『かがみside〜ラキレボ編第6話〜』








  「アカン・・・」
 「もう限界かも・・・」
 「正直、辛いです・・・」
 私達3人の声が職員室に響く。
 「だ、大丈夫なの?3人共?」
 心配そうに声を掛ける祐一くん。
 この日も私達3人は黒井先生に呼び出されていた。
 もちろんダイエットの状況についてだ。
 だけど、私はもちろんのこと、みゆきと黒井先生もかなり辛そうな表情をしていた。
 「何か、肌まで荒れ出して来たで〜」
 「私は、神経質になって来てまして、最近は寝不足気味で、歯まで痛くなって来て・・・」
 「みゆきさん、それは虫歯なんじゃ・・・」
 「ち、違います、虫歯じゃ無いです!ただ歯が痛いだけなんですよ!」
 祐一くんの指摘を全力で否定するみゆき。
 「私は、祐一くんが2人に見えるわ・・・」
 その言葉と同時に私の身体がグラリと揺れる。
 「か、かがみさん!」
 慌てて祐一くんが私の身体を支える。
 「あ、あはは〜ありがと」
 「かがみさん、ちゃんとご飯食べてる?今日のお昼はダイエット食品で済ませようとしてたみたいだけど・・・」
 「な、何で知ってるのよ?」
 「つかささんがお弁当箱空けたら『10秒チ○ージ』が出てきたから」
 「うっ・・・」
 また、渡し間違えたんだ・・・
 「ご、ごめん、つかさには謝っといて・・・」
 消え入りそうな声で言う私を祐一くんは心配そうな目で見つめる。
 (そ、そんな目で見られると、また・・・)
 昨日の夜、祐一くんのことでドキドキしたことを思い出す。
 「あ、ありがとう。もう大丈夫だから」
 私はお礼を言うと祐一くんから身体を放す。
 「マズイで〜ここに来て体重が落ちなくなって来たしやな」
 「黒井先生もですか?」
 「『も』ってことは柊もかいな?」
 「目標まで本当に後ちょっとなんですけどね」
 みゆきも同じらしく、私達の意見に同意する。
 「かと言って今更、違うダイエットを試す時間もあらへんし・・・」
 「桜藤祭まで、後2日しかないし・・・」
 「辞退・・・するしかないんでしょうか」
 『はぁ〜・・・』
 私達3人のため息がハモる。
 「そ、そんな・・・何とか頑張って見ようよ!!大丈夫!きっと何とかなるよ!俺も全力でサポートするから!」
 私達を励ますように言う祐一くん。
 「でも、根拠は何も無いわよね〜」
 「ウグッ・・・そ、それは・・・」
 私の指摘に言葉に詰まる祐一くん。
 「・・・まあ、でも男子にそこまで言われてやらない訳にはいかないわね」
 「そうやな、それにここまで来て投げ出したら、今までの苦労が水の泡やし」
 「最後までベストを尽くしましょうか?」
 笑いながら言うみゆきや黒井先生を見ながら、私も決意を固める。
 「よし、じゃあ最後までやるだけのことをやるで、絶対に後悔はせーへんようにな!」
 『はい!』
 「あ、でも・・・3人共本当に体調には気を付けてね」
 「分かってるわよ、煽っといて心配しないの!」
 「そうですよ。それにいざとなったら祐一さんが助けて下さるでしょうし」
 「あ、うん、それはもちろん・・・」
 笑いながら言うみゆきに、照れながら答える祐一くん。
 その姿を見て―――
 「・・・」
 私は何故か、思わず2人から視線を逸らした―――






  “ハァ・・・ハァ・・・”
 走っている私の息遣いだけが聞こえて来る。
 結局ダイエットの基本に立ち返った私は、学校から帰った後こうしてランニングをしていた。
 (全く・・・何考えてるのよ・・・あいつは・・・)
 午後の授業で起こったことを思い出しながら、私は『その時』のことを思い出して恥ずかしくなる。
 授業中にいきなり、隣りのクラスから祐一くんが私のクラスに来て―――
 

 「かがみさん!」
 祐一くんは私の名前を呼びながら教室に入って来て―――
 いきなり、私の手を握った。
 「ち、ちょっと!一体何やってるのよ!!」
 私の声を無視して、真剣な眼差しで私を見つめる祐一くん。
 「おー!これはコクりだな〜。みんな〜これから祐一が柊に告白するってよ〜」
 (えええっ!!)
 日下部の声に心の中で動揺する私。
 「みさちゃん。柊ちゃんにとっては大事なことなんだから、からかっちゃダメだよ」
 峰岸の声も聞こえているのか、いないのか―――祐一くんは真剣に私を見つめ続ける。
 「ち、ちょっと待って!まだ、心の準備が―――」
 (ってこれじゃ、まるで私が、こ、告白されたらOKみたいじゃ―――)
 自分で自分にツッコミを入れる私。
 「かがみさん―――」
 「な、何?」
 ドキドキする自分の心臓の音しか聞こえなくなる。
 そして、祐一くんは口を開いた。
 「ダイエット頑張って!!」
 「・・・・・・・は?」
 思わず目が点になる私。
 「そりゃ、ダイエットなんてしたことない俺には辛さを理解しようったって無理なのかも知れないけど、
  でも、俺はかがみさんを信じてるから!」
 「あ、ありがとう。うん、応援してくれるのは嬉しいんだけど・・・言いたいことはそれだけか?」
 思わず口調が変わる私。
 「えっ?う、うん。そうだけど・・・」
 戸惑いながら答える祐一くん。
 「ふ〜ん・・・そうなんだ」
 だんだん、怒りのボルテージが上がって行く私。
 「何考えてるのよ、アンタは〜〜〜!!」
 「えっ?ええっ?」
 「馴れ馴れしく手を握るな!」
 手を振り解く私。
 「ダイエットダイエット連呼するな!」
 握り拳を作る。
 「後、今は授業中だ〜〜〜!!」
 そのまま、私のパンチが祐一くんの顔面を掠めた。
 「ご、ゴメンなさい〜〜〜!!」
 パンチを交わした祐一くんはそのまま教室を出て行った。




  (全く、恥ずかしかったわよ・・・)
 それに疑問に思うこともあった。祐一くんに告白されるかもと思った時に、私は―――
 (まさかね―――)
 私がそんなことを考えていたその時だった。
 「やっと見つけた・・・かがみさ〜ん!!」
 「ゆ、祐一くん!?」
 そこには何故か、祐一くんがいた。


 
  「で、何でここにいるのよ」
 並んで家に帰りながら、私はそう祐一くんに聞いていた。
 「ほら、さっきも言ったじゃない。ダイエットのサポートをするって」
 「ああ・・・でも大丈夫よ?一人でも何とかなるし」
 「う〜ん、それでもね。黒井先生やみゆきさんにも頼まれたしね」
 「何をよ?」
 「自分達は大丈夫だから、俺はかがみさんをサポートしてやってくれって。かがみさんダイエット何回も失敗してるんでしょ?」
 「うっ・・・」
 嫌なところをついてくる祐一くん。
 「で、でもよく私の家が分かったわね。つかさにでも連れて来て貰ったの?」
 「ううん、つかささんは用事あるみたいだったしね、だからこなたさんに聞いて来たんだ」
 「なるほどね・・・」
 「で、家に行ったら、お姉さん達に会って・・・」
 「姉さん達に会ったの?」
 「そうじゃなきゃ、かがみさんがどこにいるかなんて分からないだろ?」
 「そ、そうよね」
 (な〜んか嫌な予感が・・)
 そんな私の考えを他所に祐一くんは話し続ける。
 「かがみさんって5人姉妹なんだね」
 「えっ?5人?・・・ウチは4人姉妹よ?」
 「でも、お姉さん達3人居たよ?ショートヘアの人が2人とロングの人が1人・・・」
 「あ〜それか・・・ロングはお母さんよ」
 「へっ?」
 心底驚いたような表情を見せる祐一くん。
 どうせ、お母さんのことだから『長女です〜』とか言ってたのね。
 「そういえば、かがみさん、俺のことを面白おかしくお姉さん達に喋ったりしてないよね?」
 「何で?」
 「いや、俺が『かがみさんに用事が・・・』って言ったら、『なるほどね〜』とか『かがみはああいうのが・・・』とか
  言ってたからさ〜気になっちゃって」
 考え込む祐一くん。
 「べ、別に祐一くんが気にすることじゃないわよ」
 そう言いながら、私達は歩き続ける。
 「で、かがみさん。どう?ダイエットの調子は?」
 「正直、微妙ね・・・本当にギリギリだろうし」
 これから帰って体重計に乗って見ないと分からないと言うのが本当だった。
 「・・・やっぱり分からないな〜」
 「何がよ」
 「今回はミスコンがあるからって言うのは分かるけど、どうして女の子ってそこまでダイエットにこだわるの?体調崩しそうになるほど・・・」
 「・・・祐一くんには分からないかもね。女の子はいつだってキレイでいたいと思うのよ」
 「いや、だからそれこそ分からないって。ダイエットなんかしなくたってかがみさんは十分キレイだと思うけど」
 「なっ、何言ってるのよ・・・」
 思ってもみなかった祐一くんの言葉。
 “ドキン・ドキン・・・”
 また、私の心臓の鼓動が早くなる。
 そして、私はとんでもないことを聞いていた。
 「例えば、祐一くんだって『自分の彼女』は可愛いほうがいいでしょ?」
 「へっ?い、いやそれはまあ・・・」
 みるみるうちに顔が真っ赤になっていく祐一くん。
 その様子を見ている内に、私も自分の質問の意味に気づく。
 (こ、これじゃまるで私が祐一くんの、か、彼女になりたいみたいじゃない!!)
 「ち、違うわよ!こ、これはあくまでものの例えで、べ、別に祐一くんのことがどうとか思ってるんじゃないからね!!勘違いしないでよ!!」
 「わ、分かってるよ」
 それでも、まだ顔が真っ赤の祐一くん。
 (いや、人のことは言えないか・・・)
 私は心の中でそんなことを思っていた。
 きっと、私も似たようなものだから―――





  「・・・」
 お風呂上りの私はジッと目の前の体重計を見ていた。
 もし、この段階で目標体重に達していなかったら、ミスコンへの出場は辞退しないといけないだろう。
 (それにしても・・・やっぱり予想通りだったわね)
 祐一くんと別れて家に戻った後、私を待っていたのはまつり姉さんといのり姉さんからの質問攻めだった。
 『あの彼とはどこまで行ったの?』とか『付き合い始めてどれくらいよ?』とか・・・
 『そんなんじゃないわよ!!』って全力で否定したんだけど、2人共聞く耳持たないし。
 『ほら、まつりもいのりも、かがみをからかっちゃダメよ』
 お母さんがそう言った時には、助けてくれたのかと思ったんだけど・・・
 『かがみから紹介してくれるまで、待ってあげなくちゃ』
 『だ〜か〜ら〜!!』
 結局、そのままお風呂に入るまでずっとからかわれ続けた。

 (全く・・・みんなそんなに私を、祐一くんの・・・こ、恋人にしたい訳?)
 自分で言って自分の言葉にドキドキする私。
 (と、とりあえず今は、体重の方が問題よ)
 ダイエットを手伝ってくれた祐一くんのためにも、何としてでもミスコンに出ないと申し訳ないし・・・
 私は結果を見るのが怖くて、目を閉じながら体重計に乗る。
 そして――ピピッと計測が終わった電子音が聞こえる。
 私は、おそるおそる目を開けた―――







                      〜第7話に続く〜


             こんばんわ〜フォーゲルです。第6話になります。

           今回はミスコン直前の様子、告白もどきのシーンを書いて見ました。

      かがみが祐一にキレてから流れるようなシーンは作者的にも書いてて面白かったです(笑)

       後半のオリジナルシーンは、あの告白もどきの後、ありそうな会話を想像して書きました。

           何気にかがみを助けてるようで助けてないみきさんに笑って下さい。

              次回はいよいよミスコン当日。ラキレボ編ラストかと

               楽しみにして頂けると嬉しいです。それでは!!



管理人の感想

ツンデレだ・・・見事なツンデレだ(笑)

ということで管理人です。ラキレボ第6話、お送りして頂きました〜^^

今回の話はとても「かがみらしさ」が出ていたと思います。そう、それは勿論ツンデレ!(ぇ

――「べ、別に祐一くんのことがどうとか思ってるんじゃないからね!!勘違いしないでよ!!」

これとかまさにテンプレートですよねぇ。顔を真っ赤にさせながら言っているところが、またポイント高いです(何のだ)

そして二人の距離も、かなり近づいてきましたね。次回は最終回ということで。どんな展開になるのか楽しみです^^

それでは〜



2008.10.17