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コメント ちょっとしたお祝い事。友人に夕食をおごる事になった。自分が食べて美味しいと思うお店に連れて行く事にする。その方が自分も楽しめるし、相手だって喜んでくれる。 貧乏人の財布には厳しいが、奮発して食べに行ってきました。 場所は福生市。「多摩自慢」と言う日本酒や、地ビールを作っている「石川酒造」と言う会社が経営するお店です。石川酒造に関しては、HPをご覧下さい。 私が初めてこのお店の行ったのは、4年ほど前です。HPを始めて、いつかはレポートしようと思っていたのですが、やっと実現。って、事は、HP始めてからは行っていなかったと言うこと。バブルの時期に出来たお店だと思いますが、今が心配でした。 お店の外観は、昔と変わっていませんでした。教会の様な白壁に洋風の構えですが、どことなくなまこ壁の土蔵を想像させるような外観。入口の上部には、造り酒屋のマークとなる「さかばやし」と言う大きな「すぎ玉」がぶら下がっています。 ちょいと脱線しますが、この、「さかばやし」って、何で造り酒屋の前にぶら下がっているか、ご存じですか? よく言われるのは、新酒が出来ると新しい「すぎ玉」を軒下にぶら下げて、みんなに知らせたと言う話。これは事実なのですが、もっと実用的な理由もあったそうです。 日本酒は、昔は杉樽の中で作られました。日本酒は発酵酒です。米に菌を加えることで発酵させて、糖分をアルコールに変える発酵をさせる。この発酵過程においては、発酵が促進される湿度、温度の環境を作るわけですが、この環境は、悪玉の雑菌にとっても、快適な環境であり、雑菌が混入すれば、発酵ではなく腐敗が始まることになります。 杉には、「フーゼル油」と呼ばれる揮発性の油が含まれており、この油は、悪玉菌による腐敗を押さえる効果があるそうです。杉樽を使ったのは、このフーゼル油の効果を期待した為です。 雑菌の混入が無いように醸造をする訳ですが、何かの理由によって雑菌が入って、杉樽から染み出るフーゼル油の力だけでは押さえきれずに腐敗が始まりそうになった時に、「すぎ玉」を樽の中に入れることで、腐敗を押さえたそうです。そんな訳で、酒の仕込みが始まると、造り酒屋の軒先に、「すぎ玉」がぶら下がるようになったとか。 ちなみに、酒蔵が女人禁制であった理由の一つは、衛生状態の悪い時代において、生理のある女性は、雑菌を持ち込みやすいと考えられていた為の様です。 もう一つ脱線。日本酒は、悪酔いすると言われます。この原因は、日本酒が蒸留酒ではなく、雑物がいろいろ混入している為と言われます。それ以外にも理由があって、前出の「フーゼル油」が、頭痛の原因になるそうです。「フーゼル油」は揮発性の高いもの。加熱すれば、飛んでしまいます。 日本酒が、世界でも数少ない「おかん」して飲む酒になったのは、この「フーゼル油」の為だったと言う説があります。 話を元に戻しましょう。 お店の入口には黒板に、お勧めのメニューが掲げられていました。昔はこんなのなかった。さらのその内容を見ると、パスタやピザなどイタ飯系のメニューが列んでいた。ここで不安が(^_^;) なんでフランス料理店にイタ飯メニュー??? 電話で予約してしまったし、不安を持ちつつも店内に入る。お店の中も昔のまんま。洋風の構えではありますが、どこかに昔の日本を感じさせるもの。土蔵の中の雰囲気があります。夜しか来たことがないのですが、外部から太陽の明かりを取り入れる部分が少なく昼間でも土蔵の様な雰囲気になると思う。。でも、テーブルや調度品は、ヨーロッパのアンチークを感じさせるもの。 GW明けと言う事もあるのでしょうか。客数は少なく、我々以外に、5人。余裕のあるレイアウトの店内は、寂しい感じがしました。 出されたメニューの眺めると、昔に比べてディナーセットのメニューはずいぶん安くなった。昔は、最低6千円で、あったと思うが今は一番上が6千円。ここに来た目的はコースメニュー。一番高いコースメニューにする。メニュー見渡して食べたくなった、エスカルゴも追加。 店員の対応はいい。メニューの説明もしっかりしている。食べ物に対しての質問も即答だった。 ディナーBの内容は、先出し、前菜、魚、肉、デザート、コーヒー、パン。 久々の、レストランでの食の感想。、まともに書けるかな? って事で、感想です。 先付け 前菜の前に一品。先付けとして出てきたのは、ミートパイ。 牛肉は、ミンチャーで作った物ではなく、包丁で刻んだもの。これに野菜が加わりトマトソースとフォンドボーで煮込まれたもの。バイ生地は、ぱりっとしたものであった。パイの部分はサクサク感があり、軽い感じでこれもいい。 しかし、これどうやって暖めたのだろうか?一人分を切り分けで出てきたが、たった二人分を毎回焼いていたら、ずいぶん無駄が出るはず。 電子レンジ? いや。表面のパリッとした食感は、焼き直して出来る物ではないと思う。不思議。 前菜までの時間稼ぎと言うかんじだから、まあいいか。 前菜 子羊の肉(部位を教えてくれたのだが、忘れてしまった)と、キノコをジャガイモで包んで焼いた物。 ジャガイモは、カッターで細かい千切りにされたもの。たぶんセルクルにジャガイモを敷き、キノコ、子羊の肉を置いて、その上からまたジャガイモで包んで、オーブンで焼いたものであろう。 ジャガイモは、泥臭さがない。たぶんいったん水にさらしたか、軽く茹でたもの。 ソースは、バルサミコとフォンドボーを使った物だった。子羊の肉はうま味をジャガイモに与えてしまって、ちょっと味が薄かったが、柔らかくてなかなか良かった。 スープ セロリのグリーンスープ。 緑色の野菜と牛乳や生クリームで作るグリーンスープはいろいろ飲んだが、セロリの物は初めてだった。 冷製のスープが出てくると思っていたが、出てきてスープは火傷するほど熱いもの。 考えてみれば、冷製にしたら、セロリ青臭さが出て、食える物ではなくなってしまうかも。熱くはあったが、野菜の香りと味を生かしたスープでなかなか良かった。 魚 真鯛のポワレ。 鯛の下には、赤と黄色のパプリカ、ピクルス、ブラックオリーブなどの荒みじんが炒めたものが敷いてある。 鯛の上には、香草の類が少量。周りには、筍の唐揚げが飾られる。 味付けは、塩のみ。ただ、ピクルスの酸味とオリーブの味がアクセントとなっている。 鯛は、ちょっと火が通りすぎていたが、ソースを使うことなく、野菜の味で楽しませてくれる一品であった。筍の唐揚げは初体験。アクもなくこれは、すばらしい付け合わせでした。 肉 本日のメインディッシュは、黒豚の蒸し物か、牛フィレのステーキ。 友人は、黒豚、私はステーキにした。 フィレステーキは、2センチほどの厚み。そんなに大きなものではない。肉質もそんなに良くないが、値段から考えると相応のもの。付け合わせはジャガイモとベーコンのキッシュと、茹でたブロッコリー、人参のグラッセ。 キッシュは新ジャガでベーコンとのコンビネーションは良かった。ジャガイモをオーブンで焼いたものとか、マッシュなんかより手間かけている。こう言う付け合わせは好き。ブロッコリーの茹で加減は最高。人参のグラッセは、甘みは弱いが、人参の臭みがなくていい。 ソースが不思議であった。見た目も香りも赤ワインのソースなのだが、甘いのである。砂糖などの甘みではない。 どんなソースなのかわからなくて、聞いてしまった。 「赤ワインとフォンドボーのソースです」と即答される。「でも、この甘みは??」と聞き返すと、甘みの強ワインを使っているとの事。フルーティーで甘みと酸味が混在するこのソースは、初体験のものでした。 笑えたのは、黒豚の方。 出てきた途端に、八角の香りがする。煮込んだ大根の上に置かれた黒豚のバラ肉は、トンボーロ以外の何者でもない。まさかと思いつつ、「スープはコンソメ?」って聞くと友人の答えは「醤油」。 フランス料理のお店で、これをメインディシュにするのは、反則技だろうと、友人と笑ってしまった。 一口食べさせてもらったが、トンボーローとしての出来はいい。脂の処理もいいし、肉のジューシーさも絶妙のもの。 デザート クリームチーズのスフレ、マンゴのゼリーとイチゴのムース、パッションフルーツのシャーベット。 昔は、ここのデザートはワゴンに多種のデザートが出てきて、好きなものを好きなだけ選べる形式になっていたのですが、今は決まったものが皿に乗って出てくる。量は多めなのだが、昔の方が選べる楽しみがあった。 デザートは、平凡なものだった。このお店の弱点と思えるところです。 いつもの様に、いろいろ文句を書いたけど、6000円のコースとしては、十分に満足の出来るものだと思う。 そして、このお店の最大の特徴は、野菜の扱い方だと思う。このお店の場合、コースにサラダがない。でも、それぞれの皿の中に、野菜がしっかり生かされています。 どれも付け合わせではなく、メインの素材を引き立て、野菜自身を楽しませてくれる物になっています。 多摩のフランス料理屋の中では、お勧めのお店なんですよ。 気になっていたイタ飯系のメニュー。 自宅に戻って、石川酒造のHPを見てみると、このお店は3月にリニューアルオープンしたとの事。ディナーの価格設定を下げて、アラカルトの方にイタ飯のメニューを追加したと言うのがリニューアル? パスタ、ピザなどのメニューも試してみたくなった。 |