十字テールの水平尾翼考

きむらクラフトデザインのHLGで採用されている十字テール。 最近ではSAL専用機の
ほとんどに採用されています。 きむらクラフトの十字テールはエレベーターが分割されて
いますが、SAL機の方は分割されずに上または下にずらして舵角を確保している物が
ほとんどです。 この方式の違いについて考察してみました。


これはVirgil2kの尾翼周りです。
エレベーターはテールブームをまたぐように分割されていて、2ミリのカーボンロッド
により連結されています。


上の図の様に水平尾翼はテールブームを切り欠いた上に接着されています。
この方式の利点としては、十字テールにするための重量増加は連結するための
カーボンロッドが60ミリで約0.03gだけで済む事です。 リンケージは通常の
PEラインによるプルプル方式が使えます。

欠点は何と言っても、テールブームを切り欠くためにテールブームのカーボンパイプ
の強度が落ちる事に尽きます。 通常ランチでは何ともありませんが、横方向に荷重
の掛かるSALでは辛いところです。

こちらはブームの下につり下げられたRadina DLGの水平尾翼。
テールブームに接着された台座にナイロンボルトにより水平尾翼が取り付けられて
います。 ナイロンボルトはブームまで貫通していて、台座が剥離するのを防いで
います。


こちらはブームの上に乗せられているEncoreの水平尾翼です。(裏から見てます)
持ち上げられているのは5ミリ程度なので、エレベーターの舵角を確保するために
動翼に切り欠きがあり、補強のためにカーボンロッドが埋め込まれています。


この方式の利点は強度の一言に尽きます。ブームに切り欠き等の加工をしないために
加工による強度低下がありません。 力の大きく掛かるSAL機にはもってこいの方法
でしょう。 また、台座の高さを有る程度確保すればエレベーターも切り欠きや分割の
必要がありません。

欠点としては重量の増加が一番大きいでしょう。 Radina DLGの例で行けば、
マイクログラスで補強された台座が1グラム強、取り付け用のナイロンボルトが2本
で0.3gあります。 テールエンドで1.3g強ですから、ノーズでは4g以上になりまして
この数字は受信機1コ分にもなってしまいます。
それと、リンケージの取り回しにも問題が出てきます。 PEラインによるプルプル方式
を採用しようとすると、パイプから遠い方のラインはかなり長い物になるか、水平尾翼
を貫通しなければならなくなります。 もしくは重量増を覚悟でロッドによるプッシュプル
方式、リターンスプリングを仕込んだ片プルの採用を余儀なくされます。
取り付け位置に寄っては、主翼の後流を受けて尾翼の効率が悪化する場合も
あります。
どちらの方式も一長一短ではありますが、ランチ方式によって使い分けるのが賢い
やり方だと思います。 強度と重量、どちらが必要かで使い分ければ良いでしょう。

[戻る]