『父と戦争』
page 15
7月中旬 沁水での出来事 大降雨の為 沁河増水 河岸の車廠馬繋場 水びたしとなり 島となって孤立す。 車廠場内の兵を搬出の為 電話括車をハンマー流に 中州となった車廠中に投擲して電線に綴けた 馬繋索を結ばせて岸に引きよせる 綱を張る以前に渉ろうとした兵一名(植木一等兵、能生)流失す。 下流4粁附近に死体上がり 西山上等兵(班長)埋葬して帰隊す。 |
この話は何回か父から聞いた記憶がある。 部隊の性質上戦闘による戦死者は無かったが、ただひとり この兵隊が父の管轄下での死者だったとか。 アミダにかぶったヘルメットの中に濁流が入り、首を引っぱられる様に流されていったという。 余程悔しかったのだろう「あれほど言ったのに・・・バカが・・・・」と言葉を切った。 当然、父が戦死の報告を父母に書いたのだろう。 |