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コメント 蕎麦が好きな私。そのことを知って、掲示板やDMで何人かの方から紹介を受けたお店です。家族で行ってきました。 場所は、多摩区の合同庁舎の近所です。駐車場が1台だけ、近くのガラス屋さんの隣にあります。行ったのは夜の7時過ぎ。8時までの営業時間と言うことを忘れていました。危ない所だった。 お店の構えは趣のあるもの。短パンにポロシャツと言うラフな格好では、ちょっと気が引けた。店内も、近代的ではあるが落ち着きのあるもので、ジャズがあいそうなもの。 テーブルが3つと変形カウンターが2つ。17人程度の収容力。先客が2人、初老の夫婦である。出し巻き卵を肴に、地酒を楽しんでいる。いいな〜。ああ言うの。歳を取ったらあんな夫婦になりたい。 さて、我が家の方は、そんな余裕はない、雰囲気より食い気なのである。席に着くなりメニューを引っぱり出して、何を食べるかあれこれと考え出す。 ここの基本の蕎麦は、2番粉の並蕎麦と、1番粉を使ったさらしな。共に10割蕎麦で、産地は北海道と福島が中心。本日のものは、北海道の斜里の物でした。お店にある石臼を使った自家製粉です。蕎麦に限らず、素材は厳選されているようです。ワサビは天城から、辛味大根は、信州の農家からそれぞれ取り寄せているとの事。 私は、穴子天せいろを食べました。さて、感想です。 麺 並蕎麦の方を食べました。 細切りです。均一な幅に切られた蕎麦は、仕事の丁寧さがわかります。麺の角が立っている。ただ、出てきた蕎麦には艶がなかった。原因は2つ考えられます。1つは、天ぷらの出来上がりを待ったために、茹で上がりから時間がたってしまった事。もう一つは、この時期の生粉打ちと言うこと。 天せいろ。天ぷらと蕎麦は同時に出てくる必要はないと思っている。いや、同時に出てくると、こっちが困るのである。それぞれ揚げたて、茹でたての物を食べたいが、同時に出てくるとどちらかを食べているうちに、もう一つは最良の状態ではなくなってしまう。天ぷらを堪能した頃に、茹でたての蕎麦は出てきてくれた方がありがたい。 特にここの様に、一人で料理をやっている所では、同時に出せばどちらかは最良の状態ではなくなっているのである。ここの場合は蕎麦が茹で上がってから天ぷらの方を作った訳で、蕎麦はその間待たされている。その分、蕎麦が伸びて艶がなくなっているのである。 もう一つ。この時期の十割蕎麦には、やっぱり無理がある。新蕎麦の時期なら蕎麦は簡単につながるが、この時期のなるとそば粉の結びつきは弱く、蕎麦の含水率は低い。生粉打ちの蕎麦は水を吸うのである。結果として表面の艶がなくなる。 蕎麦の香りは弱く、腰もあまり強くない。十割にこだわる理由がわからなかった。この時期でも十割蕎麦で新蕎麦に近い物を出す店もある。でもこれは例外と呼ぶ方がいいと思う。 私は、十割であることより、腰のある食感と、喉越しの滑らかさを選ぶ。 もんくは書いてますが、レベルは高いですよ。 つゆ 良質の鰹を使ったものです。本返しで、味は辛目。透明感のある味のつゆです。香りも良く、後からそば湯を加えた時に広がる香りは気持ちの良い物でした。 ただ、その量があまりに少ない。質の良いせいろなら、つゆはなくてもいい。水蕎麦なんてものがあるくらいですから。でも、種物を一緒に食べるときには、つゆはたっぷり欲しい。 つゆを天つゆとして使った後に、天ぷらの油と種の味が溶けだしたものに蕎麦をつけて食べるのが、天せいろ。ここのは、天ぷらをつけた時点でつゆがなくなってしまうほど量が少ない。おろし蕎麦を食べたかみさんもつゆが少なくて苦労していた。 種 穴子は、大きなものが一匹そのまま天ぷらになってます。穴子のみずみずしさも、味の濃さも合格。うまかった。ワサビは砂糖を加えて鮫おろしで擦った物でしょう。辛味がしっかりと出ています。 かみさんの食ったおろし蕎麦のネズミ大根も、良質のもので辛味もかなり強かった。これもくせになりそう。 この時期の蕎麦で、十割蕎麦を評価するのはかわいそうかも知れない。でも、1年を通して蕎麦を提供している訳で、どんな時期でも楽しめる蕎麦を出してもらいたい。種物とそばの融合と言うか。蕎麦が不味い時期なら、蕎麦以外の部分で、料理としての完成度を上げてもらいたいと思う。 新蕎麦の時期に、是非もう一度行ってみたいと思うお店でした。 |