動力用ニッケル水素電池 

電動飛行機も周辺機器が出そろってきて、以前と比べて
飛ばしやすくなってきました。 モーターのパワーアップや
軽量メカ登場で飛ばない機体は無いと言っても良いほどです。
これからのの課題は飛行時間でしょうか。          
最近出回っているNi−MH電池、容量から言えば願ってもない
電池ではあるのですが....      

難しい事は抜きにして、ニッカド電池とニッケル水素電池の
違い...みたいな物を絵にしてみました。

ニッカド電池のイメージです。
充電も放電(モーターが消費事も含め)も大量に電気を流す事が
出来ます。 これは電池の内部抵抗が少ないためで、電動飛行機
などの動力用に使われている電池は充電には電池容量(C)の3倍の
電流を掛けて急速充電が出来ますし、放電に至っては電池容量の20倍
の放電にも耐えるのです。

例えば400クラスで良く使われる”500AR”などと呼ばれている電池。
この電池は500mAhの充電量に対し10A以上の連続した放電に耐えますが、
これは電池容量の20倍にも当たります。




対するニッケル水素電池は内部抵抗が大きいために、電池の重量
あたりの蓄電量は多い物の充電も放電も一度に大量の電流を流す
事が出来ません。 これは動力用電池としては致命的な欠点です。
ニッケル水素電池の性能表によりますと、最大許容放電電流は電池容量の
3倍までとなっていまて、これは例え3000mAhの電池を持ってしても9Aが
限度...と言う事になってしまいます。

これに無理に高い電流で充電をしたり、大きなモーターを使って高い電流を
取り出したりすると、電池がおかしくなってしまいます。

では、ニッケル水素電池はまるで使い物にならないのか.....
と言うと、使い方によってはそうでは無いんです。


これはGP社製の単三サイズの1700mAhのニッケル水素電池を8本直列に
束ねた物です。 この電池の最大許容放電電流は電池容量の3倍で5.1A
が許されています。

例えばスピード400クラスギヤダウンのトレーナー機ではフルスロットル時の
最大消費電流こそは10A前後になりますが、一度高度を取ってしまえば
ハーフスロットルとなり、その時の消費電流は5A前後です。
見事に電池の最大許容放電電流に収まるんです。

フルスロットルを多用するスポーツ機には向きませんが、ハーフスロットルで
充分なトレーナー機の動力用電池として活かせるのでは無いでしょうか。

ちなみにこの電池、秋葉原の「秋月電気」と言うところで10本2800円で
売られている物をハンダ付けで組んだ物です。

実際にきむらクラフトの「電動スバル09号」に搭載してみました。
サイズ的には厚みこそあるものの、縦横は通常積んでいる電池より一回り
小さいものです。
7セルの電池が140グラム程度ですので+80グラムの重量増になりますが、
この機体の翼面荷重的には充分余裕があります。
この機体のユニットは7セル500mAhニッカド使用時でフルスロットル時
9.3A、ハーフスロットル時で4.8Aです。

地上でのフルスロットル試験では6分回したところで押さえていた手が冷たく
なりその時点で断念....電池の発熱は熱いかな?程度で放電器で
1050mAhの放電でした。
ちなみに、このテスト時の初期回転数は8100rpmで、ニッカド7セル500AR
の時より200rpmほど低い数字でしたが、前回の測定より飛ばし込んでいるので
モーターのへたり...による物も多いと思われます。

フライトテストは中風の風の中、周回飛行のみ25分間飛ばして着陸、370mAh
の残量がありました。 電池の発熱ははほとんど熱を感じない程度の物でした。
フライトの間は時間が経ってもスロットルはハーフスロットルのまま固定で済んで
しまいました。
今回の実験で、トレーナー的使用に於いて使用に耐えると言う手応えを得る事が
できました。 「のんびりフライトが好き。 でも、もう少し長く飛ばないかな」
と言う方、試してみて下さい。

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