の文書を読み、歴史上の人物の行動を理解するとき、時代の文脈を踏まえることは言うまでもない。だが、それは出発点にすぎない。 さらに一歩進んで、歴史を評価するとき、その時代の視線を尺度にしたらどうなるだろうか。歴史には様々な暗黒面がある。人間が人間を動物のように扱う奴隷制や人種差別、ホロコーストなどの大量虐殺。それぞれはその体制の下では問題にされなかった。 私たちは時代の制約から離れて、民主主義や人権という今の価値を踏まえるからこそ、歴史上の恐怖や抑圧の悲劇から教訓を学べるのである。ナチズムやスターリニズムの非人間性を語るのと同じ視線で、日本の植民地支配や侵略のおぞましい側面を見つめることもできるのだ。 安倍氏の言う歴史観は、歴史の持つ大切な後半部分が欠けている。 安倍氏の歴史観にはもうひとつ奇妙な点がある。肝心なことになると、歴史家に評価をゆだねてしまうことだ。 5日の衆院予算委員会では、村山談話などを個人として受け入れる考えを示し、従来の姿勢を改めつつあるものの、民主党の菅代表代行に満州事変の評価を問われると「政治家は謙虚であるのが当然であろう」と答えを避けた。 安倍氏は民主主義や平和を重んじてきた戦後日本の歩みは誇るべきだと語っている。ならばその対比としての戦前にきちんと向き合ってこそ説得力を持つ。 政治家が歴史の前に謙虚であるべきなのは、チャーチルに見られるように、現代の行動の評価を後世がするという緊張感からなのだ。単に歴史を語らないのは、謙虚ではなく、政治家として無責任、あるいは怠慢と言うしかない。 |
10 09(月) 安倍首相中国訪問 |
国内トピックス - 10月9日(月)1時 56分 更新 靖国神社参拝問題 靖国遊就館 米の指摘だけ修正(6日) ニュース - 日中首脳会談、相互訪問再開で一致(読売新聞) (9日1時56分) - 戦略的利益へ関係改善=「靖国」対立を回避−相互訪問も再開・日中首脳が一致(時事通信) (9日1時4分) - 参拝自粛は「対中公約」と野党=与党、新たな関係の始まり−日中首脳会談(時事通信) (9日1時4分) - 核実験阻止へ「強いメッセージ」=日中会談の成果強調−安倍首相が会見(時事通信) (9日1時4分) - <日中首脳会談>温家宝首相が宋詞引用…靖国に行かないで?(毎日新聞) (8日23時40分) - <日中首脳会談>「政経両輪」で対中外交に臨む 安倍首相(毎日新聞) (8日23時40分) - 「歴史の適切処理」を評価=安倍首相に台湾問題でクギ−中国(時事通信) (8日23時1分) - <日中首脳会談>共通の課題解決へ「戦略的互恵」構築で合意(毎日新聞) (8日22時33分) - <日中首脳会談>北朝鮮の核実験予告が対話促進の触媒に(毎日新聞) (8日21時17分) - <日韓首脳会談>安倍首相は9日訪韓 盧大統領と会談へ(毎日新聞) (8日19時53分) - 中川自民政調会長、中韓訪問「信頼関係の第一歩」=野党、首相のあいまいさ批判(時事通信) (8日15時0分) - 講演会:菊池・毎日新聞取締役、外交問題や経済談合事件も言及−−福島などで /福島(毎日新聞) (8日12時1分) - 午後に日中首脳会談=安倍首相、北京へ出発−「両国の将来に青空を」(時事通信) (8日11時1分) - 首相、きょうから中韓訪問…核実験阻止へ日中結束(読売新聞) (8日9時59分) - 日中首脳きょう会談 歴史・靖国どう改善(産経新聞) (8日8時0分) - <安倍首相>初外遊、中韓へ 8日から2日間の日程で(毎日新聞) (7日22時9分) - <安倍首相>8日に訪中、胡主席と会談へ 9日は韓国入り(毎日新聞) (7日21時40分) - 安倍首相 8日から中韓訪問 微妙な影落とす歴史認識問題(毎日新聞) (7日9時53分) - 実効性・表現の自由考慮 知事の青少年条例否定的見解 - 信濃毎日新聞 (7日9時33分) - <日中首脳会談>中国、靖国参拝争点化せず 関係改善優先へ(毎日新聞) (7日3時6分) もっと見る
- [「靖国」世論調査] 今こそきちんと論議を - 沖縄タイムス (2006年8月18日) - 終戦の日 靖国参拝 小泉後に重い課題残した - 徳島新聞 (2006年8月16日) - 首相靖国参拝/これで「有終の美」が飾れるのか - 神戸新聞 (2006年8月16日) - 【首相靖国参拝】「心の問題」だけではすまされない - 南日本新聞 (2006年8月16日) - 【靖国参拝】「心の問題」では済まぬ - 高知新聞 (2006年8月16日) - 論評:靖国参拝に見る誤った歴史観 - 人民日報 (2006年8月16日) - [首相の靖国参拝] 歴史認識が問われる - 沖縄タイムス (2006年8月16日) - 8・15首相参拝 この説明は納得できぬ - 中国新聞 (2006年8月16日) - 首相8.15靖国参拝/「負の遺産」さらに拡大 - 東奥日報 (2006年8月16日) - 光復節の朝、戦犯の前で深々と一礼した小泉首相 - 朝鮮日報 (2006年8月16日) もっと見る
- 靖国神社 - 靖国神社参拝について - 政府の基本的立場、総理大臣と外務大臣の発言。外務省 - 靖国神社参拝に関する所感 - 首相官邸「小泉総裁の演説・記者会見」(2002年4月21日) - 昭和受難者として靖国神社が合祀している14人 - 田村のホームページ - 小泉総理インタビュー (平成18年8月15日) - 靖国神社参拝について。首相官邸 - 日本会議 - 首相の靖国神社参拝を求める国民の会など - 靖国参拝違憲訴訟の会 - 裁判の情報、Q&A |
辛棄疾 1140-1207 中国,南宋の政治家,詞人。字は幼安,号は稼軒。山東省歴城の人。 女真族の金の支配下に育ち,武装蜂起に参加,渡江して南宋に仕え(23歳),江西提点刑獄(地方法務長官)となって茶商の乱を平定(36歳),湖北,江西,湖南,福建,浙東など各地の安撫使(軍政長官)を歴任,新たに精鋭部隊(湖南飛虎軍)を編成するなど,積極的に活躍して名声があった。 一貫して対金主戦論を唱え,そのためしばしば失脚もしたが,朱熹,陸游などと共鳴し,親交があった。 当時流行の歌辞文芸,詞の作家としても有名,600首以上の作品を残しているのは宋人の中で最多。 慷慨憂憤の作が多く,北宋の蘇軾(そしよく)(東坡)と並べて蘇辛豪放派などと呼ばれるが,隠棲中の作などは感傷的な作品も少なくはない。 詞集は《稼軒長短句》12巻または《稼軒詞》4巻,届広銘《稼軒詞編年箋注》がある。詩文集は届氏による輯本《稼軒詩文鈔存》。 村上 哲見 (c) 1998 Hitachi Digital Heibonsha, All rights reserved. |