インフルエンザ 解熱剤鎮痛剤 小児 急性脳症

1.解熱鎮痛剤とライ症候群との因果関係
 米国においてサリチル酸系医薬品、特にアスピリンの使用とライ症候群との関連性を疑わせる疫学調査結果が報告された昭和57年以降、厚生省では、国内において「Reye症候群に関する調査研究」(昭和57年度〜平成元年度)及び「重篤な後遺症をもたらす原因不明の急性脳症と薬剤との関係に関する調査研究」(平成2年度〜平成8年度)を行ってきたが、解熱鎮痛剤とライ症候群との明確な因果関係は確認されていない。
 (注1)小児のライ症候群を含む急性脳症は、その前駆症状としてかぜ様症状を伴うことが多く、発症直前に解熱鎮痛剤が投与されていることが少なくない。
 (注2)ライ症候群: 急性脳症(嘔吐、意識障害、痙攣、高熱等の症状)で、肝臓ほか諸臓器の脂肪変性、CT上脳浮腫が見られる等により特徴づけられるものをいう。水痘、インフルエンザ等のウイルス性疾患の先行後、主に小児において発症する。

2.検討結果
 平成12年以降新たに解熱鎮痛剤を投与された患者において、意識障害、痙攣等の脳症症状の症例報告が集積したことから、サリチル酸系医薬品、ジクロフェナクナトリウムを含め解熱鎮痛剤全般について、改めて平成6年以降に報告されたものも含め、薬剤使用の影響が疑われる急性脳症28例を検討した結果、次のような結論を得た。

 2−1.サリチル酸系医薬品(アスピリン及びサリチルアミド)について
 ライ症候群と確定されていないものを含め28例中16例と報告例が最も多いが、使用制限の措置を行って以降に投与されていた小児の症例が、配合剤で2例あった(単味剤ではジクロフェナクナトリウムとの併用例1例)。
 このため、特にサリチル酸系医薬品の配合剤について、平成10年の措置(アスピリン等のサリチル酸系医薬品について、15歳未満の水痘、インフルエンザの患者に対する投与を原則禁忌とする)の趣旨を改めて注意喚起を行うことが適当と判断された。

 2−2.ジクロフェナクナトリウムについて
 次の理由から、ライ症候群に関する安全対策として、サリチル酸系医薬品と同様に、小児のウイルス性疾患(水痘、インフルエンザ等)の患者への投与を原則禁忌とすることが適当と判断された。
  2−2−1.28例中10例において投与されており、特にライ症候群と確定された症例では、アスピリン等サリチル酸系医薬品と近似した発生傾向が見られること
  2−2−2.小児における緊急を要する解熱目的には、ジクロフェナクナトリウム以外の他の解熱鎮痛剤の投与や代替処置で十分対応が可能であること

 2−3.その他の解熱鎮痛剤について
  2−3−1.アセトアミノフェンについては、28例中11例において投与されているが、その使用方法は次のような状況であり、アセトアミノフェンの影響を現時点で評価することは困難であり、今後の状況をさらに注視することが必要である。
   ア.サリチル酸系医薬品との配合剤として投与されたもの:8例
   イ.ジクロフェナクナトリウムとの併用:1例
   ウ.その他の解熱鎮痛剤との併用:2例

  2−3−2.メフェナム酸及びイブプロフェンについては、次のような状況から現時点でその影響を評価することは困難であり、今後の状況をさらに注視することが必要である。
   ア.集積例数が相対的に少ないこと(メフェナム酸5例、イブプロフェン3例)
   イ.ライ症候群と確定された症例は、アスピリン又はジクロフェナクナトリウムとの併用例であること

平成13年5月30日付けの記事 厚生労働省HPより抜粋
2009年8月更新



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