折々の記へ

折々の記 2008 C

【心に浮かぶよしなしごと】

【 01 】08/31〜        【 02 】09/06〜
【 03 】09/13〜        【 04 】09/29〜
【 05 】10/08〜        【 06 】10/14〜



【 05 】10/08〜

  10 08 ノーベル物理学賞 日本人三人!
  10 09 ノーベル化学賞 日本人一人!
  10 11 アメリカ発世界金融危機のゆくえ

10 08(水) ノーベル物理学賞 日本人三人!

またまた大失敗をしました。

ノーベル物理学賞 日本人三人!】 【ノーベル化学賞 日本人一人!】 【アメリカ発世界金融危機のゆくえ
三つのタイトルについて相当時間もかけ、上出来の内容、分量でしたから【 06 】へ移りました。
【 05 】を完全に保存してFTPへアップロードしておかないと保存だけでは消去されてしまうのです。
以前と同じ失敗で悲しかった。 しかたない。


   上記三件で引用した記事のうち、『asahi.com:記事検索-アサヒ・コム プレミアム』に載っているものを調べました。
   調べてみても、asahi.comに出ていた記事と同じものはない。家でとっている朝日新聞のようには載っていない。
   写真は asahi.com に掲載された画像を保存してコピーしたものです。
   追加で載せたものもあります。

<1> ノーベル物理学賞
--------------------------------------------------------------------------------
   発行日 =2008年10月8日 ソース =朝刊
   面 名 =1社会  ページ =35
   発行社 =東京  文字数 =2314   継続記事
--------------------------------------------------------------------------------
 快挙、喜び三重奏 ノーベル賞に日本人3氏

 物質とは何か? その根源的な問いを解明する理論を打ち立てようとした3人の日本人のノーベル物理学賞の受賞が7日、決まった。理論物理学は、日本のノーベル賞第1号である湯川秀樹博士以来の伝統がある。その得意分野で日本人だけでは初めてとなる共同受賞に輝き、3人は歓喜の声に包まれた。


 【写真・左】 南部陽一郎(ナンブヨウイチロウ) 21年東京生まれ、42年東京帝国大理学部物理学科卒。
                米シカゴ大名誉教授、大阪市立大名誉教授。78年文化勲章。95年ウルフ賞。
 【写真・中】 小林   誠(コバヤシマコト)  44年名古屋市生まれ、72年名古屋大大学院博士課程終了。
                高エネルギー加速器研究機構名誉教授。日本学術振興会理事。
 【写真・右】 益川 敏英(マスカワトシヒデ)  40年名古屋市生まれ、62年名古屋大理学部卒。
                京都大名誉教授、京都産業大教授、名古屋大特別招聘教授。

    

【写真・左】 日本人のノーベル賞受賞者   【写真・右】 物理学、化学、医学生理学各賞の国別受賞者数

 ●南部さん「光栄、驚いた」

 【シカゴ=勝田敏彦】シカゴ大名誉教授で大阪市立大名誉教授の南部陽一郎さん(87)が、ノーベル財団とスウェーデン王立科学アカデミーから受賞の知らせを受けたのは、時差の関係で現地時間7日早朝。シカゴ大に近い自宅で、殺到する報道機関からの電話を受けながら、「大変光栄だと思う。待っていたわけではないし、なぜ今なのかはわからないが、本当にうれしく思うし驚いた」と淡々と話した。初めて理論を提唱してから、受賞まで50年近くかかった。

 妻の智恵子さん(87)は、陽一郎さんが電話で「サンキュー、サンキュー、アイム・オナード(名誉に思います)」と言うのを聞いた。「何があったの?」と聞いたら、「ノーベルだよ」と陽一郎さん。「冗談はやめてよ」と智恵子さんは最初、半信半疑だったという。「候補と言われてから長かったので本当にうれしいです」と智恵子さんはしみじみと話した。

 南部さんは52年、米プリンストン高等研究所に招かれ、アインシュタイン博士にも会っている。70年に米国籍を取得。シカゴ在住だが、妻の実家のある大阪府豊中市の家にも年2、3回帰り、約1カ月ずつ滞在する。現在は大阪大の招へい教授で、大阪滞在中は週2回くらい同大に顔を出す。物理学の研究室を拠点に研究を続け、研究会や講演にも引っ張りだこだ。

 南部さんは東大にいた49年、発足したばかりの大阪市立大へ助教授として招かれ、翌年には教授になった。弱冠29歳だった。

 大阪市大の理工学部は基礎科学に多額の研究予算を割き、全国の旧帝大から俊英を集めた。

 南部さんは「素粒子の重さに関する南部の法則」などを次々と発表した。研究室の雰囲気はおおらかで自由だった。南部さんの人柄と研究姿勢を慕い、大阪大など他大学の学生も研究室に出入りしていた。「武者修行」と呼ばれていた。5歳年下で、02年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊・東京大特別栄誉教授も東大に在籍しながら武者修行に行った。

 南部さんは、後にノーベル物理学賞を受ける朝永振一郎博士の推薦で52年に渡米したが、天才的な物理学者「NAMBU」の名は米国でもすでに知られていた。

 ●小林さん「賞に値とは」、益川さん「過去の仕事」

 高エネルギー加速器研究機構名誉教授の小林誠さん(64)は午後7時半すぎ、東京都内の記者会見場に少し緊張した様子で現れた。この席で、共同研究者の京都大名誉教授で京都産業大教授の益川敏英さん(68)と電話がつながると「あ、益川さん、どうもおめでとうございます」とあいさつし、笑い合った。小林さんが「記者さんに囲まれてます」と話すと、益川さんは「こっちもいっぱいです。年貢を納めなきゃいけない」と応じた。

 小林さんへの受賞の連絡は午後6時半すぎ、ノーベル財団から携帯電話に直接あったという。「自分の仕事が賞に値するとは思っていなかった」と話し、過去に益川さんと「受賞ということになったら大変だね」と話したエピソードなどを紹介した。

 小林さんは、海部俊樹元首相といとこ同士。子どものころ父親を亡くした小林さんは母親と一緒に、海部元首相の名古屋市内の自宅に暮らしていた時期があった。「年下だったので、マー坊と呼んで可愛がった。男の子にしてはおとなしく、いつも部屋で難しげな本を読んでいた。思えばあのころから、天才に『突然変異』する芽があった」と海部さんは振り返る。

 愛知トヨタ自動車の元副社長、小野茂勝さん(77)も、小林さんのいとこ。「一族から首相とノーベル賞が出るなんて」と、自分のことのように喜んだ。「まこちゃんは無口でまじめで、温和な人柄。母一人、子一人で戦後の苦しい時期を生き抜き、私も母子家庭で互いに共感を持ちながら生きてきた」と話す。

 益川さんも、午後8時から、京都市北区の京都産業大で会見に臨んだ。受賞を喜びながらも「自分たちの仕事は35年も前の過去の仕事」と繰り返し、「(受賞は)ひとごとみたいだ。益川という人がやったというような……」。

 益川さんは大の英語嫌い。海外に渡ったこともなく、パスポートも持っていない。海外から招かれた講演や授賞式には、いつも小林さんが出席してきた。12月にストックホルムであるノーベル賞授賞式が初の海外になる。報道陣から、授賞式への出席を問われると「まあ、しゃあないでしょうな」と苦笑いした。

 益川さんは小学校時代から理科と算数が得意だった。高校時代、近くの名古屋大の、素粒子物理学の分野で活躍する故坂田昌一教授の存在を知り、「自分がいる名古屋で科学がつくられているなんて」と興奮、将来の道を決めた。

 ○麻生首相が電話で祝意

 麻生首相は7日、首相官邸から益川さんと小林さんに電話し、「とても明るいニュースで、国民、これみな、とても喜んでいると思います」と祝意を伝えた。首相が益川さんに「若い人にひと言」と求めると、「科学にロマンを持つことは非常に重要だと思う。あこがれをもっていれば勉強もしやすい」と応じた。

<2> ノーベル化学賞

              

【写真左】 ノーベル化学賞受賞が決まり、記者会見で喜びを語る下村脩・米ボストン大名誉教授=8日、米マサチューセッツ州のウッズホール海洋生物学研究所

【写真中】 下村脩さんのノーベル賞受賞がきっかけで改めて発光の謎が注目されるホタルイカの幻想的な光。寺西克倫三重大教授は詳しい仕組みを研究し、今年、下村さんと連名で論文を発表した。解明が期待される

【写真右】 オワンクラゲから紫外線を当てると緑色に輝く「緑色蛍光たんぱく質(GFP)」を発見し、その分離・精製にも成功した。

下村脩(しもむら・おさむ) 1928年8月27日、京都府生まれ。長崎医科大付属薬学専門部(現、長崎大薬学部)卒。長崎大助手、名古屋大助教授などを経て、米ウッズホール海洋生物学研究所上席研究員。2001年に同研究所を退職後は、マサチューセッツ州の自宅で研究を続けている。 日本人研究者の頭脳が、2日連続で世界に認められた。ノーベル物理学賞の3氏に続き8日、緑色蛍光たんぱく質(GFP)を発見した元米ウッズホール海洋生物学研究所上席研究員、下村脩さん(80)の化学賞受賞が決まった。

日本人の化学賞受賞は、故福井謙一博士、田中耕一さん(49)らに次いで5人目。

02年の田中さんと小柴昌俊・東大特別栄誉教授(82)に続き、今年も物理学賞と化学賞のダブル受賞となる。受賞経験者からは祝福の声が寄せられ、知人らも地道な研究がもたらした偉業を喜んだ。

<3> 金融危機
--------------------------------------------------------------------------------
   発行日 =2008年10月7日 ソース =朝刊
   面 名 =2経済  ページ =12
   発行社 =東京  文字数 =1222 
--------------------------------------------------------------------------------
 (金融危機 インタビュー)戦後最大、まだ2合目 榊原英資さん

 ――米国の金融救済法案が議会の混乱を経て成立したものの、危機は収まる気配はありません。

 「下院選を来月に控えた議員が、国民の税金を使ってまでウォール街を救済することに及び腰になった。そうしたなかでも問題は確実に長期化して、最終的にはかつて日本が経験したように公的資金注入にまで行かないと危機は収まらないだろう」

 ――金融危機は米国から欧州に飛び火しました。危機の広がりをどう見ていますか。

 「今起こっていることは戦後最大の金融危機だ。しかもまだ2合目くらい。各国中央銀行による大量のドル資金供給策で流動性を提供し、なんとか全面的な崩壊を免れている。これから日本を含め世界的な規模で金融収縮、つまり貸し渋りが起こる。実体経済に波及して、先進国の同時不況へと展開するだろう」

 「米国の住宅価格動向を示す『ケース・シラー指数』を見ると、先物市場は2010年5月まで底を打たず、その後も回復せず『L字形』を描く。つまり、市場は金融混乱があと2年以上続くとみている。そして実体経済に波及するのはさらにその後だ」

 ――大蔵省国際金融局長や財務官として円高ドル安是正に動いた当時はアジア通貨危機の直後でした。現在のドル安をどう見ますか。

 「確かにドル安ではあるが、世界経済が同時に悪くなっているので、ドルだけが落ち込む状況ではない。米証券ベアー・スターンズが破綻(はたん)した3月は円相場が1ドル=95円台まで急騰し、ユーロも一時1ユーロ=1・6ドルにもなったが、その後を見ると、実体経済は米国より欧州のほうが悪く、対ユーロで見たドル安はここ半年ほど止まっている。極端な円高にも振れていない。為替は相対的に決まるものだからだ。3月には日米欧で、ドルを支える為替の協調介入を探る動きがあったが、今はそういう状況にはない」

 「問題は欧米金融機関などのドル資金の調達が難しくなっていること。各国中央銀行が協調して市場に資金供給したのは妥当な策だ。だが、仮に米国が日本に対して公的資金による不良資産の買い取りへの協調を求めてきても、断固応じるべきではない」

 「日本の金融機関がおかしくなっていないのに、日本に支店がある外国銀行の救済に税金を使うことなどできるはずもない。市場を正常に機能させるための協調策には応じるべきだが、米銀の救済は米国の仕事。そこははっきりさせないといけない」

 ――この金融危機が、ドル基軸通貨体制の終わりの始まりとなる可能性は。

 「20年から30年の幅で考えればあるかもしれない。だが、少なくとも5〜6年単位では、ドルの基軸通貨体制が大きく崩れることはないだろう。むしろ米国金融王国の終わりの始まりが来た、と見るべきだ」
 (聞き手 松村愛)

     *

 さかきばらえいすけ 早大教授 東大経卒。65年大蔵省(現財務省)に入り、97年に財務官。積極的な為替介入で円高を抑制し、「ミスター円」と呼ばれる。退官後は慶大教授を経て、06年から現職。

<4> 金融危機(asahi.comニュース 10/13より転載)

    現在位置:asahi.com>ニュース>特集>金融>危機金融危機
金融危機

最新ニュース
 【画像】 G7後の記者会見を終えたポールソン米財務長官=ロイター

★共同行動計画、金融市場回復図る ユーロ圏緊急首脳会議
 【パリ=飯竹恒一】金融危機に対処するためのユーロ圏(15カ国)の緊急首脳会議が12日夕(日本時間1……… (01:03)[記事全文]

★英政府、大手4金融機関にまず6兆円注入 一部国有化へ
 英国政府が、欧州最大手のロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)など英大手4金融機関に、計……… (23:08)[記事全文]

★金融危機対応や農村改革掲げ閉会 中国・3中全会
 【北京=藤原秀人】北京で開かれていた中国共産党の第17期中央委員会第3回全体会議(3中全会)は12……… (21:35)[記事全文]

マーケット情報
 日経平均(16時00分)
 8276円43銭(−881円06銭)
 TOPIX(15時00分)
 840.86(−64.25)
 NYダウ平均(ドル)(5時09分)
 8451.19(−128.00)
 円/ドル(10時30分)
 100.28円
 円/ユーロ(10時30分)
 135.98円
 ドル/ユーロ(10時30分)
 1.36ドル


世界の動き
 共同行動計画、金融市場回復図る ユーロ圏緊急首脳会議(10/13)
 英政府、大手4金融機関にまず6兆円注入 一部国有化へ(10/12)
 金融危機対応や農村改革掲げ閉会 中国・3中全会(10/12)
 GM、フォードに合併打診していた 米紙報道(10/12)
 金融危機克服へ、先進国と新興国の連携強調 G20会合(10/12)
 G7資本注入合意 資産査定方法などはあいまい(10/12)
 金融危機、スポーツ界に影 F1、五輪、サッカーも(10/12)
 フォード・GM・クライスラー、ビッグ3窮地 再編の芽(10/12)
 金融危機で冷戦状態に 英がアイスランド銀行の資産凍結(10/12)
 GM、クライスラーと買収交渉か 米紙報道(10/11)
 ユーロ圏の緊急首脳会議 12日にパリで開催(10/11)
 独政府も公的資金の注入検討か 近く閣議決定と独紙報道(10/11)
    【グラフ】(10/06〜10/10)日経平均株価       米財務長官「資本増強へ計画策定」 注入の重要性強調(10/11)
                               NYダウ、128ドル安 8営業日連続で下落(10/11)
 G7、5項目の行動計画を採択 「早急に実施したい」(10/11)
 G7、公的資金注入必要との認識で合意へ 金融危機(10/11)
 米政府、預金保護の強化検討 一時的に全額(10/10)
 米、10月中にも資本注入か 大統領「強力な行動取る」(10/10)
 米シティ、ワコビア買収を断念 ウェルズと協議打ち切り(10/10)
 NYダウ、678ドル安 終値9000ドル割れ(10/10)
 世界の動き一覧

日本の動き

 G7行動計画 市場関係者は一定の評価(10/11)
 円高、アキバに秋風 外国人観光客「自国と変わらぬ」(10/11)
 暗黒の1週間 世界株市場、1400兆円吹き飛ぶ(10/11)
    【グラフ】(10/06〜10/10)円/ドルレート        株安で損失 国内各行、相次ぎ業績予想を下方修正(10/10)
                               自社株買い制限、年内は撤廃へ 首相、金融危機受け指示(10/10)
 「2次補正より総選挙を」 民主・小沢代表が強調(10/10)
 大和生命、全国6会場で11日から債権者集会開催へ (10/10)
 大証、先物取引を15分間停止 米同時多発テロ以来(10/10)
 地域金融機関への公的資金注入、法整備検討 政府・与党(10/10)
 株価下落、長崎の十八銀行と佐賀銀、業績を下方修正(10/10)
 大和生命破綻は「例外的な事態」 与謝野経財相(10/10)
 破綻の大和生命、契約の大半保護(10/10)
 東京円、一時1ドル97円台(10/10)
 新興国への緊急融資制度を提案へ 中川財務相、G7で(10/10)
 東証下落率、一時11.38% 午前終値8183円(10/10)
 大和生命保険が自力再建を断念 7年ぶり生保破綻(10/10)
 不動産投信「Jリート」、初の破綻 負債1123億円(10/9)
 東京株、終値45円安の9157円 根強い不安(10/9)
  【グラフ】(2007/10/06〜2008/10/10)円/ドルレート   東京株、午後やや反発 一時200円超す上げ(10/9)
                               日銀、4兆円の資金供給 量的緩和解除後、最大の規模(10/9)
 日本の動き一覧

暮らしへの影響

 大和生命が債権者説明会 契約者、怒りと不安の声(10/11)
 円高 金券ショップではドル「完売」(10/10)
 株価暴落、悲鳴列島 大阪の個人投資家「ありえへん」(10/10)
 株価暴落「老後の蓄え、400万円以上が一瞬で…」(10/10)
 釜山―福岡の高速船、円高で韓国からの乗客減(10/10)
 退職金で買った株が… 株価下落、不安底なし(10/10)
 上場45社が5千人退職募集 金融不安で雇用悪化(10/1)
 暮らしへの影響一覧

ロイター経済ニュース一覧

 焦点:公的資金注入のG7協調、具体策乏しく株安・円高継続か(10/13)
 G7行動計画を支持、中川担当相は外準活用の支援表明=IMFC(10/12)
 米大統領が7カ国財務相と会談、協調を要請=中川担当相(10/12)
 金融危機解決には各国の協調が必要、迅速な行動を=米大統領(10/12)
 米フォード、マツダ株の売却を検討(10/11)
 ロイター経済ニュース一覧

【注記・グラフの説明】
   【グラフ】(10/06〜10/10)日経平均株価
     横軸 (10/06〜10/10)  縦軸 上 10500円  下 8100円 
   【グラフ】(10/06〜10/10)円/ドルレート
     横軸 (10/06〜10/10)  縦軸 上 102.00円  下 99.20円
   【グラフ】(2007/10/06〜2008/10/10)円/ドルレート
     横軸 (2007/10/06〜2008/10/10)  縦軸 上 120円  下 96円

○ 金融システムの危機……ヒュン・ソン・シン教授の提言   「熟年の文化徒然雑記帳」より

 2000年に、ロンドンのシティのセント・ポール脇から、対岸のサザックのテートモダンにかけて一直線の超モダンな「ミレニアム・ブリッジ」(口絵写真)が架けられ、エリザベス女王の参列のもとに、オープニング・セレモニーが実施された。

 ところが、そこに参集した何万人もの観衆が橋を渡りだすと、橋は突然、激しく振動し始めた。

 風に揺られたか何かの拍子に体勢を整えようとした観衆の動きが、他の観衆に波及して、誰もが橋の揺れに抗すべく同じ動きをし始めて、そのシンクロナイズされた動きが、益々同方向に増幅され、限界の1ヘルツの横揺れをオーバーした結果大変な大揺れになったのだと言う。

 設計者は強風など外世的要因によって橋が横揺れする危険性は十分計算に入れて設計したのだが、このような歩行者による内生的に揺れが増幅するメカニズムは計算に入れていなかった。

 軍隊は昔から橋を渡る時には行進を解くのだが、普通の歩行者の歩行は、自由気ままで夫々まちまちであり、歩行者が多くなればなるほど、大数の法則が働いて揺れはゼロになる筈であり、歩行で大揺れするなどとは考えられないのである。


 ところで、このシンクロナイズかつ増幅された運動が、金融システムに対する衝撃が内生的に拡大して行くメカニズムと全く同じだと説くプリンストン大学ヒュン・ソン・シン教授の説を敷衍するなどしながら、竹森慶大教授が、サブプライム問題に端を発して益々深刻化する金融システムの真相を詳細に論じているのが、近著「資本主義は嫌いですか それでもマネーは世界を動かす」と言う本である。


     例えば、株式の時価が急速に下落した場合、ブラックマンデーの時のように、投資の損失に限度を設ける理論モデルに基づいたコンピュータプログラムの「ダイナミック・ヘッジング」の空売り指令が、各社とも同時に働くと、連鎖反応が起きて株価の下落が加速化され、更に、空売りを誘発し、株価が下落し、この悪循環が連続して起こり、株価がどんどん暴落して行く。

 株価シグナルが、金融市場における取引参加者の行動を、自己防衛の為に同じ方向に益々集束させるのだが、ITC革命によって、この価格シグナルの伝達スピードが上昇し、金融システムに発生した混乱を一層拡大し深刻化させていく。

 更に、問題を深刻化させるのは「時価会計」の存在である。

 金融機関が流動性に逼迫して保有資産を緊急に処分しようとして投売りすると、資産の時価が下がるが、同じ金融資産をバランスシートで抱えている他の金融機関も、時価会計により、連動して評価損を計上し自己資本の減損処理をする必要がでてきて、自己資本率を低下しないように維持する為に、保有する金融資産を処分することとなり、この連鎖反応が、スパイラル的に波及して行く。

 流動性に逼迫した金融機関の苦境を他の金融機関に波及させて行くと言う連鎖を断ち切れない「時価会計」が、金融システムのシステミックなリスクを拡大して行く原因となっているのである。

 市場参加者が一斉に同じ行動を取るこのような悪循環的スパイラルによって起こる内部による衝撃も、一定限度までなら、金融システムでも吸収可能であるが、その限度を越えて衝撃が拡大すると、最早安定を維持できなくなる。

 市場取引の規模が大きければ大きいほど、市場参加者のシンクロナイズ化の確率は低くても、実現した時点での経済的衝撃は大きく、現在の金融システムが、益々、起こり得ない筈の「テール・リスク」を拡大する方向に進んでいると言う。

 正に、サブプライム問題を皮切りに世界中を巻き込んだ金融システムの混乱とシステミック・リスクの発生は、このことを物語っている。


 一頃、日本でもバブル不況の元凶として時価会計を厳しく糾弾する政治家などがいて、時代に逆行する素人考えだと罵倒されていたことがあったし、世界中が国際会計基準に統一されようとしている今日、時価会計など止めろと言えば物笑いになること筆致だが、金融機関のバランスシートに対する安全規制(自己資本率規制)に喧しいバーゼル協定でも強く押している「時価会計」が、金融システムの安定を乱し、リスクのスパイラル的拡大を牽引する要因だとするシン教授の指摘は非常に興味深い。

 竹森教授がスタンレー・フィッシャーの見解を敷衍して指摘するもうひとつ重要なポイントは、これまでは、中央銀行の第一の役割は、「物価を安定させること」、もしくは、「物価と雇用を安定させること」だと考えられてきたが、サブプライム問題後、「流動性危機」の際に、「最後の貸し手」として緊急の流動性を供給して、金融システムの崩壊を防ぐ役割が、むしろ中心になったと言うことである。

 今回のベア・スターンズやAIG、ファニーメイやフレディマックの救済にFRBや米政府が果たした役割は正にこれで、結局の所、中央銀行が「最後の貸し手」として、あるいは救済案のまとめ役として乗り出す意外に、金融システムの危機を救う道はないと言うことを示している。

     私自身は、非常に金融論には弱いので、白川総裁の「現代の金融政策」もまだ積読なのだが、丁度、サブプライム問題と金融システムの混乱、世界同時不況の真っ只中で、竹森教授の本を読んだので、非常に興味深く、かつ、教えられることが多かった。

用語解説

シンクロナイズ】 synchronize 同時性を持つ。同時進行する。同調する。
ヘルツ】 [Hertz〈独〉]【IT関連用語】【物理・理工】音波や電磁波などに用いる周波数の単位.1秒当たりの振動回数で示す.記号はHz.
敷衍】ふえん 1おしひろげること。展開すること。2意義・意味を...
サブプライム】 subprime loan 低所得者、あるいはクレジットカードの延滞履行があるなど信用力の低い人を対象とした住宅ローン。
ブラックマンデー】 Black Monday 1987年10月19日のニューヨーク株式市場大暴落の日。日本の株式市況の早い回復、各国の政策協調によって恐慌を招くことなく終わった。暗黒の月曜日。
ヘッジ】hedge 株式・債券・商品・外国為替などの取引で、価格の騰落による損失や不利を避けるため、信用取引や先物取引で売買を行っておくこと。掛け繋(つな)ぎ。保険繋ぎ。繋ぎ売買。繋ぎ取引。繋ぎ。
空売り】株式の信用取引や商品の先物取引で、一定の証拠金を預託して現物を借り、売りつけること。相場の値下がりとともに買い戻して値ざやを得る目的で行う場合と、手持ちの現物が値下がりによって被る損失を防ぐために行う場合とがある。→空買い →売り繋ぎ
時価会計】 企業が毎年の決算で財政状態をまとめるにあたり、株式や不動産など資産の価値を、決算時の市場価格(時価)で評価すること。
スパイラル】 spiral 渦巻き線.らせん
リスク】risk 危険。危険度。また、結果を予測できる度合い。予想通りにいかない可能性。
バーゼル協定】 Basel Agreement 国際決済銀行(BIS)に加盟している先進主要国の中央銀行が為替(かわせ)相場の安定化を図るために取り決めた金融援助協定。

【 以 上 】