感覚統合について 人には様々な感覚(聴覚・触覚・視覚・固有覚・前庭覚)があります。 感覚からの情報は脳へと伝わり、そこで情報をまとめあげ、次に必要な動きなど、脳から身体の隅々へと 指令が行き、いろんな活動を行うことが出来ます。 簡単に言うなら、気温に対する変化、暑いと汗をかいて体温を下げろという指令が出て、汗をかくことが出 来ますし、逆に寒ければ身体がぶるぶると震え、熱を作り出し体温を上げようとします。 立つ、座るなどの単純な動作でも、自分の身体の中心(重心)がどこで、自分の身体をどう動かせば良い のか、それはそれは細かく脳から指令が出て、さらにその指令にすべて正しく反応出来ていれば、きちん とバランスを取り、イスに腰掛けたり、また、うまく立ち上がることが出来たりするのです。 ごく自然に動いているかのようですが、実は数多くの情報の入力と、それらをまとめあげた上での脳からの 指令→反応というシステムが正常に働いているからこそ、私たちはいろんな活動が出来るのです。 発達障害児の多くは、この感覚入力や、入ってきた感覚の情報をうまく脳でまとめあげて、必要な指令を 身体に送ること(反応、行動)が出来なかったり、または違った情報として伝わっていることもあるようです。 (例:雨粒が身体にあたると「冷たい」のが、「痛い」と感じる、など) 「感覚統合」というのは、こういった情報処理(感覚情報の入力、脳で情報をまとめあげ、正しい反応を身体 に伝えるまで)を、うまく使えるようにプログラム化したものです。(詳しく知りたい方は、エアーズ博士・感覚 統合、などで検索してみてください) 発達障害のことを「感覚統合障害」ということもありますが、この表現のほうがこの障害のことをうまく言い 表せている気がします。 感覚統合療法は、作業療法士が専門ですが、自宅でも遊びを通して実践が可能です。 同じ発達障害でも様々なタイプがありますので、ここで紹介するのは、あくまでも我が家の一例です。 (それぞれの遊び方に一応、なぜこの遊びを取り入れたのか、かんたんに理由を書いています。) もし参考になるようでしたら、ご家庭でもお子さんに合うようにアレンジしてぜひ遊んでみてくださいね♪ 感覚統合をはじめるにあたり、重要なことは、順序です。 子供の発達には、順序があります。生まれて間もない赤ん坊に、いきなり「立って遊ぼう」は、いくらなん でも無理な話ですよね。 そんなふうに、感覚統合にもちゃんと順序があるのだそうです。 以下、専門書籍からわかりやすくひろって書いてみます。 1:生まれてから〜2歳頃まで。 授乳・抱っこなどの母親との触れ合い→「触覚」の刺激→母親との絆が出来る。 身体の動き・力の入り方を感じる感覚→筋肉に働き、姿勢保持・バランス・眼球運動など 2:〜4歳頃まで。 身体知覚、自分の身体を意識して動かせるようになる。 これは、第一段階目を習得して出来るようになることです。 3:〜6歳頃まで。 視覚・聴覚などの情報が統合され、目と手の協調運動が可能になる。(見たものをつかむことが出来る等) 形・音の区別、目的を持った行動などが出来るようになる。ことばも発達してくる。 これらも、やはり第一、第二段階が習得出来た上で、出来るようになると言われています。 感覚統合の本を読んではじめて、「ことば・発語」までいくには、こんなに長いプロセスが必要なんだという ことを知りました。(通常の発達であればほぼ自然に習得出来ていくことですが・・) 基礎をやらずには、いきなりしゃべれない。 この場合の「基礎」というのは、感覚情報の入力〜出力(行動)までを訓練して育てていくこと=感覚統合 ということになります。 英語で話せるようになるまでには、アルファベット覚えたり単語覚えたり、発音したり、書いたり・・いろんな 基礎が必要になるのと同じ・・というふうに考えれば、やっぱり基礎からきちんと積み上げていくほうが、確 実ですよね。 追記 樹の場合は、重症仮死の影響で身体がうまく動かなかったこともあり、どこからどこまでが麻痺で、どこから どこまでが発達障害ゆえの困難さなのかは見極められません。 そのため、ここに書いたものの中には、発達障害児向けというよりも、軽い麻痺の場合のリハビリに近いも のも多く含まれています。 |
家庭における療育について 療育などで教わったことを、日々の遊びの中に取り入れてみました。 嫌がることを無理強いするのでは効果が期待出来ないので、本人が楽しんで取り組めるような工夫が必要です。 楽しければ自然と意欲的に取り組み始めます。 実は訓練でありながら、本人にとっては ”楽しい遊び” にすることが、最も重要なポイントになります。 まず、療育(訓練)の柱(何に対して有効な訓練をするのか)を決めます。 そして何か本人の好きなものや、気に入ったものなどとうまく組み合わせて、試行錯誤しながら本人に合わせた「オリジナルプログラム」を作りあげていきます。 プログラムの基礎となるのは、訓練に通っているなら訓練先で相談、まだ通ってなければ、専門書などから、本人が好みそうで、尚且つ本人のためになりそうなものをチョイスします。 すぐに効果が出るといったものではないので、とにかく気長に。 毎日、しっかり遊んであげるという気持ちで取り組むのが良いです。 本人にまったくやる気のない時は、あきらめます。誰だって、気分が乗らない時はありますから・・。(親自身も含め・・^^;) |
視覚・触覚>指先〜腕を使う運動。短時間記憶保持・目と手の協調運動など。
ミニタオル等に小さなおもちゃを軽く包み、開けさせる遊び。一番初めは、包まずにおもちゃの上にかぶせて隠し、「ナイナ〜イ」「○○、どこ?」と、かぶせたタオルを取って、おもちゃを見つけさせる。 最初の頃は、おもちゃが見えなくなると関心がなくなることも多く、透けて見えるような薄手の素材のハンカチでうっすらおもちゃが透けて見える状態から始めた。 慣れてきたので、今度は上の写真のようにおもちゃを軽く包んでみたが、包むとまったく興味ナシ、反応ナシになったので、まず先にそのおもちゃで遊んで、気を引き付けてから包んでみたところ、興味は持つものの、うまく開くことが出来ずに包まれた状態のまま振り回してポイ! 手を添えて根気よく開き方を教え、開いたら褒めるを繰り返し、ようやく開けるようになった。片手の、しかも指先しか使わない時期だったため、うまく開くには手首を少し動かす必要があった。何度やっても出来ないと、本人もやる気がなくなるので、最初はとても小さなサイズのタオルで、簡単に開けるようにしてスタートした。 この遊びのポイントは、本人が「探したくなるもの」を隠すこと。ただし、こだわって集中してる最中のものを取り上げて隠すと、パニックになりかねないので、おもちゃを包むタイミングには注意が必要でした。 |
空箱におもちゃを入れたり出したりする遊び。樹が片手で持てる大きさのお菓子の箱と、少し大きめのボタン(←樹が興味を持ったので)2個にしました。繰り返し何度もやることが楽しいようなので、中に入れるおもちゃの数は少なくしました。 最初は、ママが楽しそうに「ナイナーイ…ぽと〜ん!」と、何度か、気を引くまでやってみせます。最初は箱を持つことが難しかったので、床に置いた状態でボタンを拾って入れ、ママが手を添えて箱を持ちあげ、傾けて中のボタンを「ぽと〜ん!」と落とす、を繰り返しました。 自分で箱が持てるようになったら、今度は一連の動作を、言葉掛けで誘導。箱を持つ、ボタンを拾い入れる、箱を傾けて落とす、たったこれだけの動作ですが、何度も手順を忘れては固まっていました。 手の過敏がひどく、ものをしっかり掴んだり出来ない時期にはじめた遊びです。この遊びで「ものをしっかりつかむ」ことと、箱を傾ける動きによって「手首を動かす」ことになるかな〜と考えました。 |
手の感覚過敏がひどかった頃に使いました。 お手玉はお手製ですが、ビーズクッション(大人の掌サイズ)は100均で購入しました。軽くて持ちやすいです。 はじめは触るのを嫌がるのでママが遊んで見せて、お手伝いして取ってもらうようにしながら徐々に触らせました。 ラップの芯を使って、中にお手玉を入れて滑らせて下に落とし、それを取らせる。触ることに慣れてきたら次は身体のあちこちに乗せて、自分で取らせる遊びに移行。 手の感覚過敏の訓練だけでなく、ボディイメージをつけるための遊びとしても。 |
感覚過敏、聴覚過敏・創造性など |
感覚(触覚)過敏のため、最初は触れさせることが難しかったです。 粘土、スライム、ビーズ、砂、小豆などを使って遊びます。 身体に触れるような遊び方や、音を出す遊び方をします。 例)プラスチック衣装ケースや、ベビーバスなどの中に小豆などをたくさん入れて、(夏ならパンツ一丁で)中に入って遊びます。 認知がかなり低い間は誤飲の危険が考えられるので、使う材料は食用で万が一誤って口に入れても大丈夫なものにし、遊んでる間は絶対に目を離しません。 お菓子の缶や、たいこなどを渡し、それにパラパラと音を立てて小豆を落としたりして音を出して遊ぶこともします。(無理強いはしない程度。少しづつ慣らしていきます。) |
手首の動きがとても硬く、まだまだ不器用な上、ものをしっかり握ったりつかまえたりも出来なかったので、最初に選んだ積み木は、布製の大きなもの。布なので感触もそれほど嫌がらないし、柔らかいスポンジなのでつかまえ方がぎこちなくても、持つことが出来ました。汚れたら洗えるというのも良かったです。 積み木等のおもちゃに慣れる前段階にと考えてたので、じょうずに積むことよりも、触ったり、握ったり、押しつぶしたり、転がしたり、身体のあっちこっちに乗せてみたり…といった遊びをしました。 ママは一応、見本のため毎回積んでみせました。無理にではなく、興味を持ってきたら、手を添えながら積む練習を少しづつしました。 この他にも、台所用のスポンジや小さな空き箱などを積み木代わりに使ったりもしました。 |
集中力を高める・両手、目の協調運動(視覚・触覚など) ふだんから食べているヨーグルトやゼリー、ベビーフードの空容器等、比較的丈夫そうで、重ねることが出来るものを、それぞれ複数個づつ取っておいて、「同じもの同士を重ねる」遊び。 壊れても、いつでもすぐにまた新しいものに取り替えられるし、形も様々で、なかなか使えます。可愛いテープを巻いたり、マジックで絵を描いたりといった工夫もいろいろ出来ます。 ただし、本来の使用法(使い捨て容器)ではない使い方なので、使用には注意が必要です。 ↓もう少しレベルアップ!
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プットイン
手首を返せない、手の動きが硬い間は、穴が大きく、入れるものもつかみやすくて簡単に入れられるものを用意。 手首を少し動かせるようになってきたら、コインなど、穴の位置を いろいろな向きにすることで、自然に手首を動かして遊ぶように設定しました。 |
離乳食の冷凍保存に使っていたケース を再利用。 |
少し力を入れて押すと入るくらいの穴を 開けてあります。 |
こんな使い道もアリ! 紙をちぎって散らかすので 紙専用のプットインを 空き箱 で作りました。 |
これで、部屋のあちこちを掃除しなくて 済みます。 |
鳥の形の洗濯バサミ。開閉に力が要る 強力タイプ。 |
指先に、しっかり力を入れて開かないと はさむことが出来ません。 |
指先の力をつける。 手先の器用さ、目と手の協応。 |
洗濯バサミを使った遊びの進化版。 足もとに取込んだ洗濯物を入れるカゴを置いています。 |
少し力を入れて広げることが出来る ゴム製のC型パーツ。 |
隙間がほとんどないので、最後の輪が 難しいようです。 |
視覚・触覚・聴覚過敏などの訓練。目と手の協調運動。目的を持った作業(組み立て)をする。 カラフルな木製の円柱をハンマーでトントン叩くおもちゃ。ハンマーを正しい向きに持つこと、円柱を穴に入れること、叩く位置、どれも最初は難しかったです。一番始めの頃は、まず、ハンマーが持てませんでした。重いのか、感触が嫌なのか…。やっとハンマーを握れるようになって、叩く動作を教えたのですが、今度は叩いた時に、ハンマーを通じて手に帰ってくる衝撃と、叩く音が嫌だったらしく…しばらくは使わずに見えるところに飾っておきました。^^; たまに触ってるうちに、ようやく少し叩いたり出来るようになってきました。下にマットを敷いてから叩くと、衝撃や音が少し和らぐので、マットの上で遊ぶようにしました。 円柱を出し入れする動作も、ものをしっかりつかまえたり、握ったりといった練習に役立ちました。 今は、遊びながら「緑」「赤」「黄色、取って」など言葉の習得用にも使っています。 |
フタの開閉
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調味料(コンソメ)の空容器が、大きさも ちょうど良く、開閉も比較的カンタンで良 かったです。 手首の動きが硬く、ひねって回す動作が 出来ない頃から始めました。 気をひくようなミニカーやブロック等を中に 入れて軽くフタを閉めて渡し、開けて見つ けさせるさせる遊びです。 フタを開けることもですが、容器を逆さにし て中のものを下に落とすという方法で取り 出すことも練習しました。 |
はじめてのブロック遊びに最適。 レゴよりも簡単に組立てられます。 最初は凸凹の関係もわからないし、 うまく合わせることも出来ないので、 少し手伝ってあげました。 「出来た!」という気持ちが芽生え始 めるきっかけになったおもちゃです。 |
手首の動きが硬い間はうまく組み立てることが出来ませんでした。 4歳頃から、左図のようなものを作り、電車などに見立てて遊んだりしています。 |
手の操作性を高めるために購入。 一番簡単そうなものを探しましたが、最初は一番下にある直線のビーズしか動かせませんでした。 これは底面に吸盤がついていて、机に固定出来る仕様になってますが、固定せずに使用していました。 |
穴の開いたパーツにヒモを通していく遊び。ヒモの先をつまんで持つ→パーツをもう片方の手でしっかり持つ→穴にヒモを通す→通したヒモとパーツを持つ手を入れ替える(ここが一番難しい)→ヒモをつまんで引っ張る。といった流れです。 ヒモを通す時には、穴にヒモを「入れる」動きだけど、ヒモを通したら、今度は穴からヒモを「出す」動きに変わる、ということも、なかなか難しいらしく、せっかくヒモを通せたのに、反対の手でヒモを押し戻したりしていました。^_^; 準備したものは、しっかりしたヒモ、パーツを入れておくカゴ(空き箱やプラスチックトレイでも。)、穴の開いた木のおもちゃ。すべて100均で揃います。ヒモの先は、穴に通しやすいように幅広の透明テープで巻いて補強してあります。 かなり集中力がいる作業のようなので、あまり長時間やらせないようにしています。 |