〜や・ら・わ行〜



極限推理コロシアム

著・矢野龍王

あらすじ・目が覚めるとそこは知らない部屋だった。
”夏の館””冬の館”の2つの館に各7人ずつ集められている。
そして姿の見えない主催者は推理ゲームを説明する。
次々と起こる殺人事件、殺されるものはもちろん参加者。
そして犯人も参加者の中に・・・
殺される前に犯人役を見つけ出せ!
しかし、答えを出せるのはたった1回のみ。
そして、その答えは二つの館の犯人、二人を指名しなくてはいけない。
完全な密室の中で起こる極限推理。
一体犯人は誰だ・・・・

なんだろう・・・
盛り上がり場所がわからなかったなぁ
最後の謎解きもなんだかすっきりしないと言うかなんと言うか・・・
人がこれだけ死んだのになんか落語のオチのような・・・
まぁ、こんなけったいなゲームを開催する主催者ですからとてもまともな人とは思えませんし、
そう思うとね、ありなのかな〜・・・
状況は確かに極限。
期待しすぎたかな。。。うん。

ミステリーズ《完全版》

著・山口雅也

DISC-1
2.禍なるかな、いま笑う死者よ
第66分署のロッカールームでは新米警官を囲んでヴェテラン警官たちが今まで自分たちが見てきた無残な死体の話に花を咲かせていた。
そして、モリスンが話し出した奇妙な死体の話。
笑った死体の話−

DISC−2
1.「あなたが目撃者です」
「あなたが目的者です」という生放送で事件の目撃者を募集すると言う番組を見ている夫婦。
妻はもっと明るい番組が見たいというが、夫は食い入るようにその番組を見ている。
今夜はレッドリバー連続殺人事件を扱うようでいろいろと犯人像について語られていくが、そこには妙な一致があったのだ。

全部で10篇の短編集です。
なんとなく不思議な空気感が存在する小説でした。
「マニアックス」の前に出ていた短編集です。
本当に奇妙な味の小説。

13人目の探偵士  The 13th Detective

著・山口雅也

あらすじ・20世紀末、パラレルワールドの英国では小説の中にしかいなかったはずの名探偵たちが実在しており、
権力が落ちたスコットランドヤードの代わりにきちんとした法の下、事件を解決へと導いていた。
そこへ現れた”猫”。
探偵だけをターゲットに殺人を行うこの”猫”は事件を解決しようと躍起になる探偵たちを嘲笑うように殺人を繰り返し、
マザー・グースに擬えた犯行声明分まで出していた。
その童謡によると探偵は13人殺されるらしい。そしてすでに今は11人が散っている・・・。
現探偵の中で随一といわれているクリストファー・ブラウニング卿が殺された。
部屋の中にはまたもや”猫”の仕業と指し示すものが・・・
しかし、今回はその密室の中にもう1人の人物がいた。
まったく記憶を失ってしまった”私”はこの事件を探偵と共に解決へと導くことが出来るのか?
そして何より、”私”は一体誰なのか・・・・・

元がゲーム・ブックだっただけにそのテイストがかなり残っていますね(^^)
設定も面白いし、ストーリーも面白いんですよ。
でも、後に残らないんですよね〜・・・
後味すっきりの本でした。

翼をとざして アリスの国の不思議

著・山田正紀

あらすじ・各国が領有権を主張している海鳥諸島の一つ、鳥迷島に右翼青年グループ”魁別動隊”が上陸する。
男4人と女3人の小さいグループだが、一目置かれるグループだった。
しかし、上陸早々仲間の一人が弾劾から突き落とされた!
しかも、わたしが見たのはわたしが彼女を突き落とすところだった!!
皆に疑われ、自分自身もやっていないと自信がもてないまま島を逃げ惑う。
そうした中にも次々と仲間が・・・!
犯人はわたしなのか?わたしも殺されてしまうのか?

初読みの作家さんです。
なんというか・・・・どうなんでしょうか?
ありえるんだろうけど、どうだろう?とか思っちゃったりしました。
腑に落ちるんだけど、腑に落ちないってうか・・・。
”自壊していく”という帯は言い当たってるなぁ〜と。

Dの虚像

著・湯川薫

あらすじ・医師・和田又三郎は青年海外協力隊に参加していたが、東南アジアのT国で乗っていたヘリコプターを撃墜され、
一緒に乗っていた婚約者さえも命を落とした中、唯一彼だけが生き残ってしまった。
失意の中、日本に戻ってくるが、友人の新聞記者・赤尾健太が和田の新しい下宿先まで決めていた。
何もわからず新しい下宿先に連れて行かれた和田はそこで同じ下宿人を紹介される。
”サイバー探偵”橘三四郎・・・
怪しい肩書きとハーフ特有の端正な容姿、強い信念と行動力。自分にないものに引かれる和田。
そんな中、和田はある誘拐事件の目撃者の一人となる。
黄昏の靖国神社、名門女子高の生徒・松任谷晶子が巨大な男に連れ去られる事件がおきたのだが、
その二人の姿はそのままお堀に落ちたように姿を消し、駆け寄った人々は波紋さえ走っていない水面を見る。
そう、まるで時空の裂け目にでも入ったように忽然と姿を消したのだ・・・
父親から捜査の依頼を受けた三四郎だったがそれはほんの序章でしかなかった・・・

サイバー探偵って何?と最初は思いましたが、面白かったですよ〜
脅迫状がシャーロック・ホームズの「踊る人形」を持ちいってるんだけど、この三四郎と和田の関係も
ホームズとワトソンそのままって感じですよ。
シリーズ物になるのかな?なったらいいなぁ〜
湯川さんと言えば湯川幸四郎シリーズなんだけど(楽にとってはね)、幸四郎とちがって三四郎は
自分に自信があるタイプで容姿もかなり端麗らしい(笑)
栗本薫さんの伊集院大介と栗本薫くんが一緒になる事件ってあるけど、そういう風に一緒に事件を解いていって
くれると楽しそうだなって思いましたよ〜

ディオニシオスの耳

著・湯川薫

あらすじ・モントリオールで起こっていた連続猟奇殺人事件の最後の被害者は立原まゆみだった。
マッギネス大学を卒業した当日、日本からの留学生だったまゆみは教会の避雷針に体を貫かれて死んだ。
まゆみの日記に頻繁に現れる人物”ダニエル”が犯人と警察は目した。
その後、”ダニエル”は警察との銃撃戦の上、死んだ。
10年後、マッギネス大学を卒業した5人の同窓生たちは鎌倉の教会の地下に作られたイベントホールで
同窓生・三枝裕子の企画で行われるロック・コンサートの観劇兼同窓会を開くことにする。
しかし、そこでみんなを待ち受けていたのは”ダニエル”だった・・・。

楽の初湯川さんモノです
切り口も面白かったし、途中までワクワクとして読みました。
ちょっと伏線がわかりやすかったけど、それはいろいろと推理ができて面白かったです。
でも、解決のとき、ちょっと探偵(役)・湯川幸四郎が感傷的な人物だったのが好みではなかった(;^^)
シリーズを通してみていくとこの幸四郎の性格変化にはちょっと驚きますね。
少し影を引きずっているような所はあるんだけど、これほどではない・・・
面白い本であることにかわりはないのです。

虚数の眼

著・湯川薫

あらすじ・おもちゃ屋で母親がゲームに夢中になっている間に子供がいなくなった。
そして、警備室のモニターにはその子供を引きずる男の姿が映し出されていた。
警察がおもちゃ屋の店内を探した末、見つかったのは鼻と口にテープを張られ目から深紅の涙を流しながら
なぜか微笑をたたえていた子供の窒息死体だけだった。
非常勤講師・湯川幸四郎の回りで起こる事件。ネットで実しやかに流される湯川の悪い噂。
ついには湯川が犯人だという告発めいたメールまで流れるようになる。
暗号化された私信さえもなんなくすり抜けて情報を掠め取っていく犯人。
虚数の世界が湯川に罠を仕掛けてくる。

湯川幸四郎シリーズ2作目です。
これはかなり量子学の話などがふんだんですっげ〜難しい(;^^)
でも、一応一般向けに解説はついているのでTRYしてみるのも良いかも(笑)
本当、面白かったなぁ〜、怪しい犯人候補が目白押しで。
多分、こいつはダミーだなっとか思ってるんだけどどうなの?みたいな(笑)
今まで(現在2001/7/31でこのシリーズは4冊出ています)の中で一番これが好きです。
超おすすめです!

イフからの手紙

著・湯川薫

あらすじ・湯川幸四郎の生徒である十文字葵は友人から貰い受けた年代物のシトロエンにてこずっていた。
そして何度目かになるレッカーを頼んでやってきたのは車大吉という気さくな青年だった。
凄腕のレッカー車の運転技術と明るい性格に惹かれた葵は同級生の冷泉恭介の家でもまた大吉と再会をする。
大吉からデートに誘われた葵は無意識のうちにOKの返事をしてしまう。
しかし、デート場所で二人は襲われてしまい、大吉は崖から落とされてしまう。
葵も気を失ってしまうのだが、気がついたときには大吉の姿はなく、レッカーの会社で働いていたというのだ。
デートの約束すらしていないと、葵の幻想だと言い張る大吉はまもなく姿をくらましてしまう。
葵は大吉の故郷がある熊本の山奥へと向かうが、そこは2つの均衡する村が衝突しているあまりにも閉鎖的で時代錯誤な村だった。
村人の証言と一致しない葵の記憶、再び再会した大吉も葵の話を信じようとしない。
村では神隠しが起こると沼が消えると言う不思議な伝説があるのだが、それは本当なのか?
葵に呼び寄せられた恭介と幸四郎はその謎を解くことができるのだろうか?

湯川幸四郎シリーズ3作目です。
面白かったですね〜。
こんかいの作品での難しい講義は(笑)列車のダイヤグラムの講義でした。
巻末にちゃんと講義が載っているのでお勉強しました。(が、理解しているかは不明です。。。(笑)
時代錯誤的な村の感じが麻耶さんの(鴉)を思い出させましたね〜。
この作者はタイトルの付け方が良いな〜と思わせる内容です。

漂流密室 世界遺産ミステリー@屋久島

著・湯川薫

あらすじ・大学の非常勤講師・湯川幸四郎は警察の科学捜査班アドバイザーという肩書きも持っている。
湯川は屋久島に浮かんでいる巨大な人工島テラ・フロートの上で起きた5人もの人間の失踪事件の謎を解明するために
旧友・犬神利休とともに屋久島へ向かった。
湯川たちとは別口でテラ・フロートを見学に来た子供たちと引率者も合流してテラ・フロート内を見ていた湯川たちだったが、
何者かに閉じ込められてしまう。
完全な密室であるテラ・フロートでまたしても人間が消えてゆく。
犯人は誰なのか?湯川はこの問題を解くことが出来るのか?

湯川幸四郎シリーズ4冊目。
楽の好きなシリーズです。
相変わらずおもしろいなぁ〜(^^)
ちょっと幸四郎が前向きな性格に変わったような気もしたけど、気のせいかな?
完全な密室での失踪!一応、作者からの挑戦状形式になっています。
頭の回転のよい人ならわかるかな。(ちなみに楽は回転悪いので・・・でした(;^^)
表紙問題は日記に書いたのでここでは触れずにおこう。。。。

百人一首 一千年の冥宮

著・湯川薫

あらすじ・早乙女は死ぬためにNYを訪れていた。
約束された未来をこなこなに砕かれ、失意の底で彼女に出会った。
「あなたのことをずっと待っていたの」
真紀はそう言った。
タロット占いでお金を得ていた彼女は自分のことを魔女だといっていた。
その彼女が消えてしまう。
部屋に死体を2つも置いたままで・・・・

これまたかなり寝かせた本でした(;^^)
途中から幸四郎先生が出てくるのでそこからは読むの早くなりましたね。
(要するにそこまでなかなかたどり着けなかったのです、私。)
ある単語が最後のポイントになっていくのですが、
読んでいるとき、私はその単語の意味がわからなかったのでラストに「???」だったのですが、
調べた後、「ふ〜ん」でした。(あんまり態度変わってないか”?)
ん・・・・・幸四郎シリーズ、久々に新刊出してくれないでしょうか・・・・

鬼譚草紙

著・夢枕獏+天野喜孝

あらすじ・平安時代の人と鬼の物語
<染殿の后 鬼のため 擾乱せらるる物語>
染殿の后とは文徳天皇のお后で御形の美麗なること、この世のものとは思われないほどの美しさを持った女性であった。
その事件が起こった時、后はすでに37の春だったが20の女官と比べてと劣らないほどの若さがあった。
物の怪に憑かれた后を救うべく、優れた験力を持った真済聖人を呼び寄せた。
真済聖人は見事、后に憑いた物の怪を取り払ったが垣間見た后に心を奪われてしまう・・・

平安物語が3話入っています。
鬼と人、人が鬼となり、鬼が人を喰らう、まさに・・・といった本です。
切なく、妖艶なお話
夢枕さんの文章と天野さんの絵がまたぴったり来るんですよ〜
結構、おすすめな一冊です。
追伸:<染殿の后 鬼のため 擾乱せらるる物語>ですが、漢字が違うのです・・・
擾乱(ぜうらんorじょうらん)の頭の漢字、手書き検索では出るのですが、どうしても文字に変換すると”?”に
なってしまうんです(;;)
未熟な楽をお許しくださいませませ・・・

春限定いちごタルト事件

著・米澤穂信

<羊の気ぐるみ・あらすじ>よく中学から高校へとイメージを変えることを高校デビューというが、
彼らもまたその高校デビューを目指していた。
小鳩常悟朗と小佐内ゆきは恋愛関係にも依存関係にもない、互恵関係にある高校一年生。
二人は小市民を目指していた・・。
しかし、小鳩は事件に巻き込まれる。
女性生徒のポシェットが校内で盗難に遇ったらしいのだ。
捜索に参加する小鳩は小市民にとってあってはならないことだが、その事件の謎が解けてしまう。
連作短編5篇収録
ミステリ読みなれていない人もこれは大丈夫だと思います。
なんと入っても人が死にませんから(^^)
女子高生向けみたいな感じがします。
rakuはこの表紙が気に入って買いました。
ほんわかした可愛いイラストです。
水彩?パステル?かわかりませんが、他の表紙でもこのイラスト見た気がするんだよね・・・。
思い出せないけど。
青春!というよりもその端っこ歩くようにしました!的な感じが好きです。

氷菓 You can't escape

著・米澤穂信

<伝統ある古典部の再生・あらすじ>折木奉太郎は姉の強引な命令により廃部寸前の”古典部”に入部することになった。
どうせ他にメンバーはいないと高を括っていたのだが、部室にいたのは同学年の千反田えるだった。
驚いたことに彼女も古典部に入部したのだという。
彼女が来たときは部室の鍵は掛かっていなかったというのだが、その後、奉太郎が来たときは鍵が掛かっていたのだ。
何気なく言ったその奉太郎の言葉に千反田は異様に反応した。
自分が知らない間に閉じ込められていたということに・・・。

短編集9編入ってます。
古典部に入ることになった奉太郎とそのほかのメンバー(里志、摩耶花)、千反田が持ってくる謎。
千反田は何を奉太郎にさせたいのか?
そして、影にいる姉・供恵は一体何をさせたいのか・・・
だって、退屈だったんだもの〜ってのはなしだぞ!

愚者のエンドロール Why didn't she ask EBA?

著・米澤穂信

あらすじ・千反田が行きたいといったのは文化祭のクラス展示の自主映画の試写だった。
そしてその映画はまだ完成していなかったのだ。
脚本を担当していた生徒が体調を損ねて完成を見なかったのだ。
そこで奉太郎たちにこの映像を見て、撮影メンバーに会い、結末を推理して欲しいという依頼が裏にはあった。
結局その依頼を飲むことになった奉太郎たちの推理は転々としながら、ついに一つの解決を見たのだが・・・

長編ですね。
”氷菓”の続編です。
このシリーズはまだまだ続いているのですが、文庫落ちするまで待ちの状況です。
この年齢になるとなかなかこんな学園物にはなじめないのですが、なんとなく惹かれるんですよね、これ。
陰気な感じが(笑)
全て偶然ではなく必然で構成されているのだ!って感じです。

夏季限定トロピカルパフェ事件

著・米澤穂信

<シャルロットだけはぼくだけのもの・あらすじ>”小市民”を目指す小鳩は同じく”小市民”を目指す小山内さんの
願いを聞き入れて指定されたケーキを買って家を訪ねていった。
マンゴープリン2つ、シャルロットのグレープフルーツのせを4つ。
個数から言ってマンゴープリン1つずつ、シャルロット2つずつが正しいのだろう。
しかし、シャルロットは3つしかなかったのだ。
あまり甘いものが得意ではない小鳩は彼女を部屋で待つ間、シャルロットを口にしてみた。
・・・・・美味しい。
そのとき、小鳩はやってはいけない計画を思いついたのだ。
これがひと夏を棒に振る事件の引き金となるとは知らずに・・・・

短編4話入ってます。
そして全編を通して繋がる1つの謎。
”春季限定いちごタルト事件”の続刊です。
ここまでいくと”秋季限定”冬季限定”も期待しちゃうんですが、終わり方がなぁ・・・

風流冷飯伝

著・米村圭伍

あらすじ・時は江戸、吹けば飛ぶような小さな風見藩に訪れた幇間・一八。
町を歩けば周りから意味もわからぬ失笑を買い、勝手の違う藩に右往左往。
知り合ったお武家・数馬から助けてもらったのだが、この数馬、武家の次男の冷飯食いだった。
また城の内情を知りたがるこの幇間、ただの幇間では無い様子。
敵味方のはずの幇間と冷飯食いたちがお城の一大事に手に手をとって大活躍!

大江戸三部作の一作目です。
時代小説ながらもかなり読みやすいです。
ちょっとしたエッチを含みつつ、この冷飯食いの次男坊ズを応援していたら
あっという間に読み終わってましたよ。

退屈姫君伝

著・米村圭伍

あらすじ・たった二万五千石の風見藩に五十万石の陸奥磐内藩の姫君がお輿入れすることに!
何か裏を感じながらも17歳のめだか姫は藩主・直重と心を通わせめでたく夫婦に。
参勤交代で直重は姫を江戸に残し、国許に帰るという。さぞ悲しみにくれていると思いきや
この姫君、元来のおてんばで屋敷を抜け出す、藩の六不思議の解明にと忙しく飛び回る始末。
しかし、ひょんなことで田沼意次の陰謀を探り当ててしまった!
このピンチ、めだか姫はどのように乗り切るか!?

大江戸三部作の二作目です。
てっきり数馬が活躍するシリーズと思いきや、ここで大本命登場といったところか?
またすさまじいおてんば姫様。アダルト・あんみつ姫かっ(笑)
昔懐かしい娯楽映画”おてんば姫様シリーズ”とかの土台になりそう。
面白かったです。

面影小町伝

著・米村圭伍

あらすじ・めだか姫の仲間・お仙は谷中の茶汲み娘。
母親の危篤の知らせを聞き、母の暮らす里へと戻っていったお仙。
黒々と日焼けし、男の子か女の子かすらもわからないお仙だったが、徐福の仙薬で色白美人に大変身。
母親の最期を看取って谷中へ戻ってきたはいいが、美貌が人を呼び、仕舞には錦絵に描かれるほどに。
そして浅草にも美女・お藤が現れるのだが、この二人には驚く因縁が・・・
正義感の強いお仙が見た田沼の陰謀、さてどう打ち砕く!?

大江戸三部作の完結の三作目です。
今回はくノ一お仙ちゃんが主役。
ラストは”どうなん?”とも思いましたが、なんというか不思議な力はあるのだと・・・・・
それまでの道行きも、結末も面白く読みました。

退屈姫君 海を渡る

著・米村圭伍

あらすじ・夫の帰りを待ちながら江戸の屋敷であくびをしていためだか姫の下に、風見藩藩主・直重の失踪のニュースが!
大喜び(?)で風見藩に駆けつけてみればそこにはお家乗っ取りの陰謀が!
消えた直重の行方もさながら、めだか姫、藩の危機、どう救うのか!?

大江戸シリーズです。
やっとメンバー勢ぞろい
次回(あるんでしょう)からはこのフルメンバーでがんばっていただきたい(笑)
面白かったものの、立て続けに読んだのでちょっと・・・飽きが・・・
でもでも、面白かったですよ。うん。

お父さんは時代小説が大好き
お母さんは「赤毛のアン」が大好き

著・吉野朔実

漫画家・吉野朔実が読んだ本や本にまつわる日常を描いたエッセイ漫画。

めちゃくちゃ好きです。
rakuの読む本とは全然かぶらない本のチョイスなんだけど、人の本の感想を読んだりするの
もとから好きなんだよね(^^)
おまけに絵も良いときたらもう文句なしです!

プレゼント

著・若竹七海

<海の底・あらすじ>葉村晶は大学時代のOBで雑誌の編集者をしている遠藤から高級ホテルへと呼び出されていた。
晶はフリーターをしながら日記をつけているのだが、その日記が遠藤のおかげで原稿に化けてお金になったりするので、
断れず、言われたとおりの”道具”を持って駆けつけたのだ。
呼び出された部屋には遠藤の同僚の井坂という編集者と血と思われるシミのついたカーペットがあった。
今、晶が手がけている本が「プロから学ぶお掃除テクニック」だから呼ばれたのだろう。
部屋に泊まるはずの新進気鋭の作家が姿を消し、血のついたカーペットが残った・・・
ホテルにさえ他言をすることを嫌がる井坂から掃除をしながらそれとなく話を聞きだす晶。
この事件の真相とは・・・

8話にわたる連作短編です。
葉村晶と子供用自転車で現場に駆けつける小林警部補がそれぞれ探偵役を務めて最後の8話目に合うという趣向です。
若竹さんの書かれる登場人物の魅力的なこと!!
本当に主人公達にはまり込んでいきますね〜
笑えるのにどこか物悲しくて、切ない、とても面白かったです!

ぼくのミステリな日常

著・若竹七海

あらすじ・社内報を任されることになった七海。
しかも、上層部からは「小説を!」との声が・・・
限られた予算の中、悩んだ末に七海は大学時代に長編小説を書いていた先輩・佐竹に依頼の手紙を書いた。
しかし、佐竹からは短編は書けないとの素気無い返事が来るが、代わりに好んで短編を書く友人を紹介するとのこと。
その友人は一から話を創作することはできないが、実体験や第三者の体験話を上手く捉えてなかなかな解釈を加えることが出来るという。
しかし、それには匿名でという条件があった。
もちろん、七海はその条件を飲んで社内報は発行されることとなる。
七海は送られてくる12話の小説を見るにつれ、気になることが出てきたのだが・・・

なかなか面白かったですよ!
短編12個というのも面白かったし、まったく関連性の無い話から考えて作業も楽しかった。
それにその作業を意識しなくても充分、短編としての魅力がある小説でしたしね
なかなかのオススメ品です。
若竹さんの書くキャラクターって結構、惹かれるものを感じるなぁ〜

船上にて

著・若竹七海

<船上にて・あらすじ>1920年、紐育から日本への帰途の方法に豪華客船を選択した日本男児がいた。
そこで知り合った一人の元宝石商と言う老人・ハッター氏と意気投合する。
そしてその船にたまたま乗っていたハッター氏の親戚・トマス氏とも知り合いとなるが、彼がすごい宝物を手に入れたと言う。
それはナポレオン三歳の時の頭蓋骨と言う・・・
トマス氏の破天荒な台詞にあきれる二人だったが、その後頭蓋骨がなくなるという事件が起こる。
本物だと疑わないトマス氏は二人(特に日本人)を疑うが、価値を知っているからこそ犯人ではない二人の推理は・・・

短編集です。
かなり初期のものから選ばれているらしく、今までとはちょっと違った感じがします。
「製造迷夢」に出ていた一条刑事が<黒い水滴>に出てますね。
奥さんの話が出ているのでこれは美潮さんと結婚した後だな、とか思いながら読みました。
本当に雰囲気が何となく違う感じがして、それはそれで面白かったりしましたよ。

製造迷夢

著・若竹七海

あらすじ・猿楽町署刑事・一条風太はある事件をきっかけに残留思念を読むという女性・井伏美潮と知り合う。
訝しい気持ちで会った一条だったが、事件を重ねる度に美潮の能力を信じざるを得なくなっていく。
最初こそ疑っていたがそのうち彼女の能力に頼ろうとする自分とその能力に嫉妬する自分がいることに気付く。
怖面の一条となぜか一条を気にかける美潮が事件の謎を追う

連作短編集です。
残留思念を読むってやつ、なんかずいぶん前に「世にも奇妙な物語」であったなぁ〜とか思いながら読みました。
これよりももっとダークなお話でしたが・・・
何はともあれ、面白かったですよ。
特殊能力をもった美潮の性格があっさりしているところがいい。
一本気で真面目な一条もいいですね。実に組み合わせが上手な作家さんですね〜
扱ってる事件はドラックや代理殺人、幼児虐待などなどちょっと暗い事件でちゃんと向き合っていながら
暗くなりすぎてない所が読みやすかったですね。
それは短編の利点でしょうか・・・

名探偵は密航中

著・若竹七海

昭和初期、客船・箱根丸の優雅な欧州までの旅の途中の事件を7つ載せた連作短編集
<第一話・殺人者出帆・あらすじ>横浜のローラースケート場で奇妙な死体が発見された。
スケート場の真ん中で一糸纏わぬ姿で絞殺された男の死体・・・
容疑者として上がったのは内藤五郎という男だったが、彼は仕事のためコロンボへ行くために、箱根丸に乗船していた。
彼を捕らえるため、船上では一悶着あったが、その事件は乗客達の良い話の種になった。
みんなはその事件に付いて船上裁判を行った。
本当に犯人は内藤五郎氏だったのだろうか・・・・・
<第三話・猫は航海中>あらすじ・無類の猫好き・カーマイケル卿夫人は日本に立ち寄った時、
一匹の日本猫を気に入って家に連れて帰ることにした。
船の中を散歩する日本猫・バリツ(夫人がそうつけたのだ)を優しく愛でる乗客がほとんどだったが、
もちろん例外もいた。乗客の清水千代子である。
千代子の傲慢ぶりに船員もそして乗客も呆れ果てていたので、バリツが千代子に一泡吹かせる度に
みんなはバリツをますます可愛がっていった。
そうした頃、不幸な事件が起こった。乗客の池澤次郎が自分の船室で殺されてしまったのだ。
犯人もわからぬまま、誰も使うことのなくなった船室にバリツが一人(一匹)入ることになった。
千代子が船からバリツを投げ捨てると言い始めたからだ。
ようやく静かな部屋を与えられたバリツだったが、そこは彼一人の部屋ではなかったのだ・・・・

すっご〜〜く面白かったですよ〜〜。
登場人物がみんな魅力的なこと!!
楽のお気に入りはやはり女中・ナツちゃんかなぁ〜(読まないとわからないですけど)
長い船旅の中で起こる様々な事件の表からは見えない影・・・・
あっけらかんとした表面とじっとりとした裏面、こういう話は若竹さん上手いですよね〜
おすすめの1冊です。

サンタクロースのせいにしよう

著・若竹七海

あらすじ・三年半に及ぶ恋愛を終了させた岡村柊子は気分転換に引越しを考える
すると友達から「一戸建ての同居人を探していて、おまけに料理さえ作れば家賃はタダ」というおいしい条件を持ちかけられる
一も二もなくその条件に飛びついたが、同居人・松江銀子は一筋縄では行かないお嬢様だった
靴箱の上には首に紐をかけた半透明の老婆が座っていて、近所にはごみの袋を漁るほどのごみ管理人がいる。
とにかくおっとり家の銀子としっかり家の柊子の生活が幕を開けたのだ

連作短編集です。
最近、のほほ〜んとした若竹小説にはまってますなぁ〜
すごく読みやすい一冊です。
自分で認識してない鈍さをもつ癖に、心配性の銀子と振り回されていながらも生活を楽しむ柊子
いい味を出してます!
このコンビで長編があるといいのになぁ〜〜〜

死んでも治らない

著・若竹七海

あらすじ・大道寺圭は刑事生活最後の事件で再会した幼なじみの編集者・彦坂夏見の勧めで本を出版することになった。
ドジでまぬけな犯罪をユーモラスに綴った本だったが、その本がきっかけにそのまぬけな犯罪を犯したまぬけな犯罪者たちが
現れ、大道寺を事件へと巻き込んでいく。
<死んでも治らない・あらすじ>大道寺は最近増えた講演の最中だった。
まぬけな犯罪を例に出して割に合わないということを話して終わるのが常だったが、最後に今朝の朝刊で見た事件の話をした。
強盗事件を犯した犯人がホテルで密室で相棒を殺して逃げたという事件だった。
いずれ犯人は捕まるだろうという括りで講演を終えた大道寺だったが、その後に問題は待っていた。
帰り支度を済ませ、駐車場に止めてあった自分の車に乗り込んだとき、助手席に奇妙な男が乗り込んでいたのだ。
話によると今朝の新聞に載っていた男・自称<トレイシー・ローズ>だという。
トレイシー・ローズは強盗もホテルに泊まったことも認めたが、殺人は犯していないという。
自分を嵌めたやつを見つけ出すために、元刑事の大道寺を拘束したと言うのだ。
大道寺はトレイシー・ローズの話だけで犯人を特定することが出来るのか?

刑事を引退した後、大道寺が関わった事件が5話、その間に大道寺最後の事件が入っていく〜形でした。
一見、何も関係ないように思える現在の事件と過去の事件がどう関係していくのか・・・・面白かったですよ。
主人公の大道寺が最初は弱い(というか優しいというか・・・)キャラに見えるのですが、読み進んでいくとこれがまた曲者。
なかなかのオススメ品です。

遺品

著・若竹七海

あらすじ・私は勤めていた美術館も閉鎖され、恋人とも別れたばかりだった。
恋人を気に入っていた父親からも誹られるようになった私の所へある仕事の話が舞い込んできた。
鼻持ちならない男からの仕事の話だったが、今の状況から脱したい私には渡りに船だった。
金沢市郊外、銀鱗荘ホテルに眠っている今は亡き女優・曾根繭子にまつわるコレクションの公開作業の仕事だった。
助手として付けられた青年・タケルと共に黙々と作業を続ける中、様々な事件が起こる。
そしてそれは後で見つかった繭子が書き残した戯曲とリンクするものだった。
私を逃がしてくれようとするタケルの思いに反して、この公開事業を成功させようと強く思うようになる私・・・
この戯曲を操っているのは誰なのか・・・・

久々の読書(笑)
いつもの若竹さんと違ってさすが「角川ホラー文庫」から出てるだけはありますね〜
怖いっ、という感じはあまりしなかったのですがかなり入り込んで読めました。
読み終わって主人公の女性の名前に触れられてないことに気付きました。
普通のってすぐ気づくんだけど、なんだか自然とふわ〜っと流してましたね〜
別にそれがどうって訳じゃないですけど(;^^)
タケル君、めっちゃ好みですわ〜(笑)
ネタバレかな〜。
それにしても繭子の思惑を知りたいですわ〜
どうして”私”をそっちの世界に引き摺り込んだのか・・・。

古書店アゼリアの死体

著・若竹七海

あらすじ・会社は倒産し、憂さ晴らしに泊まったホテルは火事になり、そのショックで円形脱毛症に、知り合いの紹介で
カウンセラーと会ったら怪しい宗教に勧誘されて、その勧誘から逃れるために二階から飛び降りて捻挫…
散々な目にあった相澤真琴は長年の夢を果しに雨が降る葉崎の波打ち際まで来ていた。
海に向かって「バカヤローッ」と叫ぶことが真琴の夢だった。
こんなにひどい目に合ったのだからそれぐらいは許されると思って彼女はわざわざシーズン・オフの葉崎にまで来たのだ。
しかし、彼女の「バカヤローッ」に海は仕返しをしたのだ。
波に運ばれて彼女の足元には死体が投げ出されていた…
思わぬ死体の発見者となった彼女は葉崎に足止めをくらい、そしてちょっと変わった古書店に行き会うのだ。

他の本を読んでたんだけど、結局この本を手にいれたらこっちを先に読んでしまった(;^^)
「ヴィラ・マグノリアの殺人」で活躍した駒持警部補が出ています。
ヴィラの事件の後という設定です。
で、ヴィラの住人もほんの少しだけど匂わせるような話です(表立って登場はしませんが)
葉崎市ってのほほ〜んとした街なのに意外と血なまぐさいのね(爆)
全体的にのほほ〜ん空気が漂っていて好きですね〜。
不幸に続く不幸!の真琴さんもいい味出しています
でもあえて言うなら、「アゼリア」の店主・紅子さんにはもっと探偵してほしかったかなぁ〜
なかなか味わいのあるおばぁちゃまのようなので、バリバリと…ね。
それにしても駒持さんは若い人をくっつけるのが上手いね(^^)

ヴィラ・マグノリアの殺人

著・若竹七海

あらすじ・海を臨む10棟の建物が並ぶ「ヴィラ・葉崎マグノリア」
交通の便が悪いことを除けば穏やかな場所だが、空家である3号棟から見知らぬ男の死体が発見される。
家は密室、男は所持品もなく、顔や手を潰されている。
住人に聞き込みに回る葉崎署員たちだがヴィラの住人は一見平凡そうに見えるが、一癖も二癖もある人物ばかりで…
なんの手がかりもないまま途方にくれる警察を尻目にヴィラ内で第二の殺人事件が…!
犯人は誰なのか?やはりヴィラの住人なのか?

若竹さんの本は初めて読んだんだけど、帯に書いてるとおり!って感じでした
”ほろ苦さと、コミカルなセンスの絶妙なバランスー帯より参照”
ヴィラの住人が本当に近所に住んでそうな人ばかりで、とっても面白いんですよ
本当に一つ一つのやり取りが笑えたり、切なかったりするんだな〜
この本に出てくる駒持警部補はもう一冊登場してる本があるらしいので読んでみようかな〜って思ってます

スクランブル

著・若竹七海

あらすじ・1995年1月22日。
かつて少女達だった彼女達は友人の結婚式に出席していた。
15年前、高校生だった彼女達の学校で発見された女性の死体。
高等部編入組<アウター>だった彼女達は他生徒や教師達の偏見にも果敢に向かって行きながら、ちょっとした好奇心で
その事件の謎にも推理をつけていたりした。
彼女達それぞれが15年前を振り返りながら、出席する和やかな結婚式。
しかし、その途切れていた線は15年の歳月を経て不意に結ばれていくのだった。

一見、連続短編のようですが、長編作品です。
1995年の結婚式の場面と1980年の高校時代の場面が交互に現れるんだけど、面白い!!
楽も女子高タだったので、(彼女達は女子高だったのです)あぁそういう事あったよ〜、と相槌を打ちながら読んだり、そいういう楽しみもありました(^^)
読んでいきながら「で、誰の結婚式だ?」とそういうところにもドキドキしながらも、読み終わると「そうくるか!」と思わせたり。
オススメの一冊ですな。女子高出身者も楽しめる一冊です(^^)

依頼人は死んだ

著・若竹七海

<濃紺の悪魔−冬の物語−・あらすじ>葉村晶、職業・元調査員。
現在は以前の職場(長谷川探偵調査所)から来る仕事をこなす、フリーの調査員として働いている。
今回の仕事は最近マスコミで取り上げられている有名な女性・松島詩織の身辺警護だった。
三十代の知的女性読者をターゲットにした雑誌に取り上げられて以来、彼女は瞬く間に有名人へと成功していった。
その彼女が今、様々な人から狙われているのである。
それから晶の地獄のように忙しい日々が始まったのであった・・・
<鉄格子の女−秋の物語−・あらすじ>晶はフリーで榊浩二という大学生の依頼を受けた。
それは大学の課題で『特定の人物を一人選び、その人物に関する文献・図書の目録を可能な限り精密に作り上げること』
というのが出たらしい。
それは一見簡単のように思われたのだが、雑誌のコラム、TV出演などあった場合は日時などまで細かく書かなくてはならず、
結局、困った浩二は文学館で学芸員をしている姉に応援を仰ぎ、”森川早順”なる画家を選んだ。
姉の文学館で彼の展示をする関係上、作品のリストが手に入るというのだ。
で、そのほかの細々とした資料を晶に頼むという依頼だった。
最初は呆れ果てた晶だったが、仕事が進むうちに早順の画風がある時期を境に一変してしまう事に興味を覚え・・・
<私の調査に手加減はない−再び秋の物語−・あらすじ>晶は友人・みのりの好意で彼女のマンションに住まわせてもらっていた。
その彼女の母親の友人なる女性・中山彗美が相談へとやってきた。
彼女は10年前に亡くなった友人・由良香織が夢に出てくるのだという。
彼女が自分に何か伝えたいのではないか?それを調査して欲しいという。
あまりにも破天荒な依頼に頭を悩ます晶だったが、調査を進めていくうちに香織の死が自殺だったこと、
そしてその死に直接関係する事柄が浮かび上がってきたのだ・・

女探偵・葉村晶シリーズ第1弾
確か、2冊目も出ているのですが(悪いうさぎ)ハードカバーなので文庫化を待っておりますところです。
他の若竹作品にも確か、葉村さん出てますよね〜
連作短編です。
ぞわぁ〜ってくる感じがたまりません
いつものちょっと笑える・・って言うのはないのですが、かなりシニカルな感じです。

閉ざされた夏

著・若竹七海

あらすじ・佐島才蔵は半年ほど前に学芸員として”高岩青十記念館”に雇われた。
かなり楽天家だと自負していた才蔵さえも驚くほど、他の職員たちは楽天家だった。
のんびりとした職場は実に居心地が良かったが、突然起こった放火騒ぎ。
展示会を控えていた職員たちは右往左往しながらそれら事件を乗り切ったように見えたが、
その先にあったのは旅行へ出たはずの同僚の死だった。
しかも、セキュリティが万全に引かれた記念館を含む公園内の建物の中から死体は発見された。
才蔵と妹の楓はそれらの事件を追っていくのだが・・・・

わぁ〜、切ないですね(;;)
最後の最後に二転三転してなんだかより切ない方に流れていく・・・・
夏、という季節感はあまり感じませんでしたが、なかなか面白かったです。
あとがき、というか加門七海先生の解説が仲が良いのだな(^^)と微笑ましいです。

八月の降霊会

著・若竹七海

あらすじ・水屋征児の送った一通の手紙《降霊会のお知らせ》、それが始まりだった。
水屋の人脈を当てにしている百貨店社長、女流作家とその秘書の青年、水屋自身の甥っ子たち、
胡散臭い占い師の夫婦、今回の降霊を任された霊媒師とその娘、
誘拐殺人犯の汚名を着せられ監獄で自殺した父を持つ娘、別荘の管理人をしていた両親を下げずんでいた男、
そして何よりその人々を選び、呼び寄せた水屋征児・・・・・
見えない繋がりは何を示していくのか?
征児が望んだ”降霊会”の目的とは一体・・・・・・・

サスペンスフル本格ミステリー
と、カバーの裏に書いてあったのですがなんだかわかるような、わからないよな・・・・
不思議な、というのを”ミステリー”だと考えると納得するのですが・・・・
なんとも不思議な読後感ですが、最後まで一気に読ませる本です。
8月の蒸し暑い深夜などに読むと尚楽しめるかもしれません。

海神の晩餐

著・若竹七海

あらすじ・1932年、舞台は香港〜横濱〜バンクーバー遠洋航海の客船・氷川丸。
資産家の家に産まれ、苦労知らずに育った探偵小説マニアの男・本山高一郎。
彼が友人から買わされたタイタニック沈没の際持ち出されたと言う謎の短編探偵小説。
船内の好事家たちにそのことを話しているとその原稿は有名な作家の本物の遺作ではないか?と話が広がっていく。
そこへ何者かが高一郎の船室へと入り、原稿の最後の2枚だけを持ち去っていってしまう。
誰が一体何のために原稿を盗んだのか?
船内で知り合ったサラと高一郎、牧野の三人はこの問題を解こうと躍起になるのだが、
金髪美人の幽霊や、死体消失、殺人未遂事件など次々と事件が3人を襲ってくる。
高一郎は10日間の航海中に真実に辿り着けるのか?

ちょっと時代がかって、おまけに船もの・・・・。
ちょっとrakuが苦手とするところで読むのを先延ばしにしていた1冊なのです。
でも、すっごく面白かったですよ!!!
「あぁ、これが読まず嫌いなんだわ!」っていうお手本のような本(爆)
最後はばっちり、切ないですよ〜。
やっぱり人物の描き方が若竹さんは上手いですね〜。引き込まれますです。

クールキャンデー

著・若竹七海

あらすじ・中学2年生の渚の夏休みは事件で彩られていた。
14歳年の離れた兄・良輔の奥さん・柚子さんが結婚後、ストーカーに悩まされた柚子さんがマンションから飛び降りたのだ。
なんとか一命は取り留めたのだが、容態が急変してしまって亡くなってしまった。
しかも、悪いことにそのストーカーがその日、交通事故にあって死んでしまったのだ。
まるで突き飛ばされたように路上に出てきたという証言があったために警察は当然のように兄貴を疑ってきた。
私が兄貴の無実を晴らしてやる!!!と立ち上がった渚の推理とは!!

やっぱり若竹さんの本って好きですわ。
もう少し話を膨らませて長編で読みたい!といった感じです。
とっても読みやすい長さなのでオススメです。
若竹さんといえば”葉崎”が舞台が多いけれど、そこの出身なのかしら?

火天風神

著・若竹七海

あらすじ・夫と喧嘩をして家を飛び出した主婦、登校拒否の甥を押し付けられたフリーライター
聴力に障害のある少女、不倫カップル、興信所の男、妻に先立たれた元教師
大学の映画研究会のメンバーたち、そして自分の実力を棚に上げて不運ばかりを嘆く管理人・・・
ひとつのリゾートマンションに集まった人々が台風という天災と人災に立ち向かう。
そして火災までもが人々に襲い掛かる・・・

大パニックサスペンス。
天災の恐ろしさ、そして上回る人災の恐ろしさ。
様々な思惑が交差する人間たち・・・・
長いこと積読されてた本です。
こういうタッチの本って苦手なんですが、それでも若竹さんの力で読み終わることが出来ました。
願わくば、翔子(主婦)がどうなっていったのか知りたいですね。

悪いうさぎ

著・若竹七海

あらすじ・フリーの調査員・葉村晶は東都リサーチ会社からの指名で男の家に家出中の女子高生・ミチルを連れ戻す、
という仕事に東都側の二人の調査員と向かった。
葉村と顔見知りの桜井はともかく、新人という世良松夫の態度はかなり不遜なものだった。
その態度は説得を開始した二人の前に遺憾なく発揮された。
暴力的に部屋に押し入った世良はあろうことか、クライアントの娘であるミチルを強姦しようとしたのだ。
ミチルを必死に庇った葉村は何とか世良を抑えることができたが、問題はミチルの彼氏のほうだった。
恐怖に怯え、怒りに満ちた彼の手にはナイフが握られていた。
一命を取り留めた葉村には次の仕事が待ち受けていた。
ミチルの父親から紹介されたという滝沢は行方不明の娘・美和の捜索を依頼してきた。
それはただの始まりでしかなかったのだ・・・。

若村さんは相変わらずキャラクターを書かせるとすごいですね
この女探偵・葉村シリーズはヘビーな内容が多いのですが、この長編はすごくヘビー。
でも、本文に出てくる”ゲーム”って安西水丸さんが書かれてた本にもあった気が・・・。
あ、”ゲーム”だけですからね、それだけ。
面白いんだけど、怖くて、切ない。
探偵って大変ですね。。。

水上音楽堂の冒険

著・若竹七海

あらすじ・高校3年生の冬彦には一つ悩みがあった。
自転車で階段から落ちたときから記憶傷害が時々起こるようになっていたのだ。
自分がやったことを覚えていないのだ。
それが原因で学校ではキ○ガイと呼ぶも者もいるぐらいだった。
そんな冬彦を優しく見守る幼馴染の坂上と真魚。
そんな中、学校の施設”水上音楽堂”にて殺人事件が起こる。
容疑者は坂上、そして音楽堂の出入り口にいたのは冬彦。
出入りしたものはいないと冬彦は記憶しているが、そうなると犯人は・・・。
自分の記憶はどこまで信じれるものなのか?

あぁ、これを手に入れるのは苦労しましたよ。
若竹さんの本で文庫化されていない2冊のうちの1冊です。
出版社在庫も無いとのことで探しましたよぅ。
う〜ん、後味が悪いといえば悪いけど、人物描写がらしいですね。
結構、厳しい書評を読んでたんで、かえって面白かったです。

猫島ハウスの騒動

著・若竹七海

あらすじ・葉崎半島の先、30人ぐらいの人間と100匹を超える猫が暮らす猫島。
夏になるとちょっとしたリゾート地となる。
そんな中、見つかったのはナイフの刺さった猫の剥製。問題はその中身だった・・・。
奇妙なこの事件の後、マリンバイクで暴走中の男の上に人間が降ってきた!
こののどかな猫の楽園を舞台に一体どんな事件が渦巻いているのか?

久々の若竹さんの葉崎もの。
面白いですよ、相変わらず。
猫ポリスとかね、きっと若竹さんって猫好きなんだな〜
おすすめ!です。
rakuとしては若竹さんの連作短編ものも好きなのでそろそろ書いて欲しいですっ