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俳句カード

一茶の俳句にこだわることはない。
昔の「いろは」かるたでもよい。
遊びのなかで子供は育つ。


一茶俳句かるた

 信州の生んだ俳人、小林一茶は、終生、北信濃の農民の子としての意識をいだき、
薄幸な運命とたたかい続けながら、生涯にわたって二万を越える句を詠んだといわ 
れています。
 その句は、伝統的な俳諧から脱して、自己の赤裸々な姿をすなおに表現している 
ところに特色があり、生活にとけこんだ句、農民的感情をもった句、純真な童心の 
流露した句など、平易で飾らない人生詩人として、独特の句風があります。
 今日、一茶の句は、子どもにもかよう、その心情から、幼い子も口にするほどよ
く知られております。しかし、それはほんの一部分であり、すぐれた句はまだたく
さんあります。
 一茶の句をより親しみ、深く味わい、郷土が生んだ文化遺産への理解と愛情を深 
めたいものであります。
[内容]
・幼い子にも理解できる、小動物に寄せる愛情をうたった句、郷土の風物・四季・
 行事をうたった句を主に、五十音の四十四文字について一句をあげました。
・送りがな、かなづかいは現代表記に改め、読みやすくしました。
・解説は、句の情景を的確に叙述してあります。小学校高学年・中学・高校の観賞 
 教材に役立つでしょう。
・さらに、一茶の人と芸術の理解を深めるため、原句と出典をのせました。
[使い方]
・幼児などで、「かるた遊び」に抵抗感のある段階では、動物を主体にした句、イ 
 メージが直観的にとらえられる句などを単位にはじめるのがよいでしょう。
・時々、句の内容や情景を説明してやると、いっそうの興味がまし、想像力の拡大 
 や一茶のリズム感、俳句のおもしろさなどの感得に役立つでしょう。
・くり返し、くり返しの遊びが大切です。絵札を見て句を言わせてみてもよいでし 
 ょう。
・白札が各五枚ついています。知っている一茶の句、新聞、雑誌、図書館で調べた 
 句、家族に教わった名句などをもとにして「かるた」をつくってみてください。
  選  曲 一茶記念館
 解  説 山下 宏(信州大学教育学部助教授)
 絵    征矢秀一(新象作家協会会員)
 発行発売 信濃教育会出版部

  [かるた]               [原句]
あ 愛らしく 両手のあとの のこる雪    愛らしく両手の迹の残る雪
い 犬の子や かくれんぼする 門の松    犬の子やかくれんぼする門の松
う うまそうな 雪やふうわり ふうわりと  うまさうな雪やふふはり〜 と
え えんばやな 上手に曲る かたつむり   掾(縁)はなや上手に曲る蝸牛
お おとなしく 留守をしていろ きりぎりす おとなしく留守をしてゐろ蛬
  おおぼたん 貧乏むらと あなどるな
か 門のちょう 子がはえばとび はえばとぶ 門のてふ子が這へばとびはへばとぶ
き きりきり しゃんとして咲く ききょうかな きりきりしゃんとしてさく桔梗哉
く くる火とが 道つけるなり 門の雪     来る火とが道つける也門の雪
け けんぶつに 地蔵もならぶ おどりかな  見物に地蔵も並ぶおどり哉
こ これがまあ ついのすみかか 雪五尺   是がまあつひの栖か雪五尺
さ 里の子が 枝川つくる 雪解かな     里の子が枝川作る雪解哉
し しなのじや 山の上にも 田植えがさ   しなのぢや山の上にも田植笠
す すずめの子 そこのけそこのけ お馬がとおる 雀の子そこのけ〜 御馬が通る
せ せみばかり すずしき衣 きたりけり   蝉ばかり涼しき衣き(た)りけり
そ それそれと 親からさわぐ ほたるかな  それ〜と親からさはぐ蛍哉
た たくほどは 風がくれたる 落ち葉かな  焚ほどは風がくれたるおち葉哉
ち 散るすすき 寒くなるのが 目に見ゆる  散芒寒くなるのが目にみゆる
つ 露の玉 できそこないは せざりけり   露玉でき損ひはせざりけり
て 手のひらに かざって見るや 市のひな  手のひらにかざって見るや市の雛
と とし問えば 片手だす子や ころもがえ  年問へば片手出す子や更衣
な なくねこに 赤ん目して 手まりかな   鳴猫に赤ン目して手まり哉
に 日本は はいり口から さくらかな    日本は這入口からさくらかな
ぬ ぬりぼんに ころりとはえの すべりけり ぬり盆にころりと蠅の辷りけり
ね ねせつけし 子のせんたくや 夏の月   寝せつけし子のせんたくや夏の月
の のどかさや 浅間のけぶり ひるの月   長閑さや浅間のけぶり昼の月
は はえ笑え 二つになるぞ けさからは   這へ笑へ二つになるぞけさからは
ひ 火ときたら かえるとなれよ 冷しうり  火と来たら蛙となれよ冷し瓜
ふ ふるさとは 雲のさきなり秋の暮れ    故郷は雲の先也秋の暮
へ へな土で つくねたひなも 祭かな   へな土でつくねた雛も祭哉
ほ ほちゃほちゃと 雪にくるまる 在所かな ほちゃ〜と雪にくるまる在所哉
ま 負けずもう その子の親も 見ているか  負角力其子の親も見て居るか
み 道問いに はるばるくれば かかしかな  道問ひにはるばる来ればかがし哉
む むきむきに かえるのいとこ はとこかな むき〜に蛙のいとこはとこ哉
め 名月を とってくれろと 泣く子かな   名月を取ってくれろとなく子哉
も もたいなや ひるねして聞く 田植え歌  もたいなや昼寝して聞田うへ唄
や やせがえる まけるな一茶 これにあり  痩蛙まけるな一茶是に有
  やれ打つな はいが手をする 足をする
ゆ 雪とけて 村いっぱいの 子どもかな   雪とけて村一ぱいの子ども哉
よ 世の中や なく虫にさえ じょうずへた  世の中や鳴虫にさへ上手下手
ら らくらくと ねそべってさく きくの花  楽々と寝聳てさく菊の花
り りんりんと たこあがりけり 青田原   リン〜と凧上がりけり青田原
る るす寺に せいだしてさく さくらかな  留守寺にせい出してさく桜哉
れ 例のとおり うめの元日 いたしけり   例の通り梅の元日いたしけり
ろ ろびらきや あつらえどおり 夜の雨   爐開やあつらへ通り夜の雨
わ われときて あそべや親の ないすずめ  我と来て遊べや親のない雀
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