戻る
Macintosh ColorClassic ステレオ化改造&その他






ついにノイズの軽減に成功
クリックするとデータシートを表示します
ある日、大阪日本橋にある共立電子デジットでウロウロしていると、約5mm角の小さなD級アンプが売っていました。少ない外部パーツで2W+2Wの出力が得られる上に数百円という安値だったので早速購入しました。
さて、これまでにもLM386等で作ったアンプを内蔵していたのですが、ロジックやHDD等でノイズだらけの電源に繋いでいたため、音が出ていない時でもスピーカからはギーーーと音がして困っていました。これが結構曲者で、高周波成分が多くてフィルタを付けてもうまくいかなかったのです。
デジットの店員さん曰く「D級アンプは電源ノイズに強い」ということだったので試しに作ってみることになりました。
アンプICは PAM8202 という型番です。姉妹品にミュート端子付きやモノラルバージョンもあります。ちなみにカラクラに付いているアンプはTDA7052Aという1WのBTLオペアンプでゲインコントロールでミューティングができるタイプです。今回はミューティング回路はパスです。

アンプが組みあがった状態です。真中の黒いのがアンプICで、SOP変換基板で足のピッチを揃えています。右側に見える青いコンデンサと黒いコイルは、チャンネルごとの高調波除去フィルタです。
早速電源ON!と思いきや、なんと発熱しています。それも尋常じゃないです。温度計を当てると80度を超えていました。スピーカからは音が出てくるので特に問題ないように見えるのですが、ちょっとマズそうです。
びっくりして電源を測ったりいろいろしたのですが一向に原因が掴めず、入力を上げていくと発熱も高くなるのでこんなものかと思った矢先、なんと発火しました。ICが発火するのは久しぶりです。とりあえず臭いので換気…

翌週の日曜日。改めてデジットに向かいます。店員さんに事情を説明すると…
「ICの底に放熱用のパターンがあったでしょ? SOP変換基板の真中にスルーホールがあって、それに接触すると発熱するよ」と言われてしまいました。そういえば…
こんなのも在るよと手渡されたのは、IC専用に作られた基板でした。一ヶ月前にIC買った時はこんな基板売ってなかったんですけど…
仕方ないので、パーツを買いなおしました。

そして迎えた動作テスト。音の大きさはあんまり変わりませんが、ICの発熱はほとんど無くなりました。消費電流は、消音時で約50mA、入力時で150mAぐらいまであがります。5Vの電源を直接つなぐと若干ノイズが混ざってしまうため、12Vを7805で5Vにして使っています。150mAだと7805の方が発熱してくるので、本体に内蔵する時にはアルミの放熱板を付ける事にしました。

さて、ここで気になった12V系の電流値。パーツごとに計算してみると、HDD=0.57A + CD-ROM=0.8A + AMP=0.15A で1.52A。LDC30Fって12V系の定格は1.2Aだったような…。規格書とにらめっこしながら、CD-ROM入れなかったら12V使わないし、ピークで2Aまでいけるから放っておくことにしました(一秒

しばらく使っているとなんだか変なことに気が付きました。右チャンネルだけ音が出ていません。電源を入れなおせば復帰しますが、5分間ほど電源を切った状態で起動するとまた出なくなります。さらに入力の音を大きくしていくと症状が出たりもします。さて、どうしたものか…
そういえば共立の店員さんが「データシートには出力の保護回路しかないって書いてあるけど入力側にもあるような気がする」と言ってたのを思い出し、入力抵抗を10kΩから50kΩに。あんまり効果なし。試しにインピーダンスが8Ωのスピーカをつないで見ると特に問題なし。うーむ。

結局いろいろやってるうちに、電源を入れたときに出力されてくるポップノイズをフルスケールまで増幅して、それがインピーダンスの低いスピーカに加わってショート保護が動作しているように思いました。現在は各チャンネルのスピーカの手前に10Ωの抵抗を挿入してあります。入力側は10kΩだと音が大きすぎるので20kΩにしておきました。

アンプとスピーカの取り付け部の写真です。
標準で取り付けられているスピーカはCD-ROM内蔵のときに邪魔になるので取り外し、代わりに25mmのものを使っています。規格は4Ω・0.5Wです。スピーカは前面の穴の部分に取り付けておきます。前面に来るからこそ小さいノイズも気になるんですね。
アンプはその横の空いている場所に穴を開けてねじ止めします。

その他の改造
さて、アンプの製作が終了しました。外部アンプをつけるならば当然アナログ基板の回路も変更するわけです。こちらは以前改造していたのですが、いい機会なので写真を撮ってみました。

クリックすると大きくなります
左上からモニタのVGA化改造のモニタセンスライン変更。これは基板のパターンを2箇所切断して代わりのジャンパを取り付けました。
その下がカラクラ2のマイク回路の変更です。私のカラクラは初代なのですが、ロジックのLC575はカラクラ2相当の回路になっているため、マイクをつなぐと入力異常で音が出なくなってしまいます。そのため、コンデンサマイクに電源を供給する回路を変更します。リード線が繋がっている付近のチップ抵抗を4個取り外し、ダイオードを上から取り付けています。ダイオードの向きと配線ポイントは前のページに載せてあります。

その横には音声出力のステレオ引き出しラインがあります。ステレオ化するには、元あったオペアンプとその周りのチップ部品を取り外し、ロジックボードから出た信号をそのまま外部アンプに渡すように配線します。カラクラのアナログ基板には、もう一つのオペアンプの空きパターンがあるため、ICと周辺の回路を構成できればすんなりステレオ化できるのですが、私が探した範囲ではここに載せるべきTDA7052Aというオペアンプは簡単には手に入らないということです。中古のMacを買ってきて犠牲にするのはもったいないので、おとなしく外部アンプを作りましょう。

クリックすると大きくなります
上の写真の右側です。ちょうどオペアンプが載っていたあたりですが、ICの刺さっていた3センチぐらい右にも同様のパターンがあることが分かります。途中のチップ部品は外しましょう。

下にはVGA化するために昇圧トランスの接続を変更した残骸が残っています。パターンをカットした代わりに太めの線で接続しています。パターンのカットも電圧が高いので念入りに行っています。一番初めにこの設定を考案した人はなんて凄いんでしょうね。

これはVGA化したときに画面の歪が調整範囲を超えた時に取り付ける抵抗です。シールドカバーの左に位置しています。
ここまでが一般的に知られているステレオ化とVGA化の改造です。

クリックすると大きくなります
次にご紹介するのは、電源ユニット増設です。CD-ROMを取り付けるときに内部のシャーシをだいぶ切り落とすので、その余った隙間に装着しようという魂胆です。
今回使用した電源ユニットはコーセルのLDC30F-1というもので、5V/3(4)A・12V/1.2(2)Aが取り出せるもので5000円程度で購入できます。アナログ基板から出ている電源はロジックボードへの供給のみに限定してしまったため、こちらの電源に負荷が集中してしまいました。

電源ユニットは本体の起動にあわせて動作するのが理想ですので、アナログ基板から信号を取り出して外部電源を制御してみたいと思います。

電源ユニットの100V側にはゼロクロスタイプのSSRを取り付けます。当然動作電圧は5Vのものを買っておきます。

SSRを制御する信号は、アナログ基板の5Vが出ている場所なら何処でもOKです。私はステレオ化のときに取り外したパターンの部分から取り出しています。信号には保護のために100Ω程度の抵抗を入れておきます。

次に100Vの電源です。商用電源のハンダ付けをするのはあまり好きじゃないので、コネクタ式にします。取り付け場所は、電源のノイズフィルタのあたりにある隙間です。
写真の真中にある白いコネクタがそれです。この下には他のパターンが1本通っているので、パターンをカットした後ケーブルで接続してしまいます。

コネクタの裏側です。力技でパターンをカットして穴を開けて繋ぐだけです。まるで自動車の改造みたいです。
これで電源の増設も終わりです。少々大食らいのハードディスクをつけても問題ないでしょう。

SSRの信号線も同様ですが、次に開けることを考えてケーブルは全てコネクタで中継するようにしていくのが賢明かと思います。

おまけ
CD-ROMの固定部分です。実はロジックボードの上にどっかり乗っかっています。お尻の部分に突き当て棒と横ずれ防止ガイドを付けています。前面はパネルの内側にアルミの板で横ずれガイドを取り付けて固定しています。
CPUの放熱板を付ける部分がありませんが、ちょうどCD-ROMの筐体が真上に接触するため、強引に放熱板の役割をさせていたりします。

Update 2006/6/25
Valid HTML 4.01 Transitional