『父と戦争』
page 16
豊台にて とある。 内地への帰還を前にして軍装を整えての写真撮影だろう。 父からは軍隊の話しは時々聞いた。 兵隊検査の時、検査官が父の体格の良さに驚き、全員の前で壇上に上げ、「全員注目!! 男子たるもの、こうあらねばならないっ!!」と父の胸板を指揮棒でピシッと叩いたのだという。兵隊検査の途中で父はフリチンであったという。 歯科専門学校生の頃に訓練に招集され休学をさせられた事。その時、報告に行った学生課の全員が立ち上がり最敬礼で送ってくれた事。 北支で無蓋貨車で移動中、別の無蓋貨車とすれ違った。同郷の歯科医山田先生が反対の貨車に乗っており、お互いに腰を浮かせて挨拶しながらすれ違ったという。 敵敗残兵との遭遇戦で父は自分が鉄砲を撃つ事もあるまいと物陰にドッコイショと腰を下ろした。 戦闘に馴れていない初年輜重兵は慌てて 大きな岩の陰に隠れて小銃を構え、恐怖でとりあえずぶっ放した。 岩は父の背中だった。 その後の初年兵の恐怖の体験については教えてくれなかった。 |
|
對抗野球で 石井中イと犬 2ページに出ていた石井第二小隊長も 中尉に昇進し ご健在でした。 ヒゲを生やし、日焼けして格段にたくましくなられています。 野球の対抗試合とは のどかなものですな。 |