0歳教育関係へ

ドッツの教え方 B1
常識を打ち破る画期的な方法


【ドッツの教え方 B 01】 【ドッツの教え方 B 02】
【ドッツの教え方 B 03】 【ドッツの教え方 B 04】

 幼児の頭脳は、ESP(extra sensory perseption=超能力)があるといわれています。それは胎内から始まって6歳あたりが臨界期といわれています。そしてそれは、多くの実証に支えられ、胎児期から始まり幼児期の教育に、様々な形で、いかされています。
 ドッツは、至極簡明なドッツ(点)によって、幼児の視覚認識に訴えた数能力開発の方法であるといえます。大人ではとてもできないことを、幼児はいとも簡単にやってのけるのです。
 幼児期のESPの活用は数能力習得だけではなく、知識習得や技能習得などたくさんあるわけで、これらを含めて幼児期の教育カリキュラムが計画されなければなりません。従って、わたしたちは数能力開発のみではなくて、それぞれの臨界期をわきまえた精密なプログラム作成に、全力をあげなくてはなりません。更に、こうした能力開発を支える健康保持とあわせて、それらを使って生活を展開する人の品性をつちかうという大切な養育を担わなくてはならないのです。
 幼児教育は母親が中心になって行なわれなくてはならないものであります。「母こそは命のいずみ」なのです。親の愛情とは、「わが子の幸福を願って子供に何かをしてあげること」であります。その何かということの一つはこの超能力を活かすことです。それぞれの臨界期までに、金も時間も労力も惜しまず、この超能力に全ての力をかけることが親の責務の一つなのです。

――――――――――――――――――――――――――――

       〔 内容 〕               〔 ドッツの教え方 No 〕

第六章  ドッツ講習会での村松先生、西先生の話          01
     講習会での問答                    01
第七章  速読法を取り入れたドッツのすすめ方
   一 五歳でもできた                    02
   二 速読の練習とは                    02
   三 ドッツをやってみての感想               02
第八章  ドッツで算数がわかる原理
   一 ドッツかうまくいかないのは技術の部分ではない     02
   二 たし算、ひき算、かけ算、わり算、がどうして分かるのか 02
   三 これが真実である、とどうして分かるのか        02
   四 子供は分かり過ぎて退屈している            02
   五 ドッツの見せ方(応用編)               02
   六 ドッツを成功させるには                03
第九章  ドッツ・カードの効果的な見せ方
   一 繰り返しにつして                   03
   二 古いカードについて                  03
   三 ドッツは記憶ではない                 03
   四 出方は子供によって違う                03
   五 楽しく見せる工夫をせよ                03
   六 ドッツは途中いくら抜けてもいい             03
第十章  ドッツ成功者の体験例
   一 ドッツ体験講演                    03
   二 ドッツ体験記                     04
   三 ドッツ体験記                     04

【 第六章 ドッツ講習会での村松先生、西先生の話 】

 始めまして、村松といいます。
 私が教育を一生の仕事にと志したのは、学生時代の終わり頃でありまして、卒業してから少し中学生を教えました。その後、人間の可能性といいますか、一人ひとりの能力が開花して、本当に喜びをもって生きることができるためには、大学生の教育ではどうなんだろうかと考えるようになりました。大学生では殆ど器が決まっているし、可能性も先が見えているということで、だんだんと年齢を下ろしてきたわけです。
 高校生ではどうか、これも大分ひねてきている。じゃあ中学生はどうか、これも器が決まっているんではないか。こうして年齢を下げてきてみると、幼児期、殊に0歳から1歳、或いは7歳位までの白紙の状態のときに、より豊かな環境と刺激を与えてあげたら、人間としては素晴らしいものになるのではないかと思いまして、それから幼児教育を志したわけです。
 それからアメリカヘ留学しました。なぜアメリカかといいますと、バートン・ホワイト博土という方がおりまして、当時 First three years of life「人生最初の三年間」という本で、日本語版ではNHKのディレクターが訳して 「ホワイト博士の育児書」 という題名で出版されていますが、そのホワイト博士を尋ねて、ボストン大学に留学しました。それから、フィラデルフィアにあるグレン・ドーマンの研究所を知り、そこの研究所へ、実際の研究を受けにいきまして、研修を受けてきたわけです。
 ドーマン博士の研究所というのは、脳障害児の研究で、ダウン症児、殊に障害のひどい、言葉も話せない、体も動かせないという障害児の研究をやっている所なんです。そこで障害児の教育をやってみて、普通の子供達にも大きな影響力があるということで、ドッツカード、言葉、音楽、水泳、体育など、いろんなものを取り人れた教育をやっていました。その研究所で、毎月1回1週間位研修がありまして、たいたい120名位ずつ夫婦で研修にこられるわけです。赤ちゃんをみごもり、産んだらどういうふうに育てたらいいかという研修をずっとやっておりました。七田先生がずっとやっておられるようなことを、1週間の集中した研修会でこ両親に伝授しているわけです。
 その研修会の費用が、450ドル〜500ドルかかります。日本円で12〜13万円でしょうか、それでもいとわないで、アメリカの各地から研修を受けに来てやっておられる、そういう姿を見たとき、非常に感銘をうけました。
 私もこのドッツカードをアメリカで知って日本に帰ってきましたが、「幼児は算数を学びたがっている」という本の扉のところに、ドーマンの出張所のような所が書いてありますので、そこで、ドッツカードを売っているのかと思いまして電話をかけましたら、何回かけても出ません。後でわかったんですが、あれは年に2回位来るときの事務所の ようです。結局ドッツカードは、日本で手に入れるのは難しいということで、ドーマン博士の許しを得まして、参考資料として私が200セット作り、私共の保育所関係に50セット位おさめ、1年数ヶ月前から始めてみました。ここにおられる両先生のところのエンゼル保育室では、1年以上やってこられたわけで、やってきましても、始めは誰も信じられないわけです。こんなドッツのぷつぷつの球が・・・、大して深い内容は一つもないわけです。(カードを1枚取り出して見せながら、1人の人に尋ねる)「これ幾つかわかりますか」「わかりません」「31なんです。そしてこれが32」我々大人ですと、この位は (と言いながら8のカードを見せる) 瞬時に見てわかるわけですが、見せる時間が短かければ短かいほど、その瞬間に集中しようとしますね。子供に対しても、長く見せていると、意識が他のほうに動いてしまいます。
 「じゃあ、これは幾つですか」「そうです、4です」これをずっと見せていくわけです。ドッツという丸が1から100までついたカードが100枚あります。それを毎日10枚ずつ。しかし、これは本に書かれている通りにやらなくて結構です。お子さんの興味の度合いとか集中力、その時の気分で1日5枚ずつ進んでも10枚ずつ進んでも、何枚でも結構です。そして、見せるときは始めは「1、2、3、・・・・」というふうに順番に見せていきますが、いつもそうやっていますと、お子さんは慣れてしまって、次はお母さんは7というな、とわかってしまい、集中して見なくなるわけです。
 ドッツカード自体、やる方法というのは、別に複雑な難しい問題は1つもないのです。ただ見せるだけなんです。
 ところがお子さんの気持ちをどれだけ長く続けれるかといいますと、そのときの楽しい雰囲気をどうかもし出していくかということが必要になってまいります。
 ある程度きましたら、「8、2、6、・・・」というように、ばらばらに見せていきます。そうすると、子供はびっくりして、集中するわけです。ところがばらばらにやっても「ちゃんと子供の頭の中では、1からの順番が出来てしまっているので、こんなばらばらにやったら、頭がばらばらになるんじゃないかしら」という心配は、される必要はありません。  ドーマンの本ですと、ドッツを1から30くらい見せたら、たし算をすることになっています。3+7=10、というふうにして10を見せるだけです。そして2+8=10、こういうふうにして答を見せるのです。その答も、いままで見せた1から30までの答になるようにすればいいのです。ただ、本を読むと、複雑で大変だな、と思われるかもしれませんが・・・。
 ドーマンの方法でいきますと、3月なり半年たつと、ドッツに取られる時間が大変長くなります。毎日3回やりなさいと言っています。そしてそれが時を経るに従って、たし算、ひき算、かけ算、わり算を毎日やらなくてはいけないから、始めてから3月或いは半年くらいたつと、1日の内ドッツの占める割り合いがすごく多くなります。しかし、忙しい方には、そんなに長く時間がとれないと思います。脳障害児を持った両親にしてみれば、自分の子供が普通の子供となるかどうかという真剣な気持ちをもっておりますので、そういうふうに長い時間子供と共にすごしますが、普通ですとそんなに長い時間やっておれません。
 ですから、基本的にはこういうふうなやり方もあります。1から100まで全部始めに見せてしまう。これがまた複雑で難しいことなのです。先ずお子さんは興味を失い易いのです。では、その教材を使うのには、どうしたらいいでしょう。子供は何に興味を示すかというと、楽しいこと、嬉しいこと、そしてお母さんが本当に自分を愛してくれている、という確信を持つことが、一番大切なことと思います。
 本にこう書いてあったから、こうしなくてはいけない、先生がこう言ったからこうしなくてはいけない、といった決まったノウハウはありません。基本的には、決まったノウハウはないのです。
 数字というのは、全く意味がありません。大人が数字に意味を与えているから、意味がわかるわけです。子供に数字を見せて、5、6と言っても、何が何だかさっばりわかりません。ですから、数字の意味を教える前に、事実を教えることが重要なのです。数の事実を抽象化して表したものが数字というわけです。
 幼児教育の重要なことは、幼児に抽象的なことを教えないということです。幼児には抽象的なことは、わからないのです。もし皆さんが、言葉のわからない国へ行ったときには、どのようにして言葉を学んでいくのでしょうか。まず、見近なものから始めるでしょう。始めは抽象的なことからではなく、やはり具体的なことから始めるでしょう。  算数にしても同じです。数字を学ぶより、先ず事実から始めます。ドッツの3という事実、5という事実です。事実をもって、数量の意味を感ずるようにします。勉強するのではなく、感ずるのです。子供は考えて学ぶのではなく、感覚で数量を感じるのです。

【 講習会での問答 】

  問 1年間保育園で実際にやってみて、どんな結果でしたか。何歳位のお子さんですか。
答 保育室で、私が個人的に始めたのが2年ほどです。3歳児を主にやってきたんです
  が、3歳児でもこの本の通りの結果が出ます。保育室では1日1回ですから、本に
  書いてある期間の3倍かかります。日曜日はあるし、夏休みは出来ないなど、ほぼ
  1年では終わらないわけです。ですから完全に結論が出ていません。大体スケジュ
  ール通りの結果が出てきています。こんなまずいやり方でも、と思うんです。
問 カードはどういう要領で見せていくのか、実際にやって見せてください。
答 私のやり方は、カードを少しずつ、ずらして伏せておいて、上から見せていきます。
  時々いじわるして、パッパッバッと早く見せるのですが、それでもちゃんと見てい
  ますね。その方が、返って集中しているような時もあります。
問 1回にやる時間はどれくらいですか。
答 そんなに長くはかかりません。10枚の時は20秒位ですね。(10秒以内がよい)
問 他にこれにくっつけて、漢字を教えるなどのことはなさっていますか。
答 同じ時間にはやっていません。ドッツの時間はドッツだけです。
問 たし算、ひき算、かけ算、わり算を、先生がなさっている要領でやって頂けますか。
答 同じようにカードを持ちまして、2+8=10、2+7=9、4+4=8、ひき算
  も同じように、10−3=7、10−4=6、というふうにします。
問 たし算、ひき算に入る前に予告しますか。
答 はい。今からたし算をします、それだけです。そしたら、たし算というのは何だろ
  うと、目を輝かせて寄ってきますから。
問 3歳台という子供さんは、どういう子供さんですか。
答 いわゆる3歳児ですから、4月に3歳になっていて、入園してくる子供さんです。
  いろいろいますね、保育所ですから。今、園では、0歳から3歳まで、全部ドッツ
  をしています。
問 0歳の子供にもしているんですか。
答 そうです。8ヶ月か10ケ月から始めます。
問 たし算やひき算に入った場合、毎日言う計算式は同じにしていますか。
答 違っています。違った方がいいと思います。
問 ドッツカードの貼り方なんですが、例えば6とか7とか形がなんとなくありますね。
  それを子供が覚えてしまって、その形で言うことはありませんか。変える必要はな
  いでしょうか。
答 なるべく覚えないようにした方がよいと思います。形を覚えないようにクルクル換
  えていきます。同じパターンにならない方がいいと思います。
問 下の子にドッツをしていると、上の幼稚園へいっている5歳2ケ月のお姉ちゃんが、
  私もやりたいと言うのですが、上の子にもやっていいでしょうか。
答 どうでしょうかね。やりたければやってもいいんじゃないですか。ただ大きくなる
  と、やりにくいんですね、点を数えてしまうから。カードを見せている時に、1、
  2、3・・・と数えるんですよね。
問 駄目でもともとと思って、お姉ちゃんも一緒にやっているんですけれど。
答 それはそれでいいと思います。
問 うちの子は今2歳なんですけど、ドッツカードを見せていると、寄ってきてバラバ
  ラにしたりして困るんですが。
答 保育室の場合は、椅子に坐ってテープルを置いた状態でしていますけれど、触りに
  は来ますが、短時間ですから坐っています。
問 うちの子は2歳前から始めたんですけど、2ケ月位やって、聞いてみても、全然わ
  かっていなくて、今やろうと思ってみても、拒否反応を起こしているんです。そう
  いう時はやらないほうかいいんでしょうか。
答 うちの園ではしょっちゅうありますね。新しい子が入って来てやりなおしたりとか、
  長い休みがあってブランクがてきて、また始めからということもありますね。
  でもいやがる時は、禁物だと思います。いやがる時にやるというのは絶対だめです
  ね。うちの園ではいやがったことがないので、いやがるというのがちょっとわから
  ないのですけれどね。
問 先生の園では、長い期間かかってされたということですが、本の通りにすれば、1
  日3回で3ヶ月ということですが、その3倍かかったということなんですか。
答 そうなんです。1日3回するのを3日かけてするのですね。1日1回ですから。
問 たし算ひき算いろいろ出てきますと、問題を作らなくてはいけませんよね。その時
  にどういうようになさいますか。
答 それが大変なんですけどね、私は1から100までの表を作りまして、全部のパタ
  ーンで答が全部出るようにして拾っていきます。
問 今日はこれだけの問題をするというのを用意しますけど、その順番などは、とうい
  うふうにしますか。
答 順番は適当です。自分の好きなように選んで、もっと上手なやり方があるんじゃな
  いかと思いますけど、私の場合は、今日はこの分をしようと決めますと、それをノ
  ー卜に書きまして、それをカードに合わせて言います。
問 うちの子は10十ケ月なんですけど、最年少の場合はどの位から始められますか。
答 8ケ月になれば始められると思うんですけど、お母さんの顔がわかるようになって
  からですね。8ケ月でしたら、テストするのがずっと先になりますね。
問 言葉はしゃべれないですから、ただ親は黙々とやっていていいわけですか。
答 そうですね。子供が注意して見ていてくれればいいわけです。
問 では6ケ月では如何がでしょう。絵本なんか見せるとジーッと見ていますけど。
答 村松「基本的に8ケ月というふうに書かれていますが、8ケ月というのは成長の早
  いお子さんが8ケ月からです。ですから1歳前後が一番いいかと思います。歩き始
  めるときですね。お子さんの成長の度合いは、個人個人で違いますので、早いお子
  さんで8ケ月で始めていいということです。ですから、のんびり育ってきたお子さ
  ん、普通歩き始めるのは1歳前後ですけど、1歳過ぎても歩かない子もいますね。
  子供の成長は、いわゆる脊髄から始まりまして、延髄、脳橋と中脳と大脳皮質とい
  うような発達が、ハイハイをしたり歩いたりという外的な刺激によって、その機能
  が目醒めてくるわけです。ドッツを見てわかる、認識できるようになるまでは待た
  なくてはなりません。ドッツは赤い丸ですが、何故赤かと言いますと、非常に目に
  入りやすい色だからなんですね。何故あれくらいの大きさなのかと言うと、大きけ
  ればよく目にはいるという一番いい大きさを考慮されて、あの赤い丸であるわけで
  す。脳などの機能が大体8ケ月、ハイハイをこえて、つかまり立ちしていられると
  いう時期が、集中できるようになる時期だということですから、普通の方ですと、
  1歳前後がいいと思います。
  言葉などは全くしゃべれなくてもいいわけです、ただ見せているだけで。本当にわ
  かっているのだろうか、私、何やっているのだろうかと、お母さん方が疑問を持つ
  必要はないと思います。子供は頭で思考して、物事を取り入れているわけではない
  わけです。ここの所を感違いしないで頂きたいのですが、勉強しているわけではな
  いのです。感じているわけです。ハートで感じるというか、感覚で数量というもの
  を感じているわけです。ですから1歳でも早過ぎるということはないわけです。」
問 ドッツカードを1回サッと見せて方付けますと、もっとしたいといって泣くんです。
  そんな時はもう一度繰り返してやってもいいんでしょうか。
答 やらないほうがいいと思います。これから毎日毎日続けることを思うと、あまり欲
  しがる時に与えてしまいますと、飽きてしまうんですね。
問 先生の園ではみんなおとなしく聞いていますか。うちの子は、カードを見せている
  時に、いろいろ言うんですけど無視して続けていいですか。
答 うちの園でもおとなしく聞いてないですよ、1対6ですから。でも瞬間的に言うか
  ら、あまり何かを言う暇はないんじゃないですか。言っても無視して続けます。
問 ドッツを見せるのと、たし算を一緒にする時がありますが、その時は見せた後に、
  直ぐたし算をしますか。
答 はい、続けてします。見せた後で「はい、今度はたし算よ」と言ってたし算をしま
  す。
問 一緒にすると時間が長くなるので、私はドッツを見せて、一時間位してからたし算
  をしているのですが。
答 うちの園では一緒にしています。とても楽しみにしてくれまして、今日は時間がな
  いからと言っても、やりたがります。
問 数字が読めたり書けたり出来ない子のほうがいい、と本には書いてありますが、数
  を数えたり、数字が読めたり書けたりする子の場合はどうでしょうか。
答 実際現場でやってみた場合、読めない書けない子の方がやりやすいんです。と言う
  のは、私はカードを伏せておきますが、数字が読めると、次は何が出てくるかわか
  るわけなんです。それで、見せた時に1、2、3、4と数えるんですね。
問 数えれるお子さんの場合は、やりにくいのでやらない方がいいと考えられますか。
答 そんなことはないです。私は無視してやっていきました。数を知っている子は、や
  りにくいけれども、関係ないということです。
問 ドッツをする時間は何時と何時というふうに決めておいたほうがいいでしょうか。
答 多分いいんじゃないかと思います。保育園の場合はカリキュラムの関係で、何時と
  決まった時間にしていますが、この時間がくればドッツの時間だ、というのがわか
  ったほうがいいようです。
問 毎日同じ時間がとれない場合はどうでしょうか。
答 それは何時でもいいんじゃないでしょうか。お子さんがとても機嫌がいい時で、お
  となの方も忙しくなくて、いい時間を選んですればいいと思います。じっくりと対
  応してあげて、一通り終わりましたら、「やった!」とか、「いいこだった!」と
  か賞めるんです。そうすると、ドッツをしていくことが、子供たちの中でも喜びに
  変わっていきますから。
問 何歳位までだったらこなせますか。
答 先程も西先生が言われましたように、年をとるほどやりにくいわけです。しかしお
  子さんは、例えばお風呂の中で、1、2、3、4、・・・20、と数えていえるよ
  うになっていたとしても、その意味はわかっていない訳です。
  ドッツでなくて、数字を教えてこれが例え読めたとしても、そのお子さんが4の意
  味をわかっているかというと、わかっていない訳です。ですから幼児の場合ですと
  2歳で2という概念がわかればいい、3歳で3という概念がわかればい、といって
  いる人もあります。幼児で例え20まで、あるいは50まで数えられたとしても、
  数量の意味を感覚でとらえてはいません。ですから5歳でも6歳でも構わないと思
  いますが、ただ5歳6歳では非常に難しいので、あまり年長の方にはお薦めしてい
  ません。それはお母さんが大変ということです。むしろ1歳のお子さんのほうが、
  お母さんとしては楽なわけです。4、5歳ですと、関心があっちへ行ったり、こっ
  ちへ行ったりて、それを留めておくのが大変で、そのままでは育児ノイローゼにな
  るんじゃないかと思いますので・・・・。
  ちなみに小学校へ入って、先生が1年生に算数を教える時、1+1、を教えるのが
  一番難しいというのです。1と1をたすと2になるという意味を教えるのが一番難
  しいというのです。ですから幼児期にこういうふうに感覚的に数量をとらえて、た
  し算なりひき算なりを体で覚えているものには、小学校に入った時に、計算器のよ
  うに「118500÷38はいくつ?」 と聞いてパッと答がでなくても、例えそのような結
  果が出なくても、幼児の時にドッツをやっていれば、やらなかったお子さんよりは
  遥かに有利な条件に立って、小学校の算数が出発出来るのではないかと思います。
問 保育園で実際に先生が教えられたお子さんで、優秀児と言いますか、一番出来のい
  いお子さんで、どの位の計算が出来るのですか。
答 先程も申しましたように、最後までいったお子さんは一人もいないんです。という
  のは、保育室の関係で、お父さんが転勤になったりなど、出入りが激しいものです
  から、最後まではいけなかったんですけど、一番いけたところでわり算です。
問 わり算などの問題を出しますと、子供が直ぐに答を言うわけですか。
答 いいえ、そうじゃないんです。2枚のカードを見せまして、正解と正解でないのを
  見せまして、問題を言って、「どっち]と聞きます。そうすると殆ど100バーセ
  ント正解のカードを指すんです。自分ではまだ答を言えなかったですね。そこまで
  いってなかったです。
問 それでは、直感で見てわかるけど、数字で言うことは出来ないわけですね。
答 七田「それは最初の段階なんです。ところが4歳位になると、今度は式のカードを
  見せて、36÷3、はという教え方に進むわけです。するとこの段階の子供が答を
  言います。そこまでいきますが、最初の段階では無理ですね。
  私の手許にビデオがあるのてすが、4歳の子供がちゃんと言えるようになっていま
  す。赤ちゃんの段階では口がきけないから、正しいカードを指さします。進んだ段
  階では、小学校のように式を見ただけで答を言えるよになります。」
問 たし算など教える場合、例えば50の場合、25+25、とか、10+40などの
  ように、親が式を作って、教えるわけですか。
答 はい、私の場合そういうふうにしています。そこが一番大変なところなんです。私
  も実際やってみまして、問題を作ってたし算ひき算かけ算とやっていくのは大変だ
  ったんですが、カードの裏に全部書き込みまして、どれをやったかチエックしてい
  きました。
問 それは繰り返す必要はないわけですね。例えば、今日は、25+25=50、明日
  は、4+46=50、次は、32+18=50、というふうにしていくのですか。
答 ええ、様々なパターンを見せるほうがいいと思いましたので、そうしました。カー
  ドの裏に鉛筆で式を一杯書いておきます。
問 この教材はお母さんが、子供を対象にして行なうことが望ましいわけですか。集団
  を相手に、幼稚園のように30人位いるとどうでしょうか。
答 そうですねぇ。できれば1対1の方がいいんじゃないでしょうか。保育室で私が教
  えました中で、一番多かったのは、7〜8人ですが、7〜8人が一つ所に集中する
  というのは大変難しいんですね。5人までは見てくれても、後の2人が見てくれな
  い場合、その子たちのために、カードを見せる時間を長くしなくてはいけないわけ
  ですね。そうなると、1つのカードを見せる時間が長くなりますので、だんだん飽
  きてくるんです。ですから、1対1ですと完全に集中させることができますので、
  その方が理想的だと思います。
  村松「先程、25+25、も50だし、10+40、も50だということですが、
  われわれはたし算とかひき算という数式を見ますと、必ず、20+30=50、と
  いうように、問題があって答が出るというようになっていますね。これだと非常に
  人間の器が決まってくるというわけです。ルドルフ・シュタイナーというドイツの
  数学者がそう言っています。
  ですから50をパッと見せて、「これは10+40」「これは50、25+25」
  というように逆にすることもできます。答を先に言って、組み合わせを後で言うや
  りかたですね。要するに世の中の答はたった1つではないんだということです。1
  つのものでも非常に多くの観点があるんだということで、逆にするやり方もできる
  わけです。
  ですからいろいろ工夫して、あっちからやったり、こっちからやったりしてみても
  いいと思います。基本的には、10+40=50、というような方法でいけばいい
  と思うのですが、全く逆から、答を言ってから後で、問題をパッパッと言うような
  やり方も可能だということです。」
問 村松先生にお尋ねします。先生ご自身で保育園や幼稚園で実践なさっているわけで
  すか。先生のご意見ですと、自分で本を読んで、後は自分で工夫してご自由にとい
  うふうな感じですが、実際私も、本を読んでたし算ひき算に入ってやってみますと、
  大変なんですね。先生ご自身は実際にやってみられたことはおありでしょうか。
答 実際に自分でやってみたという経験はないわけです。ですからこちらの西先生と一
  緒に来たわけでして・・・。
  実際に保育室の方にやって頂いて、そのお話とかいろいろ聞いたりした結論として
  は、実際にはそういった特別なカリキュラムというのは、必要ないということです。
  それよりもその場の雰囲気ですね。お母さんと子供さんが楽しくできればいい、こ
  ういうことです。
  言ってみれば無責任な、突き放したような言い方かもしれませんが、それで充分だ
  と、私は考えています。それでもある程度の効果は、見られると思っています。
問 それでは今の所では、ドッツ方式というのがありますよ、ということを紹介なさっ
  て、やり方はお任せします、というふうにされているわけですか。
答 何故かと言いますと、これがカリキュラムですよと言いますと、お母さん方はそれ
  に合わせなくてはいけない、という気持ちが先に出てくるわけです。先程も言いま
  したが、お子さんというのは、敏感に感じとるわけです。お母さんが、今日もやら
  なくっちゃいけないという、気持ちを持って子供に接していますと、子供はその気
  持ちを、快不快という不快感を直ぐに感じとってしまうわけです。
  ですから、カリキュラムをつくって、カリキュラム通りにやろうというような姿勢
  で望むよりも、基本的な、ドッツを見せて答を言うという、基本線を把握していた
  ら、お母さん方がご自由に、お子さんの関心の度合いとか持続期間の度合いに応じ
  て、臨機応変にやられたらいいと思います。その方が結果的にみて、長続きするの
  ではないかと思います。
  それはやはり各人各人で、或る程度のカリキュラムを作ってやられたらいいと思い
  ますが、カリキュラムを決めたからそれに合わせよう、という気持ちを持って望ま
  ないほうがいいと思います。
  (七田注)村松先生は、都内や大阪の保育園の幾つかをご指導しておられまして、
  西先生が成功しておられますように、他の園でも100パーセント成功するという
  ふうに、実績を上げておられる園が幾つもあるわけです。
  私も先生にお話をお伺いしましたときに、成功しないほうが不思議だと首をかしげ
  られましたので、今日のようなお話を企画したわけです。
問 上の子は2歳なんですけど、上の子にドッツをしていると、下の6ケ月の子も興味
  をもって見ているようです。6ケ月の子にもドッツをしてもいいでしょうか。
答 混合でやっておられるわけですね。6ケ月では少し早過ぎるんではないかと思いま
  すが、そういうふうに誰か他のお子さんがやっていて、それをとなりで見ていると
  いう場合はいいと思いますが、6ケ月のお子さんに対して、それでは今日からやり
  ましょうといってやっても、効果というものは8ケ月や1歳以降のお子さんのよう
  には、見られないんじゃないかと思います。
  ドッツを見せるということは、そんな長い期間やる必要はないわけです。例えば、
  3ケ月位ですよね。その後はちゃんと数字を教えますから、そんなに早くからやる、
  必要はないと思います。
  ですからやはり、10ケ月或いは1歳前後の方がいいんじゃないかと思います。他
  のお子さんがやっているの隣で見ているというのは、内発的動機づけといいますか、
  今後のやりたいという気持ちを育てるのにいいと思います。鈴木先生の所のバイオ
  リン教室と同じですね。あそこのバイオリン教室へ行きますと、始めからバイオリ
  ンを持たせたり弾かせたりしませんね。お兄ちゃん、お姉ちゃん達がやるのを後ろ
  で見ていて、やりたいという気持ちが内から沸き起こってくるのを待つような、そ
  ういう期間がありまして、それからバイオリンを持たせると盛んにやるわけです。
  ですから内発的動機づけといいますか、他の大人やお母さんから、やりなさいと言
  われるのではなくて、自分の内から沸きあがってくるような動機づけをもって、ド
  ッツに向かうという限りにおいては、隣で見ているというのはいいですが、6ケ月
  のお子さんに対して、1対1でやるというのは、早過ぎるのではないかと思います。
問 私は今まで七田式で、数のカード遊びを使って、1+1=2、1+2=3、という
  ふうに、+10、までやり、その後で5の合成や10の合成をやってきたわけなん
  ですけれど、それは暗記する方法ですね。ドッツの場合は数の集合という概念を頭
  に植えつけるというか、それは記憶ではなくて、倒えば、1+1、が2になるとい
  うのは、1という数の概念と1という数の概念が合成されて、2になる、というこ
  とですね。四則の計算ということになると、記憶では出来ないわけですが、ドッツ
  だと答が出るというのは、頭の中でドッツの集合概念が整理されて、パッと答が出
  るというように考えるといいのでしょうか。
答 「幼児は算数を学びたがっている」という本を書く時、副題として「大人には理解
  できない」という題をつけているんですけれど、ドーマン博士自身も、なんとかこ
  れを理解しようと一生懸命努めたんですが、何故かということはわからなかったん
  です。ところがそれを無理やり理解しようとするならば、ソロバンをやった方は或
  程度理解できるのではないでしょうか。ソロバンというのは、珠が形をえがいてい
  るわけですが、珠算の三段四段という達人になりますと、一万とか十万のかけ算や
  わり算を全部暗算でするわけです。
  それが何故出来るか、数字の操作だけではまず出来ませんね。
  189871+318391、と言いますと、ソロバンの二段とか三段という人は、大体直ぐに
  それを言った後に答を言いますでしょう。それは計算というよりも、映像が頭の中
  で動いていて、そしてその映像が数字となって現れてくるわけです。ところが数字
  の操作だけやると、12+28=、という問題でも2と8をたして0となって、1
  繰り上がって4になるな、だから40だ、というように、数字の操作で計算すると、
  この程度のスピードでしかできないわけです。
  ところがソロバンをされた方は、かけ算やわり算でも十万単位や百万単位のもので
  も、瞬時に出来ますね。大人の方でも、ソロバンをやられた方はソロバンを通して、
  ドッツというものがどんなものか推測することは出来るかと思います。
  ところがドッツは、あの丸でもって何故かと私に問われても、恐らくグレン・ドー
  マンに問うても、適切な答は出てこないと思います。
問 ドッツを教える時に、子供がほんとにわかっているかどうか知りたいんですけど。
  例えば、1から10まで見せたときに、テストをしてわかっているかどうか確認し
  たいんですけど。
答 ドーマン博士の「幼児は算数を学びたがっている」の本に、40何日まではテスト
  をするなと書いてあります。テストできないことが、本当に一番つらいところです。
  本当にわかっているのかどうか、こちらもわからないのです。そこをずーッと耐え
  まして、忍耐しまして、やっとテストしてもいいという段階までいくわけです。そ
  こまでは一切わからなくてつらい時期なんです。
問 月齢の違う子供を一緒にしたりとか、今まである程度していた子と、全く始めての
  子を一緒にするという場合は如何でしょうか。家の場合上の子はずっとやってきた
  んですが、今度下の子も一緒にしようかと思うのですが。
答 園の場合では、全部最初に戻ってしまう場合もありますし、進んだ子供はそのまま
  続けて、新しい子供にだけ1から始める場合もあります。途中から最初に戻しても、
  あまり抵抗はないようですね。
問 今2歳なんですけど、今から大急ぎでして、半年位で終わるとしますと、その後は
  しなくていいわけでしょうか。
答 何が終わるかと言いますと、ドッツの丸を見せるのが終わるということでありまし
  て、ドッツが終わったら数字を教えるわけです。そのために数字カードがあるわけ
  です。ドッツを見せて数量の意味がわかっているわけですから、数字を「これが1
  だったのよ」「これが3だったのよ」と教えるのです。そうするとこの意味がずっ
  と入ってくるわけです。ですから、数字を教える時には、そんなに長時間はかかり
  ません。
  数字を教えたら、数字を使ってたし算、ひき算、かけ算、わり算の複雑な問題をど
  んどんやっていけるようになるわけです。ですからこれをずっと続けていきますと、
  微分積分の計算までも続いていくわけです。基本的には、ドッツは数字の意味を教
  えるわけですから、それは3ケ月か半年か、それ位で終わるわけです。ドッツの丸
  でずっと教えるわけでなく、ドッツがわかるようになったら数字を教えます。何故
  始めから数字を教えないかと言いますと、始めから数字を教えますと器が決まって
  しまうからです。抽象的だから。
  何故数字を教える前にドッツを見せているかと言いますと、意味を感ずるために見
  せて、その後に数字を教えることになります。数字を教えましたら、数字を使って
  算数数学を教えていくことになります。ですから終わるということはないのです。
問 ダウン症や自閉症などの脳障害児も、ドーマン博士は扱っていらっしゃるようです
  が、そのような障害児に対しても、ドッツ方式は成り立つでしょうか。
答 ドーマンの研究所は、基本的には脳障害児を扱っている所です。それが主な仕事で
  す。ところが脳障害児に教えていたら非常に効果があり、脳が半分でも天才的にな
  ってしまったというわけです。
  じゃあ、それを普遍の子供にやったらどうかということで、普通の子供にやったら、
  それも益々素晴らしい成果を挙げたということなんです。「幼児は算数を学びたが
  っている」というこの本は、基本的には脳障害児のために書かれているわけです。
  ですから、これほどまでに時間をきっちり取ってやらなくても、普通の子供はもっ
  と短時間で吸収していくのではないかということです。

戻る