【友禅染】(ゆうぜんぞめ)
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◆友禅染(ゆうぜんぞめ)
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後染めの代表。
振袖、留袖、訪問着、付け下げなど高級呉服、帯に用いられる技法。
特徴は糊置防染(のりおきぼうせん)と色挿し(いろさし/彩色)の技法。
繊細で多彩華麗な日本画のような花鳥風月の絵模様が特色。
普通は絹の白生地に染色する。

大きく分けて、下絵や彩色を手描きで行う「手描き(手描き友禅・本友禅)」
と、複数の型紙で染める「型染め(型友禅・写し友禅)」がある。
手描きの方が高級。

手描き友禅の中でも、糸目糊で模様の輪郭を糊置する「糸目友禅」と、
糸目糊を使わない「無線友禅」がある。
「無線友禅」は化学染料や「写糊(うつしのり)」という染料を含んだ糊が
使用されるようになった明治以降に考案された技法。「素描き(すがき)」
「濡れ描き」などは「無線友禅」の技法の一種。

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▽糊置防染(のりおきぼうせん)
糊を塗って布に染まらない部分をつくり、隣の色と混じらないようにする
染色法。一つの模様に多くの色を使うことができる。

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◇友禅染めの歴史
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江戸時代初期から中期にかけて多くの職人の手で糊置防染と色挿しの技法が
完成された。当初は「色絵」「上絵(うわえ)」などと呼ばれた。
元禄(1688〜1704)ごろ人気の高かった京都の扇絵師、宮崎友禅斎の描く扇面
絵のような華やかな小袖模様が町人の間で流行し、糊置防染と色挿しで多彩な
模様が染め上げられた。
友禅自身は染色関係者ではなく、小袖模様の雛形本(カタログ)
『余情ひながた』(元禄五年刊行)1冊を手がけたのみである。
「宮崎友禅が友禅染を始めた」というのは俗説である。

友禅描く扇絵のような模様が「友禅模様・友禅染」と呼ばれ、今では染色技法
をさす言葉になった。

本来の友禅染は一切の工程が手描きであるが、明治以後に型紙を使用する
「型友禅」ができ、化学染料の輸入、写糊の考案などで、新しい技法の
友禅染が量産されるようになった。


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◇友禅染の手順
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 ※地域によって手順・用語が異なる場合がある。

▽意匠考案(デザイン)→
▽下絵(布に模様を書き写す。露草の一種からとった青い汁「青花」で模様を
 描く)→
▽糸目置(下絵に沿って糊で輪郭線を引く。糊の材料は、もち米とぬか)→
▽糊伏せ(色をつけない部分に糊を置く)→
▽地染(刷毛で着物の地色を染める)→
▽蒸し(蒸気に当てて色を定着させる)→
▽水元(みずもと/洗い流し。生地に付いた糊や余分な染料を水に流して
 落とす。いわゆる「友禅流し」)→
▽色挿(刷毛で模様に色をつける。型友禅は複数の型を使って模様を染める)→
▽蒸し→▽水元→
▽湯のし(蒸気を当てて生地のしわや折れを伸ばし、反物の丈や幅を整える)→
▽金彩(箔置。模様に金箔や銀箔を貼る)→
▽刺繍(絹糸で刺繍)→
▽紋加工(紋洗い・紋上絵。紋を入れる部分は糊で防染しておき、ここで糊を
 落として紋を描き入れる)→
▽地直し(反物の最終工程。染めむらやしみを補正する)

(参考文献『きもののたのしみ』世界文化社)

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◇日本各地の友禅染
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日本各地に色使いや作業工程が異なる独自の「友禅染」がある。
特に「京友禅」「加賀友禅」「東京友禅」の3つが有名。

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▼京友禅(きょうゆうぜん)
▽産地:京都
友禅染発祥の地。多くの色を使う優美さが特徴。
伝統的には写生画のような繊細かつ華麗な装飾画が用いられた。
色挿し(彩色)は模様の中心を濃く描くのが特徴。
製作の工程は専門家による分業が徹底している。
かつては鴨川で「友禅流し」が行われたが、現代では川で作業できない所では
工場内の水槽で作業する。

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▼加賀友禅(かがゆうぜん)
▽産地:石川県金沢市(旧加賀藩)
「加賀五彩(かがごさい)」と呼ばれる、藍・黄土・臙脂(えんじ)・緑・
古代紫を基調色とし、京友禅よりは沈んだ色調。
模様は自然の草花や鳥など素朴な風物が伝統的。
色挿し(彩色)は模様の中心を淡く外側を濃く描く「先ぼかし」が特徴。
金彩・刺繍などは用いない。
冬の犀川(さいかわ)や浅野川で「友禅流し」が行われる。
古くからある「御国染」「加賀染」に京友禅の技法を加えて江戸時代に発展。

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▼東京友禅(とうきょうゆうぜん)
▽産地:東京
「江戸友禅」ともいう。
藍や白を効果的に用いた渋みのある色調、風景など武家好み「御殿風」と
呼ばれる粋な意匠が特徴。
製作の工程は、ほとんど模様師(友禅師)が一貫して担当。構図、下絵、
糸目糊置、色挿しまで一人で手がけ、地染め、伏糊、蒸し、水洗いは専門の
業者に任せる。

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