No.25
手打そば車屋(98/10/26)
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コメント さて、今年もそばの季節。書こう書こうと思いながら、なかなか書けなかったお店。 場所は、野猿街道沿い。鉄道の駅からは遠くなります。車が便利な場所です。 雑誌等でも紹介されているので、ご存じの方も多いでしょう。 多摩界隈では、かなりのレベルの手打ちそばやだと思います。 残念ながら、新そばには間に合いませんでした。 ここは、会津あたりのそばを使っているそうです。新そばに切り替わるのは、早くても11月の中頃からになるそうです。今年は、夏の悪天候が影響しているようで、そばの出来が心配です。 新そばが楽しめないなら、ちょっと変わったそばを楽しもうと言うことで、今回は種物と、柚の入ったそば、それにそばがきと、だし巻き玉子を食べて来ました。 4品を注文した時に、「卵焼きとそばがきを先に」と言うのを忘れた。 でも、この店では、そんなこと言う必要はなかった。ちゃんとそばがき、卵焼きの順番で出て、そばまでは時間をおいてくれました。 最初には煎茶。卵焼きとそばの間には、番茶が出て口直し。気配りがあって、自然にそばが楽しめるいいお店です。 1つ目は、そばがき。ここのそばがきは、絶品と言っていい。新宿の「たけがみ」(今は、中央区に移転したらしい)といい勝負。 そば粉を水に溶いて、火にかけすりこぎでこねて行くタイプ。コネあがった後に茹でることはしません。 火加減と、コネ方が非常に難しいんですよ。この方法。でも、熱湯をそば粉に注ぐ方法や、混ぜてから茹でる方法に比べると香りが強く、うまくできた時には、木目が細かくて口のなかで心地良く溶けるようなそばがきがになります。 薬味はなし、土佐醤油(薄口醤油をだしで割ったもの)のみでいただきます。でも薬味なんて不要。醤油がなくても食べられるほど美味しかった。 2つ目は、だし巻き玉子。 そばのうまい店。だし巻き玉子も美味しい店が多い。ここの卵焼きもなかなかでした。食べた時に口の中に広がるだしの香りと味。そばやならではの卵焼きでした。 薄く焼いて何度も巻いたもの、丁寧な仕事がわかります。希望を言えば、私はもうちょっと生に近い物の方が好き。でも、コレは本当に好みの問題でしょう。 後は、種物の(暖かいそば)のきのこそばと柚切り(冷たいそば) 天然きのこと銘打っているだけあって、きのこの香りもあじもよかった。 きのこそばの麺は太め、田舎風の力強い麺でした。この時期のそばなのに、香りも十分。つゆは、ちょっと甘め、鰹だしの利いたもの。 柚きりは、更級粉85%につなぎ15%(これ以外のそばは、全部そば粉100%)のもの。 柚の香りはきつすぎず、更級の甘みも十分に出ていました。そばの腰もすごい。しゃきっとして、喉ごしがいい。つゆは甘め。だしは非常に強く出た物です。 そば湯で割ってみるとわかります。少量の付け汁を、そば湯でわっても、だしの味は十分に感じられます。そば湯で割った物に少量の薄口醤油を入れれば、関西風のうどんのつゆして使えそう(こういう表現はよくないかな?)。 ざるそばの付け汁は、もっと辛かったような気がする。更級のそばには、つゆを変えている様です。 べたほめの感もありますが、多摩で食べられるそばの内では、間違いなく一級品でしょう。 サービスも含めいて、いい店だと思います。 今回は食べませんでしたが、鴨も美味しいです。そして、お勧めは、期間限定の水そば。いい水とそば粉がなければ楽しめないもの。うまいそばは、水だけでも食べられると言うのが、よくわかると思います。量は非常に少ないし、淡泊な物なので、他のそばと一緒に頼んだ方がいいと思います。 このお店、そばを出す母屋の他の、製粉、そば打ちの為の離れがあります。 昔、平日にそばを食べに行ったとき、離れの柱を磨いているおやじがいました。たぶん店の主人だろうと思って、「私、自分でいたずらにそばを打っているんですが、なかなかうまく出来なくって....」と話しかけたら、そのまま、1時間近く話込んでしまったことがある。 そばについて、論理的にまた、史実を含めて、いろんな事を話してくれました。そば屋の主人より、大学の講師でもやった方がいい様な人。そばに対するこだわりは、尋常ではない。 兎に角、一度お試しください。私の味覚や嗅覚が正しいか、おおぼけか。判断の材料として使ってもらうのにいいかもしれません。 |