衆議院新潟5区の補欠選挙の投票を27日に控え、選挙戦も山場にさしかかった。
私も候補者の一人で、長岡出身の大学教授 石積 勝(いしづみ かつ)さんを推して闘っている。
選挙戦に入る直前、石積さんが私の家に訪ねてこられ、わずか30分余りではあったが政治姿勢など、お互いに忌憚のない話をすることができた。
その中で、最も印象に残っている言葉がある。ひとしきり私の一方的な駄弁を聞いた後、静かに話し始められた。「私は今の社会で最も大切と思うことがふたつある。それはアイデンティティーとコミットメントだ。どちらも日本語にはしにくいのだが、敢えて言えば前者は『個性』と言うことになるだろうし、後者は『つながり』と言うことになるかも知れない。」
上智大学を卒業してから丸紅に入社し、後にニューヨークの国連本部に10数年勤務。浦佐の国際大学や神奈川大学で国際政治学を教えておられる国際感覚に優れた氏の言葉らしいと思う。
私がアイデンティティーと聞いてすぐに思い出したことは、今、全国各地で中心的に進められている市町村合併だ。わが町、長岡でも現在、盛んに合併議論が進められており、私もこの9月議会ではこの件に関して本会議で市の考えを聞いた。
その中でも森長岡市長は「合併に際して最も大切と思われることは、各地域のアイデンティティーだ。」と答えている。
「個性」と「つながり」という、何気ないふたつの言葉。さらりと聞き流してしまえばそれまでの事かも知れないが、あらためて良く噛みしめてみると民主主義の根幹に関わる極めて大切な意味を持つものと言えなくもない。
市町村合併で言えば、行政単位が大きくなったとしても、それまでの各市町村が持っていた風土や文化、伝統行事に至るまで、その地域の持つ独自性、つまりは個性を尊重していこうというもの。更に合併で言えば広域化、つまり「つながり」によって人や物、さらには経済の流れを作り、より効率的で経済的なまちづくりができると言える。
目を世界に転じても、その国独自の文化や思想、自主性を重んじ、各国の連携をより深めていったならば戦争や飢餓、貧困など、世界各国が抱えている様々な課題も解決されるに違いない。
更に、より「つながり」を深めてゆくならばヨーロッパが進めている欧州共同体をアジアでも実現し、アジア版ECを作ることも夢ではないだろう。、
教育問題に限らず、子供のあり方全体から見ても、このふたつの言葉は「自己主張」と「協調性」と言う言葉に置き換えることもできる。一人ひとりの個性を尊重しつつ、このふたつを兼ね備えた人格形成こそ今、最も求められているテーマなのだろう。
このように見ていくと、このアイデンティティーとコミットメントというふたつの言葉は限りなく大きな意味と普遍性を持つ事に気付かされる。
私はこのふたつの言葉に石積さんの政治スタンスを感じることができるし、私自身もこのことを各地の個人演説会などの応援演説で話している。
国際政治学者でありながら私のような駆け出しの市会議員の話を静かに聞き、国際感覚のうえに市民感覚をしっかりと持った石積さんのような人にこそ、明日の国の行く末を委ねたいものだと心底思う次第である。
(ふう)
(2002-10-25)
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