家庭血圧

 医療機関を受診すると、どんな症状でも、まずは、体温と血圧と脈拍を測定すると思います。また、血圧の薬を飲んでいる方は、血圧の値が気になると思います。血圧は、いつ、どうやって、測るのがいいのでしょうか?
 白衣高血圧・仮面高血圧という考え方があります。大雑把に言うと、白衣高血圧は診察室の中だけ血圧が高いこと、仮面高血圧は診察室以外では血圧が高いことです。
 ここで、受診した時だけ血圧を測るとします。そうすると、白衣高血圧の患者さんは「高血圧ですね。薬を飲みましょう。」となります。仮面高血圧の患者さんは「正常血圧ですね。薬は不要です。」となります。これで良いでしょうか?
 良くありません。白衣高血圧の患者さんは、自宅では薬を飲まなくても血圧が正常範囲なので、もしも薬を飲んだら血圧が下がりすぎて心筋梗塞になる可能性があります。仮面高血圧の患者さんは、自宅では高血圧なので、もしも薬を飲まなければ、心筋梗塞や脳梗塞や腎不全になる可能性が高くなります。
 つまり、診察室の血圧は、降圧薬の量を決めるのには不適切です。診察室の血圧は、緊急性(=すぐに注射したり入院したりする必要)があるかどうかを推測するためのものなのです。
 では降圧薬を適切な量に調節するにはどうすればいいのでしょうか?自宅で血圧を測定すればいいのです。題名の家庭血圧です。家庭血圧測定法、私が患者さんにお願いする点を書いておきます。家庭血圧測定をすれば、不必要な薬をやめられますし、隠れた高血圧を発見できます。

 二の腕に巻く血圧計が正確。手首タイプはやや不正確。(ついこの前も新聞で大学教授が二の腕に巻く血圧計を推薦していました。持ち運びは不便ですが、是非用意してください。)

 週2-3日できれば上出来。(測定は毎日行う必要はありません。メンドクサイですよね。)

 朝晩や、朝昼晩のように、1日複数回。

 食事、運動、入浴、喫煙の前か60分後に。

 飲酒の前に。(休肝日=非飲酒日があれば解決です。)

 下着や薄着で。(厚い服は肥満と同等で、不適切です。)

 腕巻きと心臓を同じ高さにして。

 安静(喋らない、座るか横たわる)、5分から15分間待ってからボタンを押す。(血圧計を腕に巻いて、すぐに測って、少し高いから深呼吸して測り直す、という患者さんが非常に多いです。落ち着いた時の血圧が本物である!と解っておられるのです。何度も測定すると血管が痛みますし、安静後にボタンを押して一回の測定で済ませてください。)
2009年7月更新



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