左聴神経腫瘍が見つかったのが、手術年の2年前だった。当初、四六時中クラクラとして
ひどかっためまいは、段々と時間が経つにつれ軽減されていった。
左耳の聞こえは良くはならなかったけど生活に不自由を感じる程ではなく、電話の受話器を左から右へ
持ち変えるようになった事くらいだった。
車の運転は、4ヶ月くらいで何とか大丈夫になった。でも、夜の運転は極力避けるようにした。
そして、顔面神経の方は鼻を中心に左右の力の入り方が明らかに違った。
ニーッと笑うと、口角のバランスが違う事。目をギュッっとつぶった時の左右のまつ毛の隠れ方が
これも明らかに違っていた。
腫瘍の大きさは、約1cm×0.5cm位で楕円形。そんなに大きいものではなく、しかも良性との事・・
なので 経過観察しましょう・・・と言われた。
そして、家から車で1時間ほど離れた大学病院を紹介され 近くの病院で半年に一度撮ったMRI画像を持って
大学病院へ行く・・・という、病院の掛け持ち通院が始まった。
大学病院では徹底的に検査をされ、味覚検査、聴力検査、平衡感覚テスト、めまいを確認する為の
耳の中へ水を入れる検査、顔面の麻痺を確認する検査、などなどした。
時にはそこの学生さん達が検査の様子をノートに懸命にメモって行くのを横目で見ていた。
お医者様の卵の学生さんの為に教材となるのは嫌ではなかったけど ちと恥ずかしかったなぁ・・(*^m^*)
・・って、一日がかりの検査が終わり家へ戻ると、疲れが ドーッ!と押し寄せ ひたすら横になっていた。
半年に一度の検査をしていた2年目の春、MRI画像を見た医師から腫瘍が約2倍になっていますと言われた。
約2cm×1cm。更に
「このペースで大きくなって行くと、そのうち小脳を圧迫し 呼吸困難に陥り命を落とす事も考えられますよ。」と・・
更に更に・・
「実際にそういう人を見て来てますからねぇ・・・」 これには さすがにビビってしまった!
「そんなに脅かさないでください先生〜・・・」と 現実を受け入れるには少々時間がかかってしまったのだった。
「大学病院の中に聴神経腫瘍の手術にかけては日本の権威の教授が居りますから、その先生に
意見を聞いてみて下さい。」と言う事で、即 いつもの大学病院へと向かった。
教授医師の所見は「手術をお勧めします。早い方がいいでしょう。」と言う、とてもあっさりとした答えだった。
手術などとは考えてもみなかっただけに「エェ〜〜?!・・・」っと、ただ呆然と驚くばかりだった。
医師の説明というかお話はたったの5分ほど。詳しい説明は別の医師が図を描きながら丁寧にして下さった。
その説明によると、やはりこのままの腫瘍の成長が命を落としかねないというもの・・
そして、今の段階で手術を行えば 聴力は少し落ちるだろうが、温存可能だし、顔面神経も守られるでしょう・・・
手術の他には、放射線治療(ガンマーナイフ)という方法もあるという事・・
手術方法や放射線治療を受けた場合のリスク、そして考えられる後遺症などなど、とにかく納得がいくまで
説明をしていただいた。
そして、結論を急がなくていいというものだったので、家族とも相談し一週間程考える時間をいただいた。
手術をする事は正直言って、すご〜く怖い・・・。
でも、日本一の技術を持ってらっしゃるという教授医師の腕を信頼し
腫瘍がすべて取り除けるのなら、そして顔面神経も聴力も現状維持が可能ならば・・・
と、手術していただく事を決断したのだった。
手術、決めました!