『らき☆すたSS〜つかさside〜最終話〜』
『只今より3年生合同舞台を開始いたします。只今より・・・』
私達の出番を知らせる放送が流れました。
みんな、準備も万端です。
「よ〜し、みんな頑張るよ!」
こなちゃんが気合を入れるように声を上げます。
そんな中、祐一君はそわそわとしていました。
「どうしたの?祐一君?」
私は祐一君の様子が気になって声を掛けました。
「ああ、つかささんか・・・」
祐一君は少し苦笑いを浮かべながら、自分の手を見せます。
「情けないことに・・・緊張しているみたいなんだ」
そう言いながら私に見せた祐一君の手は、小刻みに震えていました。
「やるべきことはやったはずなのに・・・自信が持てなくて」
確かに、お客さんがたくさん入ってるし、祐一君はお姉ちゃん達と違って練習期間も長くなかった。
不安になるのも無理はないです。
だから、私は―――
震えている祐一君の手を包み込むようにそっと両手で握りました。
「つ、つかささん!?」
驚く祐一君に私はそっと語りかけます。
「大丈夫だよ・・・祐一君ならきっと出来るよ!私が保証するから!」
「つかささん・・・」
「あ、でも私の保証じゃダメかな・・・」
「いや、そんなことないよ。ありがとうつかささん」
祐一君がそう言って笑顔を私に向けます。
その笑顔に私の胸が“トクン”と鳴ります。
「祐一君〜!そろそろいくよ〜!!」
こなちゃんが祐一君を呼ぶ声が聞こえて来ました。
「うん、分かった」
こなちゃん達の方に向かっていく祐一君。
「祐一君!!」
「あ、あの・・・頑張ってね」
「うん!分かったよ」
祐一君はそう答えて行きました。
そして、私達みんなで作った劇が始まりました。
こなちゃんやお姉ちゃんの演技も凄かったけど・・・
それ以上に祐一君の演技が凄かったです。
さっきまでの不安そうな様子がウソのように堂々と演技をしてる祐一君。
(スゴイ・・・スゴイよ・・・祐一君)
その姿に私はいつの間にか、引き込まれていました。
(あと少しだよ。頑張って祐一君)
そして、最後の峰岸さんのナレーションが流れた後―――
“パチパチパチ・・・”
たくさんの拍手が祐一君達に降り注いでいました。
“ハァ・・・ハァ・・・”
私は、祐一君のことを探していました。
約束のこともあったけど、それよりも―――
劇が終わった後、教室に帰る途中で耳に入って来た声のことが気になりました。
『凄かったよね〜3年生達の劇』
『うん、あの劇、原作があるみたいだけど、田村さんに聞いてみようかな』
女の子達の声が聞こえてきました。
田村さんの名前が聞こえてきたので1年生かなと思いました。
『特にあの主役をやってた男の子、カッコ良かったよね』
『あ、私もそれは思った。今度アプローチしてみようかな』
『でも、小早川さんや岩崎さんが言ってたけど、あの人好きな人がいるみたいだよ』
『えっ・・・そうなの?残念・・・』
1年生の女の子達はそんなことを言いながら私の横を通って行きました。
(そっか・・・祐一君、好きな人いるんだ・・・)
祐一君に好きな人がいるのなら、それはしょうがないです。
(だったら、私は喜んであげないと、いけないよね・・・)
そんなことを考えながら、星桜の樹のところに来ました。
(あ・・・)
星桜の樹の下、寝ぼけまなこの祐一君が何かを考えるように空を見つめていました。
「こんなところにいたんだ」
私の声に祐一君の肩がピクンと震えたように見えました。
「つかささん・・・」
「寝てたの?」
「えっ・・・やっぱり分かる?」
「うん。それに・・・私もよく外で寝ちゃうことがあるから」
「何で?」
「家ね、神社をやってるから週末にはよくお手伝いしてるの。それで暖かい時なんかは気持ちよくてウトウトしちゃうんだ」
「へ〜ちょっと見てみたいかも、巫女さんの居眠り姿なんて、そうそう見られるもんじゃないだろうし」
「ええっ!?・・・で、でも寝ちゃうのはたまに・・・2回に1回くらいだよ」
「いや、つかささん。それかなり確率高いから」
笑いながら言う祐一君。
「でも・・・祐一君ならいいかも」
「えっ?」
みるみる顔が真っ赤になっていく祐一君。
「えとね・・・何にもおかまい出来ないけど、クッキーくらいなら焼けるよ」
「い、いやつかささん。それ十分におかまいしてるから!」
「そ、そうかな・・・」
「そ、それより、俺に話があるってことだったよね」
「あ、う、うん・・・」
祐一君が本題に話を切り替えたことで、私も話を切り替える。
「劇、お疲れ様。あのね、それでね、聞きたいことがあるの」
こんなこと聞いていいのか分からないけど、でも聞かなきゃいけないことのような気がしました。
「その、劇の中でこなちゃんと・・・キス、しなかったよね。あれって何で?・・・こなちゃんのこと好きじゃなかったの?」
祐一君は私の問いに、一度深呼吸すると私の方を見ました。
「キスをしなかったのは、人前じゃ恥ずかしかったってことと、好きな娘の前じゃキスしたくなかったからだよ」
「そ、そうなんだ・・・」
分かってたことだけど、やっぱり、辛いな・・・
「こなちゃんじゃないとすると・・・ゆきちゃん?」
「いや、みゆきさんは素敵な人だと思うけど、でもそこまでの感情は持ってないよ」
「じゃあ、お姉ちゃん?」
「かがみさんも違うよ」
祐一君は、ゆっくりと話し掛けます。
「その人はね、いつも一緒に居てくれて、何て言えばいいのかな・・・一緒に居ると安心出来るっていうか、そんな人なんだ」
「え〜そんな人知らないよ」
「絶対に知ってるって、同じクラスだし」
でもいくら考えても、そんな人は浮かんで来ません。
「ひょっとして、屋上から見てるとか?」
そんな私の答えに祐一君は少し呆れながら、私を見ます。
「つかささん・・・本当に分からない?俺のことからかってる?」
「だって、本当に分からないもん!それに・・・好きな人の好きな人なら私も知りたいもん!そうすれば・・・」
「諦められるとか?」
「あっ・・・」
私は今の言葉で自分の気持ちを話してしまったことに気が付きました。
「ご、ゴメンね。変なこと言っちゃったね・・・」
私の言葉に黙ったまま祐一君。
「あ、あのね。冗談なの。今のぜーんぶ冗談なの。だから気にしないで!ねっ!」
私はそのまま、立ち去ろうとします。
「は、話はこれで終わりだから!じゃあ」
「待ってよ!」
立ち去ろうとした私の手を祐一君の手がしっかりと握っていました。
「つかささん、落ち着いてよ!誰も見張ってないし・・・今ここには俺達しかいないじゃない」
「えっ・・・」
私の頭の中で祐一君の言葉が繰り返されます。
いろんな言葉が私の頭の中から消えていきます。
そして、残ったのは―――
『祐一君の―――好きな人は―――私!?』
それは私に決して向けられないと思っていた、でも一番聞きたかった言葉―――
「あ、あれ・・・どうしたのかな?嬉しいのに、涙が・・・」
「つかささん・・・自分のこと、忘れちゃダメだよ」
祐一君は私の身体をギュッと抱きしめてくれました。
「つかささん、俺はつかささんのことが好きだよ。出来ればずっとこうしていたいって思う」
「わ、私も、私も祐一君のことが好き・・・大好きだよ」
私は祐一君の背中に手を回します。私の気持ちが祐一君に届くように―――
「ずっと、ずっとこうしてくれたら、嬉しいな―――」
私はその言葉と同時に目を閉じました。
そして、後夜祭が終わった後私と祐一君は一緒に家に帰っていました。
私は電車通学なので、学園から一番近い駅までだけど・・・
それでも、祐一君とちょっとでも長く一緒に居たかった。
「だけど、ちょっとだけ恥ずかしいな・・・」
「何が?」
「こうやって手を繋いでいるの」
私と祐一君はしっかりと手を繋いでいました。
「じゃあ、止める?」
「う、ううん?止めないでほしいな・・・」
私達がそんなことを言いながら歩いていると。
「あっ・・・」
空を見上げた祐一君が何かに気が付きました。
「どうしたの?祐一君」
「流れ星だ」
見ると、確かに夜空に流れ星が見えました。
しかも、いくつもいくつも流れていきます。
「そういえば、今日は流星雨だってテレビで言ってたな」
そんな祐一君の言葉を聞きながら、私は流れ星に願い事をしていました。
「何をお願いしたの?」
「・・・祐一君とずっと一緒にいられますようにって・・・」
「つかささん・・・」
祐一君はそっと私の頭を撫でながら言います。
「大丈夫だよ、流れ星にお願いしなくたって俺はずっとつかささんと一緒にいるから」
祐一君は言葉と共に、私の手を強く握ります。
「祐一君・・・」
私も祐一君の手を握り返します。
空には、そんな私達を見守るように流れ星がいくつもいくつも流れていました。
〜END〜
こんばんわ〜フォーゲルです。『らきメモ〜つかさside』の最終話になります。
前半などにオリジナルシーンを多くして独自性を出して見ましたが、いかがでしょうか?
名前だけだけど、ゆーちゃん達1年生組を出せて良かったと思います。
これを読んで雅輝さんが「もう一回ゲームやってみようかな」と思ってくれれば嬉しいです(笑)
次回作は、『かがみside〜ラキレボ編』を執筆しています。
そちらも投稿しようかなと思っていますがどうでしょうか?
それでは、失礼します〜
管理人の感想
ついに最終話!今まで、お疲れ様でした。
全体的に、ゲーム本編に沿って上手くまとめられていたと思います。オリジナル性もしっかりと出てましたし。
テンポよく進められていく作調は、まさに「らき☆すた」ってかんじでしたね^^
最後も綺麗に仕上げられていますし。これもゲーム本編にはないオリジナルですね。つかさの笑顔が目に浮かぶようです。