VOL.1 「アオコなんでだろう?」
夏、印旛沼に行ってみると、沼面にはオニビシがびっしり繁茂しているのが見られます。 そして沼の水は青緑色になっていて、よく見ると青い粉を散らしたようです。 時には沼面に皮状にベットリ浮かんでいることもあります。この正体がアオコです。 アオコは青粉とも書きますし、水の華(Water Bloom)ともいわれます。 印旛沼は今、全国の湖沼の中で2番目に汚い沼です。 私たちの家庭などで使っている水道水の水源としては、なんと全国で1番汚く残念な現状です。 アオコは、この水の汚さ(富栄養状態)の程度を私たちに知らせてくれるサインなのです。 それでは、このアオコについてもう少し詳しく調べてみましょう。
1.アオコってどんなもの?
植物プランクトンの1種、藍藻類(らんそうるい)の仲間で、ミクロキステイス属が主役です。
他に、アナベナ属、ユレモ属などがあります。
2.アオコの大きさはどれくらいなの?
大きさは倍率100倍の顕微鏡で十分見えます(直径5〜8ミクロン)。
最も数の多いミクロキステイス属は、バラバラの小さな球体で、これが沢山集まった状態で観察できます。
また、アナベナ属は丸い細胞が直線状やらせん状につながった形です。
ところどころに節目の細胞があります。
3.アオコのほかにどんなものが観察されるの?
沼から採集してきた水を顕微鏡で観察すると、真珠の首飾りや数珠玉のように細胞がつながった植物プランクトンが見えることがあります。
これも藍藻類の仲間で、スピルリナやシスイゼンジノリなどと同じく、必須アミノ酸やビタミンが豊富なので、昔は食糧として利用されました。
4.沼が汚くなるとどうしてアオコが増えるの?
窒素や燐を多く含む生活雑排水(台所やお風呂からの排水、特に米のとぎ汁が問題です)や自然水(街路や農業排水)が沼に流れ込むと、
沼水の富栄養価がおこり、更に水温が高くなると、沼の表面でアオコが爆発的に増えます。その結果、水の中に溶けている酸素が消費され、
アオコが腐敗すると水も臭くなり濁ってくるので、沼の底に生活している水草や小魚類は窒息して死んでいきます。
これが沼環境の破壊の大きな原因です。沼の水がアオコで青くなっているのは、つまり、沼が、そして沼の自然が悲鳴を上げているシルシなのです。
印旛沼探検でアオコを観察するときに、このことを考えながら眺めて見ましょう。