直貼り翼の修理


ランチ時に足を滑らせて翼端を地面にHit。 虎の子のEncoreを壊して
しまいました。 断列こそしなかった物の、コアとスキンが剥離、コアは
ザクツしている感じでした。 ダメ元でした修理がなかなかの仕上がり
でしたので公開いたします。 直貼り翼機の修理の参考にしてください。


こちらは下面の状態です。 上が後縁で、溝はエルロンの可動ラインです。
コアのザクツは見られませんが、スキンが伸びてしまった様になっています。
エルロンのスキンも剥がれています。 この状態ではエルロンの強度は全く
無くなってしまっていて「くにゃくにゃ」しています。


図にするとこんな感じです。 幸い、スパーになっているカーボン部分に曲がり
や亀裂はありませんでした。 この部分が堅かったためにこの様な壊れ方に
なったのでしょう。 修理はこの部分を押さえ込む様な形で行います。 

エポキシ樹脂をスキンが剥がれた所から染みこませます。 エルロンの溝から
口を開けてしまった所はそこから流し込む様に樹脂を入れ、それ以外の場所
はスキンの上から擦り込むようにして樹脂を染みこませます。 大抵の直貼り
翼は軽量化のために樹脂を極限までケチっていますので、樹脂が染みこむの
に充分なピンホールが沢山あいています。 染み込みが足りない時は、マチ針
などでクロスの織り目をねらって穴を開けても良いでしょう。
上の画像では樹脂を染みこませた上に0.2ミリPP板を置いた状態です。 
これを見ると壊れ具合が良く解ります。


ネガティブシェルが残っていればそれを使うのが一番なんですが、シェルはもう
残っていないために、厚手のスポンジを型換わり使います。  離型を確実に行
うために離型ワックスで離型処理した0.2ミリPP板。 その上にに平面をしっ
かり出すための0.5ミリのPP板を重ねます。 今回の修理では下面も修理対
象ですので、下面も同様にPP板を重ねます。

PP板を密着させるために重しを乗せてプレスします。 全体に圧力を掛けるた
めにスポンジの上にはベニヤ板を置いています。 残った樹脂は硬化具合を見
る為のサンプルとしてすぐに捨てずに置いてあります。


重しを乗せることによって、スポンジが変形して均等に圧力が掛かります。

24時間プレスした後に取り出してみました。 溝にってしまった部分は樹脂で
埋まった感じになりましたが、平面が戻りました。 重量の増加は使用した樹
脂量から3.5グラムでした。 右翼ですので問題は無いでしょう。

本来ならバキュームバギングで行えば状態を確認しながら出来るのでしょう
けれど、設備投資がそうそう出来ない状況なのでこの様な方法を使ってみま
した。 そこそこ綺麗に直ったので出来には取りあえず満足しています。


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