季節の移ろいを教えてくれる花木が、いつも絶える事なく咲いている庭は、
私の憧れです。見て調べて感じた事を、随時書き記して置こうと思います。
≪ア≫ ア セ ビ | 和名=馬酔木 ツツジ科 花期=3〜5月 別名=アセボ、アシビ “磯の上に生ふる馬酔木を手折らめど 見すべき君がありと言はなくに”(大米皇女) 葉は苦くアセボトキシンなどのアルカロイドを含む有毒植物で、うっかり家畜が葉を食べると下痢や嘔吐を起こし、 フラフラになることから、馬酔木と書き、実が五つにはぜることから、「はぜ実→はせび→あせび」の変化で、一般的には“足しびれ”が短縮されて、 “あしび”からアセビになったと解釈されているようです。 葉を煎じて殺虫剤として用いたこともあるようで、園芸品種ではピンク(淡紅色)のものもあります。 (2003.4.2 夢工房で撮影4/1) |
オ ウ バ イ | 和名=黄梅 モクセイ科 花期=2〜3月 別名=ゲイシュンカ(迎春花) 中国名=インチューホー(迎春花) 英名=Winter jasmin 花が梅に似た雰囲気からついた名前のようですが、実は梅は5弁花、黄梅は6弁花と花形は違うようです。野趣のある枝に 控えめに咲いている花の佇まいが、梅に似ているということでしょうか、、、 また英名はウインタージャスミンなのですが、残念ながら香りもなく結実もしないようです。 (2003.6.23 夢工房で撮影4/1) |
≪カ≫ カ エ デ |
カエデ属:カエデ科 落葉高木 花期:5月 “わが屋戸(やど)に黄変(もみ)つ蝦手見るごとに 妹を懸けつつ恋ひぬ日は無し” 万葉集にも蝦手(かえるで)と書かれているように、カエデの名は、葉がカエルの手に似ていることに由来するそうです。 モミジに対し、葉の切れ込みが浅いものをカエデと言っているようです。 |
カ ク レ ミ ノ | 和名=隠蓑 ウコギ科カクレミノ属 花期:6〜7月 想像上の宝物の1つに隠れ蓑というのがあり、これを身につけると姿が見えなくなると言われています。 その隠れ蓑に葉の形が良く似ているのが名の由来だそうです。 幹は直立し葉は厚く革質で光沢があり、若木のうちは葉に3裂の切れ込みがありますが、 成長した木ではなくなります。あまり目立たない小さな黄緑色の5弁花を咲かせ、秋に黒い実となります。 (2002.1.30) |
カシワバアジサイ | 和名=柏葉紫陽花 ユキノシタ科アジサイ属 花期=6月 北アメリカ東南部に自生する落葉低木で、紫陽花に似ていますが、穂のように白い花が集まって咲き、葉も5裂し柏の葉を思わせるのが名前の由来のようです。 アジサイ属には珍しく直射日光に強いようです。 (2003.6.23 夢工房で撮影6/22) |
カラタチバナ |
和名=唐橘 別名=百両金 ヤブコウジ科 観賞期:11〜1月 俗に「百両」といわれ、センリョウ、マンリョウと共に縁起物として正月を飾ってきました。高さ30cm前後の 常緑低木で、7月頃白い花を咲かせ、実は11月に赤く熟します。水はけのよい肥沃地を好みますが、日陰でも よく育ちます。 (2002.1.11) |
カ ン ボ タ ン |
和名=寒牡丹 別名=冬牡丹 ボタン科 花期:11〜2月 “一つ散りて後に花なし冬牡丹”(子規) 二季咲き性のボタンの変種で、春につく蕾半分と夏の終わり頃の葉を摘みとる事により花期を遅らせ、 藁の霜囲いをして暖かく保護する栽培管理によって、冬に開花するそうです。 雪の中菰被りをした端麗な花姿は、細やかな情感があふれ、風情を醸し出します。 |
ギ ョ イ コ ウ | 和名=御衣黄 花期:4月中旬〜下旬 サトザクラの栽培品種。全体はごく淡い緑色の特異な花色で、部分的に濃緑色のすじが入り、 この部分は裏面に成葉と同じような気孔があります。花が終わりに近づくと基部から主脈にかけて紅葉色になり、紅色の線が入った状態に なります。その写真は、こちらでどうぞ♪ (2002.5.2) |
キ ン シ バ イ | 和名=金糸梅 オトギリソウ科 花期=6〜7月 中国南西部原産の落葉低木で、江戸時代半ばに日本に伝わったそうです。 花形が梅に似ているのと、多数のおしべを金糸に見立てたのが名前の由来のようです。 枝先につく花は鮮黄色で、やや厚みのあるつややかな5弁花。60本ほどもあるおしべが5束に分かれているのも特徴です。 (2003.6.23 夢工房で撮影6/22) |
キ ン モ ク セ イ |
和名=金木犀 別名=桂花(けいか) モクセイ科 花期:9〜10月 秋の訪れとともにどこからともなく甘い香りが漂い、秋の深まりを告げてくれます。 モクセイの故郷中国には、月の影の部分は月の中に大きな桂が茂っているためにできるという、古い伝説があります。 いわゆる月桂で、それを仙人になりたい男が切り倒そうとする、モクセイの香り漂う夜にふさわしいお話です。 『万葉集』より・・・ “天の海に月の船浮け桂楫(かじ)かけて漕ぐ見ゆ月人壮士(つきひとをとこ)” 雌雄異株で日本には雄株しか渡来してないため果実は見れません。 |
ギ ン モ ク セ イ |
和名=銀木犀 モクセイ科 花期:9〜10月 中国では、銀桂(ぎんけい)と呼ばれています。桂(桂樹)とは月に生えているという想像上の樹。 因みに金木犀は丹桂(たんけい)と言い、丹とは赤色の事だそうです。「もくせい」は漢名の木犀を音読みにしたもので木犀類の総称で、 金木犀、銀木犀、淡黄木犀、柊木犀、縞木犀があります。 花の名は、淡灰色の幹の紋斑が動物の犀(サイ)の表皮に似ている事に由来するとか。 葉はヒイラギモクセイには鋸歯がありますが、他のものはほとんど全縁です。 渡来したのは7〜9世紀の間で、遣唐使が桂林あたりから種を持ち帰り植えたとか。やはり雌雄異株で、日本には雄しか渡来してません。 強い芳香を放します。 | コブクザクラ |
和名=子福桜 バラ科/サクラ属 花期:秋春二季咲き カラミザクラとジュウガツザクラorコヒガンザクラとの栽培品種。白花の八重で、来春まで次々と咲きます。 萼筒は盃形で毛があります。 1つの花に雌しべが1〜5本あり、小果柄に複数の果実をつけることから命名されたようです。 京都府立植物園の冬枯れの木立の中で、雪を被ったようにぽっかりと浮かぶ真っ白な花をみつけ、 一足早い春の風情を愉しみました。 |
≪サ≫ サ ザ ン カ |
別名=ひめつばき ツバキ科ツバキ属 花期:10〜12月 寒さに向かう季節に、凛とした美しさを見せてくれる花、サザンカ!! 名前は、中国でツバキを指す山茶花(サンサカ)が転訛したようです。中国名は茶梅(チャバイ) ツバキとの違いは、若枝や葉柄、葉の主脈に褐色の短毛があり、子房に白毛を密生します。全体に小型で、 花びらが1枚ずつ散ります。 江戸以前の古名は、材が硬いカタシ(ツバキ)より小型なので、ヒメカタシやコカタシと呼ばれていたようです。 実からとれる油は、ツバキ油同様に髪油として利用されてきました。硬い材も、炭に焼かれていたようです。 《寄り道3》 |
サ ル ス ベ リ | 和名=百日紅 別名=ヒャクジッコウ 英名=クレープ・ミルトル ミソハギ科 花期:7〜10月 木の幹は樹皮が白くツルツルとなめらかで、木登りじょうずの猿も足をすべらせそう、というのが名前の由来のようです。また 花期が7〜10月と非常に長いことから、「百日紅」の字があてられています。ロマンチックとはほど遠い名前とはうらはらに、花つきは美しく華麗です。(2002.9.5) | シ キ ザ ク ラ |
和名=四季桜 バラ科/サクラ属 花期:10〜12月、4月 マメザクラとエドヒガンの種間雑種。一重咲きで、くびれたつぼ形の萼筒を持つ。 花弁数5枚、花径2.2〜3.2cm。 普通の桜は、春に1度だけ花を咲かせますが、愛知県小原村の「四季桜」、神奈川県鎌倉瑞泉寺の「冬桜」、 三重県白子の「不断桜」、滋賀県湖東三山西明寺の「不断桜」、静岡県三ケ日の「十月桜」などは、 年に二度、夏を除いて少しずつチラホラと咲きます。 私の町でも、伊佐須美神社と熊野神社にある事がわかりました♪ |
ジュウガツザクラ |
和名=十月桜 別名=御会式桜 バラ科/サクラ属 学名=Prunus×subhirtella cv. Autumnalis 花期:10月・4月 マメザクラとエドヒガンの種間雑種でニ季咲き。 秋から春にかけて咲くコヒガンの中で、八重咲きのものを“十月桜”と分類しているようです。 花色は淡紅色で花径は2.8〜3.8cm。 萼筒は太いつぼ形で雌しべが長く突き出ています。 |
ス イ フ ヨ ウ | 和名=酔芙蓉 アオイ科 花期:8〜10月 フヨウ(芙蓉)の園芸品種で、朝に白い花を咲かせますが、午後になるとだんだんピンクにかわり、夕方から夜にかけてさらに赤くなり、翌朝にはしぼんでしまいます。 このさまを、酒飲みの顔がだんだん赤くなってくることにたとえて、「酔う芙蓉」ということからつけられた名前のようです。 (2002.9.14) |
セ ン ダ ン |
和名=栴檀 別名=トキワセンダン センダン科 花期:5月下旬 初夏に薄紫の美しい小さな花が房状に咲きます。落葉高木で、南天のような複葉の葉を持ち、 秋には写真のような楕円形の実がなります。樹皮は黒褐色で縦にさけ、この樹皮を灰汁で生糸を練り絹とするのに、1000反の布を染められるのが語源との説もあります。 「栴檀は双葉より香し」と言われますが、センダンには香りがなく、ビャクダン(白檀)の間違いだろうといわれています。さらに白檀が香りを 発するのは少し成長してからですので、かなりの誇張を含む諺と言う事になります。 (2002.1.24) |
セ ン リ ョ ウ |
和名=千両 別名=みせんりょう センリョウ科 花期:6〜7月 縁起のよい名前から正月飾りに使われ、日陰の庭を彩ってくれる地被植物ですが、暖地性の常緑低木です。 葉が蓼(タデ)を思わせ、仙物のような美しい実を生(な)らせることから、仙蓼菓や仙蓼花(センリョウカ)の名で呼ばれており、 江戸後期以降“千両”があてられるようになったようです。 小さく淡い黄緑色の花は、花びらがなく目につきにくいのですが、めしべの横腹にそれより少し長い棍棒状のおしべがつきます。 (2002.1.8) |
≪タ≫ チ ャ |
別名=ちゃのき ツバキ科ツバキ属 花期:10〜11月 “茶の花に人里ちかき山路かな”(芭蕉) 中国南西部原産の常緑低木で、鎌倉時代の初めに栄西が中国から持ち帰ったのが、日本での栽培の始まりといわれています。 ツバキやサザンカと同属で、花弁5枚、雄しべは多数、雌しべは3室のため3個の種子ができ、翌年の秋から冬にかけ、 扁球形の果実は熟すと3つに割れます。ふっくらした花びらと金色のしべが美しく、俯いた花姿が可憐です。日本で最も多い栽培品種はヤブキタです。 |
ツ バ キ |
和名=椿 学名=カメリア・ジャポニカ ツバキ科 花期:2〜4月 “あしびきの八峰の椿つらつらに 見とも飽かめや植えてける君”(大友家持) 小説『椿姫』のヒロイン、マルグリットは月のうち25日間は白、5日間は赤い椿の花を身につける 美しい娼婦だったそうです。常緑で肉厚の花弁と黄色いしべのコントラストが美しい冬の花。 原産地は日本、写真は侘助です。 |