〜あ行〜



首切り坂

著・相原大輔

あらすじ・明治44年、初夏、東京。
作家・鳥部は編集者から眉唾物の怪談話を聞く。
大して興味を持たず聞いていたのだが、この話が2ヶ月前起こった話だと聞いて思い当たる節があった。
丁度2ヶ月ほど前、友人・深田の家で津本という記者の友人を交えて3人で飲んでいた。
酒が足りぬと深田と津本が酒を買いに行った帰り、深田の隣人の平沼という男が奇妙な話をしていたと言う。
坂の上の首なし地蔵の上に人の首が載っていたという。
それは、2ヵ月後に流布した怪談と同じだった・・・。
そして、鳥部自身も当事者となり・・・・・

初読みの作家さんです。
面白かったですが、本当にそう上手くいくものか?(トリックについて)
もちろん、理論上の%はそうなんでしょうが・・・
まぁ、推理小説にトリックの実現可能100%を求めるのもなんですが、
偶然などで片付けられると返ってつかかって行く私の悪い癖だと思ってください。
次回作、たのしみな作家さんですね。

キルケーの毒草

著・相原大輔

作家・鳥部は行き付けの銀座のカフェである男と会う。
間宮と名乗った男は鳥部も知っている新聞記者・敬介の叔父だという。
話によるとその敬介が行方知れずになっているという。
結果、鳥部は間宮に敬介に関して何も情報を提示できなかったのだが、その話はずっと鳥部の中に留まった。
そしてその敬介の手がかりは不思議な線で好事家として名高い桐嶋男爵と繋がっていった。
書生・菊池を連れて男爵邸に飛び入った鳥部はそこで思わぬ昔の友人と再会することとなる。
そして行われていた晩餐会にも参加することとなった鳥部たちは連鎖殺人事件の幕開けを目にすることになる。
敬介の行方は?殺人の動機は?そして犯人はいったい誰なのか・・・・

鳥部シリーズ2作目
これは前作を順番通り読まなくても個々独立しています。
なんだかすごく、すごく面白かったですよ。
過剰な包装がなくて、淡々としている展開。
提示される情報には無駄がなくて、面白かったですね。
この作家さん、これからも買いだな、って思いました。

二枚舌は極楽へ行く

著・蒼井上鷹

<野菜ジュースにソースを二滴・あらすじ>「オレの愛する妻を殺した犯人がここにいる」
その一言で和やかな場の空気は凍った。
みんなが飲んだ野菜ジュースに混入された毒。
自白すれば解毒剤をやるというのだが、一体誰が犯人なのか

短編12話入ってます。
微妙に触れ合ってる各話の登場人物たち。
なんかもっと最後の大きな仕掛けがあるのか?と思ってたんだけどなぁ〜
とりあえず、次も読みます。

九杯目には早すぎる

著・蒼井上鷹

<大松鮨の奇妙な客・あらすじ>蓑田は同棲している朋美から相談事をされる。
朋美の友人・真紀子の旦那が浮気しているらしいのだ。
そこで尾行をしてほしいというのだ。
ミステリ好きの蓑田はその話に乗ることに・・・

短編9話入ってます。
お酒と情けない男達の話。
設定に何か一貫して同じものがあるかと思ったのですが、特になかったですね。
例えば同じ酒場とかね。
初読みの作家さんです。
一編、一編はなかなか驚かせるオチがあったりして楽しめます。
これからも楽しみな作家さんですね。

書物狩人 Le Chasseur

著・赤城毅

<教科書に準拠して・あらすじ>NYにひっそりと佇んでいる古書籍商の主が殺された。
地味な店内とは相反して、そこでしか手に入らないという貴重な書籍を扱っているという店で有名な店だった。
そして第一発見者は銀髪の東洋人、大学の助教授。ユーイチ・ナカライ。
彼には誰にも知られていないもうひとつの職業があった・・・。

短編4話入ってます。
面白い!!
短編でテンポがいいのも良いし、冒険物っぽいところもいい(完全な冒険小説だと読んでないかも)。
挿絵はえらいハンサムですが、文を読む限りでは凡庸な顔の持ち主のようです。
そこがリアリティがあっていいね(^^)
シリーズ物になりそうな予感!

中欧怪奇紀行

著・田中芳樹/赤城毅

中欧ヨーロッパにある神話、伝説などを作家二人が対談形式で話していく対話集(?)

帯に「すこぶる怖い・・・でも面白い話をしよう」と書いてあるのですが、
怖いと言うか面白いばかりの話でした(^^)
後、中に短編が2本入っているのですが、これが両方とも秀逸!
とっても好きです。
お二人とも作品を読んだことはないのですが、ちょっと今までもったいなかったな〜
と思ってしまいました。

ポケットは犯罪のために 武蔵野クライムストーリー

著・浅暮三文

<それは駅前のベンチで・あらすじ>電車内で鞄をすることに成功した男。
しかし、予想に反して中身は小説の原稿だった。
上手くいけばこの原稿を主に買い取らせることができるかと思い、小説の舞台にもなった武蔵野へと・・・

短編6話に間間に間奏のような文が入ってます。
盗んだ小説を追いかけて、犯人がその道を辿っていく・・・話です。
普通の風景の中の違和感、小粒でしたが面白かったです。

迷宮学事件

著・秋月涼介

あらすじ・大学生・若槻恭太郎は自分が下宿している北龍館の若き主・北城霞美の奇妙な提案に困惑していた。
もちろん、その提案に困惑していたのは恭太郎だけではなく、もう一人の下宿人・鮎川綾子も同じだった。
しかし、霞美の妹・雪恵だけは好奇心に瞳を輝かせていた。
7年前に起こった連続殺人事件。
その事件の起こった場所は”迷宮”と”迷路”、いずれも密室。
そして一番驚くべき点は、”迷宮”内で見つかった死体は年齢退行を起こして赤子になっていたというのだ。
俄かに信憑性のない話だったが、その事件の起こった現場に行こうというのだ。
霞美の口車に乗せられて下宿人全員が行くことになってしまった。
当時の関係者の家を訪ねて、その後事件の起こった”迷宮屋敷”へと赴くことになったのだが・・・・。

・・・・・どうなんでせうか?とまず愚痴。
前作・「月長石の魔犬」はどう考えてもシリーズ物!だったはず・・・
続刊を楽しみにしてたんだけど、一年以上待って、この「迷宮学事件」
まぁ、密室本だからシリーズ物はあえて使わなかったのか?
でも読む限りではこれもシリーズ物になりそうな気もするなぁ・・・
でも、霧舎さんみたいに「あかずの扉」と「霧舎学園」みたいにシリーズ物を何本も抱えるのも珍しくはないからな・・・
でも、「月長石〜」のシリーズの方を読みたかった気がしました・・・。

*******ネタバレ*******
いくら7年前の事件だからっておかしいよね?
7年前に起こった事件で殺されたのは当主の妻・奈美、そして迷宮内で死んでいた赤子。
その赤子は失踪した当主・真介が年齢退行したものだとか・・・・おいおいおい・・・
それを登場人物たちは真っ向信じているわけではないけれど、奈美が妊娠しているという噂は前から流れているにも
係わらず、どうして迷宮内の赤子の死体を真介?とう解釈が出来るのだ?当時のマスコミよ
まぁ、そのフォローとして当時の事件の公的な記録がなくほとんどが雑誌などの資料だったとはあるが!
年齢退行というわけの分からないものよりも、産まれて間もない子供と母親が惨殺されたということの方がよりリアルで、
ショッキングではないだろうか?
それに、奈美が事件のあらましから見て出産後すぐ殺害(?)された訳だからそれなりの体の特徴があったと思う。
正常分娩であっても、切ったり縫ったりはあるわけだからして出産後すぐというのは分かって当たり前。
なのにそれに最初に触れられていないのがおかしいよなぁ〜
それと本筋には関係ないのだが、雪恵の日光皮膚炎。本物ははもっとすごいぞ・・・
TVでその病にかかった子供たちの番組があったけど、どんな重装備しても外においそれと出ることはちょっと無謀。
番組ではNASAから寄贈された宇宙服(紫外線を完全に防ぐそうだ)を着てたぞ。
だから白い肌、というのはちょっと無理できっとシミだらけだよ・・・うん。
(雪恵の白い肌という表記が何回か出ていたけれど)

まぁ〜、私って意地が悪いかしら???

月長石の魔犬〜Moonstone Kerberos〜

著・秋月涼介

あらすじ・奇妙な死体・・・
殺害された女性の頭には犬の首が縫い付けてあった。
その被害者は2人に増え連続殺人事件の様相を呈していた。
しかし、奇妙なことはそれだけではなかった。
最近、連続殺人事件が起こるとその最後の被害者が前の事件の加害者であることがわかってきた。
つまり、連続殺人犯を狙う殺人犯がいるのだ・・・
そしてその犯人は左手を必ず切り取っていくのだ。
今回の事件の加害者を警察と奇妙な殺人犯のどっちが先に見つけることができるのか?

第20回メフィスト賞受賞作。
メフィストの紙上ではM&Sシリーズを彷彿とさせる・・・と書いてあったのですが、そうでもなかった(笑)
探偵役が見目麗しいアクセサリー屋の店主と彼を慕う女子大生という二人というだけでした。
28章からなる話で、読みやすかったんだけど悪く言うと淡々としすぎて盛り上がりに欠けてたな。
でも、これはシリーズものになりますよ。
ラストが好きだったから多分、また買います。

紅玉の火蜥蜴〜Ruby Salamander〜

著・秋月涼介

それも連続放火の一つだと思われていたが、違っていた。
焼死した遺体は検死の結果、生きたまま焼かれたことがわかった。
そして事故ではない事実。
遺体は針金で両手両足を縛られ猿轡を咬まされ体に灯油を塗られ、火を放たれるという残忍な犯行。
あざ笑うかのように起こる連続放火殺人事件。
すべての被害者に共通点はあるのか・・・・

前作は2001年ですよ・・・。(今年・2004年)
やっと続きが出た(笑)
S&Mシリーズのような設定(アクセサリー職人の青年と彼を慕う女子大生)
短い章で淡々と進んでいくというのは前作と同じですが、数段面白くなってると思いました。
ただ、主人公のアクセサリー職人(青紫)がモテモテというのはありがちだし、ちょっとうっとうしいかな・・・
まぁ、設定上仕方ないんだろうけど(笑)

グラン・ギニョール城

著・芦辺拓

あらすじ・森江春策は特急<ラピートβ>の車内である事件と遭遇した。
乗車してきた男がいきなり倒れたのだ。
みるみる生気を失っていく男は
「やく・・・・おれ・・・・のんだ・・・・やくのてあて・・・いらない・・・よばなくていい・・・けいじ・・・やく・・・」
「・・・グラン・ギニョール・・・じょうの・・・な、謎を・・・解い、て・・・」 と助け起こしに来た森江にそういうと二度と動かなくなってしまった。
男の抱えていた書類ケースは倒れた拍子に手から落ち、中のものが床に広がっていた。
その中に”ミステリー・リーグ”というあの幻の推理小説雑誌があった。
そしてその掲載小説のうちのひとつ、”The Castle of Grand Guignol〜グラン・ギニョール城”があった。
奇妙な一致に胸騒ぎを覚えた森江は男の素性を探ることにしたのだが、そこに奇妙な電話が。
『グラン・ギニョール城へきたれ』
それを合図に森江は架空の小説”グラン・ギニョール城”へと足を踏み出していく・・・。

面白かった!!
本当、この一言に尽きますぜ〜
グラン・ギニョール城と森江の章が交互に語られて、そしていつの間にか虚構の世界が近づいてきて・・・
っていう危うい感じ、好きです。
実際にあったら怖すぎていやだけど(;^^)
お勧めの一冊です!!!

和時計の館の殺人

著・芦辺拓

あらすじ・弁護士の森江春策は九鬼弁護士から天知家の遺言書の公開を頼まれた。
春分の日に公開を義務付けられた遺言書を手に愛知県内ながらも長閑な”日計の屋敷”を目指していた。
53歳という若さで亡くなった当主・天知圭次郎は和時計の収集とその修理を趣味しており、
27年前に父親から譲り受けた会社は姉夫婦に経営を任せていた。
不幸なことに27年前、父親の危篤の知らせを受け、この屋敷に向かっていた長男・鐘一は車の事故で同日に亡くなり、
そのころすでに妻子のあった三男・三鳴は父親の臨終には立ち会ったものの、その後失踪を遂げていた。
そして”日計の屋敷”に一族が再び呼び戻された。
そして、森江春策は”日計の屋敷”で起こる事件に巻き込まれていくのであった・・・・

弁護士探偵森江春策シリーズです。
中でも触れられているんですが、本当に「○○家の一族」っぽいんですよ(笑)
出てくる登場人物たちもすごく怪しいし、過去の事件が絡んでくる所も怪しいし・・・・・
極めつけは最後の謎解きの時、前のシーンとの関係で森江が着物を着て出てくるんですよ(^^)
金田一の新作を読んでるような気分になったりしてね(笑)
すごく面白かったですよ!オススメです!

死体の冷めないうちに

著・芦辺拓

あらすじ・新しく大阪府知事に就任した維康豹一は斬新な政策を打ち立てていた。
その一つに民間人起用による捜査機関<自治体警察局>があった。
今まで別の職歴をもった仲間たちが既存の警察組織との軋轢に耐え事件に立ち向かう。
<忘れられた誘拐>
男は誘拐した少女を拘束し、強い睡眠薬と注射するとある場所に放置して、自身は身代金を受け取りに出かけた。
車たちをすり抜けて行くバイクの行く手を阻んだのは一台のトレーラーだった。
男は命こそ無事だったが、肝心のものが零れ落ちていた。
男・小野瀬一雄の記憶だった・・・・

7話にわたる連作短編です。
面白かったですよ〜。本当にこれが続き物になることを願いますね!
この本に出てくる既存の警察機関とは本当に腐ったみかんの様なもので、実際にこうでないことを願いますです。

メトロポリスに死の罠を  the trap of death to the metropolis

著・芦辺拓

核物質を輸送していると目されている列車が市民団体のメンバーや支倉捜査官らの監視の中、
忽然と姿を消してしまう。
この奇想天外なマジックは”知性を備えた野獣”によるただの始まりでしかなかった。
思いもかけない事で大都会の中枢部が切り取られてしまったのだ・・・。
面倒なことは全て支倉ら自治警特捜に押し付けて、警察機構の連中は捜査会議という名目の高見の見物と決め込んでいた。
自治警の限られたメンバーだけでメトロポリスを取り返すことができるのか!?

”自治警特捜”シリーズの第2弾
ついでに1段目の”死体の冷めないうちに”も再読。
長編になるとさすがに事件が大きい。
面白さも増すけれど、さすがに現実味が薄くなっていきますね。
rakuとしては短編で、もっと現実味(こういうミステリ本で現実味がどこまであるか?は疑問の余地は充分にあるとは思いますが)
ある”自治警特捜”をこれからも楽しめたらな、と思います。
まぁ、現実味がない、と言っていられるうちは平和って事ですよね、うん

明智小五郎対金田一耕助  名探偵博覧会U

著・芦辺拓

<ブラウン神父の日本趣味・あらすじ>ブラウン神父は旧友であるフランボウ探偵の願いである家に呼ばれた。
婦人の好みの日本趣味で彩られた美しい部屋で事件は起きた。
彼女の夫が何者かに殺害されたのだ。
完全な密室で、部屋に飛び込んだ婦人は怪しい人影は見ていないという。
屋敷には新聞記者と古書収集狂の教授と画家、仕事の関係で訪れている日本人の商社マン。
完全なる密室の中、ブラウン神父は犯人を看破できるか。

短編7篇収録
残念なことにこの「T」はまだ読んでないのですが、ホームズ対ルパンだそうです。
rakuは金田一も明智もほとんど小説では読んでなく、
おまけにエラリーやアガサ(こちらは数冊しか)も手付かず、というミステリを愛する割には
不届きな輩なもので・・
せっかく探偵たちの個性をうまく書き表したであろう文章の面白みが今ひとつ読み取れませんでした。
でも、ミステリとしてはかなり面白かったです。

怪人対名探偵

著・芦辺拓

あらすじ・小学生の三谷駿君が何者かに誘拐された。
この事件を発端に一見ばらばらの事件がひとつの線を結んでいく。
それは一人の男・稲賀剛士を軸とした残忍極まりない”殺人展覧会”だった。
楽しむかのように犯行を重ねる怪人”殺人喜劇王”そして、探偵として選ばれたのは弁護士・森江春策。
一体”殺人喜劇王”とは誰なのか?犯行の目的はなんなのか?

まぁ、江戸川乱歩の明智小五郎シリーズを読んでいるようで面白かったですよぅ。
小説の中にもう一人の探偵・花筐城太郎とリンクする事件・・・(この花筐は小説の中の架空の人物とされている)
どっちが本当の事件なのか?
こんがらがるような話の展開もちゃんと落ち着く先がついている。とっても面白い本でした。
ラストの閉め方も明智シリーズっぽかったし、40にも及ぶ各章のタイトルもすべて乱歩の作品から採っているそうです。
懐かしいような感じの本でした。

三百年の謎匣

著・芦辺拓

森江法律事務所に訪れた客はちょっと変わっていた。
遺言書の作成を依頼し訪れたのだが、まず人払いをした上で話し始めた話が本題のようだった。
それは森江のもう一つの顔の話・・・つまり探偵としての依頼に近いものだった。
遺言書とともに残された一冊の古ぼけたノート。
そのノートに秘められた秘密を解き明かして欲しいのだという。
しかし、その帰り道、依頼者は死体となって発見される。
しかもある意味、密室となった場所で発見されたのだ・・。
森江はこの2つの謎を解くことができるのか?

この”ノート”には6つの短編が入っています。
その答えと共に最後に大きな謎も解く!
嗜好が違う6つの短編とそれらが鍵となっている大きな秘密。
長編好みの方も短編好みの方も楽しめると思います。

赤死病の館の殺人

著・芦辺拓

<赤死病の館の殺人>あらすじ・弁護士で素人探偵の森江春策の秘書兼探偵助手の新島ともかは久しぶりに取った休暇を
何か事件に遭遇しないかという期待を込めて一泊のハイキングへと一人出かけて行った。
しかし、その不埒な考えに罰でも当たったかのように雨は降り、暗くなるばかりの山の中で道を外れてしまったらしい。
民家の明かりを求めて歩き回っているとようやく一軒の館を見つけるのだが、その館はあまりにも奇妙な外観をもっていた。
たまたまそこで一緒になった女性の口添えでその家に一泊できることになったのだが、内装もやはり常軌を逸した造りだった。
7つの部屋が連なって出来ており、廊下などはなく母屋へ通じる渡り廊下へと行くには隣り合う部屋を通らなければならないし、
おまけに見通しが利かないように部屋同士90度に折れ曲がりながら続いていて、もっとも奇妙な点はやはり部屋の色だろう。
白、黄色、赤、黒、青、緑、紫・・・部屋ごとにテーマ色が異なっており、それは異常なまでに守られていた。
まるでポーの「赤死病の仮面」のようだった。
そして本当にその物語を彷彿とさせる事件が起こったのだ・・・

中篇を含む短編集。
面白かったですよ、うん
やっぱり表題の「赤死病の館の殺人」が一番面白かったかな
この頼りなさげな森江さんがいいですね(笑)
なんとなく綾辻さんとこの島田(鹿谷)さんを思い出すなぁ〜
それと話とは関係ないのですが、巻末に森江と新島のポートレートというかラフスケッチがあるのですが、
なんとなくいい感じの絵でした。
ともかちゃんはともかく、楽の頭の中の森江はもっとださださなイメージだったのですが、犬の金獅子が可愛かったので
OKです。表紙に使われていない所もいい(笑)

まほろ市の殺人 夏 夏に散る花

著・我孫子武丸

あらすじ・新人作家・君村はデビュー作「コーリング」の売れ行きもあまりよくなく、2作目への意欲も失くしかけていた。
そんな君村の元へ一通のファンレターが届く。
19歳の四方田みずきの書く文章は君村の創作意欲を刺激し、いつしかメールの交換もするようになった。
一向に会いたいと言い出さないみずきに対して想いを寄せ始めていた君村は会う約束をつりつける。
待ち合わせのホテルのロビーには信じられないほど美しい女性・みずきとその妹(中学1年生)が現れた。
ますます想いを募らせていく君村に対して出会った後のみずきのメール内容は冷たかった。
想いを断ち切れない君村は友人・小山田に後押しされるようにみずきの家を探し当てるのだが・・・

「まほろ市の殺人」、その夏バージョンです。
面白かったですね〜〜〜
いやぁ、なんだか引き込まれましたよ。
オススメです。

人形はこたつで推理する

著・我孫子武丸

<人形はこたつで推理する>保母である妹尾睦月(幼稚園児から”おむつ”というありがたくない名前を頂いている)は
奇妙は腹話術師と知り合いになる。
幼稚園のクリスマス会に呼ばれたその腹話術師の人形・鞠小路鞠夫はあっという間に子供の心をつかんでしまった。
腹話術師の技術はすばらしく、人形と同時に声を発しているとしか思えないほどだった。
おまけにその腹話術師・朝永嘉夫は25歳で格好良い部類に入る男だった。
他の保母たちからせがまれて睦月は朝永を食事会に誘うことになったのだが・・・

人形探偵シリーズ1冊目。連作短編で4つ話が入ってます。
キャラクターの魅力がすごくありますねぇ〜!
嘉夫や鞠夫、おむつはもとより、楽の好みのキャラといえば小田切警部ですね(笑)
この漫画(人形はこたつで推理する1・2  河内美加)も原作に忠実でオススメですよ。
鞠夫のイメージがすごく合う感じの絵です。
この河内さんって前にメフィストで「あびこくんと愉快な仲間たち」という漫画を書かれていまして、
これがものすご〜〜〜く面白くて密かに本にならないかと思っています(笑)

人形は遠足で推理する

著・我孫子武丸

めぐみ幼稚園の遠足は一般のお客さんと一緒にバスに乗り、自然公園に行くというものだった。
保母・妹尾睦月(通称・おむつ)は片思いの相手であり、腹話術師の朝永と相棒の鞠夫も巻き込んで
その楽しい遠足へと・・・行く予定だったのだが、そのバスは警察に追われた殺人犯にジャックされてしまった・・・。
人質は幼稚園関係者と一般客の老人が一人。
拳銃片手に凄む犯人だが、話を聞くと彼は殺人犯ではないと主張。
しかし、現場の状況はまるで密室で犯人の可能性は彼しかない。
助かるためにも名探偵の登場を願いたいところだが・・・・

人形探偵シリーズ第二段
前作は短編でしたが、このシリーズは長編のほうが面白いかも
相変わらず、いい感じの登場人物たち。
テンポよく読みました。
お勧めです。

人形は眠れない

著・我孫子武丸

やっと両想いとなった保母・妹尾睦月(通称・おむつ)と腹話術師の朝永嘉夫
しかし、二人の仲は遅々として進展はしない・・・。
そんな中、同僚の保母の結婚式の二次会で睦月に言い寄る男・関口が現れる
睦月に彼氏がいると知っていても、悪びれることなくしつこくアプローチしてくる関口。
ほとほと迷惑する睦月の元に関口の母親を名乗る女からの猛烈な抗議の電話が!!
しかし、関口には母親はいないという・・・。
密かに進む連続放火事件の謎とこの関口の謎は解決されるのか!?

人形探偵シリーズ第三弾
”短編の面白さを備えた長編”を目指したとのことでしたが、めちゃめちゃクリアーしてると思います。
連作短編で最後ぐる〜っと繋がるってタイプのストーリーを想像しましたが、
そうではなく、短編のようで流れだけ繋がってる感じ。
とにかく、鞠夫誕生秘話まで含んだ盛り沢山な内容です。

人形はライブハウスで推理する

著・我孫子武丸

<人形はライブハウスで推理する・あらすじ>妹尾睦月の元へいきなりやってきた弟・葉月
父親と喧嘩して飛び出してきたという葉月に恋人の腹話術師・朝永を紹介することになった睦月。
その後、葉月が一人で行ったライブハウスでとんでもない事件に巻き込まれる。
それは殺人事件でその容疑者になっているという・・・

人形探偵シリーズ第四弾
短編集で6編入ってます。
今、続けて読んでいるけどこれは前作との間が10年!あるのです。
驚きです。
でも、変わらず面白いですよ。
映像化するといいかもしれません、このシリーズ。
まぁ、鞠夫をどうするかが一番の問題ですね。
CG技術が向上しているとはいえ、ちょっとなぁ〜。
やはり子役を使って所々をCGで処理してもらう(人間ぽすぎる所を削ってもらう)のが理想かな。

たけまる文庫 怪の巻・謎の巻

著・我孫子武丸

<怪の巻・猫恐怖症>あらすじ・斎藤・横山・橋爪・亜矢香・絵里の5人組はいわゆる”仲良しグループ”だった。
ある日、女の子たちが子猫を拾い騒いでいると橋爪だけが異常に怖がった。
弱点が無い橋爪の「猫恐怖症」は男の子たちの中でちょっとした悪戯心を呼び起こしてしまった。
橋爪に好意を抱いていた絵里は悪戯を止めようと橋爪の家に急ぐのだが・・・・
<謎の巻・裏庭の死体>あらすじ・捜査一課警部補速水恭三は弟と妹に、起こった事件の話をする。
ある男が毒物を飲まされた後、寝袋に押し込まれ何故かドアマットを上に被せられ庭に埋められていた。
そのころその男の妻は旅行のため飛行機の中、男の愛人は飲み会に出席し、おまけに泥酔
その愛人の前の恋人はパチンコ屋で目撃されている。
犯人候補として挙がったのは空き巣の常習犯で、ちょうど男の家でもそのころ盗みを働いていた。
これで決まりかと思いきや、家人は誰も見かけなかったと言い張っている。
犯人は誰なのか?そしてどんな方法で殺したのか?

業界初(?)ひとり雑誌「小説たけまる増刊号」の文庫版。「怪の巻」「謎の巻」の2冊です。
怪の巻(ホラー)が9話、謎の巻(ミステリ)が8話入ってます。
すごく読みやすかったっす!
怪の巻もジャンルはホラーとなっていますが、怖さよりも面白さ(笑いではないです、文章としても面白さです)が
起っていていい感じです(^^)
短編集としてもすごく魅力的な2冊です。

天城一の密室犯罪学教程

著・天城一

<星の時間の殺人・あらすじ>与待子は父の会社の改革に頭を悩ませていた。
今、改革しなければ会社が衰退していくのは目に見えていたからだ。
しかし、重役を担っている親族たちは頷きはしない・・・。
協議の場を設けたが渋るばかりの親類たち。
その協議の最中、反対の旗頭の啓吉がウィスキーを煽って亡くなってしまう。
ウィスキーのボトルからは毒は検出されていない。
しかし、グラスに毒を盛るには人の目が多すぎた。
さて、犯人はどのようにして殺人を行えたのか・・・

短編が20!
短編が実践、そして中ほどに密室の理論部分が細かく10に分けられて入ってます。
なんだか小難しいのですが、すごく面白い。
密室を扱った小説が自分でも書けるような気になる(気、だけでしょうが)本。
理論だけ読んでもわからない。短編を読んで初めて「あぁ、こういう類の密室なのか」
と思う。そして理論を読むと他にもこんな密室は可能であろうか・・・と考える。
乱歩に見出された著者の初の作品集。

島崎警部のアリバイ事件簿 2

著・天城一

<急行《さんべ》・あらすじ>危機を救ってくれた女を捨てて社長令嬢に乗り移ろうとしたとき、
男の頭には女を殺害することしか思い浮かばなかった。
強盗傷害事件の犯人と間違われた男の車のトランクを開けたところそこには、男も知らない女の死体が・・・
雇われ運転手だった彼は何の知らされるその車を走らせていただけだったことがわかり、
焦点は雇い主である男へ。
しかしそこには鉄壁のアリバイが待ち受けていた

天城さんの2作目。
ダイヤグラム犯罪編が9編。
不可能犯罪編が14編。
巻末にはご自身の解説も入っています。
最初の1冊目から出ている中心人物”島崎警部”の登場年代順に読んでみたい。
警察機構の中で周りの同僚の変わり、そして”Rルームの美女”も消え、最後に
昔は冴えた・・・と昔話をする島崎警部。
哀愁に満ちています。

暗黒館の殺人(上・下)

著・綾辻行人

母親が病床の中、息を引き取った。
そんなもろもろの事情で熊本の実家に帰郷していた江南はある話を聞いた。
熊本県の山深く、湖の小島に経つ異形の館・・・。
あの、あの中村青司の建てた館があると言う。
学生時代から江南はこの中村青司の建てた館には色々と関わりを持ってきた。
だから、同じ熊本に青司の館があると聞いて車を走らせずにはいられなかったのだ。
やはり青司の館に魅せられた友人・鹿谷門美にも連絡を入れたのだが生憎、留守番電話だった。
霧の中から現れた黒一色の館、暗黒館・・・。
一目見るだけのはずが、江南は引き寄せられるように・・・・
館の住人、浦登一族と招かれた客、そして招かざる客。
過去の記憶を持っていない当主の息子、同じく事故で記憶を無くしたことのある学生。
そしてやはり事故で記憶を無くした招かざる客人・江南・・・・
<ダリヤの日>と呼ばれる不思議な宴、シャム双生児の美しい姉妹。
早老症の少年、謎の老使い、厳しいまでの威厳を見せ付ける当主、怪しい親戚たち。
そして、続発する殺人事件の”無意味の意味”とは・・・・・。
過去に起こった殺人事件と関連はあるのか!?

あ〜う〜、やっと読み終わりました。
実はこれがなかなか読み終わらなかったのが更新が遅れた理由の一つ。
なんか登場人物が多いのって苦手なんですよ、やっぱり(;^^)
でも、これはこれまでの、そして今後の館シリーズを読み進めるには必読の一冊ですね。
ある意味、オールスター登場です。がんばって読んでみてください!!

びっくり館の殺人

著・綾辻行人

あらすじ・大学生の三知也が古書店で手に取った一冊の推理小説。
その本の中に出てきた謎の建築家の名前。
その名前を三知也は覚えていた。
10年前、小学6年生だった三知也が巻き込まれた殺人事件が起こった館を建てた建築家の名前だったのだ。
遠い記憶を思い出す。
”びっくり館”と呼ばれていた屋敷、そこには白髪の老人と病弱な少年が住んでいた。
そして、少年と仲良くなった三知也は館をよく訪れるようになったのだが・・・
改めて思い返してわかる真実。そこには何が隠されていたのか・・・

意外な形の”館シリーズ”新作でしたね。
後味が悪い、悪い!
こういう終わり方は嫌いです。っていうか、シリーズの中で一番ヤな終わり方だろう?。
シリーズじゃなかったら許せるけどね。
だって、次回作ではこのことには触れないでしょ?なんか「で、どうなったのよ!?」って思っちゃう(笑)
面白かったことは面白かったんですけどね。

最後の記憶

著・綾辻行人

あらすじ・50になったばかりの母親が痴呆になってしまった。
美しく優しかった母親の痴呆は急激に進み、今となっては子供たちが来てもわからなくなってしまった。
そんな母親に残された最後の記憶は、幼い頃に経験したという「恐怖」の記憶だけだった。
バッタの飛ぶ音、突然の白い閃光、血飛沫と悲鳴、惨殺された大勢の子供たち、そして顔のない黒い男ー
次男の森吾は痴呆が遺伝するものではないかと怯えながら母親の過去を調べ始める。
それに呼応するように起こる子供の連続惨殺事件。
森吾の幼いときの記憶にいるきつね面の男
母親を苦しめる「最後の記憶」の正体とは!?

久しぶりの綾辻さんの長編。
なんかあんまり怖くなかったぞっと。
難しいというか対自しにくいテーマ(痴呆)だったのでなかなかページが進まなかったんだけど、
一度波に乗れるとさくさくと進みましたね〜
どうだろ?なんか期待が大きかった分ちょっと肩透かしだったかな?
やっぱり”館シリーズ”に期待しよう!!

黄昏の囁き

著・綾辻行人

あらすじ・津久見翔二は兄の急死の連絡で久々に帰郷した。
睡眠薬とアルコールを同時に摂取した兄はヴェランダから落ち、通りかかったトラックに轢かれた。
自殺と真っ先に考えられるはずなのに、両親は名誉のためか事故だと言い張る。
そこで翔二は数少ない兄の知り合い・占部と共に事件を洗いなおすことにしたが、その度に聞こえる謎の囁き・・・
そして、兄の幼馴染たちが次々と殺されていく。
やはり兄は事故ではなかった。しかも、他殺だったのではないか?
謎の囁きから何かを掴み取ろうとする翔二に忍び寄る妖しい影・・・・

再読。
これも結構好きですね〜
前作もそう思ったのですが、殺すシーンが映像で浮かびますよね、綾辻さんの作品って
うん、そういうシーンだけではなく、やっぱり映像に向いてると思いますね。
以前、2時間ドラマに使われたらしいですがかなり変えられていて二度と嫌だ〜とどこかの対談でおっしゃってたような気はしますが
誠意あるテレビ局の方に誠意あるドラマを作って頂きたいですね。
有栖川さんと競作で謎解き番組を作ってらっしゃいますけど、あれは関西のみの放送なんですよね(;^^) これはDVDを買わなくてはいけないかな〜(;;)

暗闇の囁き

著・綾辻行人

あらすじ・悠木拓也は卒業論文のために伯父の別荘で夏休みを過ごすことにした。
そこで出会った美しい少年達、実也と麻堵。
病気の母親と厳しい父親、寡黙な使用人たちに囲まれた少年達は”あっちゃん”という少年の存在を匂わせる。
だが、大人たちはその存在を否定する。
少年達の家庭教師として雇われた遥佳は前任の家庭教師・かをりが事故死(?)した事に疑問を感じて調べていた。
そして、遥佳と拓也は”あっちゃん”の存在に疑問を抱いて調べ始める。
しかし、その裏で殺人は続いていく。
死体は髪、爪、目・・・・を取られていた。
どうして犯人はそれらをコレクションするかのように取っていくのか?それが意味するものとは一体・・・・

再読。
<囁きシリーズ>で一番好きな作品かな。
子供ってやっぱり無邪気で無垢な分怖いよね・・・・
話の筋もなんかしっくりきてる気がするし〜でも、一箇所気になるところが!!
(ネタバレですので注意!)
あっちゃんがハイキングの時に友達を惨殺した犯人は誰だったのか?
やっぱりあっちゃんは生まれながらの殺人鬼なのか??
この殺人鬼ってば楽は読んでないけど、綾辻さんの別シリーズ”殺人鬼シリーズ”の彼なんだろうか???
そこは気になるところですが、とにかく”囁きシリーズ”はおすすめですね!

緋色の囁き

著・綾辻行人

あらすじ・冴子は高校になってから自分の両親が実の両親ではないことを知らされた。
自分の本当の家族は十二年前のある事件で亡くなってしまったこと、それ以上は聞かされず、母親の姉、要するに叔母の
宗像千代が校長を勤めている『聖真女学園高等学校』に編入することになった。
そして、初めて体験する寮生活。
そこには閉塞された空気の中に異様なものが立ち込めていた。
開かずの間の噂、自らを魔女と言って憚らない少女、同じ生徒なのに崇拝者を従えている少女、異常なほどに厳しい教師・・・・・
そんな中、冴子は赤い、緋い夢を見る。
そして囁きが聞こえてくるのだ・・・・・

再読。
2002年の初読はこれでした。
この<囁きシリーズ>は密かに好きだったりします。
女子高の歪んだ空気(楽も女子高だったけど、ここまで歪んではないっすよ)、保身のためかそれとも恐怖を紛らわせるためか、
贖罪の山羊(スケープゴーストだったかな?)を自分たちから差し出して騒ぎ立てる・・・・・・
そういう心理が読んでて痛いぐらい感じ取れる。
楽は特にそうなんだけど、綾辻さんの小説ってなんだか続けて読んじゃうんだよね〜
気付くとこんなにページを捲ってたっけ?となるのです。

鳴風荘事件  殺人方程式U

著・綾辻行人

あらすじ・月食の夜、深雪の友人・夕海の姉・紗月が惨殺された。
それから6年半後、深雪の元へ中学時代の仲間から別荘への誘いが来た。
10年前に埋めたタイムカプセルを開けると言うイベント付きなのだ。
6年半前の事件以来入院していた夕海も参加すると言う。
深雪は叶を無理やりその旅行へと誘い出そうとするが、直前に叶が急性虫垂炎で入院しなくてはいけなくなった。
皆に刑事である夫を見せびらかしたかった深雪は叶の双子の兄・響に声をかけてみる。
もちろん響は喜んで叶に成りすまし、旅行へと行くのだが、その先で待っていたものは・・・

双子兄弟 響・叶シリーズ第二弾
これは土曜ワイド劇場で「”月食の館”殺人事件」としてドラマ化されております。
実は、このドラマの再放送を見てからこの響・叶シリーズを読もうと思ったんですよ(笑)
まぁ、よく出来たドラマではありましたがあとがきで綾辻さんが仰っている通り、別物ですね〜
入浴シーンが足されているのはよくあることかもしれませんが、殺されない人が殺され、
挙句の果ては犯人まで違う!!
ドラマの脚本家ってすごいんですね・・・・
ともあれ、読みやすくて面白い!
オススメの一冊です。

殺人方程式  切断された死体の問題

著・綾辻行人

あらすじ・列車で轢死された女教主。
自殺なのか、他殺なのか決め手を欠いたまま2ヶ月が過ぎた。
教主を失った教団は次の教主に「会長」でもあった女教主の旦那を選ぶ。
教団を大きくすることに東奔西走してきた男だったが、汚い手も使ってきた。
そんな男を蔑視する会員もいた。
そんな中、教主になるため外界との接触を断ち切り、身を清める儀式”お篭り”が執り行われた。
儀式中は教団ビルの最上階の神殿から一歩も出ることを許されなかった。
その”お篭り”の最中の男の死体が発見される。
教団ビルから川を挟んだ向かいのマンションの屋上に無残な死体となって発見されたのだ。
一体、犯人はどのようにして男を殺し、死体を運び出したのか・・・

双子兄弟 響・叶シリーズ第一弾
綾辻さんの本って館や囁きシリーズ、短編とかは読んでいたけれど、このシリーズは手付かずだったわ〜
相変わらず、読みやすくていいですね
トリックも(実際に出来るかどうかは別として)すごく納得しちゃうんだよな〜
それなのに、後一つなにか欲しくなってしまう。
すごく面白いんだけどな、何か、何かぁ〜〜〜〜

霧越邸殺人事件

著・綾辻行人

あらすじ・信州の山の中、バスの故障で歩くことになった8人の小劇団のメンバー。
天候も安定しているようなので安心していたのだが、暫く進むうちに天候は荒れ、猛吹雪となってしまう。
しかも、先頭を行くものが道を間違えたらしく、後少しで遭難、と言うところで突如出現した湖と洋館。
やっとの思いでそこに辿り着いた8人は先客の地元の医者含めて9人となった。
館の者はどこか冷たく、主は会おうともしてくれなかった。
猛吹雪で外に出られない中、その事件は起こった。
温室で不自然な格好で頭から水をかけられている死体・・・・・・。
まるで白秋の「雨」を見立てたような死体だった。
犯人は一体誰なのか?主から探偵を依頼された演出家とそれに協力する作家。
しかし、それを嘲笑うかのように事件は第2幕を上げた・・・・・・

わ〜、全然違う(笑)
これを読むきっかけはですね、この本原作の2時間ドラマを再放送で見たからなんです。
綾辻さんがものすご〜〜く後悔したと言っていた2時間ドラマ。
そりゃぁ、後悔するわ(笑)
2時間ドラマとしては良い出来だったとは思いますが、これは原作・綾辻じゃないですもんねぇ〜。
メンバーも違えば、舞台も違うし、殺害理由も違うし、被害者も違うし、加害者も違うし・・・ってこれはないよね。
合っているのは雪と名前(数人は一緒)と白秋の「雨」だな。
話的には、面白かったですよ。
殺人動機とか、今になって思うと弱いかな?って思うけれどそれはそれで、ありとも思えるので。
rakuは突っ込みを入れながら読めたので尚一層楽しめました(^^)

荒俣宏の不思議歩記

著・荒俣宏

知識の塊のような荒俣センセが「驚き」を求めて奔りまわった博覧強記。
驚いたり、納得したり、哀愁を感じたり、忙しいセンセ初エッセイ

実はすごく興味のある御仁だったのですが、本を読んだのは初でした
多くの著書がある中、なんかしり込みしてしまって・・・・。
でも、エッセイとなればなんとなくすんなりと入っていけるんですよね〜
やはり思ったとおり、勉強になった上で面白い!
日々の生活で「驚き」、私も見つけていきたいと思いました。

幻想運河

著・有栖川有栖

シナリオライターの卵の恭司が旅の途中で留まったアムステルダム
そこで友人も増えていくのだが、そのうちの一人・水島が被害者となったバラバラ殺人事件が起こる。
友人間に流れる微妙な空気・・・。
その不思議な糸は大阪のバラバラ殺人事件へと繋がってゆく。

珍しく、シリーズ物ではないひとつ。
何だろう、面白かったけれど後に残る暗い流れが印象的な作品。
関係のない話ですが、ここでは主人公・恭司がドラッグを体験しますが、
その体験者の細かな内面的な描写・・・。
こういったものは作者の人は体験して書いているのでしょうか?
まぁ、体験しました!って言う人は少ないでしょうが、結構気になったりしますね。
     

まほろ市の殺人 冬 蜃気楼に手を振る

著・有栖川有栖

あらすじ・満彦は幼い頃、美しい母親に連れられて蜃気楼を見に行ったことがある。
満彦は三つ子で浩和と史彰も一緒だった。
真幌市は冬に蜃気楼が現れる珍しい場所だった。
「蜃気楼に手を振ってはいけない。幻の町に連れて行かれるよ」と母親は子供たちに言った。
しかし、そんな母の言いつけを破って浩和は蜃気楼に手を振った。
そして1週間も経たないうちに交通事故にあって浩和は死んでしまった。
残った二人の兄弟は30歳になった。
父親も6年前に死に、母親は3年前から痴呆を発症させた。
史彰はふらふらと定職も付かず、暴力沙汰を起こしては満彦に迷惑をかけていた。
その日、二人は母親の見舞いに行き、帰りに行きつけの店「檸檬樹」に寄って酒を飲んだ。
満彦は車の運転のため酒は飲まなかったが、史彰は泥酔してしまった。
仕方なく自分の家に史彰を泊めることにした満彦が帰り道を急いでいると薙ぎ倒されたバイクと死体が転がっていた。
そして、その脇にあったバックの中には・・・・・・・

「まほろ市の殺人」、冬バージョンです。
真幌市、本当にこんな物騒な市があったら怖いな・・・・。
春にはバラバラ殺人があって、夏にも姉妹殺し、秋にはシリアル・キラー、そして冬もかよっ!
作中に満彦が言ってたよ「真幌はどうかしている」まったくだ!(笑)
なんだか「幻想都市の四季」シリーズの締めに相応しい感じの作品でした。

朱房の鷹  宝引の辰捕者帳

著・泡坂妻夫

<角平市松・あらすじ>一世を風靡した角平市松を考案した染め職人角平。
染め職人ながらも勉強熱心で型も自分で新作を考えていた。
沼田屋の主人がそんな角平に試しに彫らせてみたのが角平市松だった。
そんな角平を疎ましく思ったのか、職人仲間たちはいじめを繰り返す。
もともと一所に落ち着かない渡り職人だった角平はふらりと店を出て行ってしまう。
そんな矢先、角平市松を着た奇妙な死体が出てくる。
首と胴が離されているだけではなく、殺された女の頭には男髷が結われていたのだ・・・

宝引の辰シリーズ4冊目。連作短編8編。
これもまたまた面白い本です。
岡引者もいろんなバリエーションがあるんですね。
このシリーズ、やっぱりお勧めです。

凧をみる武士  宝引の辰捕者帳

著・泡坂妻夫

<雛の宵宮・あらすじ>大和屋に代々伝わる雛人形。
何故か女雛と左大臣の人形が横倒しに・・・。
それからまもなく、お上さんと女中頭のお定さんがそれぞれに足に怪我をしてしまう。
まるで二人の怪我を予言したよう。
気味悪がるも、またしても女雛と五人囃子の笛方の人形が・・・!
これが意味するところとは一体・・・・

宝引の辰シリーズ3冊目。連作短編4編。
これもまた面白い本です。
このシリーズ、お勧めです。

自来也小町  宝引の辰捕者帳

著・泡坂妻夫

<自来也小町・あらすじ>地味ながらも幸運を運ぶということで値が釣り上がった連斎の水墨画。
その連斎の作だけを狙った賊が3軒も続けて起こっていた。
掛け軸をおいていた部屋に”自来也”の文字を残して・・・。
そして、また連斎の水墨画を手に入れた呉服問屋があった。
一人娘の秀がまだ見ぬ”自来也”に恋焦がれていたのだ。
”自来也”は岡引・宝引の辰の前に現れるのか・・・

宝引の辰シリーズ2冊目。連作短編7編。
これまた面白い本です。
”夜光亭一夜”には泡坂作品を読んでいる方には嬉しいある人物の祖先さまがいらっしゃいます。
これまた楽しみにされてみてください。

鬼女の鱗  宝引の辰捕者帳

著・泡坂妻夫

<鬼女の鱗・あらすじ>10年前、彫り物の職人でやっと独り立ちしたところに来た仕事。
名を伏せた屋敷にて丸に比翼紋を彫って欲しいというものでした。
立派な屋敷に連れてこられ、若侍と美しい腰元の右腿に施しました。
今になって、再びその彫り物のことを聞かれることがあろうとは・・・。
10年後、その若侍が殺されたのです・・・

連作短編7編。
人情味あふれていて、それでいて時代劇とは思えない鮮やかなトリック。
こんな時代劇、見たい!と思いました
調べてみると95年にNHKですでにドラマ化されていました。
この原作を活かしたままの映像になっているといいな。。。

鳥居の赤兵衛 宝引の辰捕者帳

著・泡坂妻夫

<優曇華の銭・あらすじ>辰の娘・お景が文銭の中心の孔に心棒を通した独楽を廻しているのだが、
上手く廻すことができない。
松が独楽を見てやると銭が不揃いで廻りが悪いのだという。
早速作り直してやることにしたのだが、問題はそのこまに使われていた銭だった。
こっそり銭を交換した松は辰親分にその銭を見せることに・・・
宝引の辰シリーズ5冊目。連作短編8編。
やっと文庫化になった!!!
時代物が苦手は私もこのシリーズだけは楽しみにしているんです!
どの話もお勧めです。

奇術探偵 曾我佳城全集 《秘の巻》

著・泡坂妻夫

<消える銃弾・あらすじ>フランスの奇術師・ラ イールの銃を使った奇術は見事なものだった。
日本での公演でも観客を沸かせていた。
その観客の中に目を輝かせながら連日、彼の奇術に見惚れている少年がいた。
イールも彼のことには気付いており、観客に参加してもらう奇術で彼を指名する。
少年は日頃から考えていたことを実施したのだが・・・・
<虚像実像・あらすじ>スクリーンの中の映像《虚像》と舞台上《実像》を行ったり来たりする
奇術を得意とする奇術師・ジョン井竜はその舞台中、死んでしまう。
犯人は観客席から現れて、そしてスクリーンへと消えてしまう。
あまりにも不思議なその光景は舞台の一部かと思われたのだが・・・・


奇術探偵 曾我佳城全集 《戯の巻》

<白いハンカチーフ・あらすじ>お昼の生番組。
司会者とアシスタント、そしてレポーター。
音楽学校で起こった食中毒事件の特集を組んでいた。
そこに呼ばれた捜査主任とその学校に奇術を教えに行ったことのある元奇術師・曾我佳城。
レポートが続くにつれ、曾我はこの事件の真相が見えてくる・・・
<魔術城落成・あらすじ>長年、曾我佳城が夢見ていた”魔術城”がついに完成した。
曽我を慕い続けていた好事家たちは早速、彼女の家を訪れた。
そこにはラスベガスへのショーへと進出して成功を収めているイサノとジョセフィーヌも来ていた。
曾我が作った舞台の素晴らしいセットは好事家ならずとも舞台への技癢を満たしていた・・・

全22話曾我佳城完全収録!まさに全集!
いや、泡坂さんの本も初だったのですが、さすが”このミス1位”面白かったです。
なんだろう、わぁ〜〜っていう面白さではなくじわりじわりとくるこの面白さ。
奇術のタネも満載(笑)別の意味でも楽しめるかも!
短編好きの方はもちろん、長編しか読まないのよ〜って方にもおすすめです。

亜愛一郎の狼狽

著・泡坂妻夫

<DL2号機事件・あらすじ>宮前空港では警察が静かに緊急配備を張っていた。
それは飛行機の爆破予告が入っていたからだ。
離陸後30分で爆破すると言う予告だったが、予告時間には異常なく過ぎた。
そして、その飛行機(DL2号機)は宮前空港へ降り立った。
空港にはカメラマンらしき男が3人と運転手らしき男が1人。
飛行機から降り立った人物はタラップで一度躓いたが、その後張っていた刑事・羽田に食って掛かっていた。
どうやら爆破予告はその男・柴の元にもかかってきたと言うのだ。
「殺されそうだ」と騒ぐ柴の家に向かってみると、空港で一緒だったカメラマンがいて・・・
<曲がった部屋・あらすじ>町役場の戸籍係に勤めている小網は部下の鳥尾と一緒に飲んでいた。
話は鳥尾が住んでいる団地の悪口である。
沼地を潰した後に建てたという団地は近くの火葬場の煙が部屋に入る、部屋が傾いている、
おまけに腐肉を食べるというマイソウムシという物騒な虫まで出るという。
鳥尾の酔ったときの口癖と言えば「うちへいらっしゃい」だった。
そして、小網は次の日曜日本当に鳥尾の家へ訪ねることになった。
道すがら後ろを付いてくる眉目秀麗な男を気持ち悪がってはいたが、彼もまた鳥尾の家を訪ねる客人であった。
その後、団地で殺人が起こったことで興味本位の雑誌編集者が部屋を覗こうと言い出して・・・・

亜愛一郎短編シリーズです。
長身で眉目秀麗なのに、ドジで愚図な男。
しかし、事件に出会うと及び腰ながらも事件を解き解す頭脳を披露する。
1つのことで10を知る、頭脳明晰さだというのにこれだけおどおどされると
返って潔くて良いですよ(笑)
すっきりとまとめられて読みやすい短編集です。

亜愛一郎の転倒

著・泡坂妻夫

<珠洲子の装い・あらすじ>約一年前に飛行機事故で不慮の死を迎えたアイドル・加茂珠洲子。
生前の人気は今一つだったものの、突然すぎた死とその美貌が一気に開花した。
そして今、お蔵入りしたはずの珠洲子の主演映画の放映と珠洲子大賞と銘打ったオーディションが行われていた。
次々と珠洲子を真似て次のスターとなろうとする女の子たちが出てきたが、その中で異質な輝きを放つ子がいた。
たまたま映画館の大理石の壁を見学に来ていた眉目秀麗な男もこれを見ることになってしまって・・・。
<病人に刃物・あらすじ>青蘭社の編集長・磯明はトレミー氏病という珍しい病気に掛かって入院している身である。
右大腿部のしこりを手術で切除しない限り治らず、放って置くと足が腐ると言う。
忙しい最中、渋々と手術を受けることに同意したものの、仕事は待ってはくれない。
手術は成功したものの、なかなか退院の許可の下りない磯明は病室で看護婦の目を盗んで仕事をしている毎日だった。
そこに仕事仲間のカメラマンが見舞いに来てくれて・・・

亜愛一郎短編シリーズAです。
なんか癖になる!
読みやすいし、面白いけれどトリック的には上手く行きすぎでは?とか
同じようなものが前にも読んだことがあるような・・(この作品が先にあったのかもしれませんが)と
なんとなく思うものもあるんですがやはり文章の上手さか、引き込まれて読んでしまう。
ページをどんどん捲りたくなる本です。

亜愛一郎の逃亡

著・泡坂妻夫

<歯痛の思い出・あらすじ>刑事の井伊は歯医者がとにかく苦手だった。
奥歯に詰めていた詰め物が取れてきたときも我慢の一手で逃げていたが、それもすでに限界が来ていた。
渋々と向かった歯科大学付属病院には自分と同じ歯痛を抱えた男たちがいた。
ちょうど同じタイミングで呼ばれた3人。
「亜さん、井伊さん、上岡きくけこ・・?失礼しました菊彦さん」
この奇妙な3人はレントゲン室や診療室を回されることになったのだが、ちょうど病院で騒ぐ男がいた。
「俺の金歯を返せ〜〜〜」
<赤の讃歌・あらすじ>絵画評論家の阿佐冷子は曙光会の開場式を訪れていた。
そこにはトレードマークの赤の衣装を身に着けた画家・鏑鬼正一郎がいた。
ずっと鏑鬼の作品を見続けていた阿佐は彼の作品の変化に気付いていた。
彼の絵に対して熱烈な愛着を感じている彼女だからこそ、この変化は許せなかった。
しかし、鏑鬼の絵への評価が厳しくなることで彼女を逆恨みする人物もいた。
その日も彼女に言いがかりをつけてきた男がいたのだが・・・
<亜愛一郎の逃亡・あらすじ>雪深くなって次々と泊り客からキャンセルの電話が鳴っている「ホテルニューグランド宮後」
そこに飛び込んできた眉目秀麗な男。
「予約をしていたものなのですが、連れが車の運転を誤り身動きが取れないのです。助けてください。」
なんとか連れの男も助け出し、無事にホテルに止まることが出来たのだが、
周りでは精神病の患者で殺人を犯した男が逃げ回っていると言う情報が手に入る。
こんな雪の中、ミミズなどの妙な話に花を咲かせる男たちを見て怪しむホテルの者は・・・・

亜愛一郎短編シリーズBです。
これで最後と言うのがもったいないな〜〜!!
どの話も好きなのですが、好きだった3つのあらすじを書きました。
後、全話に出てくる謎の三角形の老婦人の秘密も明かされます(^^)

亜智一郎の恐慌

著・泡坂妻夫

<雲見番拝命・あらすじ>時は江戸、将軍定家の時代。
雲見番とは雲の流れを見て、天候、天命を見極める仕事・・・所謂閑職だった。
当の雲見番・亜智一郎は見目涼しく、裃がよく似合う優男だった。
しかし、本人と言えば見目とはかけ離れていてやることなすこと間が抜けていた。
その優男が大地震を予測し、上様を地震之間に導き、この混乱に状して謀反を起さんとする輩を見抜いたという。
鈴木阿波守正團は亜を問い詰め・・・・
<地震時計・あらすじ>匠戸藩藩主からの献上品として上がった地震時計。
地震の予兆を感じ取って鐘を打ち鳴らすと言うのだが、審議のほどは地震が来ないと判らない。
雲見番の緋熊重太郎はそんな時計よりも厄介な問題を抱えていた。
上様の口利きで嫁を娶ったものの、そりが合わない。
家路に着きたくない重太郎が行き着いたのは遊郭でそこの遊女と良い仲になってしまったのだ。
しかし、その遊女が他の男と心中をしたというのだ。
おまけに遊女仲間の女とその客を入れて4人が死んだと言う。
自分以外にその遊女に情人がいないと感じ取った重太郎は妙な胸騒ぎを覚え・・・

亜智一郎短編シリーズです。
愛一郎のご先祖さまです。
智一郎はもとより、この雲見番は後3人いてこの3人もまた良い味があるのです。
これはこれでいいなぁ〜。
続きがでないのかしら?と口惜しく思ったりしてます。
歴史の史実が本当にこうだったら面白いのに・・・と思いました。
是非是非、愛一郎シリーズと合わせてオススメです!

メロンが食べたい

著・安西水丸

60編にも及ぶエッセイ集。

本当に何気ない一こまが切り取られてるエッセイ集で、なんとなくぼぅ〜っとしたい時に読みたい一冊!
村上春樹さんのエッセイも楽は好きですが、通じる所がありますね〜
後、中にはメロンなんて出てきません(笑)
そういうところも楽は好きです(^^)

うさぎおいしーフランス人 村上かるた

著・村上春樹 絵・安西水丸

50音かるたを村上春樹が作ったら・・・。
脱力系イラストの水丸さんも最高です

とにかく、面白い。
春樹さんのこういうところ、好きです。
かるたの歌に対してちゃんと解説がある。
その解説が短編なの。
例えば”可愛い魚屋 山賊が狙う”このお題の短編、気になるでしょ?
くだらない、とわかっているけどつい読んじゃう。そんな本です。

髏漫 ROMAN

著・井上雅彦

<怨盤・あらすじ>自殺と思われている連続殺人事件の意外な遺留品。

短編23話入ってます。
そうか、これがダークファンタジーね。
読んだあと、ぞっとする。的な感じではないんだけど、何かの拍子に思い出すとイヤ(笑)
短いものが多くて、読みやすくておすすめです。

綺霊 KIREI

著・井上雅彦

<駅・あらすじ>父親を探しに駅へとやってきた男。待合で尋ねてみるのだが・・・。

短編30話入ってます。
さくさくっと読みやすくて好きです。
”蛇苺””補色作用”などダークでよいですね。
ひとつひとつが短すぎて感想が上手く書けませんが、お嫌いじゃない方は是非。

スクリーンの異形 骸骨城

著・井上雅彦

<解剖学者の城・あらすじ>美しくもおぞましい人体の解剖標本。
しかし、それらは館長の説明によると蝋細工だという。
解剖した死者を蝋人形で完全に復元することがフィレンツェの科学界の誇りだという。
しかし、その科学界から追放された者がいる。
そして、その追放された者を追うものも・・・

短編4話が映画として入ってます。
幕間が入っているのですが、これもまた面白い。
井上さんのホラーは怖くて、上品で、おぞましくて、面白いです。
はまったなぁ〜。

異形博覧会 怪奇幻想短編集

著・井上雅彦

<四角い魔術師・あらすじ>体の弱い少年が錆びて朽ち果てた自動販売機に
念じて手を取り出し口から入れると欲しいものを手に入れることができた。
その少年が大人になり、再びその自動販売機の前に立ったとき・・・

短編23話入ってます。
本当に短いものから中篇のものまで。
怖いものからファンタジーなものまで。
表紙やタイトルのおどろおどろしさと違って楽しめると思います。

恐怖館主人 異形博覧会U怪奇幻想短編集

著・井上雅彦

<水族の館・あらすじ>男はかつて愛した女を捜してその館にやってきた。
女を奪っていった男の館だ。
"水族の館”、特別なメンバーズカードを持った者しか入ることのできない館。
そこで見たものは・・・

短編30話入ってます。
本当に短いものから中篇のものまで。
映画を題材にしたものも多いのですが、昔懐かしいホラー映画(洋物)のワンシーンを切り取った感の物が多いです。
怖くて切なくて。 お勧めです。

怪物晩餐会 異形博覧会V怪奇幻想短編集

著・井上雅彦

<龍は茜色・あらすじ>少年の母親は踏み切り事故で死んだ。
そして少年の家には母親の妹がやってきた。
彼女と父親の怪しげな関係を感じていた少年は、すべてのものに心を閉ざすようになっていた。
やがて、少年は母親が亡くなった踏み切りであるものを拾ってきて部屋で育てるようになる。
その拾い物の正体とは・・・・

短編27話入ってます。
中篇が多いいかな。
”アムンゼン館”や”殺人鬼の家”のように怖いけど切ない系がパワーアップしてます。

フレームアウト  FRAME−OUT

著・生垣真太郎

あらすじ・フリーの映画編集者・デヴィッドの作業スペースに紛れ込んでいた一本のフィルム。
編集スペースのオーナーであり、友人のビリーとともに早速その謎のフィルムを見ることにした。
映っていたのは禍々しい”スナッフ”フィルムと見紛う作品だった。
フィルムの唯一の登場人物の女優・アンジェリカ・チェンバーズ
決して有名ではないがカルトなファンを持つこの女優は今は行方不明になっていた。
デヴィッドはこのフィルムは本物の”スナッフ"ではないかと考え始めていた。
”スナッフ”について詳しい知識を持っていた記者・ケリーに連絡を取るのだが、
そこで意外なことを聞かされる。
ケリーの姪のアンジェリカ・チェンバースも行方不明だという。
奇しくも同姓同名の女性・・・・・・・
デヴィッドはどんな結末にたどり着くのだろうか?

おぉ〜、地味だけれどなんか引き込まれる作品ですな。
”スナッフ”とか嫌いなんですが、これはあまりに残忍なシーンが少なくて読みやすかったです。
最後の余韻というか、謎は次の作品に続くのかな?
メフィスト賞史上最大の挑戦!って・・・・そうだったの?
まぁ、あまり仕掛けとかを気にしないで読むタイプなのであれなんですが、
そんなに意外性のある仕掛けだったかな?って感じです。
はっ!!それともrakuが気付いてない仕掛けがあるのかも・・・・・(;^^)
ともかく、引き込まれるように読了いたしましたっ!

ハードフェアリーズ  HARD FAIRIES

著・生垣真太郎

あらすじ・1980年、NY
カメラマンのグレンは4月だと言うのに雨から季節外れの雪へと変わる中、行きつけのBARへと向かっていた。
そのとき、歌が聞こえた。
ホームレスが「雨に唄えば」のフレーズによく似た歌を唄っていた。
「復讐の音・・・3度・・・そう、俺は銃声が踊る音を聞いたんだ・・・」
不思議な歌詞がグレンの中で引っかかっていた。
そしてたどり着いたBARの地下では惨劇が起こっていた。
大量の音楽に埋もれながらも最後の銃声はグレンの耳に届いた。
銃殺された3人の男、そして生き残った一人の女。
納得できる答えを求めてグレンは動き出した。
そして時は流れて2000年、NY
かつての出来事を再現した告発フィルムが映画祭の応募作品の中に!
その作品を見たマットは過去の事件を知り、そして動き出す・・・・

微妙〜〜〜に前作と関連してますね。
これって後何作出るか判らないけど、全部繋がるんだろうなぁ〜。
そこまで見届ける(読み届ける)ように頑張ります!
横文字の名前って覚えられないから紙にでも関係図を書いとかないとかしら。。。

日曜日の沈黙

著・石崎幸二

あらすじ・「ミステリィの館は、きっとあなたを満足させます。お金では買えない究極のトリックをあなたへ・・・・」
新しいホテル「ミステリィの館」の招待状をもらった男女がその館で起こるさまざまなミステリィを解いて最後に
密室で死んだ作家・来木来人の未発表作品を手にする・・・。
本当に人は死にはしない。すべて死んだ振りだけ。
しかし、そこから答えを導き出すと来木来人が残した究極のトリックが浮かび上がってくる。そのトリックとは!?

・・・・・なんか、イマイチだったような・・・・。
最後に現れるトリックは「あぁ〜なるほどね」とは思うんだけど、それ以上でも以下でもない・・・。
それと出てくる女子高生二人組(ミリア・ユリ)が鬱陶しくて・・・。
あぁ、これを鬱陶しいと思うなんて年なのかしら・・・(笑)これってシリーズ物になるのかなぁ〜

リピート  Wheel of Fortune

著・乾くるみ

あらすじ・「今から一時間後の午後五時四十五分に、地震が起きます。」
そして、本当に地震は起きた・・・。
電話の主は風間と名乗った。
ある一定の時期まで時間をさかのぼることが出来るという。
彼はその行為を”リピート”と呼んでいた。
その”リピート”へのゲストとして招待するという。
9人の様々な職業の持ち主が”リピート”に招待されていた。
不思議な時間旅行、そして彼らは本当に時間を巻き戻すことが出来た。
しかし、R10(主催の風間がリピートを始めて10回目だったことから)の世界で
リピーターが次々不可解な死を迎えて・・・・・

面白い!はっきりいってかなり面白い!!!
乾さんの印象がこれでがらりと変わりました。
あぁ、本当来年はおおばけするかもしれませんね。
お勧めですっ

塔の断章  THE TOWER

著・乾くるみ

あらすじ・美しい湖を望むために建てられた塔から女は墜落して行った・・・。
『機械の森』という小説のゲーム化のために集まった8人
湖畔の古い洋館で過ごした一夜
事件はその夜に起こった。
身を投げたのは社長令嬢でイラストを担当していた香織
彼女は妊娠していた。
一体誰が彼女を妊娠させ、絶望の淵に追いやったのか・・・

rakuはノベルスで読んだんですが、文庫には作者自身の解説がついた”完全版”となっています。
で、立ち読みですがその解説も読ませていただきました。
いろいろと入っていく記憶の断片。
その記憶は誰のものか?
えっと、詳しく言っちゃうとネタバレなので(2004/5/25)の日記に書いておきます。
もし、気になった方はどうぞ。
個人的には面白く読ませていただきました。

Jの神話  J-GIRLS MISTERY

著・乾くるみ

あらすじ・全寮制の高校・純和福音女学院。
美しい生徒会長・朝倉麻理亜に統率された平和な学園で起こった悲劇・・・。
麻理亜が不可解な死体となって発見される。
麻理亜の父親から依頼を受けた”黒猫”こと美音子は早速謎に向かって爪を研ぐ。
昨年亡くなった麻理亜の姉・百合亜も不審な死を遂げていた。
黒猫はこの謎を解けるのか・・・・。

この作品がメフィスト賞を受賞したとき、読んだ友達から「どうかな〜」と言われ、
人の意見に左右されやすいrakuとしてはずっと手付かずできたのですが(笑)
読んでみました。
面白かったですよ、うん。
でも、当時(98年)読んでいたらやっぱり「どうかな〜」って言ってたと思いますね。
それはどうなの?って思うところやちょっとエロいというか・・・(いまならさらっと読める程度なんですがね)
この本よりも後出なんですけど、積木さんの「芙路魅」とか先に読んでたせいかそんなに抵抗なかったですね、今は。
まぁ、それでもどうなの?とはちょっと思いますけどSFかなっって思えば・・・
(SFかな??違うかも、ごめんなさい上手い言い回しが見つかりません)

林真紅郎と五つの謎

著・乾くるみ

<いちばん奥の個室・あらすじ>真紅郎は法医学の医師だったが、半年ほど前妻を事故で亡くしてから
仕事も辞め、向学心も赴く先をなくしていた。
そこへ兄嫁からの電話。
姪の仁美に付き合ってコンサートに行ってほしいという。
戸惑いながらも結局は引き受けることになった真紅郎。
そこで巻き込まれた不思議な事件・・・
<雪とボウガンのパズル・あらすじ>真紅郎は一面の銀世界の中、愛犬・ポチを散歩させていた。
そこで偶然であったのは大学時代の教え子・苺沢だった。
お決まりの挨拶をした後、そこで別れるはずだったがポチが苺沢を追いかけて結局、苺沢の下宿まで来てしまった。
そこで同じ下宿人の一本松が発した言葉は・・・
「韮沢が雪の中で、血だらけで・・・」

rakuにとって初乾さんですね。
メフィスト賞受賞作もまだ読んでませんです。
初めて読んだ感想は可もなく不可もなく・・・
でも、真紅郎さんの別の事件(出来れば長編)を読んでみたいですね!
いろいろと推理が飛ぶけれど、最後には的にぴたりとはまる・・・
湯川幸四郎のようなタイプだなぁ〜と思います。

マリオネット症候群

著・乾くるみ

あらすじ・真夜中に目が覚めると体が言うことをきかない。
意識ははっきりしているのに声も誰にも通じない。
体は体でいきなりの状況を飲み込めない様子。
一体、私の体に入っているのは誰?そしてどうしてこんな風になったの〜〜!!!!

今ひとつ、ライトノベルの定義がわからないのですが、これはライトノベルなんでしょう・・・・。
さっぱり、すっきり、さくさくと読めました。
設定はかなり面白かったですが、読み終わった後に何も残さない。
本当、さっぱり、すっきりとした読後感です。

イニシエーション・ラブ

著・乾くるみ

あらすじ・大学4年の”たっくん”は頭数揃えのために合コンに招聘される。
あまり乗り気ではなかったのだが、そこには彼女”マユ”がいた。
夢中になって付き合う二人だったが、”マユ”と共に過ごすために大企業の内定を蹴って
地元・静岡の会社に就職した”たっくん”だったが、東京勤務を命じられて・・・・

”闘うベストテン国内ミステリ 1位”です。
懐かしいカセットテープのようにA面とB面に分かれていて懐かしい曲名が章のタイトルとなっています。
A面で恋をした二人がB面で遠距離恋愛になり、仲違いする・・・・
あらすじを読んでいただくとわかるとおり甘ったるいラブストーリー
でも、最後まで読み進めると違う一面が・・・・
面白く読めました(ラブストーリーは苦手なのでちょっと辟易もしましたが)。
う〜ん、ハードで買うよりもノベルスか文庫で買いたかった気もしました。

匣の中

著・乾くるみ

あらすじ・探偵小説の愛好家グループのメンバー・仁行寺馬美が実名モデル小説が書き始めるのだが、
その小説に呼応するように現実の仲間たちにも奇妙な出来事が・・・
メンバーの中心人物である伍黄が奇妙な言葉を残し、密室から姿を消したのが始まりだった。
密室で殺されるメンバー、仲間内で繰り返される推理合戦。
そして向かう結末とは・・・・!?

竹本さんの「匣の中の失楽」へのオマージュ。だそうです。
こう、あらすじを書いてみてもかなりダブるということがお分かりだと思います。
変な話、竹本さんの本が無ければかなりいい線行く話しだとは思うんですよ(いまさらいってもね)
でも、ここまで似通ってくるとどうしようもない。
細かなディテールがそのままだったり(そこがオマージュなのでしょうか?)、途中まで
リメイク?とも思いましたが、当然ながら別物。
ディテールをあまりにも細かく一致させてしまったこと、話の枠が似かよってしまったこと
勝負するには竹本さんの「匣の中の失楽」が素晴らしい過ぎたこと。
「Jの神話」「塔の断章」などとはまた違った味があるのもたしか。
読んでよかったです。

プラスティック

著・井上夢人

あらすじ・出張に出た夫の帰りを待つ平凡な主婦・向井洵子の日常を書いた日記から始まった。
その日記は、日を追うごとに奇妙な出来事に彩られていく。
一枚のフロッピーには54個の文章ファイルが収められていて、読み進めていくうちに明らかにされる真実。
その真実を受け入れることは、崩壊なのか・・・

買っておきながらかなり寝かせた本でした(;^^)
いやぁ〜、面白い。
読んでる途中、ぞくりとしますよ。この本
オチとしては平凡なのかもしれませんが、そこまでの持って行き方がよいです。
なんだか文章に引き込まれました。

魔王城殺人事件

著・歌野晶午

あらすじ・星野台小学校5年1組のKAZ、おっちゃん、ぼく(翔太)たち3人は探偵クラブ
「51分署捜査一課」を結成した。
そして町のはずれにある悪魔の巣窟のような屋敷にまつわる怪しいウワサを確かめるために探検することに!
本当はみんな怖がっているはずだけど、仲間に弱みを見せて入られない。
進む僕たちの前にゾンビ女が現れ、そして庭の小屋の中で消えた・・・
新たに加わった女子2名(タキゾノキヨミと桂木さん)を連れ、再び屋敷に潜入。
そしてそこで見たものは乳母車に乗った男の死体とその消滅だった。
「51分署捜査一課」はこの事件を解決へと導けるか!?

ミステリーランドです。
かなり正統派な感じがします。
これは子供にも安心して(?)薦められますね
面白く読みました。

館という名の楽園で

著・歌野晶午

あらすじ・大学時代の探偵小説研究会の仲間だった冬木からメンバーへと招待状が送られてきた。
三星館という館を建てたので披露を兼ねた小宴を催すといったものだった。
集まったメンバーは小田切、岩井、平塚、水城の4人だった。
迎えに来たのはリムジン、着いた建物は”館”という呼び名に相応しいものだった。
待っていた冬木の横には細君であり、研究会のメンバーでもあった聡美もいた。
冬木はこの館を舞台に推理劇をやりたいと言うのだ。
多少の不満も出ながらも劇に参加することいなったメンバーは・・・・

祥伝社の400円文庫です。
本当この中篇シリーズっていいよね〜。
読みやすいし、はずれなし!って感じがしますです。
さらっと読めますが、その分あまり印象には残らないかな・・・・・

放浪探偵と七つの殺人

著・歌野晶午

<有罪としての不在・あらすじ>寮の中で起こった殺人。
奇しくもそれは加害者にとって幸運な状況だったかもしれない。
寮生たちの行動が密室を作り出していく・・・。
しかし、不幸なことが一つ。
それは、その寮に信濃譲二が遊びに来ていたこと・・・・

短編7話入ってます
いろんな現場に放浪探偵が姿を現す。
この人が殺人を呼び寄せているのか?(笑)
読みやすかったです。

密室殺人ゲーム王手飛車取り

著・歌野晶午

あらすじ・顔も知らない5人がインターネットで殺人推理ゲームを出題しあっている。
ひとつ変わっているのはその問題の殺人は出題者が実際に実行済みの殺人であるということ。
怨みも何もない、ただ出題のために犯される殺人。
その最後に見るものとは

連作短編8話入ってます。
本当、非常識なんだけど面白い。
実際こんなことが起こってたら恐ろしいし、でも今の世の中ならあってもおかしくないのかな?
とか思ってぞっとします。
そしてラストがよかったですね。
ただただ警察に見つかるのも普通だし、告発もねぇ〜
それまでに入ってなかったいろいろな感情が垣間見れた良いラストだと思いました。
私的に、ベストなラストでした。
後味良すぎでOUTな人、いると思いますけどね。

彼女は存在しない

著・浦賀和宏

あらすじ・香奈子は駅前で恋人・貴治を待っていた。
そこへ「アヤコさんではないですか?」と声をかけられた。
声の主の女の子はひどくおどおどとしていたがどこか期待をもったような声をしていたが、
人違いだと答えると泣き出しそうな表情になった。
そしてデートの帰り道、同じ駅前に差し掛かったとき、声をかけてきた女の子が少年達に囲まれていた。
仕方なく彼女を助けた香奈子と貴治だったが、彼女は・・・
「あなた、アヤコじゃないんですか?」
それが由子と名乗る女の子との不思議な関係の始まり
アヤコとは一体誰なのか?

浦賀さんの書き下ろしの新作
興味はあるけど、楽が苦手とする多重人格もの。
最初はすごくすすまなくてまいっちんぐだったけど、後半は結構すらすら読めました。
多重人格がかかわってくる小説だと結構難しいよね、いろんな意味で
で、やっぱり浦賀さんってカニバリズム好きだよね(;^^)

ファントムの夜明け DAWN OF THE PHANTOM

著・浦賀和宏

あらすじ・一年前に別れた恋人・健吾の影を強い慕いながらも自分を保つのに必死だった真美。
二人の共通の友人・高畑に頼まれて本を返却へ1年ぶりに一緒に生活したアパートへと足を向けた。
しかし、そこには健吾の姿は無く、代わりに新しい女の影があった。
健吾の行方を捜し求める真美とそんな彼女に起こった異変。
幼いころ無くなった双子の妹・麻紀がよく言っていた言葉
頭の中の『友達』
真美は『友達』の力を借りて健吾を見つけ出すことができるのか?
それは健吾の体なのか?遺体なのか?

わ、なんだろう。
浦賀さんのだからもっとブラックなのを想像してよんでいたんだけど、
なんだか最後はジーンとする話でした。
もっと最後の方はジーンな文を伸ばしてもよかったかな。
かなり面白く読みました。
     

地球平面委員会  flat earth project

著・浦賀和宏

あらすじ・クィーン・大三郎は入学した大学の勧誘合戦の中、奇妙なものを見た。
屋上から投げられた無数のビラ。
[あなたも信じてみませんか?地球が平面であることを]
そしてそのビラよりも目に入ったのは屋上で撒いていた女の子・宮里真希のこと
何気なく覗いたその部室・地球平面委員会・・・
異常なまでに彼を追う宮里。
そして周りに起こり始める不可解な事件・・・・

面白かったですよ。
でも、なんか続きが読みたいと言うか、あと一息ほしいと言うか・・・
ここで終わるからこそいいのか?
書き足すとだめになってしまうのだろうか・・・
最近、この本に限らず結構そういう終わりの本ってあるんですよね。
でも、後もう少し読みたい!という腹八分目感が次の購買意欲に繋がるのでしょうか・・・

眠りの牢獄

著・浦賀和宏

あらすじ・5年前、友達の家で起こった事故。階段から落ちた二人、落ちなかった二人。
そして、病院で目覚めた一人と目覚めなかった一人・・・
それぞれの5年を過ごしてまた事故の起こった家に集まることに・・・

えらく短い本なのであらすじ書くの難しいなぁ・・・
久しぶりの浦賀さん本だったので安藤君シリーズか?と期待してたんだけど、なんか違ったみたい。
まぁ、関係ないことはないんだろうけど・・・
まかり間違っても京極さん本みたいにどっかで繋がって・・・っていうことはないようですが(笑)
ちょっとネタばれチックなんだけど、殊能さんの「ハサミ男」を髣髴とさせるネタだした。

浦賀和宏殺人事件

著・浦賀和宏

あらすじ・作家・浦賀和宏は講談社ノベルス創刊20周年記念密室本の締め切りに追われていた。
新しく変わった担当編集者・本城久美子からの催促も段々と厳しくなってきている。
そんな時、浦賀ファンの女子大生が最後に「浦賀に会いに行く」と告げたまま、
ホテルで惨殺死体となって発見される。
犯人は本当に浦賀なのか?そしてその裏に隠されたもうひとつの事件とは・・・・

なんかすごかったすね(;^^)
最初は「これは・・・・・どうなの??」と思っちゃいましたが、最終的にはやっぱりそこかっ(;;^^)
やっぱりカニバリズムになるんですよね、浦賀さん(笑)
でも、文中にあったとおり人肉ってそんなに美味しくないと思いますよ、食べたことないけど。
いろんな作家さんの本に美味しいって書いてるの読んだことありますけど、雑食ですからね〜人間は。
でも期待が大きかったせいか、今ひとつ・・・・。
あ、これは新刊で買いましたよ!図書館で借りたのでもなく、古本屋で買ったのでもありません!
これはこの本を読んでもらうとわかるのですが・・・・・・(笑)
本の批評をするならちゃんと新刊で本を買ってお金を払ってからしろってやつです。
確かに古本では印税は作家さんにも版元にも入りませんからね〜〜
楽も古本屋で買うのが多いので大口叩けないクチですが・・・・

学園祭の悪魔  ALL IS FULL OF MURDER

著・浦賀和宏

あらすじ・幸は学園祭で同級生・穂波留美の彼・安藤直樹と出会う。
暗くて大学にも落ちた穂波に彼氏が居て、明るくて大学にも合格した自分に彼氏が居ないという現実に幸はショックを受けた。
やっかみ半分で穂波と会話を交わしていくうちに穂波の「安藤君は、名探偵だよ」という言葉に反応した。
幸の家の周りで起こっている連続殺犬事件を安藤に解いてもらおうと思ったのだ。
そして、安藤はあっさりとその事件を解いてしまった。
幸は安藤に恋をしてしまった。
しかし、当の安藤は冷たい素振りを見せるばかり。
そんな時、幸の父親が自殺をする。
それを期に周りの友人達が穂波に流れていくのを感じた幸の取った行動とは・・・・・・

いやぁ〜、ついに壊れてしまいましたね、安藤君(笑)
もとかわ壊れているという話もありますが、どんどんすごくなっていってますね(;^^)
このシリーズは収拾つくのでしょうか?
留美ちゃんは<とらわれびと>にも出ています(^^)
このシリーズは最初から読まないと付いていけないかも
それにしても本当にカニバリズムが好きな作者だ・・・
それが全体に通じるキーワードなんだろうけど。

透明人間  UBIQUITY

著・浦賀和宏

あらすじ・お父さんに買ってもらった日記帳。
毎日、今日遭ったことや過去に遭ったことを書く。
お友達と話したこと、透明人間の本を読んだこと、好きだった遠山くんのこと
そしてお父さんが死んだ日のこと・・・・・・・・
あれから10年・・・
孤独に絶望し、何度も自殺を企てるが上手く行かない理美は3回目の自殺未遂の時に飯島と出会う。
そんな中、10年前父の死に際して立ち回ってくれた弁護士から連絡がある。
「お宅の地下室にはいかれましたか?」
存在すら知らなかった地下室、そこに父の研究室が、そしてデータがあるはずだという。
弁護士と父の同僚だったと言う人物、その他に3人の人物が訪れる。
そして、理美と飯島を立会いに地下室の捜索が始まる。
そこで起こった連続密室殺人
一体、そうまでして探られる亡き父の研究とは・・・・

安藤くんシリーズ。
っていうか、ほとんど飯島くんと理美ちゃんのお話なんだけどね。
面白く読みました。でもでもさ、それやっちゃだめっぽくないか?
とラストに思うところあり。
そうえいば、カニバリズム、なかったですよ〜


〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここからネタバレ!!読んでいない人引き帰そう!!!〜〜〜〜〜〜〜〜


子供の頃から理美は一貫して”透明人間”の存在を信じてる。
確かに、"透明人間”さえいればこの地下の密室殺人事件は楽勝に解決する。
ずっと理美は怯えながらもその可能性を散々考えている。
でも、そこでその可能性を考えているからこそ、その選択肢を選ぶのはどうなのよ?
と思ったりした。
後ろのあらすじにも”透明人間以外にこの犯行は可能なのか!?
名探偵安藤直樹の推理が真相に迫る!!”
ってかいてあるじゃんよぉ〜〜〜
しかもよ、ずっと理美を見守り、助けてきた”透明人間”の存在に気付いた後に飯島くんと付き合えるとは
ちょっと理美ちゃん、どうなのよ?とか思ったりした。

なんて思ったりしたです。
まぁ、よく考えてみるとタイトルがそのまま内容を表しているとはよくあることなので
これもそうだと言われればそれまでなのですが・・・(;;)

こわれもの

著・浦賀和宏

あらすじ・売れっ子漫画家・陣内龍二は幸せの絶頂から不幸の底へと叩きつけられた。
最愛の婚約者・里美が交通事故で死んでしまったのだ。
彼女をモデルに描いた漫画のヒロインを作中で同様に殺してしまう。
余韻も伏線も何もないヒロインの突然の死にファン達からは攻撃的な目を向けられるが、
龍二にはそれすら構ってはいられなかった。
深い悲しみの中、数多くの非難の手紙の束の中から一通、奇妙な手紙を見つける。
里美の事故を予言したものだった。
日付は事故数日前・・・。
龍二はその手紙の主に会うことにするのだが・・・

久々の浦賀さんっていうか、この本自体はちょっと前のものなんですけどね
面白かったんですけど、何かほしい。
これが浦賀さんの本じゃなかったらそう期待しないのかな。
可もなく不可もなくって思ってしまうのはやっぱり名前に期待しているからなんでしょうか・・・

松浦純菜の静かな世界

著・浦賀和宏

あらすじ・中学時代に大怪我を負って、療養のために引っ越していた松浦純菜が2年ぶりに自宅に戻ってきた。
昔の友人達が純菜の家に訪れたが、親友の貴子の姿はなかった。
貴子が姿を消して1週間が経っていた・・・。
市内では連続女子高生殺人事件が発生していた。
貴子までその魔の手にかかってしまったのか?
不思議な事件に興味を持つ純菜は友人・渚のクラスメート・八木剛士に会いたいと言い出す。
拳銃で玉を打ち込まれたにもかかわらず、無傷で生き残った”奇跡の男”・・・。
彼の妹も同じ場で玉を打ち込まれ、意識が戻らないまま病室にいる”不幸な男”・・・。
強運の持ち主でそして不幸な八木と純菜の心の闇が事件の犯人をあぶりだす・・・。

これもシリーズになりそうですね
安藤のように心に暗い闇を持った主人公達ですが、彼のように捻くれてはいない。
読みやすいし、ちょっと先が気になりますね。
続きが読みたい、と思いました。

火事と密室と、雨男のものがたり In The Wake Of Poseidon

著・浦賀和宏

あらすじ・不思議な事件にばかり興味を持つ純菜に振り回されたばかりの八木。
そしてまた不穏な事件が・・・。
無差別連続放火の次は学校でのクラスメイトの首吊り死体の発見・・・。
ボランティア団体に所属するほどの優等生だった白城あかねは何故死体となったのか?
首を吊った木までの足跡があかねのものしかないということで、
自殺説が濃厚になる中、案の定事件に首を突っ込む純菜はひきこもりの南部という少年に行き当たる・・・。

シリーズ2作目。
”安藤シリーズ”も気になるところですが、このシリーズはまた面白い!
純菜の願いは叶うのか?また八木の想いは届くのか?

ミステリなふたり

著・太田忠司

<じっくりコトコト殺人事件・あらすじ>美貌の女刑事・景子は別名”氷の女”とも呼ばれている。
彼女の仕事振りを見れば納得のことだろう。
しかし、一旦彼女のハンサムな旦那・新太郎の前に出ればそれは目を疑うことになる。
いつまでも恋人気分の抜けないこの夫婦は優秀な足と優秀な脳をそれぞれ分担して何事件を解決へと導いていく。
その日も景子はけったいな事件を抱えたまま、家へと戻ってきた。
その日は景子の好物・鶏もも肉のワイン煮込みだったのだが、それを聞くとすぐに景子は胃の内容物を戻したのだ。
それは彼女の抱えている事件とあまりにも似た料理だったから・・・・。

短編10話入ってます。
ありがちな設定。
刑事と家にいる頭脳明晰な主夫。
事件の話を聞いていると答えがわかって・・・という感じ
テンポが良くて面白いですが、この短さがまた命取り。
そんな甘い推理で警察は動くか?とか思っちゃった。
まぁ、それこそ夫の推理を信じている刑事の賜物ってやつなのかしら。

予告探偵 西郷家の謎

著・太田忠司

あらすじ・大戦の傷跡を残しつつも、復興へ向けて希望を持ち始めた時代。
300年以上続く由緒ある旧家・西郷家に届いた一通の手紙。
「すべての事件の謎は我が解く  摩神尊」
この手紙が意味する”謎”とは一体何なのか?
そしてこの手紙を送った主が西郷家へと乗り込んできた・・・・

タイトルと装丁に惹かれて買いました。
そうですね、ドラマ化とかしたら面白そうです。
でも、最後の最後のどんでんは・・・・いらなかったかな?とrakuは個人的に思いました。

五つの鍵の物語

著・太田忠司

<17世の鍵・あらすじ>ある大金持ちに呼び出された鍵職人。
依頼はルイ17世が残した鍵の設計図を元に鍵を復元して欲しいと言うことだった。
鍵に取り憑かれた男たちの話

短編5篇とその話の聞き手のプロローグ、エピローグ付き。
一つ一つの話が独立していて読みやすかったですよ。
なんだろう、でもぐっとは来ない感じ。

奇談蒐集家

著・太田忠司

<自分の影に刺された男・あらすじ>新聞の怪しい募集欄を見て応募してきた男が
辿り着いたのは、そこだけ世界が違うような不思議なバー。
待ち構えていたのは恰幅の良い男と性別が不明な美貌の助手。
彼らが求めているのは”奇談”。
体験した本人の口から語られる不思議な話。
誰も信じないような、信じられないような実話を求めて高額の賞金まで掲げて。
しかし、話を持ってきた本人も奇談と信じて疑わない話を助手は・・・

連作短編7篇。
設定が面白いですよね。
不思議な話が謎を解かれていく過程も好きでした。
でも、なんか最後がすっきりしない感じ。
続きがあるなら彼ら(男と助手)の話を読んでみたいな〜

忌品

著・太田忠司

<眼鏡・あらすじ>友人の医師に老眼だと診察された邦彦。
自分が嫌っていた亡き父親にまた一つ似ていく・・・。
妻の尚子は人に弱みを見せるのを嫌う性格で、その筆頭に挙げられるのは邦彦の母に対してだった。
邦彦は尚子が母に借りた喪服を返しに実家へと向かった。
そして子供の頃は入るのを禁止されていた父親の部屋になんとなく足を向けるのだが・・・

短編8話入ってます
わっと怖いわけではないけれど、ちょっと背中が寒くなるような・・・。
そういうのも好き。
お勧めです。

クリスマス・イヴ

著・岡嶋二人

あらすじ・山深い別荘で開かれるクリスマスパーティーに向かう喬二と敦子。
途中の山道で荒い運転をしたジープとすれ違ったのだが、それほど気にすることでもなかった。
やっと別荘についたものの、明かりすらついていない。
ぞっと身を震わせる敦子と対照的に、自分たちを驚かそうとしているにちがいないと喬二は乗り気で中に入ってゆく。
しかし、そこには荒れ果てクリスマスパーティーの残骸と死体が待っていた・・・。
夜は始まったばかり、どこまでも執拗に追いかけてくる男・・・。
二人は生きて帰る事ができるのか・・・・・・

映画、このまえ観たんですよ、これ原作の。
な〜んか最後ら辺がごちゃごちゃしててなんか理解不能だったので原作を読んでみようと。
映画の流れと原作の流れが全く一緒なのですらすらと読めました。
まぁ、映画のラストに描かれていたようなわけわかんなさは無く、さっぱりすっきりしたラストでしたね。
ただ、動機なしの追う者、追われる者というホラー映画調の小説だけになんか物足りないと言うか・・・。
負われる側は「どうして?」という台詞もあるけれど、それに回答はないということ。
やっぱりどこぞの収容所から脱走してきた・・・とか(ベタすぎますかね?)欲しかったかなっと。
これは原作から読んで、映画に行った方がいいかな〜。
原作と映画はラストが違います(と思います)

クラインの壷

著・岡嶋二人

あらすじ・就職口の当ても無い上杉が応募したゲームブックの原作募集。
原作の審査からは落ちたものの、ゲーム製作会社から声を掛けられ、
ヴァーチャル・リアリティ・システム「K2」の制作に係わることになった。
謎に包まれた研究所でバイトの女性・梨紗と共に仮想現実の世界へと入り込む。
しかし、上杉のゲーム中にだけ聞こえる謎の声。
ゲームだと信じていたそのシステムの実態とは・・・・

10年ぐらい前に発行された本なんですが、すっごく今に遇ってますね。
今、映画化とかされても古臭くなくそのままいけますね。
これってすでに井上夢人さんが一人で書かれたと思われますが、
(岡嶋二人解散前ですが「おかしな二人」を読むとそのように書かれてます)
でも井上さんお一人の名前で書かれたものとは違うんですよね、空気感が。
やっぱりこれは岡嶋二人の作品だと思いました。

さみしさの周波数

著・乙一

<手を握る泥棒の話・あらすじ>伯母がぼくの住む町に旅行へ来た。
古い温泉宿にそぐわない様なアクセサリーと現金を持ち、伯母とその娘は来た。
映画の撮影を見学しに来たらしい。
ぼくの両親は一年前に死んでしまい、もっとも近い血縁が伯母だった。
しかし、羽振りのよさそうな伯母に対してぼくは友達と始めたデザイン会社も今ひとつだった。
ぼくがデザインした時計を製造、販売しているのだが在庫が余っている状況だったが、伯母には順調だと応えておいた。
しかし、会社に戻ると共同経営の友人から次の時計が作られないことになったことを聞かされた。
後、200万あれば・・・・と言われたそのとき、ぼくの頭の中には伯母の貴金属の現金が浮かんでいた。

短編4編入ってます。
「未来予報 あした、晴れればいい」「手を握る泥棒の話」「フィルムの中の少女」「失はれた物語」
この3冊の中で一番のせつなさ!!!!
「失はれた物語」はだめですね〜〜(;;)
せつな過ぎてもう悲しくなっちゃいますよ。
短編なのにこの濃さ、さすがだと思います。

きみにしか聞こえない  CALLING YOU

著・乙一

<Calling You・あらすじ>わたしは携帯を持っていない。
何故ならかけてくれる友達がいないからだ。
でも、ずっと携帯に憧れていた。
頭の中で理想の携帯を考えてみる。
白くてつるつるしてて、着メロは『バクダッド・カフェ』の曲がいい。
そうして暇なときがあると必ず理想の携帯のことを考えるようになっていた。
ある日、バスの中で携帯がなっていた。
誰だろう?周りを見回すけれど皆は携帯の音が聞こえないように無反応だった。
そして私は気付く、この着メロは・・・・・。

短編3編入ってます。
「Calling You」「傷-KIZ/KIDS-」「華歌」
「失踪HOLIDAY」とは違って切なさ倍増!って感じでしたね。
表紙、挿絵は「失踪〜」と同じ羽住 都さんという方です。
とても柔らかい絵をかかれる方で、乙一さんの文章と合っていてとても素敵です。
長いこと、挿絵が入るような本を読んでなかったのですが、とても良い感じです。
絵を見ちゃうとイメージが直結しちゃうでしょ?あれって自分の中のイメージと違うとちょっとしらけません?
でも、この羽住さんの絵を見てるときっとこういう感じなんだろうなぁ〜と素直に思えちゃうんですよ(^^)
小説も、絵もオススメです!!

失踪HOLIDAY  しっそう×ホリディ

著・乙一

<しあわせは子猫のかたち・あらすじ>ぼくは1人きりになりたくて1人暮らしを始めた。
伯父が所有する木造2階建てに住むことになった。
前の住人の持ち物がそのまま残っていて、伯父はそれらを自由に使っていいといったが、前の住人のことははなしてくれなかった。
近所の人の話で前の住人・雪村が強盗に刺されて、玄関で亡くなった事を知った。
雪村が飼っていた白い子猫も一緒に付いてきたがぼくは気にしなかった。
しかし、だんだんとおかしいことがおき始めた。
見ていないTVが着いていたり、カーテンが開け放たれていたり・・・・。
ぼくはこの不思議な状況を受け入れてしまった。

短編2編入ってます。
あらすじは表題じゃない方です(わかるっちゅ〜ねん!)
「失踪HOLIDAY」も好きですが、この「しあわせは子猫のかたち」も好きですね。
さすがスニーカー文庫、柔らかくやわしい感じがします(そしてちょっと切ないね)
あまり悪意を感じない文章ですよ。
乙一の短編はやっぱり面白いっすよ!!!

天帝妖狐

著・乙一

<A MASKED BALL>あらすじ・上村が高校に入学して真っ先にやったことはより安全な喫煙所を探す所だった。
学校の敷地の隅っこにある男子トイレは絶好の場所だった。
二年になってそのトイレである出来事が起こった。
使用しているものが極端に少ないそのトイレはとても綺麗で落書きもまったく無かったのだが、タイルに落書きがされていたのだ。
(ラクガキスルベカラズ)・・・・・・
翌日になると落書きをするなと落書きするなよ、という意味の落書きがあった。
ここのトイレを使っている数少ない生徒たちが書いたものだった。
それから顔も見たことの無いトイレ使用者達の掲示板的な役割を果し始めたトイレのタイルにカタカナの書き込みがまたされていた。
(コノガッコウニハ アキカンガ オオスギル)・・・・・
翌日、学校に設置されていた自動販売機のケーブルがすべて切断されると言う事件がおきる。
それはただの偶然だったのか?それともカタカナがやったことなのか?

短編2作入ってます。
楽は表題の「天帝妖狐」も好きでしたが、この「A MASKED BALL」が特にいいなって思いました。
ジャンルとしてはホラーなんだけど、なんとなく扱ってるのが身近なのかな?
ぞくりとするけどその前にどうなるの?という怖いもの見たさが先に立つ様な感じがたまりません。
思い切りホラーを楽しみたい人には物足りないのかな?でも、面白い作品でした!

GOTH  リストカット事件

著・乙一

<暗黒系 goth・あらすじ>僕と彼女・森野夜とは不思議な繋がりがあった。
僕たちはやるせない話に興味があった。
悲惨で、人が聞いたら首をつりたくなるような話を求めていたのだ。
彼女は僕に拾った手帳を見せた。
そこには日付と女の名前とどのようにして車に乗せ、どこで、どのようにして殺したかが書かれていた。
そしてそれは今、巷をにぎわせている事件だった。
僕たちはそれを警察に届けようとはしなかった。
代わりに、後ろのページに書かれているまだ報道されていない死体を捜しに行くことにした・・・・。
<土 grave・あらすじ>近所の子供が良く僕になついてくれていた。
ある日、子供が親の大切な骨董品を壊してしまったので匿ってくれと家に来た。
怒られると泣きじゃくる子供を家に匿いながら僕は昔から考えては打ち消してきた恐ろしい考えを実行することにした。
そしてあれから3年・・・。
周りの人間の記憶の風化を目にした僕は新しい獲物を見つけてしまった・・・・。
面白かったです!!
連作短編集で6つ入っています。
自分とは違うけれど、自分の中に全然ないとは言い切れない何か、を見たような感じ。
続き、書いてほしいですね!
なんといっても暗黒系ですから好き嫌いはあるかもしれませんが、お勧めです!
そうそう、漫画にもなるようなので見てみたいですね〜。
でも、この年で少年誌を買うのも気が引けるので文庫になったらチェックすることにします。

追記:漫画、文庫になったので買いました(^^)
なかなかオススメです!!

平面いぬ。

著・乙一

<石ノ目・あらすじ>Sは毎年山へ母の遺体を捜すために登っていた。
今年は成り行きで同僚のN先生と一緒に登ることになってしまった。
しかし、足を滑らせ二人は急斜面を落下してしまったのだ。
足を挫いてしまったN先生を抱え、Sは山を彷徨った。
そして一つの灯りと無数に並んだ人の形をした石造を見つけた。
まるでその地方に伝わる”石ノ女”を髣髴とさせるものだった・・・・。
<はじめ・あらすじ>耕平と敦男には秘密があった。
それは二人の嘘から出来た”はじめ”という女の子だった。
他の人には見えないけれど、そこに確かに”はじめ”はいたし、皆”はじめ”の噂だけは聞いていた。
二人だけにしか見えない友達・・・・

4作入った短編集です。
ノベルスで”石ノ目”で出ています。
相変わらず切ないパワー全開ですよ。
んな、あほな〜な設定(刺青の犬が動く)もなんだか読み始めると受け入れられるのが不思議。
面白い、とはまた違いますが、癖になりますね、乙一さんは

ZOO

著・乙一

<カザリとヨーコ・あらすじ>カザリとヨーコは一卵性の双子だった。
物心付いたころから母親と3人暮らしだった。
母親はカザリばかりを可愛がり、ヨーコには見向きもしなかった。
母親はヨーコに食事を作ってくれなかったり、洋服を買ってくれなかったりという苛めから段々と暴力を振るうようになっていた。
ただ耐え忍び、美しいカザリと姉妹だということだけを支えにしていたヨーコは迷子の犬を拾う・・・。
<陽だまりの詩・あらすじ>病原菌が蔓延し、人類は1人を残して滅亡してしまった。
ただ1人、生き残った者は自分を埋葬してくれるアンドロイドを作ったのだ。
身の回りの世話をしてくれるアンドロイドには心という機能が付いていた。

10話入りの短編集
「僕の右端と左端がつまっています」とはよく言ったものだ!!
ぞっとするほど美しくて残酷な話の次にはおいおいおいと突っ込みを入れたくなるような話(;^^)
「GOTH」ほどの衝撃はなかったけれど、面白かったですよ(^^)

暗いところで待ち合わせ

著・乙一

あらすじ・ミチルが自分の視力の低下を感じたのは3年前だった。
医者から近いうちにほとんど目が見えなくなるでしょうと告げられた。
二人暮しだった父親が急死してからミチルは全てを拒否し、家の中に籠もった。
一度、杖で歩く練習を外でしたのだが危うく車に惹かれそうになった。
ミチルを健常者だと思った運転手からは罵声を浴びせられた。
それからまるで大きな殻に覆われて護られるように家の中ですごしていた。
そんなミチルが家の中で他の生き物の気配を感じ始めたのだ・・・

このあらすじは”ミチル”サイドから書いていますが、”アキヒロ”の章と交互につづられています。
とにかく切ない!
乙一さんの作品は切ない作品多いですよね〜
オススメです!
絶対これはオススメですってば!!!

小生物語

著・乙一

HPに書かれていた作者の嘘日記

気になるのはどこまでが嘘なのか!?
本当と嘘の混ざり具合が絶妙で、絶妙すぎてすべて嘘なのか!?と疑うほど。。。
個人的にソファーの少年の行く先がきになりました。
うちには来て欲しくはないですが、永住の地が見つかるといいですね〜
この嘘日記から何本か短編が出来るのでは!?と期待しちゃいますね

暗黒童話

著・乙一

あらすじ・明るく元気で優等生、クラスの人気者でピアノが上手な菜深。
しかし、事故で左の眼球を失ってしまった菜深は同時に記憶も失っていた。
クラスからも孤立し、家では母親が過去の自分ばかりを押し付けてくる・・・
過去を思い出せない申し訳なさで、ますます言葉少なになっていく菜深・・・。
祖父の尽力のお陰で左目の移植が決まるが、記憶は戻ってはこなかった。
そればかりかその移植された左目は知らない風景ばかりを菜深に見せた。
その風景の中に監禁されている少女が映った。
この左目の持ち主はその少女を助けようとして殺されたのだ。
菜深は代わって少女を助けようと、左目の記憶している風景を辿って行く・・・

おぅ、すごいですね
やっぱり、乙一さんは面白いです。
ホラーということですが、なんだろうそれよりもやっぱり切ないですね。
さすが、”せつなさの達人”
なんだか登場人物がすべて切ないです。

銃とチョコレート

著・乙一

あらすじ・リンツの住む国では富豪の家から金貨や宝石が盗まれる事件が多発する。
残されたカードには”GODIVA”の名前が。
その怪盗ゴディバに挑戦するのは名探偵・ロイズ。
リンツは新聞記者見習いの友人からゴディバのカードに隠された秘密を教えてもらうと、
父親の形見の聖書の中に隠された地図がゴディバの事件の鍵ではないか?と確信する。
我らがヒーロー・ロイズはゴディバを捕まえることが出来るのか?
リンツの持つ聖書は本当にゴディバを追い詰めることが出来る鍵なのか?

ミステリーランド本。
貧富の格差がすごい本ですが、面白い。
残酷な描写がちょっと目に付きますが、子供に読ませると面白がるなぁ〜と思いました。
さすが乙一!
後、絵がちょっと苦手でした。
表紙の猫はいいんだけどなぁ

耳すます部屋

著・折原一

<真夏の誘拐者・あらすじ>パチンコに興じる若い女。
彼女の車は駐車場に停めてあったが、その車が盗まれてしまう。
その車の中には彼女の子供が乗ったままだった。
不安に駆られ、自分を責め苛む彼女の元に犯人からの電話がかかってくる・・・。
<眠れない夜のために・あらすじ>雑誌の悩み相談に投稿した女性R子。
隣人の息子が夜中に大音量でステレオを鳴らし、睡眠を妨害するのだ。
堪り兼ねて抗議に行くと、母親はそんな事はしていないと言い切る。
そんなことを繰り返していくうちにマンションで自分に関する心無い中傷が吹聴されていることに気付く。
R子の記事を読んで様々な読者が対策を書き、投稿してくるのだが中にその隣人だという投稿が・・・

10話入りの短編集
実際にありそうな日常のワンシーンを切り取ったリアルな短編集です。
程よい長さで読みやすいです(^^)
そうそう、最後の解説が池波志乃だったのがちょっと意外でしたね。
しかも、内容からすると彼女は引退している模様。
確かにここ数年画面などでは見ていませんでしたが・・・・

倒錯の帰結/監禁者

著・折原一

あらすじ・私は大きな揺れで目が覚めた。
そこは船の上だった。
「ひどくうなされていたわよ」と声をかけてきた女性。
小説家である私は締め切りに追われ、精神的にすさんでいた。
その私に声をかけて来たのは同じアパートの女性・清水真弓、彼女だった。
彼女の故郷・首吊り島で起こっている事件を解決して欲しいと言う。
小説家であって、探偵ではないと言ったがこの事件を解決することで精神が癒されるのではないか?
という彼女の申し出を結局受けることにしたのだが、その島で待ち受けていたものは想像を絶する密室事件だった。

一粒で二度美味しいじゃないけど、1冊で2度も3度も美味しいですよ(笑)
この本は「倒錯」シリーズの完結作みたいです(:^^)
私この本から読み始めたのよね〜。これから前作「倒錯のロンド」「倒錯の死角」を読むのです。
が、これだけでも充分面白いですよ!

樹海伝説 騙しの森へ

著・折原一

あらすじ・湖畔の森の程近くにある民宿の主は泊り客に昔話を語るのを売りにしていた。
この日は大学のサークルで来ていた学生たちに樹海で起こった事件の話をしていた。
樹海の中にある一軒家に住み着いた作家と画家の夫婦、そして双子の可愛い娘・・・。
気を違えてしまった作家が次々と家族を惨殺し、そして作家自身は森へ消えてしまったという。
その後、物好きな若者がその事件を調査すると言って樹海へ入り込んだが、結局白骨死体となって発見された。
その死体の傍らには若者が書き記した記録が残っていた。
磁石も効かず、携帯の電波も届かないその森、主は決して入るなと念を押したが・・・・

祥伝社の400円文庫です。
中篇というには薄いこの本はどれも読みやすくて好きです(^^)
立ち読みで読み終われるかも!?
怪しいなぁ〜って思った人がやっぱり怪しかったですが、ちょっと深読みしちゃいました(;^^)
軽く読める本ですので、時間がちょっと空いたときなどに良いかもしれません

異人たちの館

著・折原一

あらすじ・島崎潤一は新人賞を2つを取りながらもデヴューするきっかけをつかめず、穴埋め記事やゴーストライターとして
生計を立てていた。そんな彼に又一つ、ゴーストライターとしての仕事が舞い込んできた。
富士山麓で自殺した息子・小松原淳の一生を伝記にしてほしいと言う母親・小松原妙子の依頼だった。
母子家庭で育てられた淳は幼い時から賢く、神童と呼ばれるほどだった。
妙子はのちにユキという子供を連れた英語教師・謙人と再婚をした。
推理小説家を目指した淳がどのような生涯を送り、富士山麓へ向かったのか?
島崎は淳の軌跡を辿るうちに妹・ユキと親しくなっていった。
しかし、そんなユキを忌み嫌う妙子・・・・・・。
島崎はどんな事実を目にするのか?

初折原です。
いやぁ〜、すっごく面白かった!!
文体が”淳の関係者のインタヴュー””淳が書いた小説””富士山麓でのモノローグ””年譜””本文”の5つから
なってるんですけど、これがパズルのピースでそれを繋ぎ合わせていくと!!
これは面白かったですね!お勧めです!!

ダーリンは外国人
ダーリンは外国人2

著・小栗左多里

漫画家(?)エッセイスト(?)・小栗左多里が外国人・トニーとの日常を描いたエッセイ漫画。

きっとこれ外国人じゃなくても面白いと思う。
同じ人種でも一緒に生活すれば違うところが続出!だから。
でも、やはり前向きな外国人の方とは問題解決法が違うかしら。
どちらにしてもとっても!面白く読みました。

ダーリンの頭ン中  英語と語学

著・小栗左多里&トニー・ラズロ

”ダーリンは外国人”姉妹本。
日本の英語教育とネイティブの間の溝を感じることができる!?

「V]の発音はくちびるをかまなくてもいいとか、母音の前の「the」はジなのかザなのか?
これって日本で英語を教えているネイティブの先生にも思いつかないことかも!?(彼らには当たり前のこと過ぎて)
読む限り、実際トニーは気にしていなかったわけだし。
これって”溝”ですよね。
英語嫌いの私もほほ〜とうなづけて、そして笑えた1冊でした。

ハワイで大の字 さおり・トニーの冒険紀行

共著・小栗左多里・トニー・ラズロ

あのさおりとトニーが行くマウイ・ハワイ・カウアイ・オアフの珍道中!

面白かったですが、なんか共感できる部分が少なくて途中からはかなり流し読みでしたね。
取り止めが無い画文って結構好きな方なんですが、ちょっと量が多くて疲れる感じです。
一気読みしようとする私が間違ってるのかも、ですが。。。

女のシゴト道

著・太田垣晴子

画文家・太田垣晴子が気になるシゴト道を進む女性30人をレポート!

女性ならではのシゴトから男社会で生き抜いている女性のシゴト。
真摯にシゴトに向かう姿勢を改めて読むとこちらの背筋も伸びるようです。

モノ語り一題二話

著・大田垣晴子

大田垣さんのモノに対する愛情が見えるエッセイ

雑誌に連載されていた当時から数回は読んだことがあるんですが、やっぱり面白いです。
私も今まで持っていたモノの絵を描き残してみたいな、とか思ったりします。
まぁ、するだけなんだけどね(;^^)

きょうのごはん

著・大田垣晴子

大田垣さんのレシピ集つき、エッセイ。4コマ漫画キョウちゃんも面白いですよ

ここにのっていたパンチェッタ!作ろうと思ってます。
ほかにも試してみたいレシピ満載。なんだかちょっとがんばれば作れそう!と思ってしまうのは
大田垣さんのイラストがわかりやすくて、簡単に見えるから・・・・。
わかりやすく書いてあってありがたいのですが、レシピとして使うには本厚すぎ。
そこがちょっと残念!

追記:パンチェッタ、作りました。自分で作った!と思うと美味さ倍増ですよ!

配達あかずきん 威風堂書店事件メモ

著・大崎梢

<パンダは囁く・あらすじ>書店員は探している本を尋ねられるが、その目的の本に辿り着くのは一苦労だ。
タイトルも作家も出版社もわからない。
かろうじて出た内容のヒントで目的の本を探り出す。
そこへ飛び切りの難問が現れた。
近所の老人に頼まれた本で不自由な言葉を駆使して頼んだ本のタイトルは・・・
あのじゅうさにーち いいよんさんわん ああさぶろうに
どうやら3冊の本をさしているという。
おまけに出版社は「パンダ」という。
この難問解けるのか?

初読みの作家さんです。
気にはなってたんだけど、いざ立ち読みしてみると面白い!
一発でファンになりました!
短編5作入ってます。超お勧めです!!

晩夏に捧ぐ 威風堂書店事件メモ(出張編)

著・大崎梢

あらすじ・書店員・杏子は以前一緒に働いていた美保から手紙をもらっていた。
彼女が地元で勤めている老舗書店に幽霊が出るのだという。
そこに謎解きの得意なバイト・多絵もつれてきてほしいという。
杏子は老舗書店に、多絵は幽霊騒ぎに惹かれ訪れることになるのだが・・・

”書店員探偵シリーズ”早くも2冊目です。
短編ももちろん良いけど、長編も良い!!
超お勧めです!!

サイン会はいかが? 威風堂書店事件メモ

著・大崎梢

<君と語る永遠・あらすじ>威風堂に近所の小学生が郊外学習にやってきた。
騒ぐ一団と離れて実用書のコーナーに一人でいる少年。
眼を放した隙に明らかに高い位置にある広辞苑を取ろうと手を伸ばし、案の定重さに耐え切れず・・・
間一髪、店員の杏子が少年を庇うことができたが、代わりに杏子の肩には衝撃が。
なぜ少年は広辞苑を取ろうとしたのか?
「またちゃんと掴めない」彼が残した言葉の意味とは?
短編5話入ってます。
シリーズ3冊目。
絶好調ですね、面白い!!
表題作も好きですが、この”君と語る永遠”も好きな作品でした。
本屋がますます好きになる本ですね。
こんな親切な書店員さんがたくさんいる本屋の常連になりたい!


球形の季節

著・恩田陸

あらすじ・東北の町、谷津では奇妙な噂が広がっていた。
谷津にある4つの高校の生徒が参加しているクラブ「谷津地理文化研究会」はその
噂の元を辿るべく4校にアンケートを実施した。
人伝に広がったものなので多少の違いはあったが、共通していたのは、
”五月十七日、エンドウさんが宇宙人に連れて行かれる。一高生がたくさん死ぬ・・・・”
噂の追跡調査に乗り気だった一高生・弘範だったが、なかなか噂の発信元には近づいていけなかった。
そして噂も収束の方向に向かおうとした時、藤ヶ丘高校の”遠藤”志穂が行方不明になったのだ。
日付はもちろん、五月十七日・・・・。
噂が本当になったことで高校生たちは口を急につぐんでしまった。
それと同じ時期、道端や学校には金平糖が散らばっていた。
金平糖を撒いて一番最初に好きな人が踏んだら両思いになる、というおまじないが流行っていた。
退屈な日常、眠った町の中で誰かが変えようとしていた・・・。
「跳べ!跳ぶんだ!」
恩田さんの長編って初挑戦
面白かったですよ〜
確かに噂ってそうかもしれないな、うん。
終わり方、ちょっと切ない感じでしたね〜
続きとかないんだろうけど、あったら読みたいなって気がしました。
他の恩田さんの作品も少しずつ読んでいこう(^^)
オススメとかあったら教えてくださいませ!

木曜組曲

著・恩田陸

あらすじ・耽美小説の巨匠・重松時子が薬物死を遂げてから4年・・・。
あの時、時子の家”うぐいす館”に集まっていた5人は毎年、1回だけの彼女を偲ぶ宴を催していた。
誰一人、欠けることなく毎年行われる宴・・・。
ライター、流行作家、純文学作家、編集者、出版プロダクション経営者。
形は様々だが、皆一様に文字に携わっている職業についていた。
そして、この5人の輪の中にはいまだに神々しく輝きを放つ時子がいるのだ。
毎年と同じ宴のはずが、花束が贈られてきてから変な方向へと迷い込んでいく・・・・

京極さんの後のせいか、「おや?これは中篇?」と思ってしまいましたよ(;^^)
この映画、行きたかったんですよね〜〜〜
でも、いつ公開されたのかもわからなくて見そびれてしまいました・・・。
DVD出てるみたいだから後でレンタルして見なくっちゃ。
と、その前に原作を・・・と思って手を伸ばしたものです。
さすが、恩田さんですね!
登場人物は6人(死んだ時子含め)で、大体進んでいくのですが実にこの心理戦が面白い。
作家って怖い(笑)の前に女って怖いって所もありますが・・・(;^^)
しんとしたところにじわじわと広がっていく不安感、疑惑、・・・上手く言えません〜〜
これは読んで損はないと思います。
わっとくる怖さとか派手さには欠けるかもしれませんが、良い本だと思います。

追記:映画も素晴らしかったです。
これほど原作に負けずに、損なわず、良い映画を久しぶりに見た気がしました。

図書室の海

著・恩田陸

<国境の南・あらすじ>学生時代、友人が住んでいた街。
よく駅前の喫茶店に寄ったものだ。
生真面目なマスターと愛想の良いウエイトレスのいる喫茶店。
懐かしく感じながら足を伸ばす。
経営者は変わり、内装も変わっているが今も喫茶店だった。
何故、彼女はあんなことをしたのか・・・
珈琲の香りを誘われて昔の記憶が頭を擡げてきて・・・

短編10話入ってます。
ここから長編の本編が始まるものもありますね
巻末の解説にも書かれているような予告編集といった趣です。
恩田陸ファンは抑えておかなくては!の一冊でしょうね

三月は深き紅の淵を

著・恩田陸

<第一章・待っている人々・あらすじ>会社員の鰐島功一は履歴書の趣味の欄に”読書”と書いていたことを理由に
会社会長の別宅で年に一度行われる2泊3日のイベントの招待を受けた。
恐る恐る向かうとそこには会長の他に3人の老紳士淑女が待ち構えていた。
イベントとは、その屋敷に隠されているであろう一冊の本を探すというものだった。
ただひっくり返して探すのでは芸が無い、手がかりを元に推理をし、
彼らが10年以上探しても見つからなかった本を探し出すのだ。
その本のタイトルは・・・「三月は深き紅の淵を」

章ごとに内容が違っていて、一貫してあるのがこの本とある人物。
4章の”回転木馬”は続編(って言っていいのか?)”麦の海に沈む果実”の土台ですね。
中身も、登場人物も、ラストもちょっと違うけど、これはこれで面白いです。
今まであまり手を出していない作家さんの一人だったんですが、面白い!
やばいですね。。。。
   

麦の海に沈む果実

著・恩田陸

あらすじ・3月以外の転入生は学園に破滅をもたらすという言い伝えのある全寮制の学園。
そこに2月最後の日に転入してきた理瀬。
素晴らしい設備は整っているが、閉ざされた空間に次第に飲み込まれていってしまう。
時折見かける謎の少年、生徒を集め交霊会を開く校長、図書館から消えたといわれている謎の本、
そして、消えた生徒達の行方・・・。
理瀬が迷い込んだ”三月の国”の秘密とは・・・

実は”青に捧げる悪夢”から読んでしまったんですよ、私。
(この続編が入っている。)
しまった〜〜〜って感じです(笑)
もし、この解説から読んだ方は、この麦の〜から読んでください。
ここ数年のrakuの読書の中でかなりの高位置を示していると思います。
久々、ホームラン!!って感じでした。
理瀬の心情も周りの好意を持っているのはずの友人達の動き、学園の雰囲気、ともかく
全てがツボでしたね。
意外なラストも最高でした。
   

象と耳鳴り  THE ELEPHANT AND THE TINNITUS

著・恩田陸

<給水塔・あらすじ>名前以外何も知らない散歩仲間に誘われて関根多佳雄は”人食い給水塔”を見に来ていた。
その若い散歩仲間・時枝満は素性のわからない男だったが、不思議と話が合うのだ。
そして、今日は満が話していた不思議な噂のある給水塔を見に来たのだ。
1ヶ月前ぐらいからこの給水塔の周りで不思議な事故の数々・・・
多佳雄はこの給水塔の汚名を晴らすことが出来るのか・・・・
<ニューメキシコの月・あらすじ>ちょっとした事故に巻き込まれ、脛にひびが入り、
入院することになった多佳雄の元へ前の職場の同僚が訪ねてきた。
東京地検の検事・貝谷はお見舞いがてら不思議なはがきを差し出した。
貝谷宛の本文もない<ニューメキシコの月>という有名な写真のポストカード。
差出人はすでに死刑が確定している男からだと言う。
共通点のない9人の男女を殺害した男・室伏は有能な医師だったと言う。
貝谷は5年にも渡り送られ続けるこの無言のポストカードは何かのサインではないかと考えた・・・。

関根兄弟の父親・多佳雄にスポットの当たった短編連作集
関根秋は「六番目の小夜子」春は「puzzle」に(他にも出ているかも知れませんが、あまり知らないのでごめんなさい!)
rakuは「puzzle」しか読んだことがないのですが、断然多佳雄さんの方が好みです!!
読み始めはなんかぼやぁ〜っと読んでいたのですが、読み進むにつれて面白い!!!
本当、多佳雄主演で長編が読みたいですっ!!

金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲

アンソロジー

 収録作品
●京極夏彦                    「無題」
●有栖川有栖           「キンダイチ先生の推理」
●小川勝巳              「愛の遠近法的倒錯」
●北森鴻                 「ナマ猫邸事件」
●栗本薫      「月光座―金田一耕助へのオマージュ―」
●柴田よしき               「鳥辺野の午後」
●菅浩江                 「雪花 散り花」
●服部まゆみ                  「松竹梅」
●赤川次郎           「闇夜にカラスが散歩する」

<無題・あらすじ>夏前に散々な目に遭い、ただでも脆弱だった私の精神はもうずたずたに分断されていた。
一応の社会復帰を試みた私は嫌がる身体を引き摺って出版社へと赴いた。
しかし、真夏の太陽は私を照らし出し、眩暈を起こして道端に座り込んでしまった。
そこに声をかけてくれた初老の紳士は私をわざわざ日陰へと導いてくれ、世間話をし出した。 「僕をご存知なのですか?」
それから紳士が話し出した話は不思議な話で、人と接するのを臆していた私も思わず聞き入ってしまった・・・。
<愛の遠近法的倒錯・あらすじ・>一つ事件を解決して、自己嫌悪に陥り、逃避的になり、ふらりと一人旅に出る。
そうやって金田一耕助はパトロンの久保銀造の所へと来ていた。
しかし、すべてを知っているはずの久保の口から殺人事件の話が出てくる。
一瞬辟易とした金田一だったが、その事件はすでに犯人が上がっているとのこと。
ある村の2つの名家の不思議な一致とそして戦争、復員、連続殺人事件・・・・。
金田一はだんだんと久保の話にのめり込んでいき、自然と推理をはじめるのだが・・・・
<松竹梅・あらすじ>金田一は風邪を引き、二重廻しを羽織って病院に赴いた。
診察をしてくれた医師・荏原武男は後で相談したいことがあると持ちかけてきた。
しかし、その相談の途中入ってきた義母・タケにかき回され有耶無耶になり、金田一は病院を後にする。
その時、武男は義母たちと行くはずだった歌舞伎のチケットを2枚金田一へと渡す。
「興味が無ければお捨て下さい」
結局、金田一は警察を退職した等々力とともに劇場へと来ていた。
しかし、そこでまさかあんな事件が起こるとは・・・・
金田一があの時代で活躍したり、その後の時代で活躍したり、現代の金田一ファンが活躍したり・・・
とにかく、とにかく面白く読ませていただきました(^^)
やはり一押しとかなると京極さんかな。だっていつ出るとも知れない(ものすごく、失礼なやつです・・・)
京極堂シリーズ最新作(発売日未定)・陰魔羅鬼の疵の一文なんですよぉ〜〜〜〜♪
にゃぁ〜、楽しみだわ〜〜〜、陰魔羅鬼の疵!
横溝正史を読んで読むと更に楽しめるかな?って話も何話か入っていますが、読んでいない楽も楽しめました
それに、ドラマでもお馴染みだしね。
頭の中で新しいドラマを見ているようでおもしろかったですよ〜

あなたが名探偵

著・泡坂妻夫/西澤保彦/小林泰三
 麻耶雄嵩/法月綸太郎/芦辺拓/霞流一

<お弁当ぐるぐる/西澤保彦・著・あらすじ>リストラされた夫に代わり妻が世帯主となって働いていた。
蔵には相当な骨董品がありながらも、妻はそれに手をつけずにわずかな給与でやりくりを
するために夫の昼食は弁当を作っていくほどだった。
しかし、発見されたのは変わり果てた夫の死体。
綺麗に洗われた弁当箱
そして、蔵に貯蔵されていた骨董品の数々が無くなっていた。
本当に蔵には骨董品があったのか?
あるとしても相当量の骨董品を運び出すのにご近所が気づかないで運ぶことは可能なのか?
・・・可能な犯人は誰なのか?
それぞれの作家の犯人当てもの短編7話入ってます。
すごいメンバーですね。
う〜ん、作家さん毎に何か特徴が〜!ってことはないですが、犯人当てがお好きな方には面白いと思います。
犯人当てが苦手なrakuも楽しく読書できましたよ。
ただ、作家の名前で買った方にはちょっと不満が残ることろがあるかもしれませんが。

七つの黒い夢

著・乙一 恩田陸 北村薫 誉田哲也 西澤保彦 桜坂洋 岩井志麻子

<百物語・あらすじ>同じサークルの美都子を家に泊めることになったのは偶然だった。
酔いつぶれた美都子を仕方なく自分のアパートに連れてきたのはいいのだが、美都子は
「わたし、寝たくないの」と言う。
気分も良くなり、始発で帰るという美都子はそれまで起きておくと譲らない。
そこで安西が持ち出した案は”百物語”をやるということだった。
ふたりで一つ一つ怖い話をしていき、一つ一つ部屋の灯りを消して言うというものだった。
順調に進んだ”百物語”のトリは美都子が行うことになり・・・

短編7話入ってます。
それぞれの捉え方の”夢”が面白いです。
ちょっと本屋さんで見かけたら手にとって立ち読みしてもらっても面白いと思います。
一つ一つが短いのでさっと読めますよ。

赤に捧げる殺意

アンソロジー

収録作品 ●有栖川有栖  「砕けた叫び」
●折原一   「トロイの密室」
●太田忠司   「神影荘奇談」
●赤川次郎    「命の恩人」
●西澤保彦「時計じかけの小鳥」
●霞流一   「タワーに死す」
●鯨統一郎「Aは安楽椅子のA」
●麻耶雄嵩   「氷山の一角」

<命の恩人・あらすじ>線路へと転落した娘を助けてくれたサラリーマンは今時珍しい誠実な青年だった。
名前も告げずに去っていった青年にお礼を述べようと久美子は青年の落とした札入れから調べた彼の会社へと向かった。
そこで青年が専務という重責をになっていることにも驚いたが、
何よりも彼の親戚らに久美子が青年の婚約者と間違われて罵られたことだった。
何か恩返しのしたかった久美子に青年が頼んだこととは、一夜限りの婚約者の代役だった・・・・。
こういうアンソロジーものは普段読まない作家さんも入っているからいいですよね。
赤と青、どっちが好みかと言われれば”青”の方ですが、青はホラー色が強くて、
赤は推理色が強いですよね。
両方お勧めですよ。

青に捧げる悪夢

アンソロジー

収録作品 ●恩田陸     「水晶の夜、翡翠の朝」
●若竹七海   「みたびのサマータイム」
●近藤史恵        「水仙の季節」
●小林泰三         「攫われて」
●乙一             「階段」
●篠田真由美       「ふたり遊び」
●新津きよみ     「還ってきた少女」
●岡本賢一         「闇の羽音」
●瀬川ことび   「ラベンダー・サマー」
●はやみねかおる「天狗と宿題、幼なじみ」

<みたびのサマータイム・あらすじ>渚は17歳になった。
仲の良かった兄貴とも離れ、今は母親と二人きり。
祝ってくれる相手もおらず、足が向いたのは兄貴との思い出の場所だった。
高い崖の上に立つ今は廃屋となっている別荘。
兄貴と来たときも既に廃屋寸前だった。
誰もいない、と思っていたのにそこには一人の青年がいて・・・
おぅ、ぞっと、ひやっと、救いがあるものから無いものまで。
様々取り揃えられていますよ。
この夏、是非手にとって見てくださいませ。
短編だから読みやすいし、もちょっと読みたかった(先が知りたい)とも思わせます。

気分は名探偵 犯人当てアンソロジー

著・我孫子武丸・有栖川有栖・霧舎巧
貫井徳郎・法月綸太郎・麻耶雄嵩

<十五分間の出来事・霧舎巧 あらすじ>ミステリ脚本家・大神は新幹線の中で脚本の執筆に追われていた。
10日後に撮影が始まるというのにまだ第一稿すら上げていないのだ。
ビールを零し、向かった洗面所で倒れている男性を見つけてしまう。
そこで次々と現れる容疑者たち、大神は加害者を特定することが出来るのか?

豪華な作家陣に惹かれて買いました。
そして当たりでした!
どれもこれも面白い。
腕に自身のある方、是非チャレンジしてください!!

凶鳥の黒影 中井英夫へ捧げるオマージュ

著・赤江瀑・有栖川有栖・恩田陸・笠井潔・菊地秀行・北村薫・北森鴻
倉阪鬼一郎・竹本健治・嶽本野ばら・津原泰水・鶴見俊輔・長野まゆみ
三浦しをん・皆川博子・森真沙子・山田正紀・・本多正一/監修

<流薔園の手品師/嶽本野ばら・あらすじ>伯父はプロのジャブプレーヤーでした。
しかし、今は酒と薬で演奏すらすることも出来なくなっていました。
私は中学生のころからジャズ喫茶に入り浸るようになる、ついには補導されてしまいました。
母親は悲しい顔をして私と伯父を会わせてくれると言いました。
そこで会った伯父とは・・・

短編10篇(中井英夫氏の黄泉戸喫も入ってます)、エッセイ7篇入ってます。
呪縛と言う名で語られる作家”中井英夫”とはどんな人物だったのか?
もう一度”薔薇への供物”を読み直したい気持ちになりました。
自分はどこまで作者の意図を汲み取れたのか?いや、全然汲み取れなかったのでしょう。
どこに仕舞ったかな?探さなくっちゃ。