季節の移ろいを教えてくれる花木が、いつも絶える事なく咲いている庭は、
私の憧れです。見て調べて感じた事を、随時書き記して置こうと思います。
ツ ク バ ネ | 和名=衝羽根 ビャクダン科ツクバネ属 花期:5〜6月 羽根衝きの羽子に似た実をつけることから、この名があります。 高さ1m位の雌雄異株の落葉低木で、半寄生植物です。発芽してから暫らくは独立栄養で育ちますが、その後モミ・ツガなどの根に半寄生します。 尾根などの林でやせ地に生えています。 直径4mmほどの小さな淡緑色の花には花弁がなく、4個の苞だけがあります。実は煎って食べられます。 (2002.1.27) |
≪ナ≫ ナ ツ ツ バ キ | 和名=夏椿 別名=シャラノキ木(娑羅木)、サルスベリ(猿滑り) ツバキ科 花期:6〜8月 インド原産の沙羅双樹は、釈迦入滅の際一斉に落下し亡骸を覆ったとか。芥川龍之介は 「沙羅のみづ枝に花さけば、かなしき人の目ぞ見ゆる。」とナツツバキを沙羅の木とよびならわしているようです。 本当のシャラノキはフタバガキ科で、ナツツバキとはまったくの別種です。 幹はツルツルしていてサルスベリに似ているため、夏椿も猿滑りと呼ばれることがあるようです。 (2002.9.10) |
ナ ン テ ン |
和名=南天 中国名=南天燭 メギ科 観賞期:11〜1月 冬枯れの庭に、品、格ともそなわった美しさが目立ちます。中国の中部以南に産するので南天といい、 燭はともし火のように赤い事です。 「難を吉に転ずる」厄除けの木として植えられ、芯材で箸が作られてきました。祝い花としても用いられます。 江戸時代には葉が斑入りのものなど“葉の芸”として数多く栽培され、ブームの明治時代には、120品種も作られていたそうです。 現在はその3分の1ほど。1属1種の珍しい植物で、民間療法では実をせきどめに使われ、強壮効果もあるとされています。 |
ニオイニンドウ | 和名=匂い忍冬 別名=ハニーサックル、ウッドバイン スイカズラ科 花期:6〜8月 スイカズラ(吸葛)とツキヌキニンドウ(突抜忍冬)を足して2で割ったような特有の花姿をしています。 忍冬とは、冬に葉の一部が縮んで残り、耐え忍んでいる様子で、吸葛は、花の蜜を子供が盛んに吸ってる様子です。 甘く豊かな芳香を漂わせる西アジアからヨーロッパ、北アフリカが原産の低木です。 (2002.9.29) |
ネ ム ノ キ | 和名=合歓木 マメ科 花期:6〜7月 “象潟や 雨に西施が ねぶの花” 芭蕉 長さ1cm程度の小葉が18〜29対連なった複葉という複雑な葉形をしています。 夕方になると開く花は、淡いピンクのふんわりとした絹糸のような形状で、これはおしべの花糸が 集まったものです。葉は夜になると小葉を閉じ、眠るように見えるのが名前の由来だそうです。 中国春秋時代の美女西施(さいし)を、この花にたとえたという芭蕉の句は有名。 (2002.9.28) |
ノウゼンカズラ | 和名=凌霄花 別名=ノウショウ ノウゼンカズラ科 花期:7〜9月 「カズラ」はつるの意で、「ノウゼン」は漢名凌霄(リョウショウ)が、平安時代の「本草和名」の 乃宇世宇(のうせう)を経て、ノウゼンに転訛したとみられているようです。貝原益軒が「花上の露目に入れば目暗くなる」と 記述し、現代でも避けられたりしますが、誤解で毒はないようです。 一日花で、茎の節部から気根を出し、そばの木などにはりつくようにして、高く這い登って行きます。 (2002.9.20) |
≪ハ≫ ヒ イ ラ ギ |
和名=柊 モクセイ科 花期:10〜12月 “ひひらぎの白き小花の咲くときに いつとしもなき冬は来むかふ” (斎藤茂吉) 「鬼の目突き」とも呼ばれ、節分にはイワシの頭と柊の小枝を掲げる風習が残っています。 江戸時代の川柳には、“門にさす柊は年の境杭”とあります。典雅な雰囲気を持つ小花は、近づくと甘い香りがし、一般に大木になると葉の鋸葉を失います。 |
ヒイラギナンテン |
和名=柊南天 別名=唐南天 メギ科 花期:3〜4月 葉は柊に、実は南天に似ていることから、名付けられたようです。冬の寒さで葉が銅色に紅葉し、花は黄色で実は暗紫色です。 葉は互生で小葉は5〜9対、長さ30〜40cmの奇数葉状複葉で、小葉の縁には先端が針状の荒い鋸葉があります。 ヒイラギの語源は、「疼木・ひひらぎ」疼ぐ木の事で、疼ぐとはヒリヒリと痛む事、 葉の棘に触れると痛い事からきています。また俗に漢字で「柊」と当てられるのは、 この木が冬に花を咲かせるからです。 |
ヒイラギモチ |
和名=柊黐 別名=西洋ひいらぎ、クリスマスホーリー 英名=Chinese holly モチノキ科 北欧では最も尊い木、国王の象徴とされているそうです。 クリスマスケーキの上に飾りつけてある緑の葉と赤い実で、 柊の実は暗紫色で葉の付き方は対生ですが、柊黐は互生で実は艶やかな赤色です。 尖った葉はイエスが十字架に架けられたときにかぶったイバラのトゲで、緑の葉は永遠の命、赤い実は人々の救済のためにイエスが流した血を意味すると言われています。 |
ピ ラ カ ン サ |
別名=ときわさんざし、たちばなもどき 観賞期:10〜12月 中国名=火棘(かきょく) バラ科 燃立つような赤や橙色の実と、鋭い刺が特徴で、属名のピラカンサはギリシャ語で「火」と「刺」を意味するそうです。一般にピラカンサと呼ばれるものは、タチバナモドキ、 トキワサンザシ、ヒマラヤトキワサンザシの3種の総称だそうです。5月に白い小花を咲かせ、耐寒性、耐暑性ともに強く、 生育旺盛で丈夫です。 (2002.1.21) |
フダンザクラ |
和名=不断桜 バラ科/サクラ属 花期:初秋〜春 ヤマザクラとオオシマザクラの種間雑種。 秋から春まで咲き続ける事から、「不断桜」と呼ばれています。 花や葉にはヤマザクラとオオシマザクラの形質がみられます。 京都大原の実光院は、不断桜の観桜と紅葉狩りが同時に楽しめる事で知られていますし、 三重県鈴鹿市観音寺の「白子不断桜」は、国の天然記念物に指定されています。 |
≪マ≫ マ ユ ミ |
和名=檀、真弓 別名=山錦木 ニシキギ科 花期:晩春〜初夏 観賞期:11〜12月 古くは弓の材料として用いられ、「まことの弓の木」と言うのが名前の由来だそうです。 マユミの木で作った弓を「檀弓・ダンキュウ」と言います。 落葉小高木の雌雄異株で、日当たりがよく湿り気の多い場所を好みます。 紅葉が美しく、繭を思わせるような果実も、弾けると愛らしい赤い実が見えます。 |
マ ン リ ョ ウ |
和名=万両 ヤブコウジ科 花期:9〜6月 お正月の縁起植物の1つです。ヤブコウジの十両、カラタチバナの百両金、センリョウの千両にまさるから 名付けられたといわれていますが、華やかな冬の花がなかった昔、鮮やかな赤色で冬の室内を彩る木は、 大金にたとえられるほど貴重であったのでしょう。 晩秋に色付いた実は、翌年の夏に、次の花が咲くまでなっています。耐寒性が千両よりあります。 (2002.1.5)《寄り道6》 |
ム ク ゲ | 和名=木槿 アオイ科ハイビスカス属 花期:7〜10月 一日花で花の寿命が短いことから“槿花一日の栄・きんかいちじつのえい”という、はかなさの表現が生まれたようです。 韓国の国花。漢名の木槿花(もくさんか)が韓国では、無窮花・ムグンファ(永久の花)に通じるとされ愛されているようです。 栽培は中国で始まり、日本には平安時代に渡来。(2002.9.2) 《寄り道8》 |
ムラサキシキブ |
和名=紫式部 別名=みむらさき クマツヅラ科 花期:6〜7月 英名=Beauty berry 学名=Callicarpa japonica カリカルパとはギリシャ語で「美しい実」の事だそうですので、学名は「日本の美しい実」。 和名は、実の美しい紫色から源氏物語の作者・紫式部を連想したとされているようです。 江戸時代は、実むらさき、玉むらさき、山むらさき、と呼ばれており、紫の実が敷き詰められた 「紫敷き実」か「紫茂実」が語源だと言う事です。 堅い材質を利用して、ヒノキやウツギの木と擦り合わせて火を起こしたり、箸や杖、道具の柄にも使われていたようです。 |
モ ミ ジ |
カエデ属:カエデ科 落葉高木 花期:5月 秋の山を彩る主役は、モミジとカエデです。 モミジとカエデは植物分類学上、同一のカエデ属に扱われています。 園芸的には、ふつう葉が深く切れ込むものをモミジとしています。 200以上を越える園芸品種にはモミジ系が多く、日本産のモミジとカエデの野生種は26種とか。 モミジは、上代の動詞“もみつ”に由来し、草木の色が変わる意味だそうです。 |
≪ヤ≫ ヤ ツ デ |
和名=八手 別名=テングノハウチワ ウコギ科 花期:11〜12月 「天狗の葉団扇」という別名の通り、大きな手のひらのように厚い光沢のある革質の葉を広げます。 円錐状の花房を直立させ、小さな花をたくさん咲かせます。 葉の切れ込みは7裂、9裂など奇数が多く、「八」は縁起のよさから名付けられたようです。 花弁は5個で、果実は直径5mmの球状で、翌春黒く熟します。暖地の海岸に近い林の中に生える常緑低木ですが、 庭木としても広く利用され、フクリン、シロブチ、キモン、チヂミバ、ヤグルマヤツデのような園芸品種もあります。 |
ヤ ブ コ ウ ジ |
和名=藪柑子 別名=十両 ヤブコウジ科 観賞期:11〜1月 山地の林の下などに群生している高さ 10 〜 20 センチの常緑低木ですが、葉は革質で縁には細かい鋸歯があり、茎の上部に 輪生状に集まります。白く小さな花を多数 つけ、実は秋に真っ赤に熟す事から縁起物とされ、 正月用の寄せ植えの材料として使われています。マンリョウに似ていますが、大きさや実の数で区別できます。 藪の中に生えて、葉の形と実が「柑子」に似ているところからこの名がついたようです。 別名の十両にちなみ「万両・千両」と並んで売られています。 (2002.1.14) |
ユ ズ リ ハ |
和名=譲葉 トウダイグサ科 花期:4〜5月 ♪ お正月がござった どこまでござった 神田までござった 何に乗ってござった 譲葉に乗ってゆづりゆづりござった ♪ (童唄より) 若葉の成長を待って古い葉が落ちる事から、子の成長に従い親が子に一切を譲るのに準えたようです。 大晦日には御魂への御供の敷物にしたり、 正月の飾物にも使われます。 葉柄は赤く若葉が出る時、新しい葉の付け根あたりに花が咲きます。 (2002.1.1 12/28撮影) |
ル リ ヤ ナ ギ | 和名=瑠璃柳 ナス科 花期=8〜9月 別名=リュウキュウヤナギ(琉球柳)、スズカケヤナギ(鈴懸け柳) 淡紫色の鐘形の花は、野菜のナスに似た雰囲気を持ち、花柄が長くややうなだれて咲きます。 葉色と花色との組合せが絶妙で、他にはない上品な雰囲気をもっています。 ブラジル原産の常緑低木で、日本へは文永年間に琉球国から渡来したことと、葉が柳に似ていることから琉球柳とも呼ばれているようです。 (2002.9.30) |