D.C.U SS
「Dream World」
Written
by diary
〜前編〜
━━━日曜日。渉たちと遊園地に行く日。もう少しで待ち合わせの時間である。
『義之たち遅いな。もうすぐ時間だってのに・・・』
『まぁまぁ落ち着きなって,渉。義之が遅いのはいつも通りだし・・・』
『そうね,どうせ朝から2人でイチャついて時間に気づかなかっただけでしょうし。』
・・・どうやら義之,さらには2人のバカップルぶりは正しく認識されているようだ。で,そのバカップルはというと・・・
「ハァハァ・・・に,兄さん・・・このままじゃ間に合いませんよ・・・」
「ゼェゼェ・・・それは,わかってる,けどさ・・・あ〜もう!!何でこんな時に信号に引っかかるんだ!!」
駅前1キロ先から猛ダッシュを繰り広げていた。
「す,すまん!待たせたか!?」
「ハァハァ・・・す,すみません・・・待たせちゃって・・・」
噂のバカップル・・・もとい,義之と由夢は約束ギリギリの時間にはついたものの,他の参加者は全員揃っているようだ。
面子としては,義之,由夢,渉,雪月花三人娘と普段となんら変わらない面子であった。
「もう,おそいよ〜義之。約束時間はちゃんと5分前には来ないと。義之は昔から・・・」
「あら?さっそく小恋ちゃんが積極的にアタックしてるわね〜♪由夢ちゃんもいることだし・・・三角関係狙い?」
「・・・そういえば今日の小恋の下着はやけに大人っぽい黒のやつだったわね。」
「ちょ,ちょっと茜・・・そんなんじゃなくて・・・って杏がなんで私の下着のこと知ってるの!?」
「月島が・・・黒で・・・大人っぽい下着を・・・。ヤベェ!!俺,ちょっとトイレに行ってくる!!!」
━━━そして,その光景自体も教室の風景をそのまま持ってきたような,そんな雰囲気なのは気のせいだろうか?
「というか,まだ9時58分。約束は10時集合だからギリギリセーフだろ。それに,こんな時間になったのは俺のせいじゃなくて,由夢が二度寝して・・・アガッ!!?」
「すみません,私が服を選ぶのに手間取っちゃって・・・」
義之をみんなから見えない様に羽交い絞めしながらも,笑顔で応対する由夢であった。
「ところで音姫先輩は?」
「あ,言い忘れてた。音姉は残念だけど休日にも生徒会の用事が入っちゃったらしくて・・・”また機会があったら誘ってください”だってさ。」
「ん〜残念・・・せっかく”家での2人の様子”をじっくり聞き出そうと思ってたのに・・・」
・・・音姉,失礼なのはわかってるけど,こなくてありがとう・・・というか今後も言わないように”言ったら口きいてあげない”ぐらいの脅しをかけとくのも悪くないな。安泰な学園生活を送るためにも。
というか由夢よ,そこで顔を赤らめるから余計にからかわれるんだぞ?しかも主に俺が・・・
「おい,義之。」
「あ,渉。戻ってきてたのか。で,何だ?」
2人は肩を組みながら身をかがめてヒソヒソと話し出した。
「お前,例の話のことわかってるな?」
「まぁ具体的な部分はお前にかかってるが,準備段階は手伝うさ。」
「よし,じゃあ頼んだぜ・・・くれぐれもばれないようにな・・・」
「了解。しくじるなよ。」
2人だけの秘密会議を終えると渉はすぐさま雪月花のもとへ向かった。
「兄さん,何の話をしていたんですか?」
「っ・・・!!ってなんだ由夢か。・・・そうだな,お前には話しといたほうがいいかもしれないな・・・」
「???」
2人はみんなの輪からすこし離れたところで話し出した。もちろん,移動中に杏や茜にからかわれたのはいうまでもない。
「ここなら聞こえないかな・・・?とりあえず簡潔に話すとだな・・・・渉が小恋に告白しようと思うんだとさ。」
「・・・え?あの板橋先輩が・・・ですか?」
━━━”あの”のあとに続くのは一体どんな言葉か,この際不問にしておこう。
「そうだ。でだ,俺たち2人はあとでこっそりとみんな別れて,6時くらいまでは自由に行動してくれとさ。まぁ言われなくてもそうするんだけどさ・・・」
「あの,最後の方が良く聞こえなかったんですけど・・・」
「なんでもない。とりあえずだ,最初の方はみんなと一緒に行動して,他のみんながアトラクションに乗ってる間に離脱。それでいいか?」
「うん♪」
・・・心なしか,由夢がさっきより嬉しそうに見えたのを見て,義之は少しテレながらもからかうように,
「んじゃ・・・あとで2人きりでデートな・・・///」
「デ,デート・・・///」
2人とも顔を真っ赤にしていた。周りから見れば初々しいさ満点カップルに違いない。
「・・・んじゃ,そろそろいくか。」
「そうですね,兄さん♪」
そういってみんなのところへ戻ると,杏や渉から「バカップル」だの「地球温暖化の一因」だの散々からかわれ,再び顔が真っ赤になった二人であった。
最初にみんなでメリーゴーランドを乗った後のこと・・・
「あの,兄さん。」
「ん?何だ?」
由夢がいきなり呼んできた。
「さっきの話ですが・・・板橋先輩の気持ちはわかりましたけど,小恋先輩の気持ちはどうなんですか?」
「・・・そういや考えたことなかったな。・・・とりあえず見てればわかるんじゃないか?」
「そうですね。・・・まぁ,鈍感な兄さんに気づけるとは思いませんけど。」
━━━2人が付き合いあい始めてしばらくになるが,今だかつてなく妙に棘のある言葉であった。
そんな感じで,2人の観察が始まった。
『あのさ,月島〜!!』
『ん?なに〜渉?』
『あのさ・・・えっと・・・俺・・・』
『どうしたの?すごく汗かいてるけど・・・』
『俺・・・オレ・・・オレンジジュース買ってくるわ!!』
ダダダダダダダダッ・・・凄い勢いで走っていったな。
ズザァー!!・・・あ,こけた。
「・・・ヘタレだな・・・」
「・・・兄さんがそれをいいますか。まぁ否定の余地はないですけど・・・」
『今度こそ・・・なぁ,月島。』
『あ,渉。さっきはどうしたの?だいぶ怪我してるみたいだけど・・・大丈夫?』
『だ,大丈夫だって・・・それより,実は俺・・・』
『よ〜し,小恋ちゃん。次はあれ行こっか♪』
『え・・・ちょっと,茜・・・私,ジェットコースターはダメって・・・』
『渉も行くわよ。』
『ちょっと待て!!俺は乗るなんて言ってな・・・フガッ!!』
杏は突然布切れを渉の口に突っ込んだ・・・というか,杏のソレといい由夢の羽交い絞めといい,その戦闘法はどこで学んだんだろうな・・・
━━━その後,小恋と渉の叫び声が園内に響き渡った。
「・・・そろそろいくか,由夢。」
「・・・そうですね・・・」
2人は半ば哀れむような目で,ジェットコースターで叫んでいる渉を見てからその場から離れていった。
中編に続く
2007.4.10


