きむらクラフト的飛行機の動力飛行を考える...
2003.04.29 寺田さんに教えていただき、ずいぶんと加筆
2003年の始め、私が所属するクラブで非力なモーターを使って動力飛行をする機体 を作って持ち寄り、コンペをしよう...と言う企画を行いました。 コンペ用の機体(後のBrayman)を作りながら、動力飛行についていろいろと考えさ せられる事がありました。 特に最低出力で飛行するには....と言う事に関してです。
最低出力での動力飛行を考える為には、飛行機はなぜ飛ぶのか?と言う事をはっきり させなければなりません。 飛行機は前に進む事により風を受け、主翼に空気の流れ を作り、それによって発生した揚力によって機体を持ち上げて空中を飛行する事が出 来ます。 ここで重要なのは、「前に進む事により風を受ける」と言う事です。 風を強く受ければ強い、弱く受ければ弱い揚力が発生します。 その揚力が機体の重量 を越えた時に、飛行機は空中にとどまる事が出来るのです。 動力飛行ではプロペラによって機体を前進させて主翼に風を受けます。 その時に主翼 が受ける風によって発生する揚力が機体重量を超える必要があります。 当然、普通に飛行している機体の速度は、その機体が必要とする揚力を発生させるに 充分な物になっているはずですね。 水平飛行においては、揚力と機体重量が釣り合っていると言う事にもなりますね。 難しい計算があるとは思いますが、実際にスピードガンで計った所では翼面荷重7.5g /dm2のハンドランチグライダーが水平飛行する速度が17km/h、翼面荷重12g/ dm2のハンドランチグライダーで速度が30km/h弱ありました。 (この数字はハンドランチグライダーの物ですので、水平飛行していると言っても滑空状態 でありますから、本当の水平飛行とは違うのですが....) 翼型や胴体の抵抗も考慮に入れなければなりませんが、簡単に考えれると翼面荷重と 水平飛行に必要な速度とは関係があるようです。
単純計算すると翼面荷重が7.5g/dm2の機体を動力飛行で水平飛行を続けるために はプロペラ等の物で推力を得て時速17km/hを維持する必要があるわけです。 プロペラに絞って考えれば、プロペラに17km/h以上の前向きの力を発生してもらわな ければこの飛行機は飛ばない事になります。 プロペラのサイズの表記に8×4や11×8と言うのがあり、その後ろの数字が「ピッチ」と 呼ばれる物で、プロペラ一回転でどれだけ前に進むかを示しています。 インチ表示なので、8×4なら1回転で10cm、11×8なら一回転で20cm進む..と言う 事になります。 この数字とプロペラの回転数が解ればプロペラがどれだけのピッチスピード を発生するかが解るわけです 。毎分10000回転するピッチ4のプロペラの発生するピッチ スピードは、60km/hと言った具合です。 ただし、このピッチスピードは実際のプロペラ推力とは違います。 おおざっぱな目安には なりますが.... これらをコンペの時の状態のBraymanに当てはめますと、(この機体の翼型はスピードを 測定した7.5g/dm2の機体と同じ物です)主翼面積17dm2、重量250gで翼面荷重 は約14.7g/dm2となります。 スピード測定の例から考えれば、水平飛行には33km /hの速度が必要と言う事になります。 言い換えれば、この速度を出すための推進装置 が必要と言う事ですね。
ちなみに、4インチのピッチを持つプロペラですと、ピッチスピードにして毎分5500回転 する必要があります。 これだけの性能の動力があれば、この飛行機は動力飛行が 出来ると言う事になります。 これ以上の回転数(推力)が得られれば、上昇飛行が出来る訳ですね。 これはあくまでも机上の話で、実際は機体の抵抗やプロペラの効率などで計算通りには 行かないでしょうけれど、機体をデザインする上で参考になると思います。 特にきむらクラフト的な機体デザインでは有効です。
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