日本で新型インフルエンザの死亡例が少ないのには理由があります

 2009年の新型インフルエンザ(S-OIV)による死亡率には各国間で大きな差が見られます。わが国では患者数が増加しても致死率は極めて低いレベルにあります。ところが他の国々からは大きな数字が報告されており、欧州疾病対策センターも今回の実際の致死率を0.1〜0.2%、WHOは0.1〜0.5%と見込んでいます。これらの数字はわが国のものから見れば極めて大きな数字です。
 なぜこのように大きな差があるのでしょうか?

 被害の大きな国々では患者の多くが発症後1週間前後に初めて医療機関を受診しており、その前には治療を全く受けていないこと、重症例や死亡例の多くが発症後4〜5日目に呼吸不全を呈していること、ウイルス性肺炎の重症化だけでなく細菌性肺炎の重症化も見られること、など診断と治療開始の遅れが見られます。
 一方、わが国の神戸や大阪からの報告では発症者の殆どが2〜3日以内に医療機関を受診しており、ほぼ全例で直ちに抗インフルエンザ薬による効果的な治療が行われています。南米においても致死率の低いチリではわが国に近い対応が取られ、致死率が高いアルゼンチンやブラジルではそのような対応が殆ど取られていなかったとも言われています。

 他の感染症と同様に今回のS-OIVでも早期受診、早期診断、早期治療開始が重要であり、「軽症」であると見做して受診が遅れるようなことのないようにしなければなりません。

 日本感染症学会緊急提言「一般医療機関における新型インフルエンザへの対応について」(第2版)http://www.kansensho.or.jp/news/090914soiv_teigen2.htmlよりコピー
2009年9月更新



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