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Magical Child 3
誰も知らなかった大脳発達のプログラム
<8 分娩室にて>

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 〔 1 序文                〕
 〔 2 用語解説              〕
 〔 3 約束された未来:すばらしき遺    〕
 〔 4 マトリックテ変換:既知から未知へ  〕
 〔 5 相互作用としての知能        〕
 [ 6 ストレスと学習           ]
 [ 7 自然を悪魔払いする医術       ]
 [ 8 分娩室にて             ]
 [ 9 終わりははじまり、はじまりは終わり@]
 〔 9 終わりははじまり、はじまりは終わりA]

【 8 分娩室にて 】

●分娩室の悪夢
現代人の不安の元凶は病院出産にある、と思われる。災厄は時限爆弾のような発生のため大半は気づかないままである。何時その欠陥が爆発するか分からない。
現代の、非行・機能障害・知恵遅れ・根性欠落は、何時爆発するか分からない。
<ラフ・イン>と<フィル・イン> = roughin & fill in

●大脳と環境との相互作用は何時・どのように活動を始めるのか。
第一に、生の素材の<ラフ・イン>が行なわれる。つまり、活用しうるに足る臨界量に達するまで素材を蓄積する。
第二に、細部の<フィル・イン>がなされ、蓄積された生の素材の秩序づけと構造化が行なわれる。
最後に、結果として生じた可能性の実践的訓練と、そこに見込まれる適用範囲の探索が行なわれる。

●胎児の発育の第8週から第12週(5ヵ月目)の間のどこかで、脳の成長が急激に活発となり、身体の成長をはるかにしのぐ。
この初期の段階では、脳細胞の成長は一種のごった煮状態である。ここではあらゆる種類の脳細胞が粗っぽいゆり方で大盤ぶるまいされている。大脳皮質の細胞、脳幹神経細胞、視覚・聴覚のための細胞、小脳の細胞など、増殖としかいいようのない形で渾然一体となっている。これが<ラフ・イン>の時期である。
どんな細胞であれ常に言えることだが、同種の細胞が二つ接近すると、それらは一単位として機能する傾向をもっている。二つの生きた心臓の細胞を顕微鏡のスライドの上に距離をおいておき、観察すると、二つの細胞は、おのおの独自の速さで勝手に脈をうつが、少しずつ近づけてみると、ある臨界点に達すると、それらは溝を跳び越えて互いに伝達し合っているかのように一体となって脈打ち、一個の心臓として機能しはじめる。したがって、二つの脳細胞が近接する場合にも、ほぼ同じ相互作用を始めることは確実のようである。
胎児期五ヶ月目あたりで、生の素材の<ラフ・イン>が臨界量に達し、細部の<フィル・イン>に移行する。つまり、一挙に細胞は分化し、おのおのの生来の機能にしたがって自らを組織しはじめる。
視覚の神経細胞は、目からのメッセージを伝える視神経として並びはじめる。聴覚細胞は、耳からのメッセージを伝える神経として並び、小脳の細胞は、古い脳に隣接するまとまった器官となるために集結する。
胎児期五ヶ月目あたりから、脳は一個の脳として機能することになる。その機能とは、学習することである。

●言語習得の秘密   (極めて重要)
言語は<心・脳>が獲得する知識のうちで、最も難しいものと考えられてきたが、これは正しくない。

新生児の動き
バーナードとソンタク
1940年代に、胎児は、母親のたてる音や母親をとりまく環境の音に、さまざまな身体の動きをもって反応することを発見した。
プロディとアクセルロッド
1970年に、新生児や胎児の動きには、無意味なものはないと断言している。(新生児は出生後数分以内に、目覚めた状態で、四肢や胴体や頭をほとんどたえまなく動かしはじめる)
コンドン博士とサンダー博士(ボストン大学のウィリアム・F・コンドン、同大学のルイス・サンダー)
1974年に、新生児にみられるいわゆる無意味な動きについて研究成果を発表した。
数千人の新生児を撮った音声入りの高速度撮影を入念に分析した末、これらのいわゆる無意味な動きが新生児の周囲で喋られた言葉に協応していることを発見した。コンピューターを使ってさらに研究を続けていくと、どの赤ん坊にも言葉と同調した完璧で更に固有のレパートリーがあることが判明した。つまり、どの赤ん坊もその子の属する文化の言語パターンならどんなものであれ、必ずそれに対して独特な筋肉反応を示したのである。たとえば、ある赤ん坊は、kの音が聞こえると(cough「せき」とかcat「ネコ」など)必ず左ひじを少し動かし、ahの音(father「お父さん」)の時は、右足か足の親指を動かしたりする。そして、これらの動きには一貫性が認められた。同じ音や配列に対して、赤ん坊は同じ動きを示したのである。

胎児が受ける音声とそれに対応した動きの研究によれば、音声を受けた胎児の高速度写真撮影(5000〜6000人)の結果、しゃべられる言語によって、特定の動きをすることがわかってきた。それによれば、
  ・[k]音 → 左肘を動かす
  ・[ah]音 → 右足か足親指を動かす
二人は、赤ん坊のこの連動した動きのリストが分類可能であり、また、コンピューターで分析できることに気づいた。そこで無作為に言葉を並べた録音テープを作り、コンピューターに覚え込ませた。二人は、テープを赤ん坊に聞かせ、同時に高速度撮影を行なった。そして、その結果を1コマ1コマ調べたところ、コンピューターの分析・分類通りの身体の動きが個々の音に対応して見られたのである。
二人は、年長の子どもや大人も調べ、この同調性のパターンが普遍的かつ恒常的なものだということを発見した。(唯一の例外は、自閉症の子どもたちであった。彼等は同調パターン活動は一切示さなかった)
新生児の同調パターンは、出生後およそ12分以内で見られる以上、胎児は音声同調パターンを<ラフ・イン>し、体系化していた事実を認めなければならない。生物の生命エネルギーから発する原衝動能力と考えざるを得ない。
この事実は、ジツコ・スセディックが実証している。

●胎児の学習事実
胎児のうちから学習がはじまっているという前項の事実から、胎児・新生児の扱い方を、あらためて打ち立てなければならない。
コンドンとサンダーの研究は、自然の生物プランがいかに完璧に行き届いているかを証明している。

[胎児は子宮の中で、最初のマトリックス世界の知識を構築する]

という、ピアスの学説が成立することとなる。

●極めて大切な出生の相互作用
子宮マトリックスの知識が完成すると、次の幼児マトリックスへ移行する。 これが出生である。
出産は胎児からの要請による相互作用である。

★子の臍帯と母親の胎盤の相互作用は、次のように行われる。

@ 出生の通告ホルモン 胎児からプロラクチン(ホルモン)を大量に
            分泌する。
             DHASホルモンの分泌
A 準備OKのホルモン  プロラクチンの通告を受けて、卵巣や胎盤の
            プロジェステロン・ホルモンの分泌を中止す
            る。(プロジェステロンは オキシトシン抑制
            の働きをもっている)
             オキシトシンガ分泌され、子宮収縮がはじまる。
            DHASホルモンの通告を受けて、子宮頸部
            を広げる。
B ACTHホルモンの分泌 ACTHホルモンは肝臓の蛋白質や、新しい
            学習に対応する脳細胞に不可欠な蛋白質
            を増大させる物質
  副腎ステロイド分泌 このホルモンは、恐怖や驚愕に襲われたと
            きに放出される<逃避/闘争>反応を喚
            起する刺激ホルモンである(ストレス対応ホ
            ルモンと言ってもよさそう)。
             この副腎反応は、生きるために窮余の策とし
            て子どもが全身を組織する方法である。
例 身体は産道を通るため、流線型の典型的な<逃避/闘争>姿勢
            をとる。つま先を内側に曲げ、こぶしを握り、
            背を丸めるのである。
            (自閉症の子どもがずっととり続ける姿勢で
            ある)。
Cオキシトシン分泌   子宮収縮と共に、赤ちゃんが乳首を吸うとそ
            の刺激で、オキシトシンの分泌が盛んになり、
            お乳がでます。子宮はさらに収縮し、胎盤を
            押し出し産後の回復を早めます。

要するに胎児は、充分に成長するとホルモンという信号を使って、「もう外へ出てもいいですよ。そろそろ出ますからよろしく」とメッセージを伝えるのです。お母さんもそれに応えて、母と子のたくみな連携プレーで「出産」という劇的なドラマが成し遂げられるのです。

母親の本能的身体反応はきわめて大切
赤ん坊が外部の世界にでれば、感覚機関は子宮内とはまったく異なった機能を演じることを要求される。この機能を呼び起こし活動を開始させるためには、母親の特定の身体的応答が必要である。この身体的応答は、子宮内から外の生活への移行を成し遂げさせるのみならず、その後の発達をすべて決定づける母と子のきずなを作り上げる上でも重要な役割を果たします。

●文化によって異なる出産の仕方

オーストラリア原住民
出産間際になると部族から離れて一人になる。
砂に穴を掘って、その上にしゃがみこみ、子を産む。
胎盤が自然に排出されるまで待ち、それをとって食べる(胎盤は肝臓よりもずっと栄養価が高く、この時点での母親には理想的な食物である。これは、エスキモーのような、節約を旨とする多くの文化圏で行なわれる風習)。
出産後、子どもを胸に抱いて部族の集落へ走って帰る。以上大体20分。

●ウガンダ
出産5分ほど前まで日常の仕事をしている。
一人になれる場所にいき、しゃがみこみ、子を産む。(産婆の手を借りることもあれば、一人のこともある)

●アメリカ
ほとんど病院出産で、多額な経済的負担がかかる。
乳児の死亡率は驚くほど高い。(3年間で死亡率16位から13位となる)
母親の死亡率も高い。

●オランダ
ほとんど自宅出産で、助産婦が一人付き添うだけである。
乳児死亡率は、最近スエーデンに代わるまで、世界で最も低かった。
(昔の日本も同じだった)

今や産婦人科病院は、利益追及の企業体になりさがっている。

●自然に反するテクノロジー分娩
  医療関係者は自然分娩に反対する。
自然分娩では金を払ってくれないし、自分たちの収入が激減するからである。
本来母親自身の、この世で最も素敵な価値をもっている「わが子の出産」を、勉強した専門家が理屈をつけて脅し、金とともに奪ってしまった。そのため、原因不明と思われるような、とんでもないシッペガエシがどんどんと増えてきている。命にとって最も大事なドラマ「親子協同出生」が奪われたからである。


●病院出産は脳を傷つける  (酸素欠乏が脳損傷をおこす)
陣痛前の投薬と麻酔、臍帯早期切除は、赤ちゃんを酸素欠乏にし、大脳損傷をひきおこす。

★投薬と麻酔、臍帯早期切除 (ウイリアム・F・ウィンドルの実験)
  [猿への麻酔と臍帯早期切除]        [自然のままの猿]
 ・陣痛がはじまってから、人間と同様に体・なにもしない。
  重比に合わせて麻酔をし、出産後病院の
  平均的時間で臍帯を切除した。
 ・猿はいずれも呼吸困難に陥り、蘇生術 ・頭を出した瞬間から呼吸が
  をしなければならなかった。      できる。
 ・母猿にしがみつくことができず、手足で・しがみつき(数時間のみ)、足
  立つこともできず、機敏さも能力もなく で立ち、とびはね、母親から離
  完全に無力だった。          れたり戻ったりする。
 ・母猿は薬と長びかされた陣痛でぼうっ ・母猿はすぐ日常生活に戻り、
  となっていて、子猿を助けるどころで  子猿を連れ歩き、最初の数時
  はない。               間だけは子猿をたすける。
 ・自然猿のようになるまで、約2〜3週間
  かかった。
[同上子猿の解剖]
どの子猿も、酸素欠乏によって生ずるひどい大脳損傷を被っていた。
正常性を得るまで飼育し、解剖してみると、出生時とまったく同じ損傷がついていた。はじめについた傷は、修復不可能だったのである。
[臍帯早期切除猿の解剖]
解剖の結果、これらの赤ん坊の猿の脳にも、酸素欠乏の子猿たちとまったく同じ傷があることがわかった。
同じような出生歴をもち、3〜4歳で死んだ子猿たちを解剖してみても、脳にはやはり同じ損傷がられた。

       ☆          ☆          ☆

[ウィンドルの指摘]
赤ん坊の身体に必要なすべての酸素を供給する役割が肺に移行する、その生まれたばかりの重大な瞬間には、胎盤に貯えられた予備の酸素が必要とされているのである。さらに、麻酔をかけられた母親とは、すなわち麻酔を掛けられた赤ん坊であり、麻酔のかかった赤ん坊は自分自身で呼吸ができないのである。当然呼吸は不確か、緩慢で、不十分なものとなる。このとき、臍帯を切ってしまうと、決定的に酸素を断ち切った窒息状態になる。誤った二重過失となるわけであり、大脳損傷は大脳の一部死亡となったと言わなければならない。
※自然界では死産児を除いて、呼吸不能に陥るようなことは決しておきない。


●脳損傷の報告  スザンヌ・アームズ著「汚れなき偽り」によれば
プルドゥ大学の児童教育研究所の所長であるニューウェル・ケファートは、調査した子どものうち、15〜20%が脳損傷が原因で、学習や行動に問題をきたしていると報告している。
ゴールドバーグやシッフマンは、アメリカの就学人口の20%〜40%の子どもたちが「出生時の神経系の損傷」がもとでの学習能力上の問題を抱えていると報告している。

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