“人に歴史があるように花にも歴史がある”と言われていますが、花を知り花を育て花を愛で、
ガーデニングのその先で、心安らぐ世界に出逢いました!
ふと目にとまった野の花・山の花のプロフィールを、少しずつまとめて見る事にします…♪
《タ》 ダイモンジソウ | 和名=大文字草 別名=雪模様 ユキノシタ科 花期:7〜10月 はかなげな白い花は、5枚の花弁のうち下2枚が長く、『大』の字に似た形をしています。 別名の「雪模様」は、花があたりをほのかに白く染める光景を表したものです。 やはり花弁が5枚で下の2枚の花弁が長く、上の3枚が小さくてあまり目立たない『人』という字に 似ている“ジンジソウ・人字草”もあります。 低山から高山までの、湿った岩の割れ目などに生える多年草。葉は幅4cm〜20cmで、掌状に浅く切れ込み、 表面には長い毛があり、裏面は白色または暗紫色を帯びています。 《寄り道4》 |
ツ ユ ク サ | 和名=露草 別名=アオバナ(青花)、ボウシバナ(帽子花) ツユクサ科 花期:6〜9月 朝咲いて午後には閉じる一日花。閉じるというより溶けるように消えるはかなげな雰囲気がよく伝わってくる名前です。 古名を月草といい、それが露草に変化したと言われています。 大抵の野草は咲き始めが見頃ですが、ツユクサは6月に咲き始め、盛夏一旦勢いが衰え9月になってからが花期本番。朝晩が涼しくなって 朝露が野面を埋める頃でもあり、その意味でも相応しい命名のようです。古くから染色に使われ、現在でも友禅染などの下絵には、変種のオオボウシバナが栽培され使われているようです。 (2002.9.18) |
ツ ル ボ | 和名=蔓穂 別名=スルボ、サンダイガサ(参内傘) ユリ科 花期:8〜9月 ツルボの語源は不明のようですが、別名の参内傘は、公家が参内するとき、従者がさしかけた長い柄の傘をたたんだ形と花序が 似ていることによるようです。 山野の日当たりの良いところに生える多年草。 数本の細長い葉の間から花茎を伸ばし、春でた葉は夏に枯れます。秋には新しい葉とともに、穂のような総状花序をつけ淡い紫色の花をたくさんつけます。 花被片は 6 枚、雄しべも 6 本です。 (2002.9.16) |
ツ ワ ブ キ | 和名=石蕗 別名=イシブキ キク科ツワブキ属 花期:10〜12月 “古庭のところどころに石蕗(つは)の花”(虚子) 石蕗と書く通り、海岸の岸壁がよく似合います。日本特産の1属1種しかない野草でもあり、 殺風景な冬の庭に彩りを添えてくれるため、庭園の庭石や手水鉢のわきなどに好んで植えられています。名前の由来は、葉につやがあるので艶葉蕗(つやはぶき)がツワブキに なったという説が一般的。若い葉柄を酒、しょうゆで煮付けた「きゃらぶき」も美味で、傷口に葉を 炙って貼るという民間療法も知られています。 |
ト リ カ ブ ト | 和名=鳥兜 漢名=鳥頭、附子 キンポウゲ科 花期:8〜10月 萼の形が舞楽に使う兜に似ている事から、この名が付いたそうです。 根にアコニチンという猛毒を持つ植物として知られ、その汁を煮詰めて毒矢に用いられました。 塊根を乾した物を草鳥頭(そううず)とよび、リュウマチなどの鎮痛剤として用いられています。 「トリカブト」はイブキトリカブト、ヤマトリカブトなど近親種の総称で、「ドクウツギ」「ドクゼリ」と共に、 死をもたらす日本3大毒草の1つです。 特にニリンソウとは芽出しの葉は似ていますが、ニリンソウの根は横に伸び、トリカブトは下に向かい 逆三角形で、ニンジンのようになるので区別がつきます。 |
《ナ》 ナツズイセン | 和名=夏水仙 ヒガンバナ科 花期:8〜9月 花と葉が生涯出会う事のないなんとも哀しい花・・・粉白を帯びた緑色の葉はスイセンによく似ており、春に伸びだし初夏には枯れます。 横向きに数個咲く花は、直径約8cmとヒガンバナ属のなかではもっとも大きく、お盆を過ぎた頃からある日突然咲いているのに気づきます。 リコリス・スプレンゲリとリコリス・ストラミネアとの自然交雑によってできた三倍体だそうです。 青みをおびた爽涼なピンクの花色が、秋風を運んで来てくれ、暑かった短い夏の終わりを知るのです。 《寄り道2》 |
ノコギリソウ | 和名=鋸草 キク科ノコギリソウ属 花期:7〜9月 別名=ハゴロモソウ 学名=Achillea alpina 英名=yallow ギリシャの勇将アキレウスは、トロイ戦争の際、傷ついた敵将へクトルの傷を、美しい花を傷口に当てて 手当てしてやったそうです。ギリシャ神話に出てくる、アキレウスが用いた薬草が、草全体に様々な薬効のある ノコギリソウで、止血作用のあるアキレインが含まれているそうです。日本では、奈良、平安時代に ト部という官職があるほど占いが重要視されておりましたが、そこに使われたのもこの茎だそうで、 深く裂けた葉が鋸の刃を思わせるのでこの名があり、切れ込みが深くパセリのような感じにみえるのがセイヨウノコギリソウです。 |
ノ コ ン ギ ク | 和名=野紺菊 キク科シオン属 花期:8〜11月 ♪ 遠い山から吹いて来る 小寒い風に揺れながら 気高く清く匂う花 きれいな野菊 うす紫よ ♪ 唱歌にも歌われ、「野菊」の名で親しまれている気品漂う花です。 1つの株でも白から薄紫まで変化があり、野生のノコンギクの中から、色の濃いものを選んで品種改良されたものが 紺菊という園芸品種です。ヨメナとよく似ていますが、葉に毛が生えてざらつきがあり、 菊の葉のような香りや切れ込みがなく、種子に5〜6mmの長い毛のあるほうが ノコンギクで、ほとんど目立たないのがヨメナです。 |
《ハ》 ハ コ ベ | 和名=繁縷 別名=ミドリハコベ ナデシコ科 花期:3〜9月 日本各地で最もよく見られ、春の七草の1つです。 春から秋まで、次々と白色の小さな花を咲かせ、5弁で2つに深く咲けるので10弁のように見えます。 英名は、Chickweedで「ニワトリの雑草」という意味ですが、日本でもヒヨコグサ、スズメグサという俗称があります。 一般的にはコハコベもハコベと呼んでいます。 (2002.1.7) |
ヒカゲノカズラ | 和名=日陰葛 ヒカゲノカズラ科 花期:初夏胞子嚢を形成 学名=Lycopodium squarrosum 別名=オオカミノアシ、ムカデカズラ (東歌より) “あしひきの山葛かげましばにも得がたきかげを置きや枯らさむ” Lycopodiumという属名は、ギリシャ語で狼の足を意味する合成語だそうです。 原産地は台湾で、ツル性のシダ植物。日当たりの良い場所に、茎は地上を這うように所々から根を出し広がるように群育します。 (2002.1.20) |
ヒガンバナ | 和名=彼岸花 別名=曼珠沙華 ヒガンバナ科 花期:9〜10月 秋の彼岸の頃に、土手や墓地、田の畔などを真っ赤に彩ります。葉は花が終わった晩秋に顔を出し、 春になると枯れてしまいます。これは競争相手の少ない冬の間に、光合成をすませておくという賢い戦略で、 秋に花芽が成長する時、茎が1日で5〜10cmも伸びるパワーの源です。救荒植物で毒性を利用して、野犬などの被害を防ぐために墓地に植えられたりしました。日本のものは 染色体が3倍体で結実しません。 |
ヒメサユリ | 和名=姫小百合(早百合) 別名=オトメユリ ユリ属 花期:6〜7月 福島、新潟、山形の県境付近と、宮城県に自生する日本特産種。 ササユリによく似ていますが、全体に一回り小さく、やくの色がササユリはオレンジ色に近いが、 ヒメサユリは黄色。花の色はヒメサユリのほうが濃く、ほのかな香りがあります。 (2003.6.21 夢工房で撮影5/27) 詳しくはこちらの解説をお読み下さい♪ |
フクジュソウ | 和名=福寿草 別名=元日草、朔日草、賀正蘭 キンポウゲ科 花期:2〜3月 新春を寿ぐ花として古くから栽培されてきました。露地では梅が終わった 3 月の終わり頃から咲き始めます。 福寿は幸福と長寿の意味で、中国名の側金盃花は、黄金色の花を金の盃に見たて、これが側方に傾いて咲くところから来ているようです。 またアイヌ語では、チライアポッパ(イトウの花)と呼び、この花が咲くと川にイトウ(サケ科の魚でアイヌ語でチライ)がのぽってくるので、福寿草の咲くのを大変待ち望んでたようです。 (2002.1.1) |
フジバカマ | 和名=藤袴 キク科 花期:8〜10月 名前の由来は、花の形が藤色の袴に見えるからだとか、藤のつるで織った袴をはいた女性が この花に変わったとか、諸説ありはっきりしません。クマリンという成分を含むので、 乾燥させると桜の葉のようなよい香りがし、奈良・平安の貴族たちは香りを衣服に移し楽しんだといわれています。 葉が三深裂するので、ヒヨドリバナと区別できます。 (2002.9.23) |
フユノハナワラビ | 和名=冬の花蕨 ハナヤスリ科ハナワラビ属 “冬蕨「樹下の石仏」我と逢ふ”(澄雄) 日当たりのよい草地に生える高さ15〜50cmの冬緑性のシダです。秋に2〜3回羽状複葉の栄養素と 丈の長い胞子葉を出します。胞子葉は胞子が熟すと淡褐色になり、栄養葉は冬は赤みを帯びる事が多く、夏には枯れます。 秋に生えて翌年3月までは見られますが、夏に枯れるのでこのような名前がついたようです。 夏に胞子葉を出すナツノハナワラビ(夏の花蕨)というのもあります。 (2002.1.23) |
ホトトギス | 和名=杜鵑草 別名=油点草 ユリ科 花期:8〜10月 英名=Japanese toad lily 渋い花色が晩秋の庭に彩りを添えてくれ、花の繊細さや葉の美しさから、茶花としても好まれています。花びらの斑点が、鳥のホトトギスの胸の模様と似ている事からつけられた名前。 英名のトードとは、ガマガエル(ヒキ)の事です。中国では葉の黒点からユテンソウと呼ばれています。 お国柄でしょうか、呼び名の違いが楽しいです♪ 観賞用に栽培されているのはタイワンホトトギスで、花は散房状に上向きに咲き、外花被片の基部に球状のふくらみが2個あるのが特徴です。 ヤマホトトギスは、花被片が反り返っています。 |
《マ》 マツムシソウ | 和名=松虫草 マツムシソウ科 花期:8〜10月 マツムシが鳴く頃に咲く、花後の姿が昔巡礼の僧が持っていたまつむしと呼ばれる鐘の形に似ている、など語源も諸説あるようです。 秋にこぼれた種が発芽して、タンポポのように葉を地面に広げ(ロゼット状態)そのまま越冬し、翌春、さらに生長して 花茎を立てます。日当りがよく、乾いた草地に生える二年生。 (2002.9.19) |
ミ ズ ヒ キ | 和名=水引 タデ科 花期:8〜10月 山地や里山の草むらの日向から半日陰に多く生えていて、 小さな花がまばらに横向きについています。 花弁はなく、花被片は深く4裂し、上の萼片3枚が赤く、下の1枚が白いため、上から見ると赤く、下からは白く見えるため、 紅白の水引に例えられてるようです。白い花のものをギンミズヒキといい、葉に白や赤の斑の入ったものもあり、 日陰の庭の彩りにもなります。 (2002.1.10) |
ミ ソ ハ ギ | 和名=禊萩 別名=ボンバナ(盆花) ミソハギ科 花期:7〜8月 旧暦のお盆の頃花盛りとなり、祭事に用いられた事から禊(みそぎ)萩の名があるようですが、 山野の湿地に生える事から溝(みぞ)萩とも言われているようです。高さ50cm〜1mの多年草で、2枚の葉が交互に対生しています。 エゾミソハギは似ていますが、茎や葉などに毛が生えているところや、葉が茎を抱くところが違っているようです。 (2002.9.9) |
《ヤ》 ヤ マ ハ ギ | 和名=萩 マメ科 花期:8〜10月 “けさ来つる野原の露にわれ濡れぬ うつりやしぬる萩が花ずり” 藤原範永『後拾遺和歌集』より 野山に分け入って、衣に萩の花色が染まりつくことや、萩の花を摺り込んで、衣を染める事も「萩の花ずり」というそうです。 種類も多く、ミヤギノハギは枝垂れるところがヤマハギと違う点のようです。 観賞だけでなく、花後は枝をほうきや垣根の材料などに利用されています。 (2002.9.24) |
《ワ》 ワ レ モ コ ウ | 和名=吾木香、吾亦紅 バラ科 花期:8〜10月 “五(吾)木香 さし出て花の つもり哉” 小林一茶 「吾亦紅」の字を当てるのは、大正の頃の小説の題に使われてからのことだそうです。渋い花の色ながら 「私はこれでも紅色よ」と主張しているように見立てたのでしょうか? 遠く「源氏物語」には、吾木香と書かれているようです。 名前の由来は諸説ありますが、根がインド原産の木香という植物に似ているので、わが国の木香という意味だというのが 一般的なようです。 花には花弁はなく、4個の萼片が花弁のように見えます。(2002.9.4) |
庭造りの励みになればと開設したHPでしたが、立ち上げて直ぐに、思いがけない有り難い出会いがありました。 デジカメの便利さ愉しさに嵌ってしまったのです!
そして撮り歩いているうちに、野の花・山の花の美しさに気づき、魅せられてしまいました。
思いがけない通りで出会った思いがけない愉しみ・・・
調べ感じた事を、少しずつ書き留めて置こうと思いますので、何かお気付きの点や
ご感想をお寄せ頂ければ嬉しいです♪