B&G MEMORIAL of SUMMER
BOYS and GIRLS in Long Vacation
陽乃海シーランドからの帰宅後、初日に作ったカレーを全て食べ尽くし、食後の後片付けを二人で済ませ、その後は交代で入浴。謙悟はまたしても冴霞が
「一緒に入りたい」と言うのではないかと覚悟していたが、意外にもその申し出はなかった。かといって自分から「一緒に入らないか」と誘うのもどうかと
いう気持ちもあり追及も出来ず、今は自室でぼんやりとテレビを眺めながら、冴霞が風呂から出てくるのを待っている。
「…………」
パチン、と携帯電話を開くと、遊園地からの帰り道で受信したメールを開く。差出人は謙悟の母・新崎陽子からで、父である徹は明日には出向先の九州に
とんぼ返りせねばならないらしく、謙悟と顔を合わせる事が出来ない事を嘆いているという。そして陽子と妹の麻那は予定通り明日の帰宅。おそらく昼を過
ぎるだろうという連絡事項と、お土産にはメロン、そして謙悟の好物である羊肉を買っているの事だった。
『羊の肉という事もあって、麻那が半ベソをかいちゃったわ。やっぱりその日に牧場見学に行ったのはミステイクね><』
顔文字まで使用する三十九歳、二児の母。相も変わらずマイペースな性格は文面からも読み取れ、少々呆れながらも無事に帰って来てくれる事は素直に喜
ばしい。出来る事なら父とも話をしたかったが、家族なのだからいつでも会えるだろう。
そんな事を考えていると、コンコンと部屋のドアがノックされる。ノックしてくる相手は一人しかおらず、またこの三日間でこうしてノックをしてから訪
問する事は一度もなかった。そこはかとなく妙な予感を感じていた謙悟だが、かちゃりとドアノブを回して顔をのぞかせたのは、湯上りの冴霞である。
「? どうした?」
「…………謙悟くん、私が今着てる服は、母から渡された物であって、決して私の趣味というわけではないので、誤解しないで下さいね……?」
「あ、ああ……分かったけど――――――――!!?」
思わず息を呑み、身体のみならず思考さえも硬直してしまう謙悟。しかしそれも、冴霞の姿を見れば無理もない事だった。正確には彼女が身につけている
『パジャマ』が問題であり、それはいわゆる『ベビードール』と称される物だった。
ベビードールはパジャマの一種として用いられる物だが、それはパジャマ本来の役割である保護や保温、保湿といったものを無視し、視覚的なインパクト
を追求したより嗜好性の高い衣服である。生地は透明感を追求したものが多く、また見た目もフリルを多く用いたり肌を露出させやすいよう大胆な切れ込み
を入れたりしている。むしろ下着と言うべき出で立ちの物も少なくなく、冴霞が身につけている物もその方向性が強い。
冴霞が悠香から手渡され、そして今着ているベビードールは淡いピンク色で、胸から下はほぼ透けている。そして下に履いているショーツは俗に言う『紐
パン』で、そのデザインも刺繍もかなり凝っている逸品だ。裾にはふわふわのファーをあしらっており、そこから冴霞の身長の半分以上を占めるスラリと伸
びる脚線がこれ以上なく強調されている。
そして背中側はバッサリと大きな切れ込みが入っており、程良く日焼けした肌と正反対な色香がこれでもかと言わんばかりに立ち上っている。胸元はしっ
かりと補正されている為、ただでさえ豊かと言って差し支えない冴霞のバストは深い谷間を形成し、まだほのかなシャンプーの香りを纏っている黒髪は絹の
光沢を放っている。
「え、えっと…………なんで、そんなのを、おかあさんは?」
くらくらと眩暈を催すような熱さを感じながら、謙悟がベッドを立つ。冴霞は後ろ手に部屋のドアを閉めると、上目遣いに謙悟を見上げる。
「その……け、謙悟くんを、誘惑しなさいって……き、既成事実以上の関係を二人の間だけで作ってしまえば、何の心配もなくなるからって……、この前の
お風呂のローションも、それと、今朝のエプロンも、実は母の入れ知恵で……ご、ごめんなさい!!」
ローションの事は冴霞の口から語られていたが、下着エプロンも悠香の仕業とは思っていなかった謙悟はやれやれといった感じで眉間を押さえると、顔を
真っ赤に染めた冴霞の頬を撫でて、ゆっくりと髪をかき上げる。
「お母さんは、なんでそんな事をさせたんだろうな?」
「…………多分、謙悟くんと私が、まだそういう関係じゃないって思ってるんだと思います。謙悟くん、物静かで紳士な男の子だって、母は言ってましたか
ら。確かに、紳士っていうのは合ってますけど――――」
「けど実際は、ちゃんと手を出してる。……俺の勘だけど、お母さんはそれも分かってると思うけどな。どっちかっていうと、冴霞をけしかける方が目的だ
と俺は思う」
謙悟が知る範囲では、悠香は明らかに冴霞の事をからかっている節があった。もちろんそれは母親としてのコミュニケーションであり、また冴霞の暗い時
代を一番身近で知っているからこそ、努めて明るく振る舞う事で娘の心を癒すという目的もあるのだが、そこまでは謙悟も思い至らない。
きゅ、と冴霞が唐突に謙悟のシャツを掴む。その手に謙悟が触れると指と指が絡み合い、互いの視線を交わし合う。
「それでも、謙悟くんはやっぱり紳士ですよ。だって……お風呂の時以外は、いつも『着けて』くれたじゃないですか……」
「そ、れは…………まぁ、万が一があったら困るだろ?」
そう。謙悟と冴霞は既に男女の関係であるが、初体験時の三連戦でもしっかりと『着用』して行為に至っている。二人ともまだ学生であり未成年なのだか
らそれが当たり前の事と言えば当たり前の事だし、冴霞も謙悟の気遣いを嬉しく思っている。しかし。
「へ、変な事言うようですけどっ……私は、ちゃんと直に……お湯とかもナシに、謙悟くんの事……謙悟の事、感じたいの……っ」
頭蓋骨を全開にして脳に電極を数百本刺した上で高圧電流を流しこむような衝撃。脳の回路は完全に崩壊(ショート)し、謙悟は慣れた手つきながらも
少々乱暴に冴霞をお姫様抱っこの体勢で抱きかかえると、真剣な眼差しで。
「じゃあ――――俺に出来ること、全部するから。冴霞の事、全部……感じさせて」
ぞくっとするほどカッコ良く、そして艶のある謙悟の声に身も心も震わせながら、ベッドに横たわる冴霞。そして開幕(はじまり)を告げる優しくも深い
口づけを交わして。
「うん。私も、いっぱいいっぱい、謙悟の事感じたいから……ぜんぶ、ちょうだい……」
そして、二人は誇張や冗談ではなく。
本当に、陽が昇るまで互いの心も身体も求め合った――――。
BGM EXTRA AFTER EPISODE
Lovely Cohabitation
第10話 Orgasmic Night , Last Morning
――――八月十二日。
「はっ、はぁっ、はっ…………ぅぁっ」
汗まみれになり、自分の身体とは思えないほど疲れ切った全身に鞭打って、謙悟はベッドに両手をついた。シーツは乱れ原形を留めておらず、絞れば水が
滴り落ちそうなほどぐっしょりと濡れている。そして謙悟の下で気を失ったように目を閉じている冴霞は、最期の繋がりが解かれるのを感じてうっすらと瞼
を開き、うつろな視線で謙悟を見上げる。
「ぁぅ……けん、ご、ひゅ……んっ……ん〜」
呂律の回らない口を塞いで、そのまま舌を絡め合う。火傷しそうに熱く、とろとろの舌と口の中を何度も何度も味わい、しかしそれ以上の事をするだけの
体力も残されていない謙悟はごろんと横になると、冴霞の額に汗で張り付いた髪を梳いてそっと額にキスをする。
「やぁん……ホントに、朝になっちゃいましたね……数えてたのに忘れちゃいましたよ……?」
「我ながら、よく持ったもんだと感心してます……でも、流石にもう、まともに動けない……」
疲れた笑みを互いに向けて、謙悟が差し出した腕枕に冴霞が収まると、二人はそのままゆっくりと目を閉じた。風呂に入るのは後回しだ、今は少しでも使
い果たした体力を取り戻すべきだと身体が訴えており、その本能に二人は抗う事なく従う。
時計は確認していないが、謙悟の体内時計ではおそらく午前七時過ぎといったところだろう。行為の最中に目覚まし時計が鳴った事は覚えているが、肝心
の時計は誤ってベッドの下に落としてしまった。後で回収しておかなければ、とぼんやり考えながら徐々に意識が薄れていく。
「でも、今寝たら……お袋が帰って来たとき、言い訳も出来ないな……」
「そうですね……じゃあ、シャワーだけでも、浴びます?」
最後の最後に働いた理性で本能をなんとか克服し、二人で互いを支えるようにしながらバスルームに向かう。その際の二人は一糸纏わぬ全裸だが、どちら
もそれを気にする余裕はない。着替えさえ持たずにバスルームに入ると、熱めのお湯でシャットダウン寸前の意識を覚醒にまで引っ張り上げて再起動させ、
元々の体力の絶対量と回復料が高い謙悟は完全ではないものの少々持ち直し、同じく女子としては体力の高い冴霞も、わずかではあるが回復した。
といっても、今日陽子と麻那が帰ってくれば冴霞は今村の家に帰らなければならない。それが悠香と父・稔臣が出した条件であり、それを呑んだからこそ
冴霞は今日まで謙悟との『同棲』が認められていた。その約束を反故にするためには陽子の承認が必要なのだが、それでも一度は戻るというのが約束だ。
「それが、約束でしたけど……正直、帰りたくないです……」
規則正しく回転する洗濯機の音を聞きながら、リビングのソファーで謙悟にすがりつく冴霞。幸せな時間を過ごせば今日からの日々も普通に過ごして行け
ると思っていたが、やはり愛しい人との時間を手放す事など出来ない。謙悟もそれは同じで、冴霞と指を絡め合う恋人繋ぎで手を握り合ったまま、冴霞の重
みを心地良く感じている。
だが、ここで甘えさせていてはこれから先も同じことを繰り返してしまう。普段しっかりしている冴霞がダメになるようなら、謙悟の方がしっかりと自制
しなくてはいけない。ここは心を鬼にして「帰った方が良い」と告げるべきだろう。
と、その時。
「ん? …………やばっ、お袋が帰って来た」
「え?」
立ち上がった謙悟が玄関側の窓から外を見ると、やはり陽子の車がバックで車庫入れをしている。聞き慣れたエンジン音は陽子の帰宅を告げる合図であり、
あと二、三分で陽子と麻那が帰宅してくるだろう。さすがにもう裸ではないから顔を合わせること自体は何も問題ないが、旅行に行く前に陽子が言っていた
『冴霞を泊めてもいい』という言葉は結果的に実行されている。この状況を陽子が見れば、ニヤニヤと謙悟からすれば不愉快極まりない笑顔を向けてくるに
違いない。
「予定よりかなり早いな。まだ昼前だろ?」
「ええ、十一時になっていないくらいです」
長い髪を少々雑に梳かして冴霞は先を行く謙悟の後に続く。冴霞が麻那と会うのは十日ぶりの事になる。謙悟とは十歳も年の離れた可愛い妹で、来月には
七歳の誕生日を迎える麻那は冴霞とは仲も良く、謙悟の事を好きだという事を共通項として互いの距離も近い。年頃の妹ではこれほど良好な関係は得られな
いだろうな、と感じながら、冴霞も麻那の事を妹のように思っている。そんな麻那とまた会えるのは楽しみだが、問題は陽子の方だ。
謙悟の話では、陽子は冴霞の事をいたく気に入っているらしい。一度も会ったことのない人間に多大な期待を寄せてもらうのは少なからずプレッシャーで
あり、それが最愛の恋人である謙悟の母ともなれば、迂闊なところは見せられない。変なところを見せたり、失敗しないようにしなければ。
「(って、これじゃまるで嫁姑関係みたいじゃないですかっ!?)」
実際それに近いのだが、意識すると否が応にも緊張せずにはいられない。ドクンドクンと騒ぎ立てる鼓動を強い意志力でぎゅっと抑え込み、謙悟が玄関を
開けるのを見守りながら、冴霞は気持ちを落ち着けるように深呼吸する。
「ただいまぁ、おにいちゃんっ!!!!」
勢い良く飛び込んできたのはリュックサックを背負った新崎麻那だった。以前とは違い短い茶髪を小さく二つに分けた子どもらしい髪型で、帰宅の挨拶と
同時に謙悟の腰に飛びつく。そんな妹の頭を兄である謙悟は優しく撫で、その微笑ましい光景に冴霞も思わず笑みを漏らす。
「お帰り。楽しかったか?」
「うん! おにいちゃんもいっしょにくればよかったのに!! ……?」
ふと、麻那の視線が冴霞を捉える。正確には冴霞の視線を感じて麻那が反応したのだが、彼女の存在を確認すると麻那は大急ぎで靴を脱いで、謙悟にした
のと同じように冴霞に飛びついた。
「おねえちゃんだぁっ!!」
「はいっ、冴霞お姉ちゃんですよっ!!」
むぎゅー、と抱きついて来る麻那の頭を撫でて、引き剥がしてからしゃがみ込み、目線を合わせる冴霞。純真無垢という形容がぴったり当てはまるような
表情の麻那は再び冴霞に抱きつき、冴霞も今度はそれに応えるようにすこし強い抱擁をする。
「はぁ、麻那ったら、さっさと行っちゃうなんて……ちょっとくらいはお母さんを手伝ってよぉ〜〜」
「……息子の手じゃ不満か?」
大量の荷物とお土産を引き摺って玄関をくぐって来たのは、新崎陽子。謙悟と麻那の母であり、現役の看護師として陽乃海市内の病院に勤めている。陽子
は謙悟を見上げると大きな溜め息をつき、荷物を息子に預ける。
「ただいま。お土産もちゃんとあるから、気をつけて運んでね。留守の間、何か困った事はなかった?」
「家の事では、何も変わりない。それと約束通り、その……冴霞の事、紹介――――」
と謙悟が言うよりも早く陽子は麻那以上に乱雑に靴を脱ぎ散らかし、麻那ごと冴霞を抱き締めた。無論、驚いたのは麻那ではなく冴霞の方である。
「わぁっ!? お、お義母様……!?」
「あなたが冴霞ちゃんね? はじめましてっ!! 謙悟の母の新崎陽子よ!! ああ、もう写真でも美人さんだったけど、実物はそれに輪をかけて美人さん
だわッッッッ!!!! それに、それにお義母様だなんて……もう大歓迎よ!! いつでも謙悟の嫁にいらっしゃい!!!!」
のっけからおかしなテンションで大暴走する陽子に冴霞もたじたじになりながら。
そして予想以上の過熱ぶりを見せる陽子に、謙悟は頭が痛くなるのを感じながら。
何も分からない麻那は大好きな母と冴霞に挟まれて「うにゃぁ〜」と唸りながら。
冴霞と陽子のファーストコンタクトは陽子の圧倒的な攻勢で幕が開ける前に閉幕となった。
土産をドサドサとリビングに置いて、陽子は冴霞が淹れたお茶を口に運ぶ。謙悟は陽子に押し付けられた荷物を二階の寝室にまで置いて戻り、兄の後ろを
麻那はぺたぺたとスリッパを鳴らしてついていく。
「う〜ん……美味しいわっ! どこの高級茶かしら……」
「普通に買い置きだ。いつもお袋が飲んでるだろ」
一袋498円のお茶に下鼓を打つ陽子に素早く突っ込む謙悟。冴霞は苦笑いしながら湯呑にお茶を注ぎ、謙悟と麻那の分も支度する。
「分かってないわねぇ、謙悟。冴霞ちゃんが淹れたお茶なら、どんな粗茶もすぐさま玉露以上に早変わりよ。麻那もほら、飲んでみなさい?」
「うん……あちゅっ」
麻那には熱かったのか、ふーふーと湯呑に息を吹きかける。冴霞はそれを見て製氷室から五、六個の氷を取り出して麻那に入れた分はアイス緑茶に変更。
「麻那ちゃん、こっちを飲んでください」
「うんっ」
子猫柄の湯呑を両手で持って、くぴくぴと可愛らしく飲んでいく麻那の姿に冴霞は思わず笑みをこぼし、そんな冴霞を見て陽子はうっとりと目を細める。
「やっぱり良いお嬢さんね。気配りも出来るし、麻那も懐いてる。私も気に入っちゃったし、これは早く結納の準備が必要ね!!」
「だから冗談は止めろって。それに、今日はもう帰らなくちゃ……いけないんだから」
「…………ええ、それが父と母との、約束ですから」
躊躇いながらそう告げる二人の態度を見て、陽子は湯呑のお茶を飲み干し、空になった湯呑をテーブルに置く。
「――――どういう経緯かは知らないけれど。冴霞ちゃんはこの家に何日か泊まってるのよね?」
「「!?」」
唐突な陽子の言葉に驚いた二人は思わず顔を見合わせる。これから話そうと思っていた話題を、話すべき相手でありこの一週間不在だった陽子が何故指摘
出来るのだろうか。
「ここは私の家よ? 家に入った時の匂いや冴霞ちゃんの手慣れた動作、それに食器の位置なんかですぐに分かるんだから。ちなみに昨夜はカレーでしょ?」
見事に言い当てられ、二人とも言葉も出ない。陽子は謙悟と冴霞をテーブルの向かい側にあるソファーチェアに座らせると、交代に二人を見た。
「それで、どういう経緯なのかしら? 順を追って説明してもらえると助かるんだけど」
言葉は厳しい物に感じられるが、陽子の声は変わらず穏やかだった。そこにはただ、母として息子とその恋人を案じる想いと信じる想い、その両方が等し
く混在しており、どんな経緯であっても正面から受け止めるという強さが満ち溢れている。
やはり、母は強いのだと謙悟も冴霞も感じる。陽子も悠香も、それぞれの環境は違えど、どちらもがそれぞれに子の事を深く知り、それぞれのやり方で彼
らを見守ってくれている。きっと『母』には一生敵わないのだと思い知らされながら、ぎゅっと互いの手を握り合ってこれまでの事情をかいつまんで話す。
見合い相手が数人いること、それらの誘いを正式に断るべく、謙悟の存在を知らしめること、そして謙悟と冴霞の関係が彼らの想像を上回るほどに親密で
あること。それを示す為に謙悟と冴霞が短期間の同棲をすること。改めて並べるとかなりとんでもない事情だが、陽子は「ふむ」と一言だけ呟いて。
「冴霞ちゃん、携帯電話を貸して頂けるかしら? 冴霞ちゃんのお母様と是非、直にお話がしてみたいわ」
――――陽子は冴霞から借りた携帯電話から、彼女の実家と悠香の番号を携帯電話に記録させると、子どもたちを置いて自室へと向かった。その姿をただ
見送る事しか出来なかった謙悟と冴霞は、麻那がじゃれついて来るままに任せて、しかし心ここに在らずといった感じで長いようで短い時間を過ごす事にな
った。正直、どちらも気が気でないのだが、親同士の会話に子どもの意見が混じっても決定的な打開策にはならない、という彼らの賢しさが邪魔をする。
そして、新崎陽子は電話をかける。三回ほどコールして通話が始まり、ノイズのないクリアな声がスピーカーから流れてくる。
『はい、もしもし? どちらさまでしょうか?』
「――――ご無沙汰してます、今村悠香さん。弓島陽子……そして、今は新崎陽子と申します」
あとがき:
今回で最終回となるはずでしたが、次回に持ち越しとなります。
それなりの長さになるかは、今のところ見当もついていません。
長さになるでしょうが、
最後の最後にとんでもない言葉が出ました。
陽子と悠香、
同棲生活最終日が向かう先は??
管理人の感想
BGMLC、第10話をお送りして頂きました〜^^
はい、とうとう謙悟の鉄の理性がプッツン逝っちゃいました(笑)
べ、ベビードールだとぉっ・・・! って感じでしょうね。想像するだけで鼻血が噴いてしまいそうですが、謙悟クンに殺されそうなのでやめときます。
何回戦までもつれ込んだかすら定かではなく、本当に陽が昇るまで情熱的に愛し合った二人。この期間限定の同棲生活の締めを飾るに相応しい甘々ぶりでしたね。
そして謙悟の母、陽子の登場。冴霞と初対面というのには何気に驚きましたね。期間的に、もう会っていてもおかしくはないので。
まあ陽子の性格上から、冴霞が気に入られるのは半ば予定調和だった気もしますが^^;
さて、最後にしっかりと張られた最終話への伏線。何やら過去の知り合いみたいですが・・・?
ではでは、皆さま。最終話をお楽しみに!