登山口から殆どが急登、私の山行スタイルは夜行日帰りの軽荷であり、今山行はテントで一泊の荷のため、重い。
そして水も少し節約して飲むようにしたため、汗をかいた割りに飲んでいない。
それも影響しているのか、歩みは遅く、休憩は長い。途中で引き返したいと思ったくらいです。
笠ケ岳=朝日岳を背景に
やっと辿りついた感じです。
松木沢の頭ですれ違った人にジジ岩、ババ岩の辺りを見て頂上ですかと聞くとマダマダとの返事、
今日は笠ケ岳まで行けないのか思案していたが、やれやれでした。
頂上に居た三名に聞くと、清水峠の避難小屋まで行けると励まされたが、今日の足取りでは到底無理だ。
三名は、今日、蓬峠の小屋を5時に出発したと言っていた。息も弾んでいて、かなり頑張って来たようだ。
サブザックで朝日岳まで往復している人の荷が置いてあった。
ここから、笠ケ岳まで通常は1時間くらいなので頑張る気になった。
白毛門から2時間かかっている。倍の時間だ。いつもより歩きが遅いのに休憩は三倍している。
やはり、軽い荷でピストンした方がいいのかと何度も後悔した。
途中サブザックの人とすれ違った。白毛門の頂上にザックがありましたヨと伝える。
なんとも身軽に下って行った。あの跳ねるような歩きで、白毛門の下りは持つのかと、余計な心配をする。
今日の歩き、頑張りもここまでと思うと先を急がなくても良い安堵でゆっくり景色もみえた。
【笠ケ岳避難小屋】
中は綺麗になっていた。銀のウレタンマットが敷かれ、空きペットボトルが三本あった。
広さは三畳程で予想より狭い。
床下にもペットボトルがあり、どうも、床下からの隙間風対策でペットボトルは使われているようだ。
水分補給と残りの水の関係上、夕食はラーメンと握り飯を食べた。
「思い切り、水が飲みたい。!!」どんなに、美味しいだろうか。
何処に行っても眠る前は、十分に水は補給されていたのに、ここにはないのです。
同宿はいない。寝袋に入り、今日の歩きを振り返る。
ここまで歩け、広々として遥か遠くまで望める景色、綺麗に咲いている花、本当に贅沢をしているとおもった。
明日も天気は良さそうだし、贅沢を満喫できる。
夜中2時頃目が覚めた。外に出てみると満天の星空です。星雲というような小さな光の集まりがおおっていて、その周りに少し大きく光って居るようにもみえる。
数が多すぎて、どれがどの星座なのかまったくわかりません。とにかく星の数が多いのです。星の数ほど・・・の例えが良く解りました。
視線を下げると電気の光も見えました。方角から、天神平ゴンドラ山頂駅、つぎは、土合駅周辺でしょう。
そして、宝川温泉と清水集落の四ケ所でした。
これだけの感動、満足感が得られたのも、重い荷を背負って、山中の一泊が出来たからだ。寝袋の中は明け方近くになり、足のほうが寒くなった。
【朝日岳】山頂 標高:1945m より
今回の山行の最大の目標である朝日岳に小烏帽子、大烏帽子を経て到達した。
笠ケ岳は小さくなり、登りで苦しんだ見下ろしている感じの白毛門は、大した山に見えなくなった。
誰も居ない頂上、好きな場所で景色を楽しめる。
頂上に池糖があり、花の写真を撮ろう、そして水を汲もう。
池糖は雪に覆われ、花はまだでした。池糖を覆っている雪解け水を汲む。そして飲む、美味しい。頂上に1時間以上いました。
笠ケ岳避難小屋、朝日岳頂上といい、至福の時間を過ごしました。
「写真」七ツ小屋山=大源太山 小さく清水峠にあるJR送電線の巡視小屋も見える。
巡視小屋まで約30分のところで蓬小屋発5時の人と擦れ違がう。私の向かう国道291号経由土合方面は、「雪渓を数箇所横切り、トラバースに十分な注意が必要です。」と情報をくれた。
【熊と遭遇】
「蓬峠への分岐」まで20分くらいのところで、「熊」を発見、同じ登山道を反対方向から歩いてくる。
困った。遠目には完全な成獣ではないが、私より少し小さめの(50kg)程度か。
大きな奇声を発してみる。熊は木に登り私を発見したようだ、他に熊は現れず一頭だけだ。
木から下り登山道を横切る。
雪渓の上をゆっくり歩き木々と岩陰に入り、私の視界から消えた。
いつ再び現れるかも知れず、私も来た道を戻る。
200mくらい戻ったところで休みながらどうするか検討。
すでに清水峠からの一本道を2時間も来ているのだ。最も安全なのは戻ることだ、でも戻る途中で熊と遭遇しない保証はない。
戻れば今日中には登山口に着けないかもしれない。行動食と水を補給し、20分くらい経った頃大声での奇声を発しながら歩き出す。
熊が居たところでは自然と歩みは早くなった。50mも過ぎると安堵で緊張も解けてきた。
下記の他にミヤマキンバイ、イワナシ、アズマシャクナゲ、カタクリ、シラネアオイ、ミツバツツジ、ミヤマキンバイ、ツバメオモトが解りました。花も楽しめる季節です。 左:タムシバ 左:チングルマ
左:ムラサキサギゴケ 避難小屋一泊山行のため、荷が重くなり、歩きも遅く、汗も多く出て水ももっと必要であった。 疲れた。でも、『山中の一泊は素晴らしい。』
    右:タニウツギ 左:フデリンドウ
          右:ヤマアジサイ
         右:ホソバナウスユキソウ
イワカガミ
    右:サンカヨウ
右:ギンリョウソウ
【下山】
「熊と遭遇」もありましたが、清水峠からの下山路は距離の割りには下っていないため長く、
残雪の急傾斜のトラバースが数箇所あり、滑落防止のアイゼンがあれば安全度はかなり上がったでしょう。
この時期、水の心配はいりません。
花の写真を撮るにも、ザックを下さなければならなかった。
ようこそ、あなたは
番目の訪問者のです。