入院初日
 
手術を決めてから2ヶ月後、平成11年7月10日に入院。検査も含め約2ヶ月の入院予定だ。
 初めての長期入院に、ちょと緊張気味で病室に通された。
 送ってくれた夫が帰る時には 一人にされてしまう寂しさと心細さとで泣きたいくらいだった。

 
大学病院の脳外科には、病状が大変そうな患者さんがたくさん居た。
 4人部屋の同室になった人達もそうだった。
 術後に視力が極端に落ちてしまい、トイレに行くのも危なっかしい人。
 脳血管が詰まり3年前に一度手術をしたが、また再発し二度目の手術をする人。
 術後、記憶が飛んでしまい自分の部屋が分からず戻れない人。などなど・・
 お気の毒でここには書けないような病状の人がまだいっぱい・・・
 (これは大変な処に入院してしまったぞ〜・・・)
 その年は、台風がよく発生し、夕立も頻繁にあった猛暑の夏だった。

 
二人の担当医師が紹介された。
 眼鏡を掛けたベテランそうでやさしそうな
O先生と、まだ研修医で背が高くイケメン系のH先生・・
 数分すると早速 H先生が空の注射器を2本持ってやって来た。
 「血液検査をしますね。ちょっと痛いですよ・・・」H先生はまだ慣れていないのか
 注射針を慎重に少し遠慮気味に刺していた。
 そのためか・・・ちょっとではなく すっご〜く痛かった(;_;)
 今日からいよいよ検査が始まったんだな・・と実感した。
 夜は、さすがに興奮してなのか ベッドも変わり暑かったのもありで殆ど眠れずに朝を迎えた。
 入院初日の長い長〜い夜だった・・



  入院後1〜3週間
 
 入院後、すぐに入院手術計画書なるものと、それに伴ったカテーテル検査についての説明と同意書
 を求められた。ちょうど兄夫婦が来てくれ、説明を一緒に聞いてくれた。
 入院当初からいろいろな検査をした。
 頭、首、胸のレントゲン撮影・心電図・CT撮影・MRI検査・
 脳波の検査・聴力聞き取り検査・麻酔科への受診・再びの血液検査・・
 そして、なんと言っても大変だったのが脳血管撮影(カテーテル検査)だった。

 それは、手術前に自分の脳の血管の状態を細部まで調べる為に、太腿の動脈から脳の血管まで
 管を入れて造影剤を注射しながら脳血管を撮影するものだった。
 CTやMRIの検査時に造影剤が必要な時は、必ずあの注射の不慣れなH先生が登場した。
 カテーテル検査の時も期待通りだった。(担当なんだから当然だけれど〜・・^^;)
 今日は、一発で成功してね〜・・・と、いつも願っていた。
 その後も、H先生の不慣れな注射は続き 痛みとアザが増える度に ガマンガマン・・と
 自分に言い聞かせていたのだった(;_;)

 
検査は・・管を入れる時に、足の付け根部分に麻酔を注射する。
 麻酔が効いたことを確認し、動脈部分の一部を切開しそして管を入れ造影剤の注入・・・
 頭の中がカァーッっと熱くなり、途端にチカチカチカチカっと 綺麗な火花がシッカリと見えた。
 頭が燃えてるように感じたけれど、少しするとその感覚も収まった。
 映し出された自分の脳血管、太い血管から次々に枝分かれをし細部にまで張り廻らされた毛細血管。
 この中の一本でも切れたり詰まったりしたら非常事態が起こるなんて・・と
 改めて人間の体の いや、自分の頭の血管が映し出された映像を不思議な気持ちで眺めていた。
 そしてこんな検査が出来るようになった すごい医療に感心もしながら。。。

 
カテーテル検査の後は、動脈の大出血を避けるため 砂袋のようなおもりを足の付け根に乗せ
 6時間もの間 安静にしていなければならず、食事もトイレもベッドの上で済ませた。
 私は、夫をこの時とばかりにあれこれと使い また我侭も言い甘えさせてもらった。
 しかし、朝の9時から夕方の5時まで ずっと横になってる事を強要されたのにはホトホト疲れてしまった^^; 



   輸血用自己血採血 400 CC
 
手術の時にもしも輸血が必要になった場合にと、自分の血液を採って置く。。
 これは 他人の血液を使わないという安全性を重視されたもの・・でも、400 CCは多いなぁ・・^^;
 今まで、献血だって一度もやった事が無かったので 心臓はバクバクと鳴り出しとても緊張していた。

 採血室にはもう一人やはり手術を控えて、自己血液を採りに来ていた私より3歳年上のSさんがいた。
 病状を話してみると意外にも私とすっかり同じ、聴神経腫瘍だった。しかもSさんの場合は、右側にできていて
 大きさが私の2倍近くもあるというから驚きだった。そして、私より4日早い手術予定日だった。
 それからはお互い妙な親近感を覚え 即お友達になり病室を行き来したのだった。


  手術日が変更に!
 
手術を間近に控えているにもかかわらず、外見的に私は至って元気だった。
 めまい感も治まっていて、ベッドの上ばかりじゃ体力が落ちてしまうと思い、1階の売店や検査室へ
 行くのにも4階から階段を使い駆け下りた。
 当然帰りも階段を駆け上りハァハァ言いながら部屋に戻る。
 同室の人たちも、「あなたは何処が悪いのやら分からないゎ〜・・・」っと呆れる程だった。
 「えぇ、えぇ、私は元気よ〜♪」と、答えていた^^;

 
手術日の3日前、教授医師とO医師との面談があり、緊急に手術をしなければ命にかかわる
 
患者さんが居るので私の手術日をその患者さんに譲ってほしい・・・との申し出があった。
 その人は、脳血管が切れてしまい、緊急に手術を要するそうだ。

 
私は至って元気で、何日か手術が遅れたからと、どうこうなる訳でも無いし 拒否する理由も無いので
 「その方は大変なのでしょうから、一刻も早く手術をしてあげて下さい。
 喜んで私の手術日をお譲りします。」っと言った。

 という訳で、私の手術は予定手術日の10日後の8月12日と改めて決まった。
 すでに殆どの検査が済んでいたが、いったん家に帰る事にした・・
 ・・と、その前に採っておいた輸血用の血液を 使用期限の関係で自分の体に戻し 
 病院へ戻った時に改めて採血する事になった。 
 採血室へ行き、複雑な思いで血液を体の中に戻してもらった。
 それから、久しぶりの我が家へ10日間の長期外泊をしたのだった。
 私を目にした愛犬が 今まで見た事がないくらい興奮し体をくるくる回したり 驚くほどの喜びようだった。

いよいよ入院と手術です。