「ふう、ただいま〜」
【ただいま戻りました】
「おかえりなさい、兄さん。アリエスさんも」
少々急ぎ足で小日向家に帰って来ると、妹のすももが玄関先まで雄真とアリエスを迎えに出てくれた。
その身に制服を纏っている辺り、目を覚ました後でもきちんと学校に行ったようだ。
自分なら問答無用にサボってしまうのにと考えつつも、雄真は真面目な妹に声を掛ける。
「どうだ、すもも。頭は痛くないか?」
「はい、平気です。・・・あの、兄さん。朝のこと、ごめんなさい」
朝のことというのは、おそらく酔って雄真に絡んだ事を指しているのだろう。すももがしゅんとした様子で頭を下げる。
「気にすんなって。でも珍しいな、すももが料理で失敗するなんて」
【雄真さん。料理とお菓子作りは似て非なるものなんですよ?】
「アリエスさんの言うとおりですよぉ。それにウィスキーボンボンは初めて作ったので、味見を繰り返している内に・・・」
「酔いが回って、味見の手も止められなくなったと」
「うぅ・・・ごめんなさい」
「こらこら、だから落ち込むなってーの。俺のためにチョコを作ってくれたのに、責められるはずはないだろ?」
雄真は苦笑しながらそう言うと、慰めるようにポンポンと彼女の頭を数度撫でる。
「あっ・・・えへへ」
「それに、魔法を使ったおかげで比較的楽に済んだしな」
「そうだったんですか。起きた時にベッドの上だったから、ちょっと驚きました。それも魔法で?」
「悪いな。まあ勝手に部屋に入るのはまずいと思ったけど、今日は緊急事態だ」
【それに、すももさんを部屋まで運んだのは魔法の力ではなく、雄真さん自身ですよ?】
「えっ!あわわっ、兄さん!私、重くなかったですか!?」
すももはアリエスの言葉を受け突然慌て出すと、飛びかからんばかりの勢いで雄真を問い詰める。
「ちょっ、近いって。それにお前、どう考えても重い体型じゃないだろうが。むしろ軽すぎて心配しちまったくらいだぞ?」
「そ、そうですか・・・。じゃあ魔法っていうのは?」
【睡眠と、アルコールの分解です。二日酔いにならなかったようで、安心しました】
「そうだったんですか。ありがとうございます、二人とも」
「いいってことよ。そういえば、俺宛てに荷物届いてなかったか?」
「あっ、来てましたよ。兄さんのお母さんからだったので、お部屋の方に入れときましたけど」
どうやら、魔道書は既に届いているようだ。早く読みたい衝動に駆られた雄真は、まだ脱いでもいなかった靴を並べ、二階へと続く階段を目指す。
「サンキュ。とりあえず、俺は上にいるからまた晩飯の時に呼んでくれ」
「はい♪今日はお詫びとお礼も兼ねて、コロッケを作りますね」
「マジか!?楽しみにしてるぞ」
そう言い残して、雄真は二階の自室へと上がっていく。
既に彼の頭の中は、魔道書のことと今日の晩御飯のことでいっぱいであった。
はぴねす! SS
「Secret Wizard」
Written
by 雅輝
<6> 過去の選択
夕食を食べ終えた雄真は、すももの作るコロッケ――その名も「すももコロッケ」の余韻に浸りながら、母から送られた魔道書を読み耽っていた。
流石は超一流の魔法使いである母によって選出された魔道書。その内容は非常に細かく、しかしながら分かりやすい。
今回の本の内容は、「制御と魔具の関連性」。魔具の代表格といえるマジックワンドを主体に、様々な観点から考察、記述してあった。
「しっかし・・・改めて思うと、本当にアリエスは特殊な存在なんだなぁ」
【どうしたんですか? いきなり】
キリの良いところで一度栞を挟んで、本を机の上に置く。そしてベッドに寝転ぶと、そのまま右手を翳して待機状態であるアリエスを見つめる。
形状変化と、単独魔法使用。本来ならそれは、魔法の名家の式杖レベルにしか成しえない、いわばマジックワンドにとっては理想とも言える能力だ。
特に単独の魔法使用は、色々と便利なところも多い。それは戦闘に限らず、日常生活においても咄嗟の判断が迫られるとき、ワンドがその状況を打破できる可能性があるからだ。
それは、今日の放課後に起きた杏璃の魔法暴走の件にしてもそう言えるだろう。あの時、駆けてくる二人の姿を見た雄真は、防御魔法の生成をキャンセルした。完全に無防備なその状態で、あのClassC相当の魔法をまともに食らえば、下手をすれば大けがを負っていたかもしれない。
結果的にかすり傷一つ負わなかったのは、ひとえにアリエスの抵抗魔法のおかげである。
「しかも、アリエスは最初から使えたもんなぁ」
【それは自分でも不思議なのですが・・・おそらく、生成時に雄真さんの膨大な魔力が流れ込んだ結果、能力が付加したものだと思われます】
「ああ、母さんも同じようなことを言ってたよ。正直、俺にはもったいないくらいなんだけど・・・これからも、宜しくな」
【はい、もちろんです。我が身は、いつまでも雄真さんと共に】
「・・・ああ、サンキュ」
相棒の頼もしい言葉に顔を綻ばした雄真は、不意に目に入った時計の文字盤に声を上げる。
「おっと、もう11時か。そろそろ風呂に――――っ!!!」
独り言のように呟こうとした雄真の言葉も、遠くから聞こえてきた妙な音に遮られた。
いや、正確に言えば、その音と共に感じた「巨大な魔力」に、か。
【マスター。二つの膨大な魔力と、その衝突を感知しました。一つは・・・魔力の波長からして、おそらく小雪さんかと】
「小雪さんだって!?・・・いや、逆に言えば、あんな魔力は小雪さんクラスじゃないと出せないか。場所は?」
【この家より北西の方向。・・・どうやら、瑞穂坂学園の方向のようです】
「学園?こんな時間に・・・。気にならないって言ったら、嘘になるな。アリエス、早速だけど宜しく頼む」
「はい、行きましょう。マスター」
雄真は上に一枚羽織ると、音羽に一言告げてから家を飛び出す。
「・・・この時間帯なら大丈夫か。アリエス、身体強化。足だけでいい」
【はい。ディ・ラティル・ファルナス】
”フィーン”と、肉眼では判別し難い黄色の光が、雄真の足を包むようにして灯る。これでいつもより、数倍は早く走れるようになるのだ。
勿論、ワンド状にしたアリエスに乗って飛行魔法で向かう方が早いのだろうが、先ほどの騒ぎで人が出歩いているとも限らない。
しかし身体強化による全力疾走なら、見られてもあまり不審がられることもないし、ましてや魔法使いだとバレることもない。
「うしっ!」
雄真は一声自分に対して掛けると、目的地である学園まで、静かな町中を自動車並の速力で駆け抜けるのであった。
「こりゃ・・・酷いな」
幸いにしてほとんど通行人のいなかった通学路を駆けてきた雄真は、当の瑞穂坂学園の校門の前に立ち尽くして呆然と呟いた。
彼の目の前には、昼までとはまるで違う光景。その半分以上が崩れ落ちた、魔法科の教室棟があった。
パラパラと、今だに瓦礫の崩れる音が聞こえるそこは、まるで地震などの天災によって倒壊した家屋のようだ。
今思えば、先ほど聞こえた音は爆発音だったのだろう。とはいっても火の手は見えないので、ガス爆発などの類ではなさそうだ。
『さっきアリエスが感じた、魔力の衝突ってやつか。それにしては規模がでかすぎないか?』
【確かに・・・しかし、それ以外に原因が考えられないのも事実です。けれど、これではまるで・・・】
周辺に、人影はなかった。後数分もすれば野次馬が集まってくるだろうが、当事者である魔法使いはどこにも見えない。
これだけの爆発の中、どこに消えたのだろうか。
『ああ。まるで・・・「校舎を壊すことが前提だった」かのようだな』
あくまで推測の領域を出ない考えだが、あながち間違いとも言い切れない。
そもそも魔法科の校舎棟というものは、他の校舎に比べると綿密に抵抗魔法が施されているのだ。それが、魔力の衝突によって起きた余波で、ここまで壊滅するだろうか。
だとすれば、その魔力の衝突さえ、当事者にとっては予定調和だったのではないだろうか。
『・・・まあここで考えてもしょうがないし、母さんのところでも行ってみるか』
【そうですね。何か知ってらっしゃるかもしれません】
雄真は監視の目を気にしながら敷地内へと忍び込むと、母の研究室がある校舎へと足を急がせるのであった。
「久し振りだな、ここに来るのも」
【はい。今回で通算四度目ですね】
母の研究室を前にして、雄真は真剣な面持ちでドアをノックする。
ちなみにドアをノックせずに部屋に入ろうものなら、すぐさまトラップの転移魔法で校舎裏の池に落とされる。実際雄真も、初めてここに来た時にそのトラップの精度は経験済みなので、それ以来体に染み付いた動作であった。
”コンコンッ”
「どうぞ〜」
聞こえてきた間延びした返事に、雄真は「失礼します」と前置いてドアを開ける。
綺麗に整理整頓が行き届いた部屋。その中央のデスクには――。
「いらっしゃい、雄真くん。そろそろ来ると思っていたわ」
見た目ではどうしても二十代にしか見えない美貌を持った、雄真の母――「御薙 鈴莉」が穏やかな微笑と共に座っていた。
御薙鈴莉は、雄真の実母に当たる人だ。音羽が育ての親ならば、鈴莉は生みの親ということになる。
三十代にして日本に数人しかいないClassSSの魔術師であり、これまでの魔法の常識に縛られない柔軟な発想で、数々の魔法式や理論を提唱してきた、魔法界では「大魔法使い」と呼ばれるほどの実力の持ち主。
雄真が小日向家に預けられた経緯に関しては、鈴莉にどうしても成さなくてはいけない研究が出来たからだ。そして、研究と子育ての両立は難しいと悩みぬいた結果、彼女は親友である小日向音羽に自分の息子を託した。
一見すれば冷たい選択だと取られてしまうかもしれないが、それは心から雄真の事を想っての行動。元々シングルマザーであった鈴莉にとって、魔法の研究によって雄真に接する時間が大幅に減るのは目に見えていたからだ。
だからこそ、温かい家庭ですくすくと育って欲しかった。とはいっても、一時的に「家族」でなくなっただけであり、雄真と鈴莉の関係は魔法の師匠と弟子という形で続いているのだが。
「母さん、あれはいったい――」
「まあまあ、とりあえず座って。コーヒーでも淹れるわ」
暗に、話が長くなると言われているのだろう。雄真が鈴莉の言葉通り近くにあった簡易椅子に腰を下ろすと、すぐにコーヒーが運ばれてきた。
「どうぞ」
「ありがとう、母さん」
そしてカップに口を付け、一息つく。ふと窓の外を見てみると、案の上学園の周辺は野次馬によって囲まれていた。
遠くから、サイレンの音も聞こえてくる。救急車と消防車だろうか。しかし目の前の母が落ち着いているということは、少なくとも巻き込まれた人はいないようだ。
「もう大丈夫だよ。・・・母さんは、どこまで知ってるの?」
「そうね・・・それじゃあ先に、雄真くんの考えを聞こうかしら。私がそれに対して、足りない部分を説明をしていくわ」
逆に意見を求められ、若干面を食らう雄真。しかし鈴莉の表情に、試されているのだと感じた雄真は、頭の中で出来事を整理しながら口を開く。
「・・・まず校舎の倒壊の原因は、大きな魔力同士による衝突。二つの魔法反応の内、一つは小雪さんのようだから、少なくともただの喧嘩なんかじゃない」
「そしておそらく、今回の倒壊は偶然じゃなくて故意。いくら魔力の規模が大きかったとしても、俺やアリエスの感じた魔力程度の余波じゃ、魔法科の校舎は壊せない」
「だから、あの魔法――使ったのは小雪さんだと思うけど、あれは校舎の破壊を前提に置いた魔法」
「それに対してもう一人の術者が対抗しようとした結果、魔力は更に拡大して、結果的にあそこまでの被害になった・・・ってところかな?」
雄真は語り終えると、そっと鈴莉の方を見た。その表情は、悪い意味ではなく驚いているようだ。
「・・・流石ね、雄真くん。なら、どうして小雪さんが校舎を壊すような魔法を使ったかについては?」
そこで、また雄真は考える。雄真の知っている小雪は、どう考えても理由なしにそんな事をする人物ではない。そこで考えられるのは・・・。
「・・・あくまで仮説だけど・・・そうせざるを得ない状況だったんじゃないかな」
「たとえば?」
「・・・校舎に忍び込んだ魔法使いがいて、小雪さんはそれを迎撃するために待っていた。でもその魔法使いの実力が予想以上に高くて、追い詰められた小雪さんは侵入を許すくらいなら、と校舎の破壊を選択した・・・流石に突飛すぎるけどね」
「・・・本当に、いつの間にこんなに頭が回るようになったのかしら」
「色々と考えることが多いからね。ってことは、もしかして当たり?」
「ええ、半分は当たりってところかしら。校舎に忍び込んだ人がいたのは事実。小雪さんがその人物と対峙したのも。でも、あの校舎には何もないわ。だから小雪さんが校舎を破壊してまで侵入を拒む必要はないの」
「・・・もしかして、先見?」
「そう、小雪さんが今夜、あの校舎にいたのも。ある人物と対峙したのも。そして校舎が破壊されるのも、全て小雪さんが見た未来よ」
そこまで聞かされた上で、雄真が疑問に思ったのは、そこまで力を持った魔法使いのことだ。
話から察するに、鈴莉はその人物のことを知っているようだ。ならば、不法侵入ということで警察にでも訴えればいい。
それをしないということは、少なくとも双方が警察の介入を望んではいないということ。・・・いや、警察の力ではどうにもならないことか。
ふと雄真の脳に、昨夜の記憶が蘇った。深夜のコンビニに行く途中に出会った、銀髪の少女。彼女の行き先もまた、瑞穂坂学園だったはずだ。
雄真の頭の中で、徐々にパズルのピースが組み合わさっていく。
「・・・ねえ、母さん」
「なに?雄真くん」
「もしかして、だけど。今回の事件って、十年前にゆずはさんが予見した「瑞穂坂の大災害」に関連してるんじゃない?」
「――っ・・・どうして、そう思うの?」
「侵入者の迎撃に、小雪さんが学園にいたこと。いくら小雪さんの魔法使いとしての能力が高いと言っても、そういうのは本来は母さん達の仕事だろ?」
「小雪さんが残ってたのはおそらく、母であるゆずはさんが予見したことだから。それだけじゃないかもしれないけど」
「後、これは偶然なんだけど・・・昨日、真夜中に面白い人に会ってね。学園への道を尋ねられたんだ」
「面白い人?」
「そう。頭髪の色に変化を及ぼすほどの特殊な魔力を有する一族・・・式守家のお嬢さんさ」
「・・・」
「確か高峰家も、式守家とは懇意な関係だったはずだ。だからこそ、侵入者である式守に、小雪さんが立ちはだかった。・・・違う?」
「・・・ふふふ。まさかここまで気づかれてしまうとはね」
口調こそおどけているが、鈴莉のその表情は、息子の成長を心から嬉しく思っている一人の母親のソレだった。
「だったら、これからはもっと正体については気をつけなくちゃいけないってことか」
「ええ。一般の人ももちろんだけど、特に式守さんとその関係者には決してバレちゃ駄目よ?」
「分かってるよ。ここでそんなヘマをしたら、何のために今まで正体を隠してきたか分からないからね」
「そう・・・ね」
雄真の言葉に対して、鈴莉は苦々しげに同意する。
そう、それこそが、彼が魔法使いである身分を隠す理由。
ゆずはによって予見された大災害。ゆずははその発生と同時に、その事件においてターニングポイントとなるであろう人物も予見していたのだ。
それこそが、大魔法使い御薙鈴莉の嫡男にして、その才能を色濃く受け継ぐ、小日向雄真であった。
そして同時に、雄真こそがその事件を解決に導ける唯一の人物であり。だからこそ、ゆずはの細かい先見情報を元に、鈴莉は雄真に正体を隠すように諭した。
敵側に悟られないように動ける人物こそ、今回の事件では必要だったから。
「・・・母さんは、後悔してる?」
雄真は沈痛な面持ちになった鈴莉に、そう訊ねた。
「していない・・・と言えばウソになるわ。何よりも雄真くんのことを考えれば、とても窮屈な思いをさせているのは分かってる」
「でも、ここで私が後悔したら、それは雄真くんに対してあまりにも不実だわ。私が決断したことなのだから、最後まで責任は負います」
「うん、それでこそ俺の母さんだよ」
そう言って、雄真は笑う。誰よりも苦しかったはずの息子の微笑みに、鈴莉は母親として柄にもなく涙が零れそうになった。
「それで、俺は具体的には何をすればいいの?」
「・・・そうね。おそらく、敷地内の見回りをお願いすると思うわ。主に、森のね」
「森って・・・学校の裏手にある森のこと?なんでまた・・・もしかして、式守側の狙いはそこなのか?」
「そう、今はまだ詳しくは言えないけれど、最終的に絶対にそこは狙ってくるはずよ。だから、なるべく誰にも気付かれないように警護して欲しいの」
「りょーかい。・・・そういえば、学校はどうなるの?」
鈴莉との会話にはあまり話題に上らなかったが、魔法科の教室棟は過程がどうであれ、半壊してしまっているのだ。
「たぶん、明日から一足早い春休みになると思うわ。復旧作業もあるし、トラップとかもあの周辺のは一通り反応して消滅しちゃったから」
「なるほど。それじゃあ、また詳しいことは新学期かな」
「ええ。・・・あら、もう帰るの?もう少しゆっくりしていけばいいのに」
「うーん、そうしたいのはやまやまなんだけど、音羽かーさんに一声しか掛けてないからさ。また今度にしとくよ」
「それじゃあ、また」と、雄真は部屋を出ていく。鈴莉はその背中を見送ると、誰もいなくなった自身の研究室で人知れずため息を吐いた。
「・・・本当はね、雄真くん。私は過去の選択を、後悔しなかった日なんてないのよ?」
それは、小日向家に預けたことににしてもそうだし、雄真に正体を隠すように厳命したことに対してもそうだった。
彼の魔法のセンスは、自分の全盛期を遥かに凌ぐ。今はただ、膨大すぎる魔力に翻弄されているだけ。
先ほどの考察にしてもそうだ。あれだけの情報を元に、しっかりと正解を導き、あまつさえ過去の先見との関連性も示唆した。
もし自分が研究者としてではなく、魔法使いとしてではなく、一人の母親としての選択をしていれば・・・もしかすると彼は、今頃全国に名を馳せる魔法使いになっていたかもしれない。
少なくとも彼にとっては、今の人前での魔法が封じられているという窮屈な生活より、断然良いものであることは間違いない。
「ごめんね・・・雄真くん」
鈴莉は自分にはもったいないと感じるほどの息子のことを想いながら、少しだけ涙を流した。
7話へ続く
後書き
6話掲載!今回は、いよいよ鈴莉お母様に登場願いました(笑)
まあ文中でも説明しております通り、原作の設定とは若干違っています。鈴莉は確かに雄真を小日向家に預けましたが、雄真が魔法使いへの道を諦めなかったので、彼女が雄真の師匠として魔法のコーチをしてきました。
とはいっても、彼女も研究がある身なので、直接指導するのは月に一度くらいのペースだったのですが。なので、雄真の魔法は鈴莉の魔法式をベースとしつつも、ほとんど我流として昇華してしまったということなんですねぇ。
さて、それはともかくとして。今回でようやく一段落。7話からは、新学期が始まります。・・・しかし、2月13日と14日だけで、6話も使ってしまうとは・・・(汗)ん〜、大長編の予感。
それでは、また7話で会いましょう!