『かがみside〜ラキレボ編第7話〜』











  「あ、来た来た!!遅〜い!!」
 「いや〜ゴメン!!これでも早起きの自己新記録更新だったんだけど」
 謝りながら言う祐一くん。
 「それでも、遅い!ミスコンは一番最初のイベントなんだから、早く来なきゃダメでしょ!!」
 「まあまあ、かがみさん。祐一さんも急いで来られたんでしょうし。それくらいで・・・」
 怒る私を宥めるように言うみゆき。
 「う〜ん・・・仕方ないわね」
 「さて、柊も納得したことやし、これからの手順はどうなっとるんや?高良?」
 「あ、はい!これから説明しますね」
 そう言って説明を始めるみゆき。
 (というか、黒井先生も把握してないと問題あるんじゃ・・・)
 私はそんなことを思ったが口には出さなかった。



  「・・・というのが大まかな流れです。所要時間は約90分くらいですね。他に何かご質問は?」
 みゆきは説明を終えると一息付く。
 「あ、はい」
 「はい、祐一さん」
 「いや、ミスコンの流れとは関係無いんだけど・・・3人共ダイエットはどうなったの?」
 「それよ!それ!やっと聞いてくれたわね!」
 私は勢いこんで祐一くんを見る。
 「おっ?ということは・・・」
 「何とかうまくいったわ〜目標に届いたわよ!」
 「そうなんだ?おめでとう!」
 「私もうまくいったんですよ」
 嬉しそうに言うみゆき。
 「正直、ホンマに途中はどうなることかと思ったわ〜」
 「じゃあ、黒井先生も?」
 「あったり前やん!生徒が先生に見本を見せてやらんでどうすんねん!」
 「良かった〜本当に良かったですよ。もし失敗してたら俺にも責任がありますしね」
 心底ホッとした様子で言う祐一くん。
 「そんなこと無いですよ」
 みゆきが優しく声を掛ける。
 「祐一さんが励まして下さったから、私達もやり遂げることが出来たんです」
 「そうね。そこは認めてあげるわ」
 「せやな。永瀬。ホンマにありがとな」
 「い、いや〜そんなに改まってお礼を言われると照れますね」
 頭を掻きながら言う祐一くん。
 「せやけど、ホンマにキツかったな。指定したドレスが入るかどうかギリギリの線やったし」
 「あ、先生のドレスは、本当にギリギリですもんね〜」
 「だけど、黒井先生は凄いですよね。私はあんな大胆なドレスは・・・」
 そのドレスを思い出したのか、頬が赤くなるみゆき。
 「そんなこと言うて〜高良も柊もかなり勝負かけてるやん。本気で優勝狙ってるんとちゃうか?」
 「わ、私はそんな・・・」
 「私だって違いますよ!つかさがどうしてもって言うから・・・」
 黒井先生にツッコミを入れる私達。
 「と、これくらいにしといた方がいいかも知れへんな。永瀬にとっては楽しみが減るかも知れへんし」
 「えっ、そ、そりゃ楽しみですけど」
 「まあ、とにかく期待してもらってええで〜楽しみにしときや」
 「では、ひとまず解散しましょうか?まだ皆さんお仕事残ってるでしょうし」
 みゆきの一声でひとまず解散になった。





  『皆さん、お待たせしました。ミス陵桜学園コンテスト、ついに開幕です!!』
 “ウワァァァァッ!!”
 開会宣言と共に、体育館の中が一気に熱気に包まれる。
 その舞台袖で、私は緊張に包まれていた。
 クジ引きの結果登場順は、私は4番目、みゆきが9番目、黒井先生が一番最後だった。
 みゆきや黒井先生より先って言うのは、嬉しいけど・・・
 舞台の上では、最初の女の子がアピールしている。
 (あ〜ドキドキしてきた・・・)
 もちろん、大勢のお客さんの前に立つということもある。だけど、それ以上に・・・
 私の目は最前列に注がれる。そこには―――
 「あ〜A組の子だ、私知ってるよ。可愛い〜」
 「むう、改めて思うけどウチの学園ってこんなにハイレベルだったんだね〜」
 楽しそうに話すつかさとこなた。そして―――
 「・・・」
 何かを考えるように舞台を見つめる祐一くんの姿があった。
 祐一くんにこの姿を見られると思うと更にドキドキして来た。
 (な、何でよ!?)
 自分で自分にツッコミを入れたその時だった。
 「かがみさん、どうしたんですか?」
 「もうすぐ出番やで、ビシッとせな」
 ベージュを基調とした、背中が大きく開いたドレスを着たみゆきと、水色を基調とした胸元が大きく開いたドレスを着た
 黒井先生がいた。
 「あ、う、うん、分かってるんだけど・・・」
 2人共、ドレスがバッチリ似合っている。
 そんな姿を見ていると、だんだん自信が無くなってきた。
 「な、な〜んかね。私、このまま出てもいいのかな?って気が・・・」
 「大丈夫ですよ、かがみさんもキレイですから」
 「そうやな〜それにその『ウェディングドレス』というチョイスもいいと思うで。正直、『その手があったか!』と思ったで〜」
 「こ、これは、つかさがどうしてもって言うから・・・」
 自分の姿を見て、ますます浮いているような気がする。
 (祐一くん・・・どう思うかな?)
 私がそんなことを思ったその時だった。
 『それでは、エントリーナンバー4番・3年B組、柊かがみさん!!』
 「ほら、呼ばれたで、行ってこいや」
 「かがみさん、頑張って下さい」
 「・・・分かった。じゃあ行って来るわ」
 私は、腹をくくって舞台の中央に歩き始めた。
 



  演出上の効果を狙ったのか、舞台の上は真っ暗だった。
 女の子達が中央に行った時に、スポットライトが当たるのだ。
 私は舞台の中央まで歩くと、一つ深呼吸。そして―――
 “ザンッ”
 その音と共にスポットライトが私に当たる。
 私を迎えたのは―――無音だった。
 (えっ?)
 歓声もリアクションも無く、ただ無言の空気が漂っていた。
 「な、何でみんな、黙ってるのよ。ちょっと!何とか言いなさいよ!」
 「お姉ちゃん〜似合ってるよ」
 「あ、あはは〜ありがと・・・ってつかさは前に見てるじゃない!ちょっと!こなたも何とか言いなさいよ!」
 「あ〜う〜ん、いや、これは・・・」
 「こ、こなたまで絶句してる!?」
 段々、この空気が辛くなって来た私は思わず口を開いた。
 「あ〜もう!どうせ私にはこんなの似合わないわよ!さあ、笑うなら笑えばいいじゃない!?」
 「ち、違うよ、かがみさん!」
 そう言ったのは―――
 「祐一くん・・・じゃあ何でみんな黙ってるのよ!?」
 「い、いや面と向って言うのは照れるんだけど・・・」
 「何よ!?ハッキリ言いなさいよ!」
 「その・・・みんなが黙ってるのは・・・かがみさんに見とれてるからだと・・・思うよ」
 「えっ・・・」
 祐一くんの言葉に私の方が言葉に詰まる。
 「ウ、ウソよ・・・そんなの。お世辞なんかいらないわよ・・・」
 「だったら、こなたさんに聞いてみなよ。こなたさんはかがみさんにお世辞なんか言わないでしょ?」
 「こ、こなた・・・どう?私のこの格好?に、似合ってる?」
 「う、う〜ん・・・まさか、かがみがこう来るとは・・・だけど」
 こなたは一息付くと親指を立てて言った。
 「かがみん最高〜!すっごく似合ってるよ!」
 “ウワァァァァッ!!”
 こなたの声と共に体育館は大歓声に包まれる。
 「さすが、私の嫁〜!!」
 「嫁って言うな〜〜〜!!」
 「ツンデレ最高〜〜!!」
 「ツンデレって言うな〜〜〜〜!!」
 こなたにツッコミ入れながら、私の出番は大盛況で幕を閉じた。
 


  そして、出場者の出番が終わり、後は結果発表だった。
 (まあ、みゆきか黒井先生よね)
 そんなことを考えてると、不意にドラムロールが流れた。
 『皆様、お待たせいたしました。ミス陵桜学園、グランプリは―――』
 会場が一瞬静まり返る。
 『エントリーナンバー4番、3年B組、柊かがみさん!!』
 (ほ〜らね、やっぱり、柊・・・えっ?)
 私にスポットライトが当たっていた。
 「かがみさん!おめでとうございます!」
 「やったやないか!柊!おめでとさん」
 いつのまにか近づいて来ていたみゆきと黒井先生に祝福される。
 「えっ?えっ?、ウ、ウソでしょ!?」
 「お姉ちゃん〜おめでと〜」
 「かがみ〜ほらほら笑って〜」
 「かがみさん、現実見てよ、まぎれもなくかがみさんがNo1だよ!」
 「祐一くん・・・みんな」
 (ヤバッ・・・泣きそうかも)
 それをごまかすように私は―――
 「みんな・・・ありがとう!本当にありがとう!!」
 みんなにとびっきりの笑顔で挨拶した。





  “ガチャッ”
 私は屋上のドアを開けた。
 桜藤祭が終わって2日後、私はやっと探している人物を見つけた。
 正確には、桜藤祭の後片付けなどがあって2人だけになれる時間が無かったといった方がいいかも知れない。
 (みんなの前じゃ・・・変な誤解されるだろうしね)
 そう言いながら私は、屋上の一角で寝ている人の所に歩いていく。
 その人―――祐一くんは日当たりのいい場所を見つけたのか、そこで横になって寝ていた。
 私はその枕もと当たる場所に立つ。
 「お〜い、こんなところで寝てたら風邪引くぞ〜」
 私の言葉に一瞬反応した祐一くん。だがまるで子供みたいに一瞬ムズがった後、また寝息が聞こえて来る。
 「いい加減に・・・」
 私が更に声を掛けようとしたその時。
 「あ、かがみさん・・・一体・・・」
 そこまで言った後、寝転んだままの祐一くんの顔がニヤ付く。
 (?)
 寝転んでいる祐一くんの視線は私の足元から膝下の部分を通過して―――
 (――――!!)
 「キャッ!!」
 思わず私はスカートを押さえる。
 祐一くんの視線は私のスカートの中を見ていた。
 「あ、あ、アンタは〜〜〜!!」
 「ま、待って、今回は見てない、本当だって!」
 「本当でしょうね?」
 「マジだって!白と水色のしましまだなんて全く―――」
 そこまで言って『しまった!』といわんばかりに口をつむぐ祐一くん。
 「やっぱりバッチリ見てんじゃないのよ!バカァっ!!」
 “パチンッ”
 私の平手打ちが祐一くんの頬を捉えていた。




 「痛って〜何も平手打ちしなくたって・・・」
 「自業自得でしょ!」
 赤く腫れた頬を撫でながら言う祐一くん。
 「あ、そう言えばかがみさん。ミスコン優勝おめでとう」
 「えっ?あ、ありがとう・・・」
 (ち、ちょっと何でドキドキしてるのよ・・・)
 自分自身に戸惑いながら、私は口を開く。
 「まあ、今回のことに関しては、アンタの協力のおかげでもあるしね、だから・・・はい、これ」
 そう言って私は小さな袋を取り出して、祐一くんに渡す。
 「何これ?・・・クッキー?」
 「協力してもらったお礼ってことで、い、いびつな形のもあるし、嫌だったら捨ててもいいのよ」
 祐一くんは、袋からクッキーを取り出すと―――パクリと口に含んだ。
 「うん、おいしいよ!ありがとう。かがみさん」
 「そ、そう!?なら良かったけど」
 クッキーを食べながら、祐一くんは口を開く。
 「だけど、唯一不安なことが出来ちゃったな〜」
 「何よ?」
 「かがみさん、今回のミスコンでウェディングドレス着ちゃったじゃない?」
 頷く私。
 「『ウエディングドレスを結婚式以外で着ると婚期が遅れる』って言うしな〜」
 「よ、余計なお世話よ!第一今の時代に『婚期が遅れる』だの言ってるのもどうかと思うわよ」
 「まあ、そうなってもかがみさんは大丈夫だろうね〜」
 「その根拠は?」
 「うん、そうなったら、責任取って俺がかがみさんを貰ってあげるから」
 「えっ?」
 祐一くんにとっては、軽い冗談だったのだろう。
 だけど私は―――
 凄い勢いで顔が真っ赤になるのと、心臓が凄い勢いで早鐘を打っているのを感じていた。
 (まさか―――)
 それと同時に私はさっきのことを思い出していた。
 こなた達の教室に行って真っ先に祐一くんを探していた私。
 そして―――
 「どうしたの?かがみさん?」
 「な、何でも無いわよ!」
 思わず祐一くんから顔を逸らす私。
 もう間違い無かった。私は―――
 (祐一くんのことが――――好きなんだ――――)








                       〜ラキレボ編・END〜


       こんばんわ〜フォーゲルです。第7話、そしてラキレボ編最終回をお送りします〜

         今回はかがみがグランプリ獲得して、自分の想いに気づくまでの話です。

      後半は完全オリジナルですね。何気にまた祐一が役得というか懲りてないというか(笑)

               ナチュラルにプロポーズ?してるのにも注目です。

               今回で俗に言う『第一部・完』だと思って頂ければ。

          次回からは幕間な話を挟んで、『第2部・らきメモ編』に入る予定です。

           次回以降も楽しみにして頂けると嬉しいです。それでは!!

          (桜藤祭終わってるからな、どういう風に演劇ネタに持っていこう・・・)



管理人の感想

ということで、ラキレボ編の最終話をお送りして頂きました〜。

ウェディングドレス姿のかがみん・・・ぐふぅっ(←軽く吐血ww)

はぁ、はぁ・・・失礼。 そして本人もまったく予期していなかった優勝。さすがはこなたの嫁!(笑)

最後には祐一がナチュラルにプロポーズ。でもどうせかがみの気持ちになんて、これっぽっちも気づいてないんだろうなぁと思いつつ^^;

次回からは新章が始まるということで。そちらの方にも是非ご期待ください♪

それでは!



2008.10.27