『らき☆すたSS』〜つかさside〜第3話
投稿者 フォーゲル
「よ〜し、じゃあつかささん、今の時点で出来てる小道具のリストを見せてくれる?」
「うん、これだよ」
次の日の放課後、私達は祐一君も加えて劇の準備を始めました。
「・・・」
リストを見て、祐一君は固まってしまいました。
「つかささん・・・ひょっとして、全然出来てない?」
「ゴ、ゴメンね・・・人手が足りなくて」
「まあ、これから頑張るとして、まずは何を優先させるかだけど・・・」
祐一君は考え始めます。
「とりあえず、衣装とか背景は後回しでいいわよ」
「うわ〜お姉ちゃん、女優さんみたいだよ」
私達に声を掛けて来たのは劇の衣装を着たお姉ちゃんでした。
「別に褒めたって何も出ないわよ」
お姉ちゃんは笑いながら言います。
「まずは、立ち位置とかの確認だけでいいから・・・祐一君、印とか付けて来てくれる?」
「OK、分かった」
祐一君はガムテープを持って、その場所に向います。
「お姉ちゃん、ゴメンね。迷惑掛けちゃって・・・」
「大丈夫。つかさはちゃんとやってるよ」
「お姉ちゃん・・・」
「かがみさん!OKだよ」
「かがみさ〜ん!!お願いします」
「分かった〜!じゃあつかさ、行って来るね」
「頑張ってね。お姉ちゃん」
祐一君とゆきちゃんの声に返事をするとお姉ちゃんは舞台の中心に向って行きました。
『―――天秤の守り手よ―――!』
お姉ちゃんの最後の言葉と共に体育館が静まり返ります。
「はい、OKです!かがみさん、完璧ですよ。峰岸さんの目から見てどうですか?」
「大丈夫。柊ちゃん読み込んでくれてるから」
ゆきちゃんと峰岸さんと話してから舞台の袖に戻って来るお姉ちゃん。
「お姉ちゃん、スゴイよ〜」
「ありがと、つかさ」
お姉ちゃんは一息付くと、祐一君の方を見ました。
「祐一君はどう思った」
「え?お、俺?」
「そうよ、客観的な意見が聞きたいの」
「う〜ん・・・そうだな」
祐一君はしばらく考えた後、口を開きました。
「俺は演技の専門的なことは分からないけど、見てる人を納得させるだけの迫力はあったと思うよ」
「そっか・・・そうなんだ」
お姉ちゃんはホッとしたような笑みを浮かべます。
(・・・)
その表情を見た時に、私の心には違和感が浮かんでいました。
「よ〜し、じゃあもうちょっと頑張ろうかな」
「ダメだよ、お姉ちゃん。それ以上やったら身体壊しちゃうよ」
「どういうこと?」
祐一君の問いに、私は答えます。
「お姉ちゃん、毎晩夜遅くまで練習してるの。それに劇の参考にってアニメのDVDも見てるし」
「ちょっ!?つかさ!余計なことは言わなくていいの!」
「なるほどね〜さすがががみ。やるからには完璧を目指す女」
こなちゃんが笑いながら、私達の方に来ました。
「べ、別にこれくらいみんなやってることじゃない・・・」
「残念!夜は見たいアニメがあるんだよ」
「アンタはもう少しマジメにやれ」
「だけど、そうやって努力するところを見せたがらないかがみ萌え。『Fate』のDVDなら私も持ってるから
貸してあげたのに」
「こなたに借りるとロクなことが無い気がするからな・・・」
「残念。完璧なツンデレにしてあげようと思ったのに」
「やっぱりかい!」
「かがみさ〜ん!次の場面お願いします〜」
「分かったわ。今行く」
「かがみ〜気が変わったらいつでも言ってね〜」
「余計なお世話だ」
お姉ちゃんが舞台に行った後、祐一君がこなちゃんに聞いていました。
「こなたさん、『ツンデレ』って何?」
「おや、祐一君。知らないの?メイドと並んで現代用語の基礎知識なのに」
「こなちゃん。祐一君に変なこと教えちゃダメだよ」
私達がそんなことを話していたその時でした。
「キャッ!?」
お姉ちゃんの悲鳴と―――
“グキッ”
変な音が聞こえました。
「かがみ!?」
こなちゃんが舞台の中央で倒れたお姉ちゃんに真っ先に駆け寄ります。
「いたた・・・やっちゃった」
「今、凄い音したよ!大丈夫?」
日下部さんも心配そうに近寄ります。
「かがみ、靴下脱がせるよ」
「ちょっと、ダメだって・・・」
こなちゃんは無理矢理にお姉ちゃんの靴下を脱がせます。
「うあ・・・やっちゃったね」
「大丈夫だって。これくらい・・・イタッ!?」
立ち上がろうとしたお姉ちゃんが苦しそうな声を上げます。
お姉ちゃんの足首は真っ赤に腫れ上がっていました。
「動いちゃダメ!ジッとしてて!横になって!みさきち!担架!」
「分かった。取ってくる!」
「こなたさん、慣れてるね」
「小さい時に格闘技をやってたからね。それでちょっと」
祐一君の問いにこなちゃんが答えている間に、
「担架、持って来たよ!!」
「よし、じゃあゆっくりとかがみを乗せるよ。祐一君手伝って!」
「分かった!」
ゆっくり、担架に乗せられるお姉ちゃん。
「お姉ちゃん・・・」
「つかさ、そんな顔しないの。私は大丈夫だから・・・でも、出来るかな?」
それに答えられる人は誰も居ませんでした。
体育館は重苦しい空気になっていました。
お姉ちゃんは病院に行っていて、今この場には居ません。
「お姉ちゃん、大丈夫かな、注射打たれてないかな?」
「あれは確実に打たれてるね」
「下手すりゃ2週間、いや一ヶ月は掛かるかも・・・」
「・・・残念ですが、本番までにかがみさんの復帰は・・・無理かと思います」
ゆきちゃんの声が体育館に響きます。
「ですが、劇は中止する訳には行きません」
「じゃあ、どうするの?高良さん」
「とりあえず、士朗役の方に凛役をお願いしました」
「でも、そうすると士朗役は誰がやるの?」
「一人だけ適任の方がいらっしゃいます。その方に与えられた役はそう多くありません」
「それって、まさか・・・」
みんなの視線が、祐一君の方を向きます。
「お、俺?」
「転校して来たばかりの方にこんなことをお願いするのはムチャだというのは分かっています。
でも、現状これしか方法がありません」
「嫌だっていったら?」
「その時は、OKしてくださるまで何度でもお願いします」
「『練習すれば大丈夫!』なんて無責任なことは言わないよ。でもここでやめちゃったら今までやって来たことが全部無駄になっちゃう。
それだけは嫌だから」
「・・・」
「祐一君、お願い!もし劇が中止になるって分かったら、お姉ちゃん・・・お姉ちゃん!!」
「つかささん・・・」
祐一君はしばらく考えると・・・
「・・・となると結論は一つか?」
「それじゃあ・・・」
「やるよ。精一杯やらせてもらうから」
「やったあ〜祐一君、ありがとう!!」
私は祐一君に頭を下げていました。
「かがみ、大したことなければいいけど・・・」
私とこなちゃんはお姉ちゃんが行った病院に向っていました。
お姉ちゃんの具合の確認と祐一君が舞台に立つと言うことを報告するためです。
あの後、今日は解散ということになりました。
祐一君は分厚い台本を読みながら、重要なところをゆきちゃんと峰岸さんに聞いてみると言って、まだ学校に残っています。
「だけど、意外な問題が出たよね〜」
「えっ?う、うんそうだね」
『意外な問題』と言うのは、祐一君が言い出した「キスシーンがあるの?」という言葉からでした。
キスシーンは何とかならないの?と言う祐一君にゆきちゃんと峰岸さんは『重要なシーンだから出来ればちゃんとやってほしい』と
言う意見を譲りませんでした。
「あ〜でも、どうすればいいんだ?」
そう言って考え込む祐一君に提案をしたのはこなちゃんでした。
祐一君のキスシーンの相手はこなちゃんです。
「じゃあ、攻略されてみる?」
「へっ・・・」
「イベント起こして、フラグをゲット!これ基本だよ」
「何の基本だよ!」
そして、その次の言葉が私の心にずっと引っかかってました。
『君と私は恋人同士になるの。学園祭までに絶対!!』
その場では私も『え〜こなちゃんフラレちゃうの?』とか言ってました。
だけど、冷静になると、その言葉がずっと私の心に残ってました。
「ねえ、こなちゃん・・・」
「何?どうしたの?つかさ」
「う、ううん、何でも無い!」
私にはとても聞けませんでした。
『こなちゃん、本気で祐一君と恋人同士になるの?』とは・・・
「ふふふ・・・本気で萌えさせちゃる!」
こなちゃんの言葉が私の心を不安にさせました。
〜第4話に続く〜
こんばんわ〜フォーゲルです。第3話になります。
今回は練習初日〜かがみの怪我〜の日の流れですね。
ゲームよりもかがみのやる気度があがってるようにしてみました。
しかし、演技の評価を主人公に聞く選択肢がありますけど、
アレ、どれ選んでもかがみは主人公にベタ惚れのように見えるのは気のせいだろうか?(笑)
今回はラストのシーンがオリジナル展開ですが、どうだったでしょうか?
次回はこなた曰くの『攻略開始』の日になると思います。
それでは、失礼します〜
管理人の感想
らき☆すたSS,第3話でした〜。
今回はかがみの怪我が中心となった話。「あ〜、そういえばこのイベントもあったなぁ」と、ゲーム本編を思い出しちゃいました^^
大道具係からいきなり主役への抜擢。仕方がないとはいえ、結果的につかさと祐一は離れる形になってしまい。
つかさがとてもいじらしいですねぇ。こなたの、「攻略開始」宣言に、影ながら不安を感じている姿など。
ちなみに。かがみの凛役は死ぬほどハマり役だと思うのは私だけでしょうか(笑)
それでは、ありがとうございました〜