メス型編
メス型編1です。 オス型を元にメス型を作成します。 FRPの製品の作成方法には、私の知っている限り2通りあって、左右のパーツ を型から取り出して型の外で接合する方法と、型から取り出さず、型の中で接合し、 完成した製品として型から取り出す方法です。 今回私は、前者の方法をとりました。前者と後者ではメス型の作成方法が若干 異なりますので、この場では前者の方法としてメス型の作成を説明させていただきます。 まず、オス型より前後左右に30oほどの大きさのアクリル板にオス型を事務用の 両面テープ(紙ベースの薄い物)で固定します。 両面テープを細く切って、オス型の全周を固定するようにします。 これは、メス型用の樹脂がアクリル板とオス型の間に流れ込まないようにするためです。 次に、アクリル板の縁に3×3oほどのバルサなどを両面テープで貼り付け、 防波堤を作ります。アクリル板が大きい場合は必要ないかもしれませんが、樹脂が 流れ出さないための物ですので、やっておいた方が良いでしょう。 この時点で雄型が反ってってしまうようであれば、アクリル板の下に50o厚くらいの スタイロフォームや発泡スチロール板を両面テープで全面に貼り付け台にして修正 できます。 作業性も良くなりますよ。 |
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メス型編2(離型処理)です。 オス型、アクリル板、防波堤全てに離型ワックスを塗ります。 私の使ったワックスは自動車用のワックスと同様、乾いたらふき取るタイプ でしたので、5回ほど重ね塗りをしました。これが不完全ですとオスメスが 分離しなくなりますので、念には念を入れてです。 アクリル板とオス型の隙間、アクリル板と防波堤の隙間には擦り込むようにワックスを 入れて下さい。樹脂の染み込み防止になります。隙間が大きく気になるようでしたら 油粘土などを詰め込むと良いでしょう。 ワックス処理が済んだら、ポバールをスポンジに含ませて、オス型、防波堤全体に 薄く塗りのばします。ポバールは水溶性なのでそのままではワックスにはじかれますが、 ドライヤー片手に乾かしながら塗り延ばすと上手くいきます。 ポバールは乾燥すると薄い皮膜となり、離型を容易にする物です。オス型+ワックス層、 ポバール皮膜+メス型と言う風に分離します。 これも完全に乾かして下さい。 |
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メス型編3です。 ゲルコートを塗ります。 ゲルコートもポリエステル樹脂です。扱いはポリエステル樹脂に準じます。 私が購入した物は藍色に着色された物でした。コバルトと硬化剤と説明書が同包されて いましたので、説明書の通り混合しました。 一回分を30cc程として混合し、刷毛で塗りつけます。ある程度の粘度はありますが、 エッジ部分や垂直面は付きづらいので、一度に塗らず2回から3回に分け、 垂直面はオス型全体を傾けておおむね均等にゲルコートが付くようにして下さい。 この時点でゲルコートがしっかり付いていると、この後の作業で気泡が入るような 不具合が生じてもメス型として充分機能してくれます。 |
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メス型編4です。 ゲルコートが硬化した後、補強のガラス繊維をポリエステル樹脂で積層します。 私はホームセンターで購入したガラスマットをほぐして使用し、エッジ部分や 曲面のきついところはサフェージングマットを使用しました。 垂直面などはゲルコート塗りと同じ要領で積層します。 気泡などは入らないに越したことはありませんが、ゲルコート塗りがしっかり出来ていれば、 神経質にならなくても良いと思います。 3層ほど(厚みにして3から5oほど)積層しました。 メス型は、オス型からの離型や製品の離型の時にねじったり曲げたりしますので、 強度が不足していると、一回の使用で終わりになってしまいます。 充分硬化した後に(私の場合、簡易ブースを使って一晩)オス型から分離します。 上手に離型処理が出来ていれば、アクリル板を軽くひねっただけで”ぱきん”と 分離します。 分離後、中性洗剤でポバールを洗い流した後、メス型の内側を光にすかすなどして 良く点検して下さい。 欠落やピンホールはポリパテやエポキシパテで修正します。必要に応じて、コンパウンドや 1000〜1500番の耐水ペーパーで磨き上げてピカピカにして下さい。 |
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