『解かれた魔法 運命の一日』〜第43話〜
投稿者 フォーゲル
“ドガッ!ズガッ!ズドォォォン!!”
俺の周りに魔法弾が着弾する。
その魔法弾から俺は身を交わす。
「クッソ〜ダメだ。スキが無い・・・」
『和志!一旦落ち着いて、体勢を立て直した方がいいわ!』
「分かってるけど・・・」
レイアの声に答えながら、俺は前方を見る。
「どうした?和志?お前の力はそんなもんなのかよ?」
ゆっくりと歩きながら、声の主―――雄真さんは歩きながら言う。
「お前な・・・ここんところすももとイチャイチャしてて、たるんでるからダメなんだよ」
「べ、別に、イチャイチャなんて・・・」
「ほ〜う。昨日『あんなこと』をしておきながら、イチャイチャしてないとかいうのかお前は?」
「そ、それは・・・」
よく見ると、雄真さんの顔には以前ほどでは無いにしろ、怒りの声が・・・
(っていうか、雄真さんには言われたくないような)
そんなことを思っても、口には出せず黙りこくる俺。
「まあ、いいや・・・今日は俺がたぁぁぁぁっぷりと鍛え直してやるからな〜」
そう言って呪文を唱え始める雄真さん。
もちろんいつまでも黙っている俺じゃない。
雄真さんが『まあ、いいや・・・』とか言い出した時点で、俺はダッシュで走り出していた。
「逃がすか!」
雄真さんの呪文が完成する!
『・・・オル・アダファルス!!』
呪文の形からして、『エル・アダファルス』のアレンジバージョンっぽいが・・・・
炎の帯が俺に向って来る。
『・・・ダグ・ウェルド!』
走って逃げる俺の『後ろに』防御魔法が展開される。
魔法同士がぶつかり合い相殺される―――はずだった。しかし―――
“グインッ”
変な音と共に炎の帯が防御魔法を『交わして』向って来る。
(えっ!自動追尾系のアレンジを加えてるのか?)
あるレベル(一般的にはclassA)以上の魔法使いになると、自分オリジナルの魔法式にアレンジを加えることも可能だと聞いたことはあるけど・・・
実際に見るのはこれが始めてだ。
そのことは雄真さんの実力が相当な物だと言うことを知らしめていた。
心の中で驚きながらも、俺は対策を考える。
逃げる俺の背中に迫る魔力の帯。
チラリと振り返ると雄真さんがニヤリと笑ったような気がした。
その瞬間―――
魔力の帯が『2つ』に別れた。
(えっ!)
驚く俺を他所に2つに別れた魔力弾の1つは俺の前に回り込み向って来る。
(そうか、加えていたアレンジは自動追尾じゃなくて分裂か!)
俺は向って来る2つの魔法の帯が衝突する直前に横に飛ぶ。
“ズドォォォォォン!!”
魔法の帯が衝突して炸裂する音が響いた。
もうもうと煙の立ち込める中そのスキを付いて俺は近くの森の中に逃げ込んだ。
うっそうと木の葉が茂る森の中で俺は一息付く。
『何とか逃げ込んだは・・・いいけど。ますます私達には不利になってない?』
「そうかもな・・・」
レイアの言葉に頷く俺。
『朱雀』の力を使える雄真さんにとって森は断然有利だろう。
何しろその気になったら魔法を使って森を燃やして俺を燻り出せばいいんだから。
だが、この状況は俺に取っても使えない状況では無いはず。
「和志〜隠れたって無駄だぞ〜!!」
雄真さんの声は案外近くから聞えて来た。
(森の中に入って来てくれたか・・・なら)
俺は頭の中で作戦を練る。
(しかし・・・やっぱりあれはやりすぎだったな・・・)
俺は昨日の出来事を思い出していた。
「ほら〜和志くん。聞いてますか?」
「あ、う、うん聞いてるよ」
すももの呆れた声が響く。
授業の終わった後、俺は教室に残っていた。
魔法科の授業の方に力を入れていて、普通科のレポートの方をすっかり忘れていたのだ。
「全く、ちゃんと両立させなきゃダメですよ」
「分かってるよ・・・でも、さすがにキツイって・・・」
魔法科と普通科、2つの学科を両立させなきゃならないのは辛いところだ。
神坂さんとか涼しい顔してこなしているのはスゴイと思うぞ。
「しかも、しばらくこの状況が続くらしいし・・・」
もう、魔法科校舎の復旧作業は終わっているので、いつでも魔法科と普通科を分けることは出来るらしいのだが・・・
『せっかくだから、1年間は合同授業を続けましょう♪』
理事長である高峰ゆずはさんの一言でそう決まったらしい。
全く・・・生徒の負担も考えてほしいな。
「でも、わたしは嬉しいです」
笑いながら言うすもも。
「そりゃ、すももは友達も更に増えて嬉しいだろうけどな」
「それもありますけど・・・和志くんと同じクラスっていうのが嬉しいんですよ」
「・・・」
自分の気持ちを真っ直ぐに伝えて来るすももの言葉に何も言えなくなってしまう俺。
「それに・・・離れ離れになっちゃったら、きっとわたしは和志くんのことが気になっちゃって授業にならないでしょうし」
笑いながらそんなことを言うすももの顔は、夕陽に照らされて輝いていた。
「俺だって同じだよ」
そう言って俺はすももを抱きしめた。
「か、和志くん・・・」
すももも俺の背中に手を回す。
「もし、離れ離れになったら授業中どころか、普段も何してるんだろうって気になるな」
「そ、それは・・・わたしも・・・一緒です」
恥ずかしそうに俯くすもも。
その顔がまた俺の方を向いたのに合わせて―――俺はすももの唇にキスをした。
「和志くん・・・」
すももの唇から切ない声が漏れる。
その声を聞いた瞬間―――俺の理性が飛んだ。
俺の手はいつの間にかすももの制服の中に入っていた。
そのまま、すももの敏感な部分を触っていた。
「か、和志くん・・・ダ、ダメですよ。こんなところで・・・」
「大丈夫だよ。誰も来ないし。それに・・・」
「それに?」
「すももがいけないんだぞ。こんなに可愛いから」
「な、何言ってるんですか〜」
俺は更に大胆に行こうととしたその時だった。
「お〜い、すもも。春姫が呼んで・・・」
全く何の前触れも無く、雄真さんが教室のドアを開けた。
・・・一旦飛んだ俺の理性がまたたく間に戻ったのは言うまでも無い。
その場では雄真さんは怒らなかったので、『怒ってないのか?』と思ったのだが・・・
明けて、今日、師匠のところに修行を付けて貰いに来たら、『今日は特別講師がいるぞ』と言われて―――
今に至るという訳である。
(きっとあの場で怒るより修行にかこつけて心置きなく吹っ飛ばそうとか思ってるんじゃ・・・)
俺がそんなことを考えてると―――
「和志〜出てこないなら、こっちから・・・」
雄真さんが警告をしている。
(どれ、動くか・・・ただふっ飛ばされはしないぞ)
俺は口の中で呪文を唱え始める。
『ウェル・シンティア・レイ・フェニス・ラル・フェステル!』
俺の生み出した魔法弾が雄真さんに向って飛んで行く!!
『・・・・ディ・ラティル・アムレスト!』
しかし、雄真さんは一部を防御魔法で防ぎ、一部は身体を捻って交わす。
「甘いぞ、和志!そんな呪文には当たらないぜ!」
雄真さんの言葉に構わず、俺は呪文を唱える。
『ラル・フェステル!』
再詠唱で威力は低いが素早く魔法弾を生み出し放つ。
「だから・・・」
雄真さんは呆れながら更に身を―――
“グンッ”
その動きが止まる。
見ると、地面の石に触れた雄真さんの手の一部が氷に閉ざされていた。
「何っ?・・・そうか。さっきの魔法弾連発はこの石から俺の意識を逸らすためか」
そう、俺は雄真さんが俺の近くに来る前に、冷却魔法を周りの石や木に掛けておいたのだ。
雄真さんが触れると発動する時限式のアレンジを加えて。
「気づかれたら、問答無用で仕掛けごと吹っ飛ばされかねないですからね。緊張しましたよ」
「なるほどな・・・」
雄真さんは動こうとする。
「あんまり動かない方がいいですよ〜周りの木や石にも同じ魔法が掛けてありますから」
俺は呪文を唱える。
「雄真さん。大逆転で俺の勝ちです」
勝利を確信した次の瞬間。
『・・・アダファルス』
最低限の呪文の詠唱が響いた。
その呪文はピンポイントで雄真さんの手を閉ざしている氷を溶かした。
そして、動けるようになった次の瞬間には俺の魔力弾から逃れていた。
「なかなかやるじゃねーか。ただイチャイチャしてたって訳じゃなさそうだな」
「雄真さんこそ・・・」
「だが、まだお前には負けないぞ!」
「それはこっちのセリフです!」
俺達は同時に呪文を唱え始めた。
「で、2人共・・・一体どうしてくれるのだ、アレは・・・」
師匠が汗を掻きながら俺と雄真さんにツッコむ。
言うまでも無く、今回俺と雄真さんが戦っていたのは師匠の家の私有地なのだが・・・
俺と雄真さんの魔法が炸裂しまくった挙句、森の3分の2が焼失してしまったのだ。
「で、でも燃えちゃったってことは雄真さんの魔法が原因ですよね!?」
「か、和志、お前俺のせいにするつもりか?お前も同罪だろうが?」
低いレベルで罪のなすりつけあいをする、俺と雄真さん。
「・・・どっちも悪いと思いますけど。ねえ姫ちゃん?」
「そうだね。2人共加減ってものをしなきゃダメだよ」
呆れたように言うすももと神坂さん。
『ゴメンなさい』
ちなみに2人共、何でここにいるのかと言うと師匠に呼び出されたらしいのだ。
「で、伊吹ちゃん・・・わたし達に用事って何ですか?」
「うむ・・・実はだな。昨日護国から連絡があってな」
「護国って・・・師匠のお父さんですか?」
式守護国。関東魔法連盟の頂点に立つ人物にして、式守家の現当主だ。
「うむ。その連絡の内容が・・・吾妻和志。お主に会いたいということなのだ」
「俺ですか?それは大丈夫ですが・・・」
俺に護国さんが会いたいというのは何となく分かる。
『青龍』の力を受け継いだ俺のことを知っておきたいとか言う理由だろう。
「それと、もう一つ・・・すももに会いたいらしいのだ」
「?」
本気で訳が分からない。
魔法使いじゃないすももに護国さんが会いたがる理由が・・・
「ひょっとして・・・すももちゃんの『あの力』のことかな?」
思いついたように口を開いたのは神坂さんだった。
「あの力って・・・すももが和志を助けたあの力のことか?」
すももの背中に出現した『金色の羽』のことを思い出したのか雄真さんは師匠に問い掛ける。
「私もそう思ったのでな・・・ひょっとしたらすももの力の謎が分かるかも知れぬ」
「・・・分かりました。行きます」
すももは力強く頷いていた。
「わたしの力のことが少しでも分かって、和志くんや兄さん達を助けられるなら」
「そうか・・・すまぬな」
「大丈夫ですよ。それに伊吹ちゃんのお父さんにも会いたいですし」
「じゃあ、俺達はすももと和志のガード役ってことか?」
雄真さんが納得したように頷く。
「ああ、それにあいつらに狙われる可能性も高いのでな」
あいつら―――姉ちゃんの親戚『風流四家』の連中か・・・
俺がそんなことを考えてると―――
『♪〜♪〜♪』
俺の携帯電話が鳴った。
「あ、ゴメン・・・」
3人に一声掛けてから、俺は電話に出る。
『あ、もしもし、カズ君?』
電話は姉ちゃんからだった。
『姉ちゃん?どうしたんだ?』
『カズ君?今ヒマ?』
『今はヒマだよ。師匠やすももに雄真さん達も一緒だし』
『そうなんだ・・・カズ君、今から大事な話があるんだけど、みんなを連れて来て欲しいんだ』
『みんなって雄真さんや師匠も?』
『そう。大丈夫かな?』
『大丈夫だと思うけど・・・』
『じゃあ、30分後に御薙先生の研究室でね』
『ああ、分かった』
俺は電話を切る。
―――何かが動き出したことを俺は感じていた―――
〜第44話に続く〜
こんばんわ〜フォーゲルです。第43話になります。
これからバトル展開が多くなるので、リハビリも兼ねて和志vs雄真のバトルを中心に書いてみました。
で、中盤はラブラブ展開を入れて見ました(原作のすももルートの18禁シーンを意識してみました)(爆)
和志勇気あるな〜とか思って下さい。『経験』したことで大胆になってるとも言う気が(笑)
後半は伏線を仕込みまくりの展開です。
これらの伏線がどう展開するのかも注目してほしいです。それでは!!
管理人の感想
43話をお送りしていただきました〜。
今回は冒頭の部分で、ちょっとびっくりしました。「あれ?いつの間にバトル展開に?」と思って、思わず42話を見なおしてしまったり^^;
でも相手は雄真。ますます「???」状態に(笑)
その理由は・・・まあ当然ちゃあ当然だな(ぇ そりゃ雄真も怒ります。なんたって、シスコンなのだから!
っていうか、和志よ。もし雄真が来なかったら、あの教室でそのまますももと・・・ま、まあもう既に一線は越えているので、何とも言えないのですが。
とりあえず一言。「羨ましすぎるぞ、コンチクショー!!(byハチ)」
そして段々と動き始めた物語。和志とすももに会いたがっている護国。そして、渚の話とは・・・?
次回も乞うご期待^^